6
Z 8751-1994
(3) 測定誤差の小さい真空計を作ることができるので,表1に示すような低い圧力の測定が可能である。
この圧力範囲では,絶対圧力計として信頼度が高い。
(4) 圧縮操作機構が複雑であり,多量の水銀を必要とし,堅ろうに作ることが比較的困難であるので,取
扱いには慎重を要する。
図5 直立形マクラウド真空計
5. 使用液体の種類と特徴 使用液体の種類には,水銀と油がある。その特徴を表2に示す。
表2 使用液体の種類と特徴
種類 特徴
利点 欠点
水銀 1. 1.
気体を吸収,放出する度合いが少なく,正確 蒸気圧が高い。
な判定ができる。 2. 金属によっては,容易にアマルガムを作る。
2. 気体を圧縮することが容易である。 3. 空気中に放置すると,表面酸化が起こりやす
3. ガラスをぬらさないので,メニスカス頂の読 い。
みとりが容易である。 4. 毛管壁及び水銀の汚れのために,誤差を生じ
4. 密度が大きいため液柱差が小さく表されるの やすい。
で測定範囲が広くとれる。 5. 毒性がある。
5. 精製しやすい。
油 1. 1.
密度が小さいため,液柱差が大きく表される。 気体を吸収,放出しやすく,使用の際ガス出
2. 蒸気圧の低いものが得られる。 しをする必要がある。
3. 一般に毒性がなく,取り扱いやすい。 2. ガラスをぬらすので,液柱差が定常に達する
4. 比較的安価である。 のに時間を要し,誤差を生じやすい。
3. 温度による密度の変化が大きい。
――――― [JIS Z 8751 pdf 6] ―――――
7
Z 8751-1994
(1) 水銀 使用液体としての水銀は,JIS K 8572に規定した特級以上の純度のものを,真空計の精度に応
じて表3に示す方法で処理をして用いる。
表3 水銀
種類 精製方法
マノメータ用 水銀をこし分け,洗浄を行い,ガ
ス出ししたもの。
マクラウド真空計用 水銀をこし分け,洗浄し,真空蒸
留を繰り返したもの。
(2) 油 使用液体としての油は,次の各項目を考慮して選定する。
(a) 測定時の蒸気圧が低いこと。一般には,0.13Pa [{1×10−3Torr}] 以下の蒸気圧の油を使ってよいが,
高真空に接続される真空計に使用するときは,0.13mPa [{1×10−6Torr}] 以下の蒸気圧の油を用いる。
(b) 密度が正確に測定されていること。
(c) 動粘度が小さいこと。測定時の温度で,動粘度が30mm2/s [{30cSt}] 以下の油が好ましい。
(d) 真空中で加熱されても,分解,酸化しにくいこと。
(e) グリースを溶解しにくいこと。
6. 真空度測定方法
6.1 真空度の測定は,すべて真空計を接続した位置の圧力を測定しているのであるから,系内に流れが
あったり,ガスの源があるときは,測定位置の選定に注意し,また,測定結果の検討を適当に行わなけれ
ばならない。
6.2 真空計の接続 真空計の接続に当たっては,静圧が正しく測れるように,次の事項に注意しなけれ
ばならない。
(1) 導管は,図6のように測定位置の側壁から,容器又は管の中心に向かって中心軸に直角に差し込み,
導管の開口面は,管軸に直角であること。
――――― [JIS Z 8751 pdf 7] ―――――
8
Z 8751-1994
図6 真空計の接続
(2) 気体の流量が多く,粘性流と考えられるときは,特に導管は,真空系内に突き出ないように接続する。
気体の流れが分子流と考えられるときは,導管は真空系内に適当に突き出るようにしたほうがよい。
真空計の導管の開口面が気体の流れに対向しているときは,動圧の影響が現れるので注意を要する。
(3) 液柱が鉛直になるように接続する。
(4) 高真空を測定するときには,途中にゴム管,グリースなどのガス放出の多い材料を用いてはならない。
