JIS Z 8751:1994 液柱差を使う真空計による真空度測定方法 | ページ 3

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図10 零点の定め方
(2) 測定方法
(a) 圧縮操作機構によって水銀をあげて圧縮操作を行い,側管のメニスカス頂を零点に一致させたとき
の封管のメニスカス頂の読みを読みとる。目盛板が直読目盛でないときは,次の式によって真空度
を算出する(図5参照)。
ah2
P=133.322 (1)
V−ah
ここに, P : 真空度 (Pa) [{Torr}]
V : 圧縮球部容積(封管容積も含む。) (mm3)
a : 封管断面積 (mm2)
h : 水銀液柱差 (mm)
Vのときは,次の式を用いて算出してもよい。
ah<100
ah2
P=133.322 (2)
V
(b) 水銀をあげて圧縮操作を行い,側管の水銀を任意の位置まであげたときの液柱差hを測定したとき
は,次の式によって真空度を算出する。
ah x−x0
P=133.322 (3)
V−a x−x0
V
のときは,次の式を用いて算出してもよい。
a x−x0 <

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a x−x0
P=133.322 (4)
V
ここに, x : 標線と封管メニスカス頂間の距離 (mm)
x0 : 標線と零点との距離 (mm)
(c) 封管の適当な位置(なるべく下端に近いところ)にあらかじめ標線を設け,それに水銀メニスカス
を合わせるときは,式(4)において x0
a x−が一定となるから,封管と側管との液柱差hはPに比例す
V
る。
7. 真空計の検査方法 真空計は,管の汚れや使用液体の汚れのために,示度にくるいを生じる。このく
るいを使用履歴から予測することは困難であるから,しばしば検査を行うことが望ましい。
(1) 外観検査 真空計は,製造の状況によって示度に100%以上の誤差を含むことがあるから,検査には
十分な注意を要する。
(a) 測定部のガラス管に,測定に支障を来すような有害なあわ,節,きずなどの欠点がなく,まっすぐ
であること。
(b) 測定部のガラス管が真空計の基盤に対して,垂直に取り付けられていること。
(c) 測定部のガラス管と目盛板とが密接し,目盛線がガラス管と直角であること。
(d) 直線目盛は,小さくとも1mmを単位として目盛られ,その精度は,長さ100mm当たり±0.1mmで
あること。
(e) ガラスや使用液体が汚れていないこと。
(2) マノメータの検査方法
(a) 開管マノメータは,両管を大気に開口したとき,液柱差を無視できるかどうかを検査する。
(b) 閉管マノメータの検査は,測定部のガラス管に汚れがなく,十分に低圧にしたとき,液柱差が無視
できるかどうかを調べる。
(3) マクラウド真空計の検査方法
(a) 一般のマクラウド真空計の検査は,既に検査された同程度以上の測定精度をもったマクラウド真空
計と比較校正して行う。
(b) マクラウド真空計で,更に精度の良い検査を要するときは,校正はJIS Z 8750の2.2(校正の基準
に用いる真空計)に規定する真空計を用い,その校正方法を準用して行う。
8. 誤差と補正
8.1 測定結果は,8.28.4に示す誤差を含んでいる場合があるから,必要な精度に応じて補正する。
8.2 気体の流れによる誤差 6.2によって正しく接続された真空計では,この誤差は現れない。
8.3 温度による誤差
8.3.1 室温による誤差と補正 室温が検査時の温度と異なるときは,使用材料の膨張による幾何学寸法の
変化による誤差と,使用液体の密度の変化による誤差とがある。
これらの誤差は,温度差が40℃でも,ほぼ3%以内であるから,特に精度の良い測定を行う場合のほか
は,補正する必要はない。

