JIS Z 8820-2:2004 液相重力沈降法による粒子径分布測定方法―第2部:ピペット法 | ページ 2

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振動を伝えてはならない(7.3参照)。
− 適切な大きさの分散容器
− スパチュラ
− 超音波槽若しくは超音波プローブ,びん振とう機又は高速かくはん機
− 天びん : 感量0.1 mg以上
− 乾燥機 : 懸濁液の蒸発に適する温度範囲,例えば,水に対して378 Kから383 Kに維持できるもの
とする。
− 試料容器 : 容量20 mL以上で,懸濁液の蒸発に適するものとする。広口ひょう量瓶,ビーカー又は
アルミニウムはく製容器。市販のアルミニウムはく製容器は,グリースが塗布されているかも知れ
ないので,使用する前に乾燥器で加熱処理又は脱脂処理することが望ましい。アルミニウムはく製
容器は質量約1 gで,20 gから30 gあるガラス製容器よりも推奨できる。ここでは,質量の差を測
定する必要があるので,アルミニウムはく製容器を使用するほうが精度がよい。試料によっては,
ろ過が必要となる。
− デシケータ : 試料冷却用。分散剤には吸湿性のものもあり,デシケータを用いないで試料を冷却さ
せると,水分を吸着することがある。
− タイマ : 少なくとも3 600 秒で1 秒の分解能をもつものとする。

6. 調製

6.1 試料調製

 代表的な測定用試料は,JIS Z 8816に従って採取する。それを,懸濁用の適度な粘度を
もつ液体中にJIS Z 8824に従って分散させる。体積基準で約0.2 %の濃度になるように試験試料を調製す
る。試料を分散させるために,超音波又はかくはん機を使用し,その条件を記録する。

6.2 沈降管の校正

 ピペットを取り付けた状態で,20 cmの目盛まで蒸留水を満たし,沈降管の体積(V)
を測定する。再度測定し,その値が初めの測定値の0.3 %以内の差であることを確認する。通常,試料10
mLを8回抜き出し,各吸引の後,最終高さhnを決定する。

6.3 ピペットの校正

 ピペットを洗浄して乾燥させる。沈降管に適量の蒸留水を入れる。二方コックを
サンプリング位置にして,水をピペット球目盛線まで吸引する。コックを排出位置に回して,あらかじめ
質量を量ったひょう量容器に水を排出する。ピペット球上端を指で押さえ,ピペット球を手のひらで暖め,
残っている溶液を排出する。最小0.001 gまで容器をひょう量し,ピペットの内部体積Vpを計算する。沈
降管の体積V及びピペットの体積Vpの値は,沈降管及びピペット中の試料濃度を計算するために使用する。
V及びVpを使って計算した濃度は,時間ゼロで吸引した試料の初期濃度と一致する(統計的不確かさ以内
で)ことが望ましい。
参考 表A.1を参照。

6.4 温度

 JIS Z 8820-1に従って,温度を保持する。

6.5 採取時間の計算

 次のストークスの法則を使って,1回目の分取までの採取時間を,次の式によって
計算する。
18 h
t1 2

(pdf 一覧ページ番号 )

                             ( s    l)   x1
ここに,x1は,1回目の分取のストークス径で,ストークス則の適用可能な上限値(JIS Z 8820-1)を超
えてはならない(JIS Z 8820-1参照)。

――――― [JIS Z 8820-2 pdf 6] ―――――

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初期高さhは,20 cmが標準であるが,10 cmから20 cmの範囲で,別の高さを使用してもよい。選んだ
直径から計算した時間ごとに採取するか,又は等間隔から2倍までの時間ごとに採取する。1回目の試料
の吸引は,測定開始後60 秒以上とすることが望ましい。
もし,粒子径分布が,使用している分散液に対して,測定範囲外の粗い方へ広がっているなら,高い粘
度の分散液を使って測定し,二つの分布が十分に重なるまで測定を繰り返す。

