JIS Z 3140:2017 スポット溶接部の検査方法及び判定基準 | ページ 2

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6.1.2 溶接設備
試験片を作製するための電源設備,溶接機などの溶接設備は,実際の作業に使用するもの又は同等のも
のでなければならない。
6.1.3 電極
試験片を作製するための電極は,実際の作業で使用するものと同等のものでなければならない。

6.2 試験片の作製

6.2.1  第1種試験用試験片
6.2.1.1 引張せん断試験片
引張せん断試験片は,単点溶接継手試験片又は多点溶接継手試験材から切り出して,JIS Z 3136によっ
て作製する。
6.2.1.2 十字引張試験片
十字引張試験片は,JIS Z 3137の4.1(試験片の形状及び寸法)及び4.2(試験片の作製)によって作製
する。
6.2.1.3 断面試験片及び硬さ試験片
断面試験片及び硬さ試験片は,JIS Z 3139の箇条5(試験片)によって作製する。ただし,溶接試験片
の作製の際に電極先端面の性状を安定化させてから試験する場合は,JIS Z 3139の5.2(試験片作製のため
の溶接電極管理上の注意)による。
6.2.2 第2種試験用試験片
試験片は,溶接施工要領書に決められた手順で,製品又は製品と同等のものから切り出して作製する。
ただし,試験片を切り出さないで製品そのものを直接試験してもよい。
6.2.3 試験片の数
各試験に使用する試験片の数は,箇条5で規定する溶接施工要領書による。ただし,合否判定するため
には,第1種試験では,硬さ試験の試験片の数は1個以上とし,その他の各試験に対して試験片の数は少
なくとも2個以上,5個までとする。試験片の数の例を表4に示す。各測定値の標準偏差を算出するため
には,各測定における試験片の数は11個とする。
表4−試験片の数の例(試験片数を5とした場合)
等級 試験の項目
外観試験 くぼみ深さ試験 断面試験又は現場試験 硬さ試験 引張せん断試験 十字引張試験
A級 5 − 5 1 5 5
B級 5 − 3 1 5 5
C級 − − 1 − − −
AF級 5 5 5 1 5 5
BF級 5 5 3 1 5 5
CF級 5 5 1 − − −

7 試験方法

7.1 外観試験

  外観試験は,溶接部表面の割れ及びピットの有無について,目視で調べる。必要に応じて,35倍程度
の低倍率のルーペなどの補助器具を利用してもよい。

7.2 くぼみ深さ試験

  溶接部表面の平面性を調べるくぼみ深さ試験は,JIS Z 3139の6.1.4[くぼみ(インデンテーション)の

――――― [JIS Z 3140 pdf 6] ―――――

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測定方法)]又は溶接施工要領書に規定する方法による。

7.3 断面試験

  断面試験によるナゲット径及びナゲットの溶込み率の測定は,JIS Z 3139の6.1(断面マクロ試験)によ
る。
観察すべき領域は,斜線部とする。
図1−断面試験で割れ及びブローホールを観察する領域(斜線で表示)
ナゲット断面に存在する割れ及びブローホールは,断面を研磨した後,腐食を行う前に観察する。この
腐食前の断面で割れ及びブローホールが観察された場合は,腐食してその形成位置を同定する。図1に斜
線で表す,ナゲット端から測ってナゲット径の15 %の値を減じた位置から熱影響部の外側近傍にかけた領
域に割れ及びブローホールが存在する場合は,その長さを記録する。複数個存在する場合は,その個数及
び長さの合計を記録する。

7.4 現場試験

  現場試験は,JIS Z 3144の箇条6(試験方法)によって,たがね試験,ピール試験又はねじり試験のい
ずれかを行い,JIS Z 3144の箇条7(破断形態の分類及び溶接径の測定)によって破面形態を分類し,破
断部の溶接径及びプラグ径を測定する。

