10
Z 8131 : 2000
番号 用語 定義 対応英語(参考)
7.5 人体モデル human analogue
(生体力学用語) 人体に関する特定の慣性特性をもち,人体
の動的応答を実現できる代替物又はモデル。 human analogue model
備考1. 人体モデルには,次のようなものがある。
次の用語は使用しない。
a) 主要な解剖学的形態が類似し,機械振動(衝
human surrogate
撃)に対する慣性応答[特にく(躯)体,頭
部,けい(頸)部]が人体のそれをシミュレ
ートし,かつ,経験的に定められる適切な尺
度資料によって,人体の慣性特性と等価と見
なすことができる動物。
b) 例えば,車両の衝突実験で,激しい衝撃運動
(衝突)の間に生じる生体の傷害に対する効
果及び動的メカニズムをシミュレートする
ために使用される人間のし(屍)体。
c) 機械的ダミー(マネキン)
d) 人間の動的応答の数学モデル(コンピュー
タ・シミュレーションを含む)。
2. この用語は,時として人体の寸法及び幾何学的又
は材料科学的な特性に関する物理的な表現にま
で拡張される。しかしながら,生体力学上の目的
に対して,人体モデルによるデータを判断するに
際して,そのモデルが生体の動特性の再現を妨げ
ないように留意しなければならない[人間のし
(屍)体であっても,生体としての弾力性及び他
の慣性特性がある程度損なわれていて,力と運動
に対する生体力学的な応答について誤った結果
を与えることがある]。
3. 国際規格には上記のように,人体モデルの例とし
て動物及びし(屍)体が規定されているが,倫理
上,社会通念上からも,我が国では,これらの使
用は避けるべきであろう。
7.6 衝撃振動 impulsive vibration
(生体力学用語) 急速に繰り返される衝撃的運動によって生
じる“ぎ定常振動”又は継続する過渡振動。
それぞれの衝撃継続時間及び間隔が,減衰過渡振動に対する
応答時間又は受感器の固有周期と比較して短い場合である。
備考1. ここで定義する衝撃性は,物体に高振動数の衝撃
を連続的に与えるように設計された手持ちの往
復動力工具(例えば,チッピングハンマ,コンク
リートブレーカ,リベットハンマ)から発生して
手に伝達される振動に一般的に見られる。
2. 多くの場合,“衝撃振動”と“繰り返し衝撃”と
の区分は不明確であるが,語義的な問題である。
繰り返し衝撃の発生がかなり周期的で,その繰り
返し振動数が人間の受感帯域の比較的高い範囲
にあるときには,特に区別がつけにくい。“繰り
返し衝撃(用語7.13)”は,一般に全身暴露の場
合(例えば,長い悪路を車で走る場合,航空機が
小規模の乱流域に突入する場合など)に適用され
る。一方,用語“衝撃振動”は備考1.に述べたよ
うに,一般に高速の往復動力工具から手に伝達さ
れる振動に対応する。
――――― [JIS Z 8131 pdf 11] ―――――
11
Z 8131 : 2000
番号 用語 定義 対応英語(参考)
7.7 断続暴露 interrupted exposure
ぎ定常的又は連続的振動の暴露(通常,職業的な手腕振動暴
discontinuous exposure
露を含む)の中で,発生と継続の時間過程の間に振動のない
期間がある場合の振動暴露。 反対語 : uninterrupted
(continuous) xposure
備考 反対語は“連続暴露”又は“非中断暴露”である。
7.8 潜在期間 latent interval
危険な作業で発生する振動に対する最初の暴露時期と,それ
latent period
に関連する症状の兆候が認められた時期との間隔(数週間か
ら数年間にわたる場合がある。) latency
7.9 振動(繰り返し衝 long-duration vibration
(生体力学用語) 1時間以上継続し,かつ,人体に影響を与
撃)の長期暴露 える連続的振動(繰り返し衝撃)への暴露。 (repetitive shock)
exposure
7.10 リクライニング reclining
(生体力学用語) 基本姿勢の一つ。いすにもたれてあお向け
に着座した姿勢。この場合,骨盤を基準に規定される人体座
標系(全身)のz軸は鉛直軸又は見かけの鉛直軸に対して15°
75°の間で後方に回転した状態にある。
7.11 横が(臥)位 recumbent
(生体力学用語) 基本姿勢の一つ。この場合,人体座標系(全
が(臥)位 身)のz軸は,身体の任意の向き(あお向き,横向き,うつ
次の用語は使用しない。
伏せ)において,鉛直軸に対して75°90°まで回転した状
態にある。 lying(この語はあいま
備考 おう(横)臥位では,静的には体重の大部分は上半いである。)
身及び四し(肢)を通じて分布するが,負荷される
振動及び衝撃は骨盤又は重心を通して作用すると
考えられる。
7.12 基本姿勢 reference posture
(生体力学用語) 全身振動又は全身衝撃の受感体としての人
体のz軸の方向と姿勢形態とを概念的に規定した基本的姿勢
[例えば,立位,座位,横が(臥)位など]。
7.13 繰り返し衝撃 repetitive shock
