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Z 8514 : 2000 (ISO 9241-4 : 1998)
附属書A(参考) ユーザビリティ試験(代替試験の提案)
この試験方法は,ISO 9241への適合性を試験する代替手段として有効性が検討されている。試験機関は,
この技法による結果を支持する文書,特に統計的手法によるものを示すことが要請されている。
A.1 代替の適合性を決定するための試験方法 ここでは,本体6.の要求事項のすべてを満たしていないキ
ーボードの作業性及び快適性を評価する方法論を示す。主に新しいキーボードの設計者又は製造業者がそ
のユーザビリティを検証し,そのことでキーボードの新しい概念を追求する手助けとなることを目的とし
ている。ここで述べられている試験方法は,特定のキーボードがISO 9241のこの部の性能基準に適合する
ものかを判定する必要がある試験機関及びユーザー組織にとっても有用である。
A.1.1 ユーザビリティについて ユーザビリティは,キーボードのユーザーが有効に効率よく満足をもっ
て使うことができるかの度合と関係があるキーボードの設計における考慮事項である。本体の目的のため
に,有効さ及び効率は作業性の計測(入力対エラーの比率)によって判断し,満足度は快適性の評価によ
って判断する。
A.1.2 試験手順の概要 試験手順は,文章入力及びデータ入力の2種類の作業からなる。キーボードは,
主に使われる用途に応じた作業で試験することが望ましい。両方の試験を行う必要はないが,どちらの用
途でも使う通常のキーボードの場合は,両方の試験を満足しなければならない。
評価対象となるキーボード(以下,“試験キーボード”という。)に加えて,直接的な測定法を使って本
体6. のすべての要件に適合する“基準キーボード”を比較のために使うことが望ましい。
文章及びデータ入力の両者とも試験手順において,打けんされた文字がモニタで表示されるように,キ
ーボード及びモニタを設置・準備する。被験者は作業性の計測が行われている間,指定の文章かデータの
入力作業を実行する。文章又はデータ入力作業の完了後,被験者は快適性の主観評価を行うために準備し
た質問に答える。この基本手順は,試験キーボード及び基準キーボードに対して1回ずつ,計2回実行す
る。
作業性及び快適性の主観評価が,妥当な統計的解析手順を用いて,基準キーボードから得られた結果よ
り,有意に劣っていなければ,試験キーボードはこの規格の性能水準に適合している。
A.1.3 被験者 被験者は,想定したユーザーの母集団を代表していることが望ましい。性別,年齢範囲,
視覚特性(矯正レンズの使用を含む。),利き手といったユーザーの違いを,被験者のサンプルを選ぶ場合
に考慮することが望ましい。さらに,サンプルの打けん熟練度は,意図したユーザーのそれと同等である
ことが望ましい。被験者は,意図した言語のキーボードに通じていることが望ましい。
適切な被験者サンプルサイズを決定するために,関連の強固性の検定 (strength of association test) を行う。
A.1.4 装置 試験システムは,次の機能をもつことが望ましい。
a) モニタ上に打けんされた文字を表示する。
b) 打けんされた情報を連続して表示する(ページ分割をしない)。
c) 押下をとらえ蓄える。
d) タイミングセッション。
e) 押下及び誤りを計測するために,打けんされた情報を印刷するか表示する。
試験のために使うモニタは,JIS Z 8513のすべての要求事項を満足していることが望ましい。できるだ
け同一のモニタを試験及び基準キーボードでの打けん文字の表示に使用することが望ましい。異なるモニ
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Z 8514 : 2000 (ISO 9241-4 : 1998)
タを使用する場合には,両者は同一の表示極性であることが望ましい。フォントの見た目は同等であるこ
とが望ましい。
試験で使うすべてのソフトウェアは,被験者の作業性に干渉しないことが望ましい。例えば,システム
がネットワークに接続している場合,新しいメールの通知は禁止することが望ましい。
A.1.5 試験資料 すべての試験資料は,白色の紙に黒い文章か数字として提示されることが望ましい。試
験資料の書式は,できる限りモニタの能力と同等であることが望ましい。つまり,印刷された文章又はデ
ータは,フォント,文字間隔,ライン幅,禁則処理,その他からみて表示されたものと同等であることが
望ましい。