7.5 硬さ試験

  硬さ試験は,JIS Z 3139の6.2(断面硬さ試験)によって行い,溶接部断面での硬さ分布を測定する。

7.6 引張せん断試験

  引張せん断試験は,JIS Z 3136によって行い,引張せん断強さを測定する。

7.7 十字引張試験

  十字引張試験は,JIS Z 3137によって行い,十字引張強さを測定する。

8 合否判定基準

8.1 溶接部の外観

  外観試験では,溶接部表面に現れている割れの有無を確認し,溶接部表面の周辺に割れがあってはなら
ない。
なお,ピットに関しては,受渡当事者間の協議による。

8.2 くぼみ深さ

  くぼみ深さ試験は,板の表面の指定された側で行い,AF,BF及びCFの各級だけに適用する。くぼみ深

――――― [JIS Z 3140 pdf 7] ―――――

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さの測定値は,測定された板厚の10 %又は0.15 mmのうち,いずれか大きい方の値を超えてはならない。

8.3 ナゲット径又は溶接径

  第1種試験で求めたナゲット径の最小値及び平均値は,全ての値が表5又は表6の値以上でなければな
らない。第2種試験で求めたナゲット径の最小値は,表5又は表6の値以上でなければならない。
板厚が異なる場合又は3枚以上の板を重ね合わせた場合のナゲット径は,力を受ける板のうち最も薄い
板の板厚に準拠する。また,表5及び表6で,試験片の板厚が板厚の中間にある場合には,試験片よりも
薄い板厚に準拠する。
なお,断面試験の代わりに現場試験などを用いる場合には,ナゲット径を溶接径と読み替える。

8.4 ナゲットの溶込み率

  溶込み率は,対象となる板厚の10 %以上で,表面までは溶けてはならない。

8.5 溶接部断面に認められる割れ及びブローホール

  割れ及びブローホールの長さ,又はその長さの合計(それらが複数個ある場合)は,溶接施工要領書の
値を超えてはならない。
表5−ナゲット径又は溶接径(鋼)
単位 mm
板厚 A級,AF級 B級,BF級 C級,CF級
最小値 平均値 最小値 平均値 最小値 平均値
0.4 2.7 3.2 2.2 2.5 1.9 2.2
0.5 3.0 3.5 2.4 2.8 2.1 2.5
0.6 3.3 3.9 2.6 3.1 2.3 2.7
0.7 3.6 4.2 2.8 3.3 2.5 2.9
0.8 3.8 4.5 3.0 3.6 2.7 3.1
0.9 4.0 4.7 3.2 3.8 2.8 3.3
1.0 4.3 5.0 3.4 4.0 3.0 3.5
1.2 4.7 5.5 3.7 4.4 3.3 3.8
1.4 5.0 5.9 4.0 4.7 3.5 4.1
1.5 5.2 6.1 4.1 4.9 3.6 4.3
1.6 5.4 6.3 4.3 5.1 3.8 4.4
1.8 5.7 6.7 4.6 5.4 4.0 4.7
2.0 6.0 7.1 4.8 5.7 4.2 5.0
2.3 6.4 7.6 5.2 6.1 4.5 5.3
2.5 6.7 7.9 5.4 6.3 4.7 5.5
2.6 6.9 8.1 5.5 6.5 4.8 5.6
2.8 7.1 8.4 5.7 6.7 5.0 5.9
3.0 7.4 8.7 5.9 6.9 5.2 6.1
3.2 7.6 8.9 6.1 7.2 5.3 6.3
3.6 8.1 9.5 6.5 7.6 5.6 6.6
3.8 8.3 9.7 6.6 7.8 5.8 6.8
4.0 8.5 10.0 6.8 8.0 6.0 7.0
4.5 9.0 10.6 7.2 8.5 6.3 7.4
5.0 9.5 11.2 7.6 8.9 6.7 7.8