7. 手順

7.1 初期試料の準備

 体積基準で約0.2 %の均一濃度の懸濁液で,沈降管を20 cmの基準目盛(約500
mL)まで満たす。100 %値のチェックのために,かくはん直後の懸濁液を10 mLずつ2回吸引し,それ
ぞれ乾燥してひょう量する。測定中,常に同じピペットで体積を測定することが望ましい。これらの試料
は,分散剤の質量損失が乾燥条件に依存するので,測定用試料と同じ条件で同時に乾燥するのがよい。乾
燥質量が,空気から長時間にわたって水分を吸着しているかどうかを決定するために,分散液(20 mL)
を別に採取して乾燥することが望ましい。

7.2 試料の吸引手順

 ピペットへの吸引は,約20秒間とすることが望ましい。吸引予定時間[式(1)によ
る時間]の10秒前に吸引を始め,吸引予定時間後約10秒に終了する。その分取物を,ひょう量済み試料
容器に排出する。次に,分散剤を含まない分散液5 mLから7 mLを,排出管からピペット球へ吸引する。
このとき,吸引は真空吸引とし,口による吸引はしない。
試料容器を取り除き,空気をピペット球へ吸引するために少し減圧する。次に,圧力を加え,試料容器
にその液を洗い流す。これは,表面に付着している粒子を取り除く操作である。ピペットの細管は,懸濁
液に十分に浸した状態にしておく。

7.3 測定手順

 沈降管を恒温槽又は浴槽に移し,平衡温度に達するまでそのままにしておき,この平衡
温度を記録する。平衡温度に達した後,ドームの通気孔を指でふさぎ,1分間連続して反転かくはんし,
内容物を十分に混合する。
7.2に従って,サンプルを2回吸引する。この二つの乾燥したサンプルの質量が,2 %以内で一致しなけ
れば,測定を棄却する。この測定は,懸濁液の初期濃度を決めるために使用する。二つの質量の平均を,
質量100 %とする。混合を繰り返してから,沈降管を鉛直位置におき,同時にタイマーを始動させる。6.5
による時間間隔で分取物を吸引採取する。
ピペットの液中深さは,各分取物が吸引されるにつれて減少する。深さの正確な減少を測定して決め,
次の計算の中でこの減少に対して補正に用いる。例えば,吸引された各分取で,深さが0.40 cm減少する
場合,時間0でピペットの液中高さが19.2 cmであるなら,最初の時間の分取物を吸引した後の高さは18.8
cmで,初めの粒子径の計算に対して使用した平均高さは,19.0 cmである。第2の分取物のための平均高
さは18.6 cmなどとなる。
ある粘性液では,20秒の吸引時間では不十分で,長くする必要がある場合がある。もし,停止コックか
ら気泡が入るなら,グリースを塗ることが望ましい。
粉体の細かさによるが,このサンプリング手順を,2倍の時間ごとに,例えば,2分,4分,8分,16分,
32分,64分,更に必要に応じて128分と繰り返す。測定は,吸引した懸濁液が,相対的に透明になったと
きに終了してもよい。

8. 分取物の定量

 各分取物を正確に定量する。乾燥してひょう量を行う場合には,次の手順を適用する。
乾燥器中で懸濁液に適した温度で,試料容器中の各分取物が乾燥(一定質量を示す。)するまで蒸発させ,

――――― [JIS Z 8820-2 pdf 7] ―――――

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続いてデシケータ中で各容器を冷却させる。
試料容器と乾燥物とを0.1 mgまでひょう量し,各分取物の試料の質量Wn(n=1,2,3・・・)を決定す
る。分散剤の質量を差し引く。これには,分散剤の入った分散液20 mLを乾燥するのが最もよい。粉体又
は分散剤が吸湿性の場合,デシケータから出した後,直ちにひょう量することが必要である。
分散液の除去は,集めた分取物を初めに遠心機に掛け,しっかりと圧密した固体から上澄み液を取り出
すことによって促進させてもよい。その後,上記のように進める。
分取物は,他の適切な方法,例えば,化学的方法又は比色法によって定量してもよい。

9. 再現性及びバリデーション

9.1 再現性

 粒子径分布を決定するために,初めに二つの試験試料を測定しなければならない。その結
果は,同じストークス径に対する質量基準の分率が,2 %以内で一致していれば採用できる。
もし,結果が2 %以内で一致しないならば,測定を繰り返す。

