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Z 4821-2 : 2002 (ISO 9978 : 1992)
備考 密封線源にできるだけ近接した部分のふき取りを行う場合は,放射線防護に十分注意する必要
がある[附属書A A.3b)参照]。
6. 放射能によらない試験 放射能によらない試験の場合は,容量的な漏出率と放射性物質の漏出との関
係を確立しておくことが望ましいが,放射性物質が多種にわたり,漏出形態も異なるため,実際には困難
である。この規格における容量的な漏出率と放射性物質の漏出との関係は,IAEAのデータに基づいてい
る。これらのデータは,すべて実験的に立証されているわけではないが,容量的な漏出試験は,長年行わ
れてきた方法でもあるし,経験的に有効である。
この試験を行う前に,試験線源をよく洗浄し,乾燥することが望ましい。試験線源の内容物が浸出性又
は気体状のものは,6.1のヘリウム質量分析試験は,有効であるが,6.2の発泡試験及び6.3の水加圧試験
は,適切ではない。6.3の水加圧試験以外の試験では,試験線源の空げき部分の体積は,0.1cm3以上でなけ
ればならない。ただし,空げき部分の体積が0.1cm3以下であっても,試験の有効性が証明できるならばよ
い。 [9]
6.1 ヘリウム質量分析試験
6.1.1 ヘリウム試験 カプセル内部の空げきに,ヘリウム濃度が5%以上になるように,ヘリウムを封入
した試験線源を真空容器に入れ,ヘリウム質量分析器を通して容器内部を真空に引き,ヘリウム漏出率を
評価する。実際の漏出率は,漏出率測定値をカプセル内部の空げき中のヘリウム濃度で除して求める。
6.1.2 ヘリウム加圧試験 試験線源を加圧容器に入れる。加圧容器内の空気をヘリウムで置換する。容器
内部のヘリウムを加圧し,一定時間保った後,大気圧に戻す。試験線源を乾燥窒素の吹き付け又は揮発性
のフルオロカーボン液で洗浄する。試験線源をヘリウム試験用真空容器に移し,6.1.1によってヘリウム漏
出率を測定する。測定したヘリウム漏出率Qを使って,実際の基準ヘリウム漏出率Lを,次式によって求
める。
L2 pt
Q .035 (1)
p20V
ただし,p0=1.013 25×105Pa
備考1. ヘリウムの圧力p (MPa) (0.5MPaから10MPaの範囲内)を時間t (h) にわたって保持する。
加圧終了から測定開始までの時間は,10分以内とし,カプセル内部空げきの容積Vは,0.1cm3
以上とする。上記の範囲で試験パラメータを選べば,試験結果は,次式によって評価できる。
L2 pt
Q .035 (2)
V
ここに, Q : ヘリウム浸出率の指示値( 懿攀 攀 1)
懿攀
L : 基準ヘリウム漏出率( 攀 1)(1懿攀 攀 1と1×10
2 懿攀 攀 1の範囲)
(L≦7.1QV / pt)
2. (2)式は,一つ又は複数の漏出孔を通る分子流に対して成立する。粘性層流での漏出の割合が
高い場合には,実際の基準ヘリウム漏出率に対して過大評価となるが,その要因は,試験結
果にわずかな影響を与えるだけである。
6.1.3 限度値 6.1の漏出試験の結果,基準ヘリウム漏出率が,非浸出性の内容物に対して1 懿攀 攀 1
未満,浸出性又はガス状の内容物に対して10−2 懿攀 攀 1未満ならば,試験線源は,密封性があるものと
みなす。
――――― [JIS Z 4821-2 pdf 6] ―――――
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6.2 発泡試験 発泡現象は,試験線源内の圧力増加によるもので,内部の空げきからガスが漏出して,
水槽中に目に見える泡を形成する。一つの特定の漏れについてみると,発泡率は,表面張力の減少と共に
増加する。
6.2.1 真空発泡試験 真空容器中に漏出試験用液体としてエチレングリコール,イソプロピルアルコール,
鉱物油又はシリコン油,若しくは湿潤剤を含んだ水を入れ,少なくとも1分間減圧して液体中の空気を除
く。圧力を大気圧に戻し,試験線源を液面下少なくとも5cmの深さに浸せきする。容器内部の圧力を15kPa
25kPa絶対圧の間に減圧する。試験線源からの発泡の有無を少なくとも1分間観察する。
6.2.2 高温液体発泡試験 常温の試験線源を363K (90℃) から368K (95℃) の熱水に液面下少なくとも
5cmの深さに浸せきする。熱水の代りに393K (120℃) から423K (150℃) に加熱したグリセリンを用いて
もよい。試験線源からの発泡の有無を1分間以上観察する。線源カプセルの熱容量が大きかったり,熱伝
導性が低い場合には,最低2分間の観察が望ましい。
6.2.3 気体加圧発泡試験 試験線源を,その体積の2倍以上であり,かつ,カプセル内部空げきの5倍以
上の容積をもつ圧力容器内に入れる。ヘリウムガスで,少なくとも1MPaに15分間加圧する。圧力を大気
圧に戻し,試験線源を容器から取り出して,直ちに,エチレングリコール,イソプロピルアルコール,ア
セトン又は湿潤剤を含んだ水に,液面下少なくとも5cmの深さに浸せきする。試験線源からの発泡の有無