(生体力学用語) 人体に影響を与える短時間(1秒以内)の
repeated shock
衝撃運動又は突発的な“ぎ定常振動”の一連の繰り返し(用
語7.6参照)。
備考1. 毎秒1回以上の頻度で規則的に繰り返される衝撃
は多くの場合,生体力学上は連続的振動として解
析される。
2. 衝撃は時間軸に対して対称であっても非対称で
あってもよい。
7.14 補正加速度 weighted acceleration
(生体力学用語) 人体に影響を与える振動又は繰り返し衝撃
補正振動 weighted vibration
の加速度に対して,人間の応答特性を反映させるために,振
補正加速度レベル weighted acceleration level
動周波数又は暴露時間の関数として,計算又は信号調整によ
って補正する一つ又は1組の数値。
次の用語は使用しない。
備考 用語にレベルの文字が含まれるときは,基準レベル
weighted vibration level
を暗黙のうちに考慮していることになる(ISO 1683
参照)。
――――― [JIS Z 8131 pdf 12] ―――――
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Z 8131 : 2000
番号 用語 定義 対応英語(参考)
7.15 (人体に影響する) burst (of mechanical
人体の駆動点において,振動の急激な反転が単独又は連続し
突発的振動 て(しかし,通常,すぐ消滅する)生じる振動。 vibration affecting man)
備考1. 人体に影響を与える典型的な突発的振動は,人体
の共振組織に入力される衝撃に続いて,指数的に
減衰する“ぎ調和振動”(俗に,ringingと呼ばれ
る)が見られるのが普通である。増減する振幅の
包絡線は,半紡すい(錘)形に近い形で先細りと
なる[例えば,重車両の通過によって励振される
橋りょう(梁)の床盤の振動]。独立した乱流域
に突然巻き込まれたときの航空機の振動,船底に
強い波浪衝撃を受けて生じる激しい船体振動(ス
ラミング)など,短時間の不規則振動もこれに含
まれる。
2. 突発的振動は,一般に,短い継続時間で人間に多
様な反応を発生させる。この突発振動が短時間の
連続振動と見なせるほど,十分な持続性をもつか
どうかの判断は,環境の種類及び誘起される人体
の応答に関係する。
7.16 (人体に影響する) intermittent vibration
振動の休止期間又は大きさ及び性質が著しく変化する期間を
間欠振動 隔てて,繰り返し生じる連続的な振動。 affecting man
備考 この用語は,しばしば(必ずしもそうでない場合も
あるが)振動の再発が突然であったり,不規則であ
ったりして,人に驚きや煩わしさを引き起こす場合
を暗に示す。
7.17 振動・音響順応性 vibroacoustic habitability
主として大型車両若しくは建造物に長期間又は日常的に所在
している間に,騒音,振動が複合された不愉快な環境を許容
できるようになる順応性。
備考1. 振動・音響順応性は,主観的な煩わしさ,活動性
又は作業性,作業環境の安全及び健康,更にはそ
れらの組合せから見た判断基準で評価する。
2. 通常,順応の期間は次のように,いろいろな場合
が考えられる(特に職業的な振動・騒音暴露の場
合)。
a) 毎日又は定まった日程の作業において,少な
くとも1日1時間以上継続して振動・騒音に
暴露される期間。
b) 作業の合間に必要な休養又は睡眠をとり,1
日以上継続して振動・騒音環境の中で過ごす
期間(例えば,長期航路,宇宙船,長距離飛
行,海洋構造物に搭乗する期間若しくは公共
施設その他の建物に居住し,日常的に交通機
関,航空機などの騒音又は振動にさらされる
期間)。
これらの期間は,順応の可能性をもつ長期暴露
期間に該当する。
7.18 等価トルク equivalent torque
(生体力学用語) 身体の各部分の間に生ずるトルクで,各部
分の質量分布特性,結合関節の位置及び運動状態が関係する。
7.19 occipital condylar point
後頭か(顆)基準点 頭がい骨の最下部の突起部に接して結んだ直線の中点。
備考 この仮想線の位置は,通常,レントゲン写真から決
定される。
――――― [JIS Z 8131 pdf 13] ―――――
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Z 8131 : 2000
番号 用語 定義 対応英語(参考)
7.20 人体衝撃 (生体力学用語) 人体に加える衝撃又は衝撃的運動。 human impact
impact acceleration
備考1. 衝撃及び衝撃的運動の定義は,JIS B 0153による。
crash (force)
2. 生体力学で用いられる場合,通常,事故又は軍事
活動のように,ただ1回で苦痛,傷害若しくは著
次の用語は使用しない。
しい生理的障害を与えるような人体組織への激
short duration
しい衝撃を意味する。したがって,乗車中又は建
