JIS Z 8823-2:2016 液相遠心沈降法による粒子径分布の測定方法―第2部:光透過式遠心沈降法 | ページ 2

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図2−角形セルによる光透過式遠心沈降法のブロックダイアグラムの例
ライン光源及びラインセンサ検出システムで構成される装置を用いて粒子径分布を測定する場合,全沈
降ゾーンにわたり,透過率の沈降方向分布の時間変化が測定される(図3参照)。
1 回転軸
2 照射光
3 試料セル
4 遠心力
5 ロータ
6 透過光
7 ライン検出アレー
8 ある時間における
光量と位置の測定値
図3−ライン光源及びラインセンサによって透過光分布が測定可能なキュペットタイプの
光透過式遠心沈降法の装置の例

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5.3 補助器具

  補助器具は,次のものを用いる。
− 適切な大きさの分散容器
− スパチュラ
− 超音波槽若しくは超音波プローブ又は振とう機若しくは毎分500回転1 000回転のかくはん機

6 サンプリング方法

  サンプリング方法は,JIS Z 8823-1による。

7 調製

7.1 試料調製

  JIS Z 8823-1によって,測定用試料を調製する。必要な量及び濃度は,遠心ディスク(又はセル)の容
量,電子系の感度,光学系の感度,及びラインスタート法(ディスク形だけ)又は一様沈降法によって異
なる。試料濃度は,通常,他の沈降法よりも低い濃度が要求される。通常,体積基準で0.25 %以下である
が,透過光量が,試料がない透明な液だけの場合から20 %30 %程度に減衰するように調製する。

7.2 温度

  透明液(ラインスタート法)又は懸濁液(一様沈降法)の温度は,JIS Z 8823-1に従って,測定前後に
測定し,記録する。透明な液及び懸濁液の粘度及び密度は,測定時の温度で記録しなければならない。温
度は,JIS Z 8823-1に従って維持しなければならない。
注記 装置によっては,上記の温度測定を必要としないものもある。

7.3 分散

  分散方法は,JIS Z 8823-1及び/又はJIS Z 8824による。

8 手順

8.1 ラインスタート法

8.1.1  概要
ラインスタート法では,試料懸濁液の層が透明な液の上に形成される。すなわち,全ての粒子が,同じ
初期半径位置から沈降を開始すると考えられる。しかし,試料懸濁液は,小球となって透明な液に急速に
流れ込む傾向がある。このストリーミング現象は,試料懸濁液の外側への不均一な広がりによるものであ
る。試料懸濁液を注入する際,境界面の表面張力で,粒子が濃縮されることがある。二層法では,低密度
の上に高密度の領域が作られ,その結果,濃縮懸濁液が,全体として透明な液へ移動する傾向がある。こ
のため,通常は広範な試料の種類に対応できる三層法が使用される(8.1.2参照)。三層法は,透明液に粒
子が入るときに受ける衝撃をやわらげ,円滑な粒子の沈降を得るためのものである。
流体力学的に安定な沈降は,一般的には三層法又は緩衝ラインスタート法によって達成できる。
8.1.2 三層法
遠心ディスクに既知量の透明な液(通常,約15 mL)を満たし,所定の回転速度に達するまで待つ。光
源を必要なサンプリング半径位置(M)にセットする。ベースラインが安定したとき,最大の透過光量(I0)
を示す。透明な液より密度が小さい少量の液体を,通常,0.5 mL又は1 mLをディスクに入れる。回転半
径(S)を決める。これは,ディスクの各寸法と投入した液体の総体積とが分かっていれば求められる。必
要量の懸濁液(通常は0.25 mL,濃度は体積基準で1 %)をディスクに入れ,タイマをスタートさせる。

