JIS Z 8850:2018 エアロゾル粒子の個数濃度―凝縮粒子計数器の校正 | ページ 19

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Z 8850 : 2018 (ISO 27891 : 2015)
I.3 準備(6.2参照)
I.3.1 一般的な準備
最初に全ての機器を別々に確認する(図I.1に示すような接続をしない。)。
I.3.2 一次エアロゾル
エアロゾル発生器及びエアロゾル調整器の電源を入れ,1時間安定化させた。DEMCに供給するエアロ
ゾルの粒径分布をDMASを用いて測定した。粒径分布の中位径は49 nm,幾何標準偏差は1.46であった。
I.3.3 その他の機器
圧力計,温度計,流量計及び湿度計の電源を入れる。これらは製造業者の仕様書に従って確認した。
I.3.4 DEMC
DEMCは,ISO 15900に従って確認した。
I.3.5 FCAE
FCAEの電源を入れ,1時間安定化させた。HEPAフィルタをFCAEの入口に配置し,ゼロ点調整を行っ
た。
a) ゼロ確認 FCAEのゼロ点調整後に記録された電流レベルを図I.2に示す。同図において,内部ゼロ補
正後の算術平均及び標準偏差を示す。算術平均の絶対値は0.133 fC/s(最大1 fC/s未満),標準偏差は
0.36 fC/s(0.5 fC/s未満)であった。したがって,この測定は有効とみなされ,校正手順を進めること
ができる。
CQ×qF fC/
CAE(s)
時間(s)
FCAE 平均 =−0.133 fC/s
平均 σ =0.360 fC/s
平均±標準偏差
図I.2−FCAEのゼロレベル
b) CAE全体の漏れ試験 HEPAフィルタを通した空気を被験CPCでサンプルして得られた粒子数
NHEPA,CPCによって測定された室内空気粒子数Nambient,室内空気をFCAEに通過させて得られた粒子
数NFCAEは,それぞれ3,1 056 780,及び5であった。比RFCAEは1.9×10−6で,しきい値1×10−4よ
りはるかに低かった。このため校正手順を進めることができる。
c) 流量測定 校正済の流量計で測定したFCAE入口体積流量qFCAE,cal,amb,i,及びFCAE内蔵流量計の指示
流量値qFCAE,amb,iを,15分間かけて5回測定した。データを表I.1に示す。

――――― [JIS Z 8850 pdf 91] ―――――

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表I.1−FCAEの体積流量測定
測定 i=1 i=2 i=3 i=4 i=5 算術平均
qFCAE,amb,i(L/min) 0.99 1.00 1.01 1.00 1.00 1.00
1.00
qFCAE,cal,amb,i(L/min) 1.01 1.02 1.01 1.01 1.01
qFCAE,cal,amb,iの算術平均は1.01 L/minであった。また,qFCAE,cal,ambのCVは0.007 1で,0.70 %に相当
する(規定の2 %未満を満たす。)。また,値には減少又は増加の傾向はなかった。二つの流量の差は
1 %で,これは製造業者の定めた精度(3.5 %)以内であった。したがって,この測定は有効とみなさ
れ,校正手順を続行できる。
I.3.6 被験CPC
被験CPCの電源を入れ,作動液を補充し,入口にHEPAフィルタを付けて1時間安定化させた。
a) ゼロカウント確認 CPCのゼロ確認は,容易に合格した。入口にHEPAフィルタを付けて行った5分
間測定(1秒間の読取り間隔,1秒間平均)において,算術平均濃度及びその標準偏差はほぼ0 cm-3
であった。
b) 高レスポンス確認 室内空気の測定は,約3 500 cm-3を示した。そのため,機器は正常に動作してい
ると思われる。
c) 流量測定 被験CPCは臨界オリフィスを内蔵し,内部に流量計がない。公称流量値は1 L/minである。
CPCは,内部の粒子数濃度の計算に公称流量値を使用している。校正済の流量計でCPC入口体積流
量qCPC,cal,amb,iを15分間かけて5回測定した。データを表I.2に示す。
表I.2−被験CPCの体積流量測定
測定 i=1 i=2 i=3 i=4 i=5 算術平均
qCPC,amb,i(L/min) 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00
1.00
qCPC,cal,amb,i(L/min) 1.01 1.02 1.01 1.01 1.01
qCPC,cal,ambの算術平均は1.01 L/min,CVは0.007 0で0.70 %に相当する。また,値には減少又は増加
の傾向はなかった。qCPC,cal,ambの算術平均は,CPCの公称値より1 %高い値であった。製造業者の定め
る流量精度は5 %であるので,この測定は有効とみなされ,校正手順を続行できる。測定によって得
られたCPC入口流量は,内部の粒子数濃度計算にCPCに使用されている公称値より1 %高かったこ
とを記録した。
I.3.7 校正設備全体の確認
全ての機器を図I.1のように接続した。
a) EMCの流量 DEMCの流量を調整し,シース流量を10 L/min,サンプル流量を1 L/minと設定した。
流量比は10:1であり,規定の>7:1以上を満たす。これによって,単分散性の高い校正エアロゾルを
DEMC下流で得られるようにした。
b) CAEの流量測定 校正済の流量計を分流器とFCAE入口との間に挿入した。測定された体積流量は
qFCAE,cal=0.95 L/minであった。この値を校正証明書に記録した。さらに,この値を指示値(qFCAE)0.98
L/minと比較したところ,その差(−3.1 %)は製造業者の定める精度(3.5 %)の範囲内であった。ま
た,FCAEの校正証明書の値と比べると,差は−4 %であった。これは,式(3)(7.6 %)の許容偏差よ
りも小さい。
c) 被験CPCの流量測定 校正済の流量計を分流器と被験CPCとの間に挿入した。測定された体積流量
は0.99 L/minであった。この値を校正証明書に記録した。この値と公称値(1 L/min)との差は1 %で

