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Z 8850 : 2018 (ISO 27891 : 2015)
図H.3−比例性試験用校正装置の概略図
H.3.2 CPCのゼロ設定
HEPAフィルタをCPC入口に装着して室内空気を吸引させる。カウント数を5分間以上測定し,サンプ
ル時間及び流量を用いて濃度を算出する。算出した濃度は,H.3.1で選択した試験濃度のうち最も低濃度
のものに対し,少なくとも100倍は低濃度でなければならない。
H.3.3 CPC間の相関
ダミーCPCと被験CPCとを直接比較することによって,二つの検出器間の違いを把握する。図H.3に
従って実験設備を用意する。ただし,比例性試験用の希釈装置は取り外し,同一エアロゾルの並行測定が
できるようにする。装置の電源を入れ,1時間暖機させる。DEMCの流量及び電圧を,目標粒径に合わせ
て設定する。H.3.1で設定した各濃度に対し,適切なサンプル時間で両CPCにて算術平均エアロゾル濃度
を測定する。低濃度の場合はサンプル時間を長くし,測定不確かさを低減しなければならない。式(H.1)に
よって補正係数kを算出する。
k Cdummy (H.1)
Ctest Cdummy
補正係数kは,ダミーCPCと被験CPCとの相関を表す。
H.3.4 比例性の測定
比例性測定の手順を次に示す。
a) 図H.3に従って実験設備の準備を行う。
b) EMCの電圧及びシース流量を設定し,目標粒径を得るようにする。
c) ダミーCPCでエアロゾル濃度をモニタし,同時通過補正が約1 %になるような試験濃度に調整する。
d) 希釈装置を調整し,被験CPCの読み値がダミーCPCの約10倍低い濃度となるようにする。
e) 適切なサンプル時間で合計10回分,両CPCで濃度の同時測定を行い,結果を記録する。
――――― [JIS Z 8850 pdf 86] ―――――
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注記 測定不確かさを減らすために,低濃度の場合にはサンプル時間を長くとりカウント粒子数を
多くしなければならない。
希釈装置の各流路の差圧又は流量を記録しておく。
f) 無作為に選んだ最初(又はその次)のエアロゾル濃度値に,ダミーCPCの読みを見ながら調整する。
g) 適切なサンプル時間で少なくとも10回,両CPCで濃度の同時測定を行い,結果を記録する。希釈装
置の各流路の差圧又は流量を記録しておく。
h) 無作為順の測定の半数まで,手順f),及び手順g)を繰り返す。
i) 希釈装置を手順c)で設定した濃度にエアロゾル濃度を調整する。適切なサンプル時間で少なくとも10
回,両CPCで濃度の同時測定を行い結果を記録する。希釈装置の各流路の差圧又は流量を記録してお
く。
j) 無作為順の測定の残りの半分に対し,手順f)及び手順g)を行う。
k) 手順i)を繰り返す。
各試験濃度について,式(H.2)に従って各CPCで測定した濃度から算術平均濃度を算出する。
n
1
C Ci (H.2)
ni1
式(H.3)によって,各試験濃度での希釈比を算出する。
Ctest
RD (H.3)
k CdummyCdummy
H.4 データ分析及び判断基準
この箇条では,校正データに対して実施する二つの統計的検定法について記載する。最初にCPC応答の
比例性について,次に希釈装置の経時ドリフトについて検定を行う。いずれの検定も合格の場合,校正は
有効と見なされる。
H.4.1 希釈比の濃度依存性
濃度によって希釈比が変動するかどうか確認するため,ダミーCPCで測定した濃度の関数として希釈比
をプロットする。希釈比が濃度によらない場合,測定結果の回帰直線の傾きがゼロとなる。
定量的に評価するために,最小二乗法を用いた線形回帰分析によって傾きを算出し,続いて,その傾き
がゼロに対し有意差があるか否かを確認するためにt検定を行う。H.3.4の各測定濃度に対し,Ctest,Cdummy,
k(Cdummy),RDの数値があり,回帰直線の傾きb,切片a,傾きの標準誤差 SEを,測定回数をnとして,次
b
の式を用いて算出する。
n n n
n RD ,i Cdummy,i RD ,i
b
i 1 i1 i 1
2 (H.4)
n n
2
n Cdummy,i Cdummy,i
i1 i1
n n
1
a RD ,ib Cdummy,i (H.5)
n i1 i1
――――― [JIS Z 8850 pdf 87] ―――――
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1
n 2
2
RD ,ia bCdummy,i
SEb i1
n
(H.6)
2
n 2 Cdummy,iCdummy
i1
仮想的な傾きb0=0を用い,検定統計量Zを次の式で算出する。
b b0
Z (H.7)
SEb