を少なくとも1分間観察する。
6.2.4 液体窒素発泡試験 試験線源を液体窒素の中に5分間浸せきした後,試験線源を取り出し,気泡観
察用液体(メタノールなど)の中へ移す。試験線源からの気泡を少なくとも1分間観察する。
6.2.5 限度値 6.2の漏出試験の結果,泡が観察されないなら,試験線源は,1 懿攀 攀 1未満の漏出率
であり,密封性があるものとみなす。ただし,内容物が非浸出性でない場合に限る。
6.3 水加圧試験 試験線源の質量を量る。水圧による加圧試験を行い,試験線源の表面の水分を十分に
ふき取り,再び同じはかりで質量を量り,質量増加分を求める。
質量増加が50 満なら,試験線源は,密封性があるものとみなす。ただし,内容物が非浸出性でな
い場合に限る。
この試験が有効であるためには,カプセル内部空げきの容積が,はかりの感度の少なくとも5倍の質量
の水を入れることができなければならない。
水圧による加圧法は,JIS Z 4821-1に規定する等級3,等級4,等級5及び等級6の圧力試験を行うのに
適用できる。
――――― [JIS Z 4821-2 pdf 7] ―――――
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附属書A(規定) 漏出試験の選択
この附属書は,プロトタイプ線源管理,生産管理及び定期検査において密封線源の漏出試験を実施する
にあたり,密封線源の種類に応じて,最も適切な漏出試験の選択を支援するためのガイドである。
附属書A表1は,最も適切な試験方法と2番目に適切な試験方法を示しているが,すべての種類の密封
線源に対応したものではなく,絶対的なものでもない。
A.1 生産管理に係る漏出試験 密封線源の製造時に行う漏出試験は,附属書A表1に推奨する試験方法か
ら選択することが望ましい。
A.2 プロトタイプ線源管理に係る漏出試験 JIS Z 4821-1に規定する密封線源の等級を決定するために行
う漏出試験は,附属書A表1に推奨する試験方法から選択することが望ましい。
プロトタイプ線源の等級決定に関する漏出試験は,公称放射能を含有したプロトタイプ線源,シミュレ
ーション線源及びダミー線源の漏出試験にも適用できる。ただし,ダミー線源の場合には,放射性物質に
よらない試験だけが適用できる。
A.3 定期検査における漏出試験 使用者が密封線源の密封性を定期的に検査することは,重要なことであ
る。検査の頻度は,密封線源のデザインや使用環境による。
定期検査は,必ずしも生産管理に係る漏出試験と同じである必要はない。密封線源の使用条件とそのワ
ーキングライフの間に起こり得る特定の危険性を考慮に入れることが望ましい。
定期検査の実施にあたっては,次のような事例が想定される。
a) 定期検査を密封線源の使用場所で実施し,密封線源の近傍をふき取ることが実際的な場合には,本体
の5.3のふき取り試験を行う。ふき取り試験に加えて目視検査も可能なら実施することが望ましい。
b) 装置に密封線源が組み込まれていたり,高放射能線源のように密封線源を直接ふき取ることができな
い場合には,密封線源の近傍を検査することでもよい。
警告 ふき取り試験の結果,放射能が検出されれば,たとえそれが0.2kBqの限度値未満であっても,
追加の試験を行うなど,密封線源の漏出から生じたものかどうか確認することが望ましい。こ
の場合の方法の一つに,一定間隔で試験を繰り返す方法がある。
c) ふき取り試験以外の方法が実施可能な場合(例えば,設備のある病院や研究所での実施,又は製造業
者への返却など)には,A.1の密封線源の製造時の試験方法を採用することが望ましい。ふき取り試
験に加えて目視検査も可能なら実施することが望ましい。
警告 定期検査を実施するにあたっては,実施者の外部被ばく線量が線量限度以下であることを確認
することは,重要である。
――――― [JIS Z 4821-2 pdf 8] ―――――
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附属書A表1 推奨する漏出試験方法
密封線源の種類 製造時の試験 等級に係わる試験
試験方法(I) 試験方法(II) 試験方法(I) 試験方法(II)
A 放射性物質が入った密封線源 浸せき試験 ふき取り試験 浸せき試験 ふき取り試験
A1 薄い一重の窓 5.1 5.3 5.1 5.3
(煙感知器用線源など)
A2 低放射能校正用線源
(プラスチックカプセル
の線源など)
A3 ゲージング,ラジオグラフィ 浸せき試験 発泡試験 浸せき試験. 発泡試験
ー及び治療用小線源などの1 5.1 6.2 5.1 6.2
重又は2重カプセルの線源 ヘリウム ヘリウム
(3H,226Raを除く。) 質量分析試験 質量分析試験
6.1 6.1
A4 1重又は2重カプセルの 気体の漏出試験 浸せき試験 気体の漏出試験 浸せき試験
226Ra,その他の気体線源
5.2 5.1 5.2 5.1
A5 2重カプセルの遠隔治療用線 ヘリウム 乾式 浸せき試験 発泡試験
源及び高放射能の照射用線 質量分析試験 ふき取り試験 5.1 6.2
源 6.1 5.3.2 ヘリウム
質量分析試験
