JIS X 8341-7:2011 高齢者・障害者等配慮設計指針―情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス―第7部:アクセシビリティ設定 | ページ 2

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X 8341-7 : 2011 (ISO/IEC 24786 : 2009)
4.11
画面読み上げ機構(screen reader)
利用者が画面を見ることなしに画面の情報にアクセスできるようにするために,画面上の文字及び他の
情報を音声で読み上げる機能。
4.12
ショートカット(shortcut)
途中段階情報(例えばメニュー)の表示を行うことなく,ポインタの移動もその他の利用者の行動も要
求することなく,直ちに実行する操作。
4.13
サウンド解説(ShowSounds)
アプリケーションソフトウェアで可読なフラグであり,全ての情報を聴覚的に提供しているアプリケー
ションに視覚的にも情報を提供するように伝えることを意図した利用者設定フラグ。
注記 サウンド解説は,(聴覚障害,うるさい環境,図書館,教室などのように音出力が許されないな
どの理由によって)明確に音声を聞き取れない又はコンピュータからの音の違いを聞き取れな
い利用者のための機能である。例えば,録音又は合成音声の代わりに説明文を表示することが
可能であり,また,新着メールが到着したことを示すために音を使用しているときは,メッセ
ージ及びアイコンによる表示ができる。ただし,説明文は,画面上に目に見えるように提示し
てある情報を,(画面読み上げ機構が)読み上げることで得られる音声出力に対しては,(重複
して目に入るので)字幕を与えない方がよい(ISO 9241-171:2008の附属書E参照)。
4.14
スローキー(SlowKeys)
短い時間に打たれたり押下されたりした全てのキーを無視するように,キーボードに動作させる機能。
注記 スローキーは,打鍵のときに意図せずに周辺のキーをたた(叩)いてしまうような,統制でき
ない過度の動きをする利用者のために設計されている。キー押下は,利用者が設定可能な一定
時間を押下した場合だけ受け付けられる(ISO 9241-171:2008の附属書E参照)。
4.15
サウンド表示(SoundSentry)
コンピュータが音を発生したときに視覚的合図を提供する機能。
例 screen flash, caption bar flash.
注記 サウンド表示は,(聴覚障害,うるさい環境,図書館,教室などのように音出力が許されないな
どの理由によって)システム音を聞き取れない利用者のための機能である。サウンド表示は,
システムのハードウェアを監視することによって動作し,音響的活動が検出された場合に利用
者が設定可能な指標を提供する。
なお,この機能は,通常,異なる音及び異なる音源を区別できず,また,音声出力及び音で
伝えられた情報の有用な代替を提供できない。アプリケーションは,音で提供される情報の有
用な代替を提供するために,サウンド解説機能をサポートすることができる。サウンド表示は
単に,サウンド解説機能をサポートしていないアプリケーションのための,システムレベルの
予備手段である(ISO 9241-171:2008の附属書E参照)。
4.16
固定キー(StickyKeys)

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利用者が,キーの組合せ(例えばCtrl−Alt−Delete)を押下する場合,キーを全て同時に押下するので
はなく,順番に押下することを可能とする機能。
注記 固定キーは,両手を使えない利用者又は小棒を使って文字入力する利用者に向けて設計されて
いる。固定キーは,Shiftキー,Altキー及びCtrlキーのような“修飾キー”として定義されて
いるキーに対して働く。通常,固定キーの状態は,利用者の選択によって画面に表示される(ISO
9241-171:2008の附属書E参照)。
4.17
一定時間後無効機能(Time Out)
キーボード又はマウスの操作が一定時間(調節可能)発生しなかった場合に,自動的にアクセシビリテ
ィ機能を停止する機能。
注記 一定時間後無効機能は,利用者がアクセシビリティ機能を有効にしたまま離れた場合に,次の
利用者又は案内役の人が,コンピュータが故障したと困惑する可能性がある,図書館,書店な
どの公共・共有コンピュータでの使用を意図している(ISO 9241-171:2008の附属書E参照)。
4.18
切替えキー(ToggleKeys)
2状態交互切替えキーがロックされているか又は解除されているかを知らせる機能。
注記 切替えキーは,CapsLock,ScrollLock,NumLockなどのように,ロックする(2状態交互切替
え)キーの視覚的状態表示が見えない利用者のための機能である。切替えキーは,CapsLockの
ような2状態交互切替えキーがロックされている場合は,高いビープ音のような聴覚的合図,2
状態交互切替えキーがロック解除された場合は,低いビープ音のような別の合図を提供する
(ISO 9241-171:2008の附属書E参照)。
4.19
視覚情報の調節(visual emphasis)
利用者が,視認性を改善するために視覚情報の属性を変更できるようにする機能。
注記 視覚情報の調節には,文字サイズ,画面拡大,コントラスト,輝度,カラーバランス,色調反
転,グラデーションなどの調節を含む。
4.20
視覚へのフィードバック(visual feedback)
(キー入力などの)操作がコンピュータに受理されたかどうかを視覚的に知らせるための機能。
注記 視覚へのフィードバックは,固定キーが有効な場合のキー表示,画面キーが押下された場合の
視覚的表示などを含む。
4.21
音声操作(voice operation)
利用者が,マイクロホンを通して音声命令によるコンピュータ操作を可能とする機能(例えば,“メール
切替え”で電子メールのアプリケーションが起動するなど)。
注記 音声命令は通常,音声命令ではない他の音声と区別するために,起動キーワード(例えば,“コ
ンピュータ···”)の後に続く。