(5) 真空系を真空計使用液体の蒸気の汚染から保護し,又は真空計を真空系の蒸気から保護するためには
蒸気を凝縮又は吸収するトラップを使用する。
冷却トラップにおいて,測定圧力がほぼ13Pa [{0.1Torr}] より低いときは,図7(1)のような冷却部に
入る管が出入口とも同寸法で対称な形のものを用いる。図7(2)は,2個のトラップを組み合わせて対
称としたもので,片方だけを用いると誤差を生じる。
図7 トラップ
6.3 測定手順 真空度の測定は,次の手順に従う。
(1) 4.によって,適当な真空計を選定する。
――――― [JIS Z 8751 pdf 8] ―――――
9
Z 8751-1994
(2) 必要な場合には,使用前に真空計を7.によって検査する。
(3) 真空計を6.2によって真空系に接続する。
(4) 測定のときに,真空計に局部的な温度差がなく,かつ,周囲温度が急激に変化しないようにする。
(5) 真空計に指定された使用方法に基づき,液柱差を読みとる。
(6) 8.に示す事項を考慮して,誤差の補正を行う。
(7) 長時間にわたって使用する真空計は,7.に示す方法によって,適時,検査を行わなければならない。
6.4 目盛の読みとり 真空計を正規の位置に置いて,目盛板に垂直な方向から見て読みとる。
なお,目盛線の幅が影響するような精度で測定を行うときは,図8に示すように,水銀のときは目盛線
の上縁からの距離,油のときは目盛線の下縁からの距離lを目分量で読みとる。カセトメータなどで読み
とるときも同様である。水銀を使用するときは,管を軽くたたいて,メニスカスの形を整えることが必要
である。
図8 目盛線の読みとり方
6.5 マノメータによる測定 マノメータによる測定は,次によって行う。
(1) 液面が正常になってから,6.4によって読みとる。
(2) 目盛板が真空度で目盛ってないときは,液柱差h (mm) を読みとり,表4に示した式によって真空度P
(Pa) [{Torr}] を算出する。
表4 マノメータによる真空度の算式
種類 式 備考
P0 : 大気圧 (Pa) [{Torr}]
開管水銀マノメータ P=P0−133.322h
水銀の密度 (g/cm3)
2
h
P=P0−133.322 油の密度 (g/cm3)
開管油マノメータ
1
閉管水銀マノメータ P=133.322h
2
閉管油マノメータ h
P=133 .322
1
(3) 精度の良い測定を行うときは,温度補正が必要である。
また,開管式のときは,大気圧の測定が必要である。
(4) 使用液体と化学反応したり,著しく溶解するような気体及び蒸気の圧力は,測定が困難である。
――――― [JIS Z 8751 pdf 9] ―――――
10
Z 8751-1994
(5) 管の内面や使用液体が汚れたときは,管は洗い,使用液体は取り替える。
6.6 マクラウド真空計による測定 マクラウド真空計による測定は,次によって行う。
(1) 零点の定め方 この真空計の零点は,次のように定める。
(a) 図9に示すように,適当に定めた標線と,封管水銀メニスカス頂との距離xと水銀液柱差hとの関
係を,ある一定の圧力において図10のようなx対h1座標に直線として求める。圧力を変えて,5本
以上の直線を求め,x軸との交点の平均の値を零点と定める。
測定点が直線上によくのらなくなったときは,毛管又は水銀が汚れてきたのであるから洗う必要
がある。
(b) 一般のマクラウド真空計において,封管の内面頂が半球又は平面に近いとき,零点は内面頂と一致
するとみなしてよい。
図9
――――― [JIS Z 8751 pdf 10] ―――――
次のページ PDF 11
JIS Z 8751:1994の国際規格 ICS 分類一覧
- 23 : 一般的に利用される流体システム及びその構成要素 > 23.160 : 真空技術