t分布表を参照し,自由度n−2を用いた確率95 %での統計値をT95 %として記録する。Z傾きはゼロと有意差がなく,分析を継続できる。Z 比例的ではない。同時通過補正を確認し,希釈装置の各流路の流量,差圧にドリフトがないか確認し,又
は最大濃度を下げて再校正を行う。
H.4.2 希釈比の経時変化
希釈比が経時的にドリフトしているかどうかを確認するため,測定回数(経過時間におよそ比例する)
の関数として希釈比をプロットする。時間経過につれて希釈比がドリフトしていない場合は,希釈比のプ
ロットの回帰直線の傾きがゼロとなる。
定量的に評価するために,最小二乗法を用いた線形回帰分析によって傾きを算出し,続いて,その傾き
がゼロに対し有意差があるか否かを確認するためにt検定を行う。H.3.4の各測定濃度に対し,Ctest,Cdummy,
k(Cdummy),RDの数値があり,また,測定番号をmとする。回帰直線の傾きb,切片a,傾きの標準誤差 SEb
を,測定回数をnとして,次の式を用いて算出する。
n n n
n mi RD ,i mi RD ,i
b
i1 i1 i 1
2 (H.8)
n n
2
n mi mi
i1 i1
n n
1
a RD,i b mi (H.9)
n i1 i1
1
n 2
2
RD ,i a bmi
SEb i1
n
(H.10)
2
n 2 mi m
i1
仮想的な傾きb0=0を用い,検定統計量Zを次の式で算出する。
b b0
Z (H.11)
SEb
t分布表を参照し,自由度n−2を用いた確率95 %での統計値をT95 %として記録する。Z傾きはゼロと有意差がなく,分析を継続できる。Z 的にドリフトしている。漏れ,流量安定性,実験設備の温度及び気圧の変動を確認し,再校正を行う。
H.5 不確かさ分析
校正データがH.4に示した二つの統計的検定に合格している場合,CPC比例応答の不確かさは次の式を
用いて算出することができる。
――――― [JIS Z 8850 pdf 88] ―――――
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Z 8850 : 2018 (ISO 27891 : 2015)
a) 次の式を用いて希釈比の算術平均を算出する。
n
1
RD (H.12)
RD ,i
n i1
b) 次の式を用いてCPC比例応答の相対標準不確かさを算出する。
n 2
100 RD RD,i
ur RD (H.13)
RD i1 nn 1
この不確かさは,参照装置を用いて行った絶対校正に対する不確かさに合成してもよい。
――――― [JIS Z 8850 pdf 89] ―――――
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附属書I
(参考)
検出効率測定の実施例
I.1 一般
この附属書は,参照装置としてFCAEを使用し,被験CPCの検出効率を測定する例を記載する。測定は,
一つの粒径(70 nm)及び一つの粒子濃度(約7 000 cm-3)の場合とする。箇条6に規定の手順に従う。こ
の例に対応する最終的な校正証明書をC.2に示す。
70 nm及び7 000 cm-3でのFCAEの検出効率ηFCAE及びその標準不確かさu(ηFCAE)は,それぞれ0.997及び
0.006とFCAEの校正証明書に記載されていた。校正時のFCAEの流量は,0.99 L/minであった。被験CPC
は臨界オリフィスを用い,公称体積流量1.00 L/minで流量制御するとともにこの流量を濃度計算に使用し
ていた。校正エアロゾルの多価帯電粒子の割合の測定は,DEMCの電圧を2倍及び3倍にして行った。
I.2 校正設備及び手順の概要(6.1参照)
設備の概略を図I.1に示す。校正設備は23 ℃の恒温槽内に設置した。周囲圧力は98 kPaであった。エ
アロゾル発生器には拡散火炎式すす発生器を用いた。エアロゾル調整器は,150 ℃の高温希釈をし,続い
て350 ℃の蒸発管を通し,最後に室温の希釈装置で希釈しつつ室温まで温度を下げた。希釈されたサンプ
ルの相対湿度は,約5 %(<40 %)であった。
電荷調整装置は,Kr-85両極電荷調整装置を用いた。単分散粒子を取り出すためにDEMCを使用した。
補助エア流量は,スロットルバルブによって調整した。補助エアの湿度は約20 %(< 40 %)であった。
混合オリフィスを混合器として使用し,FCAE及び被験CPCは,ほぼ同じ流量(1 L/min)で,同じ長さ
のシリコーン導電ホースを通して2方分流器からサンプリングした。
図I.1−実施例で用いた校正設備
――――― [JIS Z 8850 pdf 90] ―――――
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JIS Z 8850:2018の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 27891:2015(IDT)
JIS Z 8850:2018の国際規格 ICS 分類一覧
- 19 : 試験 > 19.120 : 粒度分析.ふるい分け