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Z 8850 : 2018 (ISO 27891 : 2015)
つ場合,電荷数によって粒径は異なる。
DEMCは,ISO 15900に従って設定,操作,及び校正しなければならない。
理想的には,DEMCに供給する一次エアロゾルは,1価帯電粒子だけをDEMCから取り出すように調整
することが望ましい。この場合,DEMCから取り出される校正エアロゾルは単分散である。
しかしながら,調整した一次エアロゾルの特性のため,校正エアロゾルに大きな多価帯電粒子が含まれ
る場合,補正を行わなければならず,また,測定不確かさは増加する可能性がある。必要な補正の詳細を,
附属書Dに規定する。
5.4.4 補助エア又は余剰排気
DEMCから取り出す校正エアロゾルの流量が被験CPC及び参照装置の合計流量よりも低い場合,補助
エアを追加する必要がある。
補助エアの粒子数濃度は,0.1 cm-3未満であることが望ましい。
補助エアの相対湿度は,40 %未満でなければならない。
校正エアロゾルの個数濃度の過度な変動を避けるために,補助エアの流量は十分に安定でなければなら
ない。
DEMCから取り出す校正エアロゾルの流量が被験CPC及び参照装置の合計流量よりも高い場合,余剰
の空気は排出するのがよい。この場合,排気に粒子フィルタを装着し,作業者を粒子への暴露から保護す
ることが望ましい。
5.4.5 混合器,分流器,及び接続配管
校正エアロゾルは,混合器,分流器,及び接続配管を経由して被験CPC及び参照装置へ供給する。校正
エアロゾルは,両測定装置に到達したときに粒径分布及び個数濃度が同一であることが望ましい。
混合不足から生じる濃度の偏りは,CPC校正における大きな誤差要因である。偏りを避けるため,バッ
フルプレート,混合容器,混合オリフィスなどを用いる。
分流器は,混合器からの校正エアロゾル流を分割し,一方を被験CPCへ,もう一方を参照装置へと二つ
に分ける。分流器及び接続配管は,分流器の入口から両方の測定装置までの輸送損失が粒径依存性を含め
て等しくなるよう設計することが望ましい。
被験CPC及び参照装置の入口流量が等しい場合,二つの装置のサンプリング位置を入れ替えることによ
って,サンプリング位置の同等性を実証することができる(附属書G参照)。サンプリング位置による濃
度の違いは5 %未満でなければならない。粒子損失の補正は,偏り補正係数βによって表す。
被験CPC及び参照装置の入口流量を等しくできない場合,異なる長さの接続配管を用いることによって
輸送損失の違いを補正しなければならない。流量の比は,0.2倍以上,かつ,5倍以下でなければならない。
入口流量が異なる校正設備では,測定装置のサンプリング位置の入れ替えによる輸送損失の実測はできな
い。そのため,各々の流量の不確かさによって測定不確かさは増加する。
混合器,分流器及び接続配管は,適切な技術的判断に基づき,配管径の急激な変化及び急激な屈曲を避
けるよう設計しなければならない。柔らかいチューブによる配管をせざるを得ない場合は,特に,配管に
は導電性チューブを用い,かつ,全ての接続配管を確実に接地する。
5.4.6 参照装置 : FCAE又はCPC
a) CAEの設計及び運用 FCAEは,次の要素で構成する(図3参照)。
− エアロゾル粒子を捕集するフィルタ材が組み入れられた検出部を内包し,電気的に接地された導電
性カップ。
− 検出部と電流計回路とを接続する電気配線。
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− 流量計。
注記 この規格が主に対象とする粒径範囲(5 nm以上)及びFCAE流量範囲(1 L/min以上)では,
FCAEの検出効率は95 %より高いことが見込まれる。
1 帯電粒子
2 流量計
3 プリアンプ
4 電流計
5 粒子を含まない空気
6 捕集した帯電粒子から電荷を収集し,かつ,外部から誘導
される電磁ノイズを低減するファラデーカップ
7 フィルタ材を接地電極から絶縁するための超高抵抗絶縁体
8 浮遊帯電粒子を捕集する高効率粒子(HEPA)フィルタ
図3−FCAEの概略図(ISO 15900の図を改編)
b) 参照CPCの設計及び運用 参照CPCは,入口から取り込まれたエアロゾル中の粒子を全て計数する
設計でなければならない。すなわち,入口から取り込まれたエアロゾルを装置内部で希釈したりろ過