9.2 バリデーション

 測定者の手順及び装置の性能の両方の定期点検は,測定結果の妥当性を確認する
ための基本である。点検の頻度は,各研究室の決定事項である。
バリデーションは,検定用標準物質を使って行うことを推奨する。すべてのバリデーションの記録は,
保存されなければならない。

10. 結果の計算

10.1 粒子径の計算

 時間tn(n=1,2,3・・・)における沈降距離hnに対するストークス径xnを,次の
式によって計算する。
2/1
18 hn
xn (2)
( s l ) gtn

10.2 質量基準積算分率の計算

 分取物の質量Wnから,各時間tnに対する各ストークス径xnより小さい粒
子の積算分率Qnを,次の式によって質量基準で計算する。
W
Qn 100Wn (3)
0

11. 結果の報告

 結果は,通常,ストークス径に対する0.1 %まで計算した質量基準積算分布として表示
する。測定点をプロットする場合は,粒子径を横軸に,質量基準積算分率を縦軸にとる。結果の表現は,
JIS Z 8819-1に従うことが望ましい。
報告には,次の事項を含むことが望ましい。
− 規格番号
− 測定機関
− 測定の日付
− 報告番号
− 測定者名
− 使用機種
− 試料番号

――――― [JIS Z 8820-2 pdf 8] ―――――

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− 試料名,試料の質量及びその密度
− 分散液並びにその温度,密度,粘度及び可能ならばその体積
− 分散剤及びその濃度
− 懸濁液の分散方法及び分散時間
− 沈降管の体積
− ピペットの体積
− 試料濃度
− 測定試料の乾燥方法
− この規格に規定されていないその他の事項

――――― [JIS Z 8820-2 pdf 9] ―――――

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Z 8820-2 : 2004
附属書A(参考) 測定例
測定例
規格番号 JIS Z 8820-2
試験機関名 ABC
測定日 2003年1月5日
報告の固有番号 報告番号 : 123
測定者名 ○○ △△
使用機種 アンドレアゼンピペット
試料番号 QS-1
試料名 石英
試料の密度 2 650 kg・m-3
試料の質量 2 205 g
懸濁する液体名 蒸留水
温度(懸濁サンプル) 293.15 K
分散液密度 999 kg・m-3
分散液粘度 1.005 mPa・s
分散剤及び濃度 0.1 %(体積)Na4P2O7(りん酸ナトリウム)
分散方法及び分散時間 1 min 超音波プローブ
沈降管の体積 455 mL
ピペットの体積 9.88 mL
試料濃度 4.846 g・L-1
測定試料の乾燥方法 乾燥炉,378.15 K
表A.1 測定例(アンドレアゼンピペット)
吸引時間 沈降距離 容器質量 容器+残留残留物質量 粉体質量ストークス径 質量基準ふるい下積算分率
min cm g 物質量 g G %
G
10 mL中の 1.237 9 1.246 7 0.008 4 9.88 mL中のNa4P2O7の平均質量=0.008 3 g
Na4P2O7の質量 1.259 5 1.268 0 0.008 5
0 1.237 9 1.294 4 0.056 5 0.048 0 平均100 %質量=
0 1.185 3 1.241 4 0.056 1 (0.056 3−0.008 3)= 0.004 80 g
1 18.21 1.193 3 1.249 7 0.056 4 0.048 1 58.22 100.0
2 17.61 1.212 0 1.268 2 0.056 2 0.047 9 40.49 99.8
4 17.01 1.171 6 1.227 7 0.056 1 0.047 8 28.14 99.6
8 16.42 1.188 1 1.240 5 0.052 4 0.044 1 19.55 91.9
16 15.82 1.222 4 1.263 7 0.041 3 0.033 0 13.57 68.7
32 15.22 1.171 5 1.193 7 0.022 2 0.013 9 9.41 28.9
64 14.62 1.220 6 1.234 3 0.013 7 0.005 4 6.52 11.2
128 14.03 1.196 9 1.208 6 0.011 7 0.003 4 4.52 7.0
256 13.43 1.235 0 1.244 4 0.009 4 0.001 1 3.13 2.2
備考 データは,図A.1に示す。

――――― [JIS Z 8820-2 pdf 10] ―――――

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JIS Z 8820-2:2004の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 13317-2:2001(MOD)

JIS Z 8820-2:2004の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 8820-2:2004の関連規格と引用規格一覧