A.1.5.1 文章入力
A.1.5.1.1 内容 文章は,連続的で完全な文から成り立つことが望ましい。語い(彙)の難しさは被験者の
読取り能力を超えないことが望ましい。目安としては12才向けに書かれた資料を用いることがよい。文章
の内容は不偏(政治的又は宗教的でない)であり,過度に技術的又は科学的でないことが望ましい。文章
は綴り及び文法の誤りがなく,句読点が正しいことが望ましい。文章は対象ユーザー母集団の普通の言語
であることが望ましい。
A.1.5.1.2 書式 試験資料の書式は,1行おきの連続文であることが望ましい。文章はインデント又はイタ
リック,ボールド,下線といった特別な修飾を包含しないことが望ましい。
A.1.5.2 データ入力
A.1.5.2.1 内容 データは,無作為に選ばれた文字又は数字の組合せから成ることが望ましい。
A.1.5.2.2 書式 資料は,ページごとに5個のグループに配置することが望ましい。1グループは,各行が
7個の文字か7個の数字から成る5行で構成することが望ましい。
A.1.6 事前試験 試験の前に,各被験者は打けん又はデータ入力速度を検証するために試験されることが
望ましい。この試験は,基準キーボードを使用して実施することが望ましい。さらに,全被験者が,試験
参加に支障なく,適切に見えることを確認するために視機能検査を行うことが望ましい。
A.1.7 特別訓練 試験キーボードへのなじみ不足があるので,信頼に足りる作業性及び快適性の主観的評
価が得られるまで,被験者は訓練期間の延長を要求できる。各被験者は,打けん速度及び正確さが漸近的
であるか,つまり大幅な改善を示さなくなるまで,試験キーボードで訓練することを許されることが望ま
しい。
A.1.8 試験環境 試験場所は,静かで集中できることが望ましい。理想的には,ユーザビリティ実験室の
ような試験専用場所であることが望ましい。
A.1.8.1 騒音 被験者の着席した位置で測定した周囲の騒音は,55dB (A) 以下であることが望ましい。
A.1.8.2 熱環境 周囲温度は,19℃から26℃が望ましい。相対湿度は40%から60%が望ましい。風速は
0.15m/s未満が望ましい。
A.1.8.3 照明 周囲照明は,(250+250cosA) xの最小であることが望ましい。ここで,Aは水平面とディス
プレイの中央での垂直面との交点によって作られた角度である。ディスプレイの文字又は背景の輝度(ど
ちらか高い方)は,最低でも35cd/m2で,少なくともコントラスト3 : 1を確保することが望ましい。照明
機器又は窓からの光によるディスプレイ上のグレアは,最小限にすることが望ましい。表面反射率の推奨
値を表A.1に示す。
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Z 8514 : 2000 (ISO 9241-4 : 1998)
表A.1 表面反射率
表面 反射率
天井 0.60.8
壁 0.30.5
床 0.20.3
備品 0.20.5
被験者は,試験に先立ち少なくとも15分間試験環境(又は等価な環境)で順応することが望ましい。
A.1.9 試験作業場 作業場は,次の事項を含みISO 9241-5の要求事項を満足することが望ましい。
a) 座面の高さを調節できて基礎が安定した脚
b) 高さを調節できる机
c) 被験者の水平視線から下側20°と45°の間に入力行がくるように調節することができるモニタ
d) 書類ホルダ
e) 足置台
試験キーボードが特別な備品を必要とするならば,その備品を使用することが望ましい。
A.1.10 試験手順
A.1.10.1 提示の順序 各被験者は各キーボードを,試験キーボードを1回及び基準キーボードを1回使用
して試験することが望ましい。キーボードは,匿名でラベルを付けることが望ましい(例えば,“A”及び
“B”)。呈示の順序は順序効果を除去するようにバランスをとることが望ましい。
A.1.10.2 セッションの長さ 各キーボードを打けんする試験は,5分間の休憩をはさんだ20分のセッシ
ョンを6回繰り返す構成とする。最初の2セッションは練習セッションである。
A.1.10.3 試験資料 被験者が試験全体を通して文章又はデータの反復入力をしないように,十分な試験資
料を準備することが望ましい。
A.1.10.4 指示 標準化した指示事項を,試験を始める前に各被験者に伝えることが望ましい。できる限り
素早く正確に作業し,誤りは訂正しないようにしておくことを,被験者に伝えることが望ましい。
A.1.10.5 機密性 個人の能力の機密性は,保証されていることが望ましい。個々の被験者を特定できるよ