――――― [JIS Z 8850 pdf 92] ―――――

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あり,製造業者の定める許容差5 %より小さい。
d) ゼロ確認 DEMCの電圧を0 V(又はオフ)に設定し,FCAE及び被験CPCのゼロレベルを2分間記
録し(図I.3参照,40秒間160秒間),それぞれ30秒間の算術平均を計算した。FCAE電流値の30
秒間算術平均は−0.37 fC/sと+0.24 fC/sとの間にあり(したがって,規定の±1 fC/sの範囲内),算術
平均の標準偏差は0.13 fC/sであった(したがって,規定の0.5 fC/sより低い。)。同様に,被験CPCの
算術平均は0であった。規定の最大許容レベルの1 cm-3よりかなり低い。
e) CAEの最小レベル 最後の30秒間の算術平均(0.23 fC/s)に,2分間測定の標準偏差(0.13 fC/s)
の3倍を加え,0.62 fC/sが得られた。この値をFCAEの校正証明書中のCQ×qFCAE最小値(この例で
は2.67 fC/s)と比較した。後者の方が大きかったので,校正中に設定してよい最小の濃度“最小CQ
×qFCAEレベル”は2.67 fC/sになった。
I.4 検出効率の測定手順(6.3参照)
I.4.1 一般
ある目標粒径及び目標濃度での,被験CPC検出効率の測定手順を記載する。
I.4.2 DEMCの粒径設定
DEMCを70 nmに設定した。この粒径は,被験CPCの検出効率が最大に達していると見込めるほど,
十分に大きな粒径である。さらに,この粒径は,DEMCに入るエアロゾル粒子の粒径分布の中位径より大
きく,これによって多価帯電粒子の影響を最小化してある。
I.4.3 一次エアロゾルの調整
エアロゾル調整器を使って,被験CPCの指示値が約7 000 cm-3になるよう個数濃度を調節した。また,
次の要求事項が満たされていることを確認した。
a) 最小濃度レベル FCAEの測定値は約19 fC/sであり,最小レベル2.67 fC/sより高く,問題ない。
b) 最大濃度レベル FCAEの測定値は約19 fC/sであり,FCAEの校正証明書に記載された最大レベル
1 500 fC/sより低く,問題ない。また,附属書K(下記参照)の手順に従って,電荷調整装置中は平衡
帯電に到達していることを確認した。この点でも濃度は十分に低く,問題ない。
c) 多価帯電粒子の割合 附属書Dに記載された方法に従って,電圧を倍にすることによって多価帯電粒
子の割合を測定した(図I.3を参照)。詳細を表I.3に記載する。
表I.3−多価帯電粒子の割合を決定するための測定
電圧 U 2U 3U
電圧値(V) −767 −1 533 −2 300
粒径(nm) 70 103 130
FCAE(fC/s) 19.0 5.8 1.3
被験CPC(cm-3) 6 871 2 229 447
CN(U)中には3価までの粒子だけ,また,CN(2U)中及びCN(3U)中には1価粒子だけ存在すると仮定した。
電圧U,2U,及び3Uで測定された電流から粒子数濃度を計算した結果を,次に示す。
CN U CQ qFCAE e qFCAE
15 19
190. 10 .1602 10 .095 (I.1)
1 000 / 60
3
7 4906. cm