物内で経験する程度の,構造物の運動からの一時 acceleration
的な不快感,煩わしさ,日常の生活若しくは仕事
を阻害する程度の穏やかな衝撃,中程度の衝撃
(bump) の繰り返しとは区別される。更に,悪路
を走行する車両での長期にわたる職業的暴露(例
えば,トラクタ,トラック,自動車運搬車両の運
転手)又は過激な娯楽機具(オフ・ロード車,モ
ーターボート,スノー・モビル)での暴露など,
被害が蓄積するおそれのある機械的外乱を含め,
中程度の厳しさ又は障害も,人体衝撃の定義から
除外される。
――――― [JIS Z 8131 pdf 14] ―――――
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Z 8131 : 2000
附属書1(規定)
ISO 5805にない用語で日本工業規格(日本産業規格)として追加した用語
番号 用語 定義 対応英語(参考)
A.1 補正係数 weighting factor
人体の応答は振動方向,姿勢などで異なる周波数依存性があ
るので,振動の評価に際して,周波数に応じた重み付けを行
う係数。
A.2 基本補正係数 principal weighting factor
座位,立位,横が(臥)位などの基本姿勢において,人体座
標軸又は空間的な軸に関して定められる方向の全身振動に対
する補正係数。例えば,座位の足支持部から伝達される振動,
乗り物酔いに対する上下方向振動などの基本姿勢での補正係
数。
A.3 補助補正係数 additional weighting factor
椅子の背もたれから伝達される振動,人体座標軸周りの回転
振動又は固いベッドに枕なしでぎょうが(仰臥)する場合の
頭部の上下振動など,基本補正係数に含まれない状態に対す
る補正係数。
A.4 補正加速度実効値 weighted root-mean-
周波数に応じて補正された加速度の実効値(2乗和の平均の平
方根,r. m. s)。 square acceleration
並進振動ではm/s2,回転振動ではrad/s2で表示する。
A.5 振動合成値 vibration total value
1方向以上の振動が影響する場合,各軸方向の補正加速度値を
ベクトル的に合成した値。(TR Z 0006の6.2.3又はISO 2631-1
の6.2.3参照)
A.6 全体合成値 overall vibration total value
1方向以上,1点以上の振動が影響する場合,各点又は各方向
の振動合成値の2乗和の平方根で示す。(TR Z 0006の8.2.3
又はISO 2631-1の8.2.3参照)
A.7 暴露量 人体に影響を与える振動の暴露量。 dose
A.8 基本評価法 basic evaluation method
TR Z 0006又はISO 2631-1による基本的振動評価法。補正加
速度実効値で評価する。
これによる評価法では不十分な場合には,移動実効値法,四
乗則暴露量法などの補足的評価法によってよいが,基本評価
法による値を併記する。(TR Z 0006の6.1又はISO 2631-1の
6.1参照)
A.9 移動実効値法 running r. m. s. method
全身振動の評価において,暴露時間中の最大過渡振動値(略
語 : MTVV)を用いることによって,偶発的な衝撃や過渡振
動を考慮に入れた補足評価法。基本評価法では不十分な場合
に,補足的に適用される。(TR Z 0006の6.3.1又はISO 2631-1
の6.3.1参照)
A.10 最大過渡振動値 maximum transient
暴露時間中の最大補正加速度実効値(短い時定数での補正実
略語 : MTVV 効値を求めることで得られる。略語MTVV)。 vibration value
略語 : MTVV
MTVVは,基本評価法では不十分な場合に適用されることの
ある移動実効値法に使われる。
A.11 四乗則暴露量法 fourth power vibration dose
四乗則暴露量値(vibration dose value, 略語 : VDV)による補
足評価法。基本評価法よりピーク値に敏感である。 method
基本評価法では不十分な場合に,補足的に適用する。(TR Z
0006の6.3.2又はISO 2631-1の6.3.2参照)
――――― [JIS Z 8131 pdf 15] ―――――
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JIS Z 8131:2000の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 5805:1997(MOD)
JIS Z 8131:2000の国際規格 ICS 分類一覧
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.160 : 環境に関わる振動及び衝撃
JIS Z 8131:2000の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称