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8.3.2 真空計と真空系との温度差による誤差 真空計と真空系との温度が異なる場合は,温度が異なる部
分の管の内径をD (mm) ,真空系の圧力をP (Pa) [{Torr}] とすると,PDの値がほぼ100以下のときに,真
空系と真空計との圧力が異なってくる。PDの値がほぼ0.01以下になると,Pは真空計の圧力Pmに対して
次の式で求められる。
P= T
Pm Tm
ここに, T : 真空系の絶対温度 (K)
Tm : 真空計の絶対温度 (K)
Tとの間をとる
PDの値が上の中間値 (0.01100) にある場合は,P/Pmの値は複雑な関係を示し,1と Tm
ので注意を要する。
8.4 トラップを使用する場合の誤差
8.4.1 冷却トラップの形状による誤差 トラップの冷却部へ出入りする管の径が異なる場合,その内径
(mm) と管内の圧力 (Pa) [{Torr}] の積が0.01100の間にあるときは,細い管につながる室温部の圧力が,
太い管につながる室温部の圧力より高くなる。この誤差の評価は一般には困難であるが,これをなくすた
めには,図7のように対称なトラップを用いればよい。
8.4.2 蒸気がトラップへ流れることによる誤差 蒸気がトラップへ流れることによる誤差は,次のとおり
である。
(1) 真空系と真空計との間にトラップを挿入し,水蒸気,有機物蒸気,水銀蒸気など(以下,蒸気という。)
が真空系からトラップに向かって流れる場合には,次のような誤差を生じる。
内径15mm程度の接続管において,蒸気の分圧が0.013Pa [{1×10−4Torr}] 以上で,非凝縮性気体(以
下,気体という。)の分圧がほぼ13Pa [{1×10−1Torr}] 以下と考えられるときは,気体の分圧の減少と
ともに真空計の測定値Pmと真空系の分圧Pgとの比Pm/Pgは1より次第に大きくなり,気体の分圧が
0.013Pa [{1×10−4Torr}] のけたで飽和値に達する。
また,この飽和値は,蒸気の分圧が高いほど大きく,1.3Pa [{1×10−2Torr}] 程度で2以上となるので
注意を要する。
(2) マクラウド真空計と真空系との間にトラップを挿入する場合は,水銀蒸気がトラップに流れることに
よって上記と同じ効果が逆方向に生じるので注意を要する(JIS Z 8750参照)。
9. 真空計の洗い方
9.1 ガラス部分の洗い方 次の手順に従う。
(1) 油脂分は,適当な溶剤で洗う。水銀及び水銀化合物は希硝酸で十分に洗い,溶かしとる必要のあると
きは,濃硝酸を用いる。
(2) ガラス自身は,重クロム酸−硫酸液(1)に浸す。汚れのひどいときには324時間浸すか,又は熱液に
浸す。
注(1) ここでいう重クロム酸−硫酸液は,重クロム酸カリウムを濃硫酸に飽和量以上に入れて溶かし
たものである。
この液は,未溶分が残り暗かっ色を呈している間は,繰り返して使える。吸湿性が強いから
密栓をして蓄える必要がある。
(3) 水洗後,蒸留水で十分に洗う。清浄になったガラスは水によくぬれ,かつ,放置しても水をはじかな
い。

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(4) 乾燥炉など適当な方法で,清浄な空気中において乾燥する。
9.2 有機材料の洗い方 真空ゴム管,ビニル管などの洗い方は,次の手順に従う。
(1) 真空ゴム管は,内面に付着している離型材などの異物をふきとり,20%か性カリ溶液を用いて,70℃
で1時間洗って表面の硫黄分を除き,蒸留水で十分に洗う。
(2) ビニル管は,石油系の溶剤で汚れをとる。
(3) 清浄な空気中で乾燥する。
基本部会 真空度測定専門委員会 構成表(昭和40年2月1日改正のとき)
氏名 所属
(委員会長) 石 井 博 工業技術院電気試験所
大 山 勲 工業技術院計量研究所
織 田 善次郎 日本電気株式会社
橘 田 英 男 株式会社離合社
小 山 富太郎 株式会社島津製作所
近 藤 弥太郎 株式会社日立製作所中央研究所
城 崎 誠 神港精機株式会社
新 間 啓 三 株式会社徳田製作所
菅 義 夫 上智大学理工学部
千 田 富 孝 工業技術院標準部
富 永 五 郎 東京大学生産技術研究所
中 川 洋 日本酸素株式会社東京製造所
林 主 税 日本真空技術株式会社
藤 永 敦 三菱電機株式会社研究所
宮 坂 三 吉 日商機械株式会社
森 豊 富士電機製造株式会社
(事務局) 吉 枝 正 明 工業技術院標準部運輸航空規格課
畑 外志夫 工業技術院標準部航空運輸規格課
(事務局) 吉 枝 正 明 工業技術院標準部材料規格課(昭和50年11月1日改正のとき)
花 里 健 一 工業技術院標準部材料規格課(昭和50年11月1日改正のとき)
(事務局) 松 本 満 男 工業技術院標準部材料規格課(平成6年3月1日改正のとき)
小 嶋 誠 工業技術院標準部材料規格課(平成6年3月1日改正のとき)

JIS Z 8751:1994の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 8751:1994の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISK8572:1992
水銀(試薬)
JISZ8750:2009
真空計校正方法