――――― [JIS Z 8850 pdf 93] ―――――

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CN 2U CQ qFCAE e qFCAE
15 19
8.5 10 .1602 10 .095 (I.2)
1 000 / 60
3
2 2866. cm
CN 3U CQ qFCAE e qFCAE
15 19
3.1 10 .1602 10 .095 1 000 / 60 (I.3)
3
5125. cm
式(D.36)式(D.38)に従って,各粒径の帯電率を使い,DEMCから取り出された多価帯電粒子の濃度を計
算した。
CN 2(U) 2 (d1 2(U))
CN (d2 (U))
FCAE f1 (d1 2(U))
3
2 2866. cm .0033 3
(I.4)
.0997 .0214 6
3
3559. cm
CN 3(U) 3 (d1 3(U))
CN (d3 (U))
FCAE f1 (d1 3(U))
3
5125. cm .0004 8
(I.5)
.0997 .0216 8
3
11.38 cm
CN (U)
CN (d1 (U)) 2 CN (d2 (U))3 CN (d3 (U))
FCAE
3
7 4906. cm 3 3
2 3559. cm 3 11.38 cm (I.6)
.0997
6 7672. cm 3
式(D.25)及び式(D.26)を使って,総濃度及びp価の粒子の割合を計算した。
3
3 3
CN CN (dp (U)) 6 7672. 3559. 11.38 cm 7 1345. cm (I.7)
p1
1 d (U)) N
CN (1 6 7673. 7 1345..0948 5 (I.8)
2 d (U)) N
CN (2 3559. 7 1345..0049 9 (I.9)
3 d (U)) N
CN (3 11.38 7 1345..0001 6 (I.10)
多価帯電粒子の割合を,式(7)によって算出した。
Φ p 2 3 .0049 9 .0001 6 .0051 5 (I.11)
p≧2
異なる電圧で測定された濃度を基に,多価帯電粒子の割合が5.15 %と見積もられた。この値は最大許容
値の10 %より低く,問題ない。

――――― [JIS Z 8850 pdf 94] ―――――

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Z 8850 : 2018 (ISO 27891 : 2015)
C
)
Q× q
3
c
CPC(m-
FCAE(
N,
f
C
C/
s)
時間(s)
a ゼロ測定 c 検出効率の測定
b 多価帯電粒子の測定 d 検出効率測定時のデータ集録時間区間
図I.3−検出効率の校正手順の一例
図には示していないが,附属書Kの手順に従って濃度を半分に減少し,多価帯電粒子の割合の測定を繰
返し行った。濃度を半減したときの多価帯電粒子の割合は5.5 %で,これは半減前の値に近かった。この
ことから,エアロゾルは元の濃度でも平衡帯電に達していたと思われる。
I.4.4 分流器の性能
6.3.4に従い,附属書Gを参照して分流器の偏りを測定した。FCAE及び被験CPCが図G.1に示される
設定1の状態にあったとき,式(G.1)に沿って,両機の測定値を5回ずつ記録した。附属書Lに記載された
データ記録方法を用いてFCAEの電流値を記録し,更に濃度へと変換した。電流値及び濃度値を表I.4に
示す。
表I.4−分流器偏り測定における,設定1aでのFCAE電流測定値及びCPC濃度測定値
ゼロ i=1 ゼロ i=2 ゼロ i=3 ゼロ i=4 ゼロ i=5 ゼロ
FCAE(fC/s) 0.4 19.5 0.5 19.1 0.5 19.5 0.6 19.8 0.4 19.5 0.6
CPC(cm-3) 0 6 970 0 6 980 0 6 980 0 6 960 0 6 970 0
G.2.2に従って分流器及び混合器を反転させるか,又は装置の位置を交換し,FCAE及び被験CPCを図
G.2の設定2の状態にした。両機の測定値を5回ずつ記録した(表I.5参照)。
表I.5−分流器偏り測定における,設定2でのFCAEの電流測定値及びCPC濃度測定値
ゼロ i=1 ゼロ i=2 ゼロ i=3 ゼロ i=4 ゼロ i=5 ゼロ
FCAE(fC/s) 0.5 19.6 0.6 19.6 0.4 19.6 0.5 19.6 0.4 19.6 0.6
CPC(cm-3) 0 6 970 0 6 980 0 6 970 0 6 960 0 6 970 0
G.2.3に従って分流器及び混合器を反転させるか,又は装置の位置を交換し,FCAE及び被験CPCを図
G.1の設定1の状態に戻した。両機の測定値を5回ずつ記録した(表I.6参照)。

――――― [JIS Z 8850 pdf 95] ―――――

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