6.1
B A3,A4及びA5のシミュレー 浸せき試験 発泡試験
ション線源 5.1 6.2
ヘリウム
質量分析試験
6.1
C ダミー線源 ヘリウム 発泡試験
質量分析試験 6.2
6.1
備考 試験方法(I)は,最も望ましい方法であり,試験方法(II)は,(I)の次に選択することが望ましい方法である。
――――― [JIS Z 4821-2 pdf 9] ―――――
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附属書B(参考) 参考文献
序文 この附属書は,規定の内容を理解するためのものであり,規定の一部ではない。
[1] McMASTERS, R. C., ed., Non-destructive Testing Handbook, Vol.1, Leak Testing, American Society for
Non-destructive Testing/American Society for Metals, 2nd ed., 1982.
[2] American National Standard for Radioactive Materials, Leakage Tests on Packages for Shipment, ANSI
No.14.5-1987.
[3] ASTM E 515-74 (Reapproved 1980), Standard Method of Testing for Leaks Using Bubble Emission Techniques.
[4] ASTM F 98-72 (Reapproved 1977), Standard Recommended Practices for Determining Hermeticity of Electron
Devices by a Bubble Test.
[5] ASTM F 134-78, Standard Recommended Practices for Determining Hermeticity of Electron Devices with a
Helium Mass Spectrometer Leak Detector.
[6] ASTM F 730-81, Standard Test Methods for Hermeticity of Electron Devices by a Weightgain Test.
[7] BIRAM, J., and BURROWS, B., Bubbles tests for gas tightness, Vacuum, 14(7), 1964, pp.221-226.
[8] HOWL, DA., and MANN, CA., The backpressurizing technique for leak-testing, Vacuum, 15(7), 1965,
pp.347-352.
[9] ASTON, D., BODIMEADE, AH., HALL, E. G. and TAYLOR, C. B. G., The specifications and testing of
radioactive sources designated as “special form” under the IAEA transport regulations, Report EUR 8053 EN,
1982.
[10] DWIGHT, D. J., A new method for leak-testing sealed sources of radium-226 and thorium-228, Report RCC-R
176(1964) and Addendum RCC−R 176 (1965).
[11] IAEA Safety Series No.6, Regulations for the safe transport of radioactive materials, Vienna, 1985.
[12] IAEA Safety Series No.37 Advisory material for the application of the IAEA transport regulations, Vienna,
1987.
――――― [JIS Z 4821-2 pdf 10] ―――――
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JIS Z 4821-2:2002の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 9978:1992(IDT)
JIS Z 4821-2:2002の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.240 : 放射線測定
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.280 : 放射線防護
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