5 要求事項及び推奨事項

5.1 アクセシビリティ設定モード

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5.1.1 ログイン前のアクセシビリティ設定モード

  アクセシビリティ設定モードは,利用者がログインモードからアクセスできるものであることが望まし
い。その場合,アクセシビリティ設定モードは全ての設定項目を含む必要はなく,少なくとも,次に掲げ
る機能の有効又は無効の切替えができることが望ましい。
− 固定キー
− スローキー
− バウンスキー
− 画面キーボード
− 音声操作
− 視覚情報の調節
− 画面読み上げ機構
注記 なお,ログイン後は,コンピュータは5.1.2に記述したアクセシビリティ設定項目を提供する。

5.1.2 アクセシビリティ設定モードの内容及びインタフェース

  アクセシビリティ設定モードは,5.2に規定する設定項目へのアクセスを提供する。ただし,ショートカ
ットによるアクセスは除く。次に掲げる事項は,アクセシビリティ設定モードのインタフェースに対する
要求事項及び推奨事項である。
a) アクセシビリティ設定に実装されている全ての設定項目に対するキーボードからのアクセスを提供し
なければならない。
b) キーボードアクセスは,同時に二つ以上のキー押下を利用者に要求してはならない。
c) アクセシビリティ設定に実装されている全ての設定項目に対するポインティングデバイスからのアク
セスを提供しなければならない。
d) 設定対話ウィンドウの文字サイズは,通常サイズの2倍以上なければならない。
e) 自然言語による設定項目の説明が画面に提示されていなければならない。
f) 操作結果の通知が視覚的手段及び聴覚的手段の両方によって利用者に提供されなければならない。
g) 二つの異なるアクセス機能の選択肢が同時に設定可能な場合は,それらを起動するキーは互いに隣り
合っていてはならない。
h) アクセシビリティ設定に実装されている全ての設定項目に対する音声操作を提供することが望まし
い。
i) 音声操作及び画面読み上げ機構には,自然言語を使用することが望ましい。
j) 画面上の文字は,サンセリフ体であることが望ましい。
k) 画面上の文字の輝度は,背景より5倍以上明るいことが望ましい。
l) 設定項目の記述のために,図記号が画面に提示されていることが望ましい。
注記1 d) において,“通常サイズ”とは,システムの省略時設定における画面表示文字サイズの
ことである。
注記2 g) において,QWERTYキーボード(アルファベットキー部分の左上部に“Q”,“W”,“E”,
“R”,“T”,“Y”の順にキーが並んでいる配列のキーボード)では,A,S及びDは隣接
している。キーボードアクセスでは,A,S及びDを使用するのではなく,A,D及びG
を使用することが望ましい。その理由は,前者の場合,間違えて隣接するキーを打ってし
まう利用者がいるからである。
注記3 j) において,“サンセリフ体”とは,縦横斜めの線の太さが一定で,飾りのない書体であ