――――― [JIS Z 8823-2 pdf 7] ―――――

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なお,懸濁液の注入に先立って,粒子径既知の標準粒子を用いて校正を行うことも可能である。
三層法で期待される効果は,試料懸濁液の注入によって起こる乱れが,中間層で抑制され,かつ,試料
の混合もよくなることである。例えば,三層の液は,透明な液として体積基準で10 %(体積分率)の水性
グリセロール15 mL,緩衝層として水0.5 mL,その上に試料懸濁液0.25 mLからなる。ストリーミングが
起こる場合には,試料を更に少なくしてもよい。例えば,ストリーミングが収まらない場合には,緩衝液
と試料懸濁液とをそれぞれ0.1 mLとすることによって,ストリーミングを抑制する方法がしばしばとられ
る。
ラインスタート法が正確であるためには,懸濁液の厚さが,回転半径(S)からサンプリング半径(M)
までの距離に比べて薄くなければならない。懸濁液層の厚さは,(M−S)の5 %を超えてはならない。
粒子が外側へ遠心沈降するに従い,光ビームが減衰し,その結果として透過量の変化が記録される。透
明な液が再度透明になり,記録がベースラインに戻るまで測定を続ける。大量の微粒子を含む試料では,
記録がベースラインに戻るまでに,かなり時間がかかる場合がある。このような条件では,便法として,
より早い時期,例えば,信号が最大振れの10 %になった時点で測定を打ち切ってもよい。2回目の測定で
は,測定範囲の微粒子側をカバーするため,1回目よりも速い回転速度で行ってもよい。
8.1.3 緩衝ラインスタート法
三層法の変形である。透明な液の層と懸濁液の層との間に,緩衝層として,懸濁液と同じ液体を薄く挿
入する。緩衝層を入れた後,一時的にディスクを減速し,透明な液の表層で緩衝層と混合されるようにす
る。試料懸濁液を混合層の表面に注入し,ディスクを同期速度に戻す。後は8.1.2と同じ手順で行う。

8.2 一様沈降法

  遠心ディスクに純粋な分散液を満たし,所定の速度で回転させ,I0値を記録する。ディスクを空にする。
ディスクを所定の速度で回転させ,試料懸濁液を注入口から注ぐ(又は,注射器で注入する。)。充が完
了したら,遅滞なくタイマをスタートさせる。
角形セル光透過式遠心沈降法の一例を,図2に示す。遠心モードでは,2個のセルが用いられる。透明
な液を入れた参照セルと懸濁液セルとの信号差を,各回転ごとに記録する。参照セルには,透明な液を満
たし,懸濁液セルには,よく分散した懸濁液を満たす。回転を開始させると同時に,タイマを始動し,デ
ータを記録する。

9 再現性及びバリデーション

9.1 再現性

  同じ実験室の試料から抜き出した代表的な試料について,繰り返し試験をする。結果は,同じストーク
ス径での質量分率が,2 %以上異ならないことが望ましい。

9.2 バリデーション

  バリデーションは,JIS Z 8823-1による。
標準試料の使用には注意する。吸光係数は,粒子径だけでなく試料の物性に依存する。
注記 粒子径分布が既知の球形粒子を用いて,正確さの検証をすることができる。附属書JAに,入
手可能な粒子を示す[2]。
なお,粒子を液中に分散するための前処理方法として,粉体と分散剤とに若干の水分を加え
てペースト状にした後に十分に混練するペースト法と超音波分散法との併用操作がある[3],[4]。

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10 結果の計算

10.1 概要

  光透過式遠心沈降法は,測定開始からの時間の関数として,懸濁液の光学濃度を測定する。一様沈降法
では,光学濃度を正規化し,半径方向希釈効果[JIS Z 8823-1の5.3.3(一様沈降区分法)を参照]を補正
した後,質量基準ふるい下積算分率を求める(幾何光学を適用した場合)。