――――― [JIS Z 3140 pdf 8] ―――――

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表6−ナゲット径又は溶接径(アルミニウム及びアルミニウム合金)
単位 mm
板厚 A級,AF級 B級,BF級 C級,CF級
最小値 平均値 最小値 平均値 最小値 平均値
0.4 2.5 3.2 2.0 2.5 1.8 2.2
0.5 2.8 3.5 2.2 2.8 2.0 2.5
0.6 3.1 3.9 2.5 3.1 2.2 2.7
0.7 3.3 4.2 2.6 3.3 2.3 2.9
0.8 3.6 4.5 2.9 3.6 2.4 3.1
0.9 3.8 4.7 3.0 3.8 2.7 3.3
1.0 4.0 5.0 3.2 4.0 2.8 3.5
1.2 4.4 5.5 3.5 4.4 3.1 3.8
1.4 4.7 5.9 3.8 4.7 3.3 4.1
1.5 4.9 6.1 3.9 4.9 3.4 4.3
1.6 5.1 6.3 4.1 5.1 3.5 4.4
1.8 5.4 6.7 4.3 5.4 3.8 4.7
2.0 5.7 7.1 4.6 5.7 4.0 5.0
2.3 6.1 7.6 4.9 6.1 4.2 5.3
2.5 6.3 7.9 5.0 6.3 4.4 5.5
2.6 6.4 8.1 5.2 6.5 4.5 5.6
2.8 6.7 8.4 5.4 6.7 4.7 5.9
3.0 6.9 8.7 5.5 6.9 4.8 6.1
3.2 7.2 8.9 5.8 7.2 5.0 6.3
3.6 7.6 9.5 6.1 7.6 5.3 6.6
3.8 7.8 9.7 6.2 7.8 5.5 6.8
4.0 8.0 10.0 6.4 8.0 5.6 7.0
4.5 8.5 10.6 6.8 8.5 5.9 7.4
5.0 9.0 11.2 7.1 8.9 6.3 7.8

8.6 溶接部の硬さ

  溶接部の測定で求めた硬さの値は,溶接施工要領書に記載された要求値範囲を超えてはならない。ただ
し,要求値範囲を超えた場合には,溶接条件(特に,後熱処理条件など)を変更した試験片を作製し,再
試験する。再試験の内容については,受渡当事者間の協定による。

8.7 引張せん断強さ

  引張せん断強さの最小値及び平均値は,表7及び表8の値以上でなければならない。
板厚が異なる場合又は3枚以上の板を重ね合わせた場合には,力を受ける板のうち薄い方の板厚の値を
採用する。表7及び表8で試験片の板厚が各表に示す板厚の中間にある場合には,試験片よりも薄い板厚
の値を採用する。
板厚と材質とが同時に異なる組合せの場合は,(板厚×母材の引張強さ)の値の小さな側の板厚の値を採
用する。

――――― [JIS Z 3140 pdf 9] ―――――

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表7−引張せん断強さ(鋼)
(表中の数値は,母材引張強さが270370 N/mm2の場合で表示)
単位 kN
板厚 A級,AF級 B級,BF級
(mm) 最小値 平均値 最小値 平均値
0.4 1.23 1.45 1.07 1.27
0.5 1.65 1.94 1.44 1.69
0.6 2.10 2.47 1.82 2.14
0.7 2.57 3.02 2.23 2.62
0.8 3.08 3.62 2.65 3.12
0.9 3.61 4.25 3.10 3.65
1.0 4.17 4.90 3.57 4.20
1.2 5.34 6.28 4.56 5.36
1.4 6.59 7.76 5.61 6.60
1.5 7.25 8.53 6.16 7.24
1.6 7.92 9.32 6.72 7.91
1.8 9.33 11.0 7.90 9.28
2.0 10.8 12.7 9.11 10.7
2.3 13.1 15.4 11.0 13.0
2.5 14.7 17.3 12.4 14.6
2.6 15.6 18.3 13.1 15.4
2.8 17.3 20.3 14.5 17.0
3.0 19.0 22.4 15.9 18.7
3.2 20.8 24.5 17.4 20.5
3.6 24.6 28.9 20.5 24.2
3.8 26.6 31.2 22.2 26.1
4.0 28.6 33.6 23.8 28.0
4.5 33.8 39.7 28.1 33.0
5.0 39.2 46.1 32.6 38.3
・母材の引張強さσB(の最小値)が370590 N/mm2の鋼板の場合,引張せ
ん断強さ(TSS)は,次の式で計算する。
TSS=(この表の値)×σB / 370.0 (kN)
・母材の引張強さσB(の最小値)が590 N/mm2を超える鋼板の場合,TSS
は,次の式で計算する。
TSS=(この表の値)×(−0.000 001σB2+0.002 3σB+0.60) (kN)
なお,母材の引張強さσBの単位は,N/mm2(材料規格では,通常,MPa
と表示。)とする。

――――― [JIS Z 3140 pdf 10] ―――――

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