うな作業性の得点結果は,試験機関によって公開されるのは望ましくない。人を対象とした実験の倫理行
為を定めた規則に従うことが望ましい。
A.1.11 キーボードの作業性及び快適性の評価
A.1.11.1 作業性の測度 セッション3,4,5及び6から得られたデータを使用して,次の計測を分析する
ことが望ましい。
a) 打けん速度 各20分のセッション中の1分当たりに打けんされた単語又は文字の総数。文章の入力で
は,単語総計は打けんされた文字数を数え,5で除すことによって求める。単語毎分は単語総計を20
で除すことによって求める。データ入力では,文字毎分は文字数を20で除すことによって求める。
b) 誤り率 文章入力では,(絶対的)エラーの数を数えることによって一つ以上のエラーを含む単語の数
を計算する。文章及びデータの入力では,欠落,挿入,及び誤字(間違った文字)といった誤りを含
むことが望ましい。
これらの計測は各々適切な手法を使って統計的に解析されることが望ましい。すべての統計的手法は,
危険率0.05又はこれよりも小さい危険率(例えば,0.01)を使うことが望ましい。
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A.1.11.2 快適性の主観評価 各キーボードでの最後のセッション終了後すぐに,被験者はそのキーボード
に対しての快適性の主観評価を行うために準備した質問紙に答えることが望ましい。この附属書で準備し
た質問紙を使うことが望ましい。
質問紙の回答は,適切な“検定手順”を使用して解析することが望ましい。すべての統計的手法は,危
険率0.05又はこれよりも小さい危険率(例えば,0.01)を使うことが望ましい。
A.2 快適性評価質問紙 次の各評価項目について,今使ったキーボードの特性についてあなたの印象を最
もよく表す番号に○を付けて下さい。
1. キーを押すために要した力
1 2 3 4 5 6 7
不適切(重すぎ,又は軽すぎ) 適切
2. リズム感
1 2 3 4 5 6 7
悪い 良い
3. 手や手首の疲れ
1 2 3 4 5 6 7
非常に大きい 非常に小さい
4. 腕の疲れ
1 2 3 4 5 6 7
非常に大きい 非常に小さい
5. 肩の疲れ
1 2 3 4 5 6 7
非常に大きい 非常に小さい
6. 打けん中の姿勢
1 2 3 4 5 6 7
非常に不快 非常に快適
7. 総合
1 2 3 4 5 6 7
非常に使いにくい 非常に使いやすい
操作者のコメント
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Z 8514 : 2000 (ISO 9241-4 : 1998)
A.3 データ入力用の試験資料の例(英語)
文字データ 数字データ
SOENFIL 2017947
OAPICAI 9329450
TOZNBHT 1623337
MTODSRI 1361489
EIFRESG 2756490
TESBLTO 4905087
KYORSWT 2586728
RSWETOE 0104652
FRBGECE 7498501
OSQETYH 2756490
USIPROZ 7925381
TSNKLXE 0891273
TYAPAUR 4209317
DTIAOMI 1876504
ECVRNBT 7580893
GHWQANT 2735018
DSGBEFR 5873642
BHIFRWN 6098971
CSAULUS 1240354
ADHTCNI 4769016
LEURMNM 5187638
TICNOWL 1754520
XBIAJDM 9357216
HSNCIEV 6489571
POASCRT 2758096
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JIS Z 8514:2000の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 9241-4:1998(IDT)
JIS Z 8514:2000の国際規格 ICS 分類一覧
- 35 : 情報技術.事務機械 > 35.180 : IT端末設備及びその他の周辺設備
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.180 : 人間工学
JIS Z 8514:2000の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ8513:1994
- 人間工学―視覚表示装置を用いるオフィス作業―視覚表示装置の要求事項