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る。

5.1.3 アクセス方法

5.1.3.1  GUI操作
次に掲げる事項は,アクセシビリティ設定モードへアクセスするためのGUI操作の要求事項である。
システム設定は,アクセシビリティ設定モードへのアクセスを提供しなければならない。
注記 4.10の注記2参照。
5.1.3.2 キーボード操作
次に掲げる事項は,アクセシビリティ設定モードへアクセスするためのキーボード操作の要求事項及び
推奨事項である。
a) コマンドを起動するための,オペレーティングシステムに特化したキーをもつシステムにおいては,
このキー及び“U”を同時に押下することによって,利用者にアクセシビリティ設定モードへのアク
セスを提供しなければならない。
b) オペレーティングシステムは,アクセシビリティ設定モードの起動の代替方法として,オペレーティ
ングシステムに特化したキーを含まないキー順序を利用者が定義できるようにする仕組みを提供する
ことが望ましい。
c) hiftキーを連続して5回押下することで,利用者が固定キーの有効又は無効を切り替えられるように
しなければならない。固定キーを有効にするときの省略時の挙動として,対話ウィンドウを表示する
ことが望ましい。固定キー機能の対話ウィンドウが開いたときはいつでも,利用者にアクセシビリテ
ィ設定モードを開く選択肢を提供しなければならない。
d) hiftキーを8秒間押下することで,利用者がバウンスキー,スローキー又はフィルタキーの有効又は
無効を切り替えられるようにしなければならない。Shiftキーを8秒間押下したときの省略時の挙動と
して,対話ウィンドウを表示しなければならない。対話ウィンドウが開いたときはいつでも,利用者
にアクセシビリティ設定モードを開く選択肢を提供しなければならない。
e) elpキーを5秒間押下することで,利用者にアクセシビリティ設定モードへのアクセスを提供するこ
とが望ましい。
注記1 a) において,コマンドを起動するためのオペレーティングシステムに特化したキーの名前
は,Windows 1) システムにおいては“ウィンドウズロゴ”,Apple Macintosh 1) システムにお
いては“コマンド”という。
注1) indows及びApple Macintoshは,市販製品の一例である。この情報は,規格の利用
者の便宜を図って記載するもので,この製品を推奨するものではない。
注記2 c) 及びd) において,“Shiftキーを連続して5回押下すること”及び“Shiftキーを8秒間
押下すること”は,ISO 9241-171:2008では,“Shiftキーを連続して5回押下すること”は
固定キーに割り当てられ,“Shiftキーを8秒間押下すること”はバウンスキー及びスロー
キーに割り当てられている。
注記3 e) において,Helpキーは,全てのキーボードで装備されているとは限らない。Helpキー
がない場合は,代行キー(F1キー又はInsertキー)をHelpキーとして使用してもよい。
5.1.3.3 音声操作
次に掲げる事項は,アクセシビリティ設定モードへアクセスするための音声操作の推奨事項である。
“ヘルプ”と発話することによって,アクセシビリティ設定モードが開かれることが望ましい。
注記 “ヘルプ”という発話の言葉は,各国の自然言語に置き換えてよい。音声命令は,利用者が“コ

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ンピュータ···”のようなキーワードから始めることによって,開始される。
5.1.3.4 ポインティングデバイス操作
次に掲げる事項は,アクセシビリティ設定モードへアクセスするためのポインティングデバイス操作の
推奨事項である。
ポインティングデバイスが副ボタンをもっている場合,副ボタンを操作しメニューから“ヘルプ”を選
択することによって,アクセシビリティ設定モードが開かれることが望ましい。
注記 副ボタンとは,マウスの右ボタンのようなものである。

5.2 アクセシビリティ設定の項目

5.2.1 固定キー

  コンピュータが固定キーを実装している場合,次に掲げる要求事項及び推奨事項を適用する。
a) 固定キーの省略時設定は,無効でなければならない。
b) コンピュータは,利用者が,システム設定から固定キーを有効又は無効にできるようにしなければな
らない。
注記1 4.10の注記2参照。
c) hiftキーを連続して5回押下することで,利用者が固定キーの有効又は無効を切り替えられるように
しなければならない。“連続して”とは,別のキー押下及びマウスクリックを含まないことを指す。こ
の機能の有効又は無効を切り替える前に,コンピュータは利用者に確認を求めることが望ましい。そ
のときの対話ウィンドウは,アクセシビリティ設定モードを開く選択肢も提供しなければならない。
d) (前項の確認機能を提供する場合)Shiftキーを連続して5回押下した後に現れる確認対話ウィンドウ
が現れないように(又は再び現れるように)利用者が設定できるものでなければならない。確認対話
ウィンドウは,省略時は有効であることが望ましい。無効化された場合,固定キーはShiftキーを連続
して5回押下した後,対話ウィンドウが開かれることなしに有効又は無効に切り替わる。
e) 利用者は,固定キーの有効又は無効を切り替えるためのキーボードショートカット(Shiftキーを連続
して5回押下すること)を無効化(及び再有効化)できなければならない。省略時は有効であること
が望ましい。
f) “固定キー オン”と発話することによって,利用者が固定キーを有効にできるようにすることが望
ましい。“固定キー オフ”と発話することによって,利用者が固定キーを無効にできるようにするこ
とが望ましい。
注記2 発話の言葉は,各国の自然言語に置き換えてよい。音声命令は,利用者が“コンピュータ
···”のようなキーワードから始めることによって,開始される。
g) コンピュータは,固定キーが有効又は無効となった場合に,視覚へのフィードバックを提供すること
が望ましい。視覚へのフィードバックが可能な場合は,利用者は,視覚へのフィードバックを無効化
(及び再有効化)できなければならない。省略時は有効であることが望ましい。
注記3 視覚へのフィードバックは,固定キーが有効であるときに,状態指標を表示することを含
む。
h) コンピュータは,キーボードショートカットによって固定キーが有効又は無効となった場合に,聴覚
へのフィードバックを提供することが望ましい。聴覚へのフィードバックが可能な場合は,利用者は,
聴覚へのフィードバックを無効化(及び再有効化)できなければならない。省略時は有効であること
が望ましい。
注記4 聴覚へのフィードバックとしては,ビープ音,クリック音などが利用される。

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JIS X 8341-7:2011の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO/IEC 24786:2009(IDT)

JIS X 8341-7:2011の国際規格 ICS 分類一覧

JIS X 8341-7:2011の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称