10.2 粒子径の計算

  ストークス径は,JIS Z 8823-1に従って計算する。

10.3 質量基準積算分率の計算

10.3.1  概要
平行光ビーム中の懸濁粒子によって減衰する光と粒子濃度との関係は,式(1)で与えられる。
I0 2
ln G nixi Ei (1)
I
Eiは,直径xiの粒子によって減衰された光と,この系に対して,幾何光学の法則が有効であるとした場
合の光との強度比である。単色光を使用しているとした場合,粒子径と照射光の波長λとの比が約100よ
り大きければ,Eiは基本的に定数である(附属書B参照)。しかし,この比が小さければ,Eiはxi /λ,粒子
と媒体との相対屈折率,粒子形状,測定機器の物理的な寸法などの複雑な関数になる。Eiの変動は,白色
光源及び広角度の受光器を用いれば小さくできるが,照射光の波長に近い粒子に対しては有効とは限らな
い。したがって,異なった粒子径に対応するEiを,計算によるか,使用する機器に対して実験的に求めな
ければ,この方法で得られた結果の精度は保証されない。ただし,沈降時間と光ビームの減衰との関係は,
沈降懸濁液の特性であり,比較測定用として,また,品質管理用として使用できる。
10.3.2 ラインスタート法(質量分率)
ラインスタート法では,粒子が同じ半径位置から沈降するため,時刻tに測定領域に存在する粒子の直
径は,xSt, tである。光ビームは有限の幅をもち,ビーム中の粒子は,xStに比例した粒子径範囲をもってい
る。時刻tでの光学濃度,Dt=−log10 (It /I0) は,nt xSt, t3に比例する。
注記 光学濃度とxSt, tとの変化を時間間隔で示した表を,附属書Aに示す。
透過データは,絶対値である必要はなく,結果は最後には質量分率として表現されるので,常用対数を
用いてもよい。その場合,log10 (It /I0) の値をxSt, tに対してプロットする。Gと粒子形状係数とを定数とみ
なせば,このグラフは質量頻度曲線になり,面積で積分すれば質量基準ふるい下積算分率となる(JIS Z
8823-1参照)。
10.3.3 一様沈降法(質量分率)
光透過式遠心沈降法では,測定開始からの時間に対する懸濁液の光学濃度を測定する。一様沈降法の場
合,半径方向希釈効果を補正してから縦軸(光学濃度)を正規化し,横軸をストークス径に変換して,ス
トークス径に対する光学濃度の曲線を描く(附属書C参照)。この形式のデータは,相互比較用にしてい
る。正規には,粒子径による幾何光学則が適用できなくなる場合は,粒子径による吸光係数補正[例えば,
ミー(Mie)理論]を行う。測定される面積濃度(nx2)は,式(1)を使って決定する。半径方向希釈効果の
補正(JIS Z 8823-1の5.3.3参照)は,面積によるふるい下分率を得るために行う。体積基準ふるい下分率
は,Q(面積基準積算分率)にxStを乗じて総和を求め,100 %とすることで得られる(表A.1参照)。

11 測定結果の報告

  報告事項は,JIS Z 8823-1に規定する要求事項に準拠しなければならない。測定結果は,ストークス径

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に対する質量基準積算分布で,0.1 %まで表示しなければならない。図示する場合は,粒子径を横軸に,質
量基準積算分率を縦軸にとる。
報告事項には,次の事項を含むことが望ましい。
a) 関連する規格
b) 測定機関名
c) 測定の日付
d) 報告番号
e) 測定者名
f) 使用機種
g) 測定の方法(ラインスタート法,一様沈降法)
h) 試料番号
i) 試料粉体名及びその密度(必要ならばその質量)
j) 分散液及びその温度,密度,粘度(必要ならばその体積)
k) 分散剤及びその濃度
l) 懸濁液の分散方法
m) 緩衝層(必要ならば種類及び体積)
n) 回転数
o) ディスクの内径(R)
p) ミー補正を適用したか否か
q) この規格に規定されていないその他の事項
さらに,製造業者によって決定され,装置ソフトウェアに前もって組み込まれた,次の装置特性値を附
属的に表示してもよい。
− 測定半径(M)
− ディスクの内径(R)
− ディスクの厚さ(内寸法)(沈降開始半径の計算に用いる)

――――― [JIS Z 8823-2 pdf 10] ―――――

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JIS Z 8823-2:2016の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 13318-2:2007(MOD)

JIS Z 8823-2:2016の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Z 8823-2:2016の関連規格と引用規格一覧