したりしてはならず,入口から取り込まれた流れの全てが光学検出部に到達しなければならない。
参照CPC製造業者の仕様に基づき,単一粒子計数モードで測定できる濃度範囲を確定しなければな
らない。参照CPCは,光量計測モードで使用してはならない。
参照CPCによる被験CPCの校正を行う上での最小の粒径dmin,refは,三つ以上の粒径について,2番
目に小さい粒径及び3番目に小さい粒径はそれぞれ1番小さい粒径の2倍以上及び3倍以上であり,
かつ,三つの粒径での検出効率を比較したときに差が5 %以内である場合の,1番小さい粒径に等し
い。参照CPCの検出効率を記載する校正証明書は,用いた粒子性状に対するdmin,refが明記されている
か,又は用いた粒子性状に対するdmin,refを決定できるように検出効率が記載されていなければならな
い。
c) CAE及び参照CPCの校正証明書 参照装置は,5.1で規定するように最新の信頼できる校正証明書
が付与されていなければならない。校正証明書の例を,附属書Cに示す。
FCAEの校正証明書は,エアロゾル流量の測定値(体積流量,入口圧及び入口温度)及び電荷量濃
度測定値を記載しなければならない。電荷量濃度とエアロゾル流量との積は,通常,1 fC/s10 fC/s
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の範囲にある。
参照CPCの校正証明書は,FCAEを参照装置として用いた校正の結果,又は別のCPCを参照装置
として用いた校正の結果の,いずれでもよい。校正証明書には,粒子性状,粒径,校正が有効な粒子
数濃度,及び単一計数モードの最高濃度を記載しなければならない。また,校正時の体積流量,入口
圧及び入口温度を合わせて記載しなければならない。
参照装置の検出効率は,装置内部の表面に粒子が堆積すると変化する可能性がある。参照装置はそ
の校正証明書が有効期限内であるとともに,校正を通じた粒子暴露の積算量が僅かでなければならな
い。そのため,参照装置の使用記録を残すとともに,校正による粒子暴露の蓄積が参照装置の性能に
顕著な影響を与えることのないよう,内部手順を確立しなければならない。
次の場合,参照装置を再校正しなければならない。
− メンテナンス又は修理の後。
− 使用者が設定した品質保証又は品質管理の手続きにおいて,参照装置の性能に顕著な変化が見られ
たとき。
− 粒子暴露の積算量が,使用者によってあらかじめ決められた量に達したとき。
− 前回の校正より3年が経過したとき。
5.4.7 他の機器
次に示す測定器はCPC校正に用いられるもので,国家標準又は国際単位系(SI)に対して計量計測トレ
ーサビリティが付与された参照装置を用いて校正されなければならない。
− 測定装置及び校正設備の各流量を確認し,又は設定するために使用する,圧力降下の少ない流量計。
− 校正エアロゾルの圧力を測定するための圧力計。
− 校正設備内の複数の点で温度を測定するための気体用温度計。
− 一次エアロゾルの相対湿度を測定するための湿度計。
5.5 FCAE及びCPCの参照装置としての違い
FCAE及びCPCは,参照装置としての特徴及び要求事項が異なる。この細分箇条では,目的に応じた適
切な参照標準を選択できるよう,二つの参照装置の違いを次に示す。
a) 校正可能下限粒径 一般的に,FCAEはCPCより粒径の小さい帯電粒子を検出することができる。さ
らに,CPCの検出効率曲線は,実験条件及び粒子性状によってある程度変わり得る。そのため,参照
CPCによる校正は,参照CPCのdmin,refより大きい粒径の単分散粒子を用いた場合だけである。粒径分
布幅の広い粒子を用いて校正を行う場合,参照CPCのdmin,ref以下の粒子はごく僅かでなければならな
い。そのため,多分散な校正エアロゾルの中位径は,dmin,refに試験エアロゾル粒径分布の幾何標準偏
差を乗じて得られる粒径以上でなければならない。
b) 粒子の帯電状態 FCAEを参照装置に用いて校正を行う場合,校正エアロゾルは1価帯電粒子だけに
よって構成するか,又は帯電分布が既知で,かつ,多価帯電粒子の割合が少なくなければならない。
この要求事項は,参照CPCを用いる場合であっても,被験CPCの最小可測粒径近傍における校正の
場合には適用する。これは,多価帯電粒子は粒径が大きいため,より高い効率で検出されるためであ
る。被験CPCのプラトー領域にある大きな粒径において,参照CPCを用いて校正を行う場合,この
要求事項は適用されない。そのため,高い多価帯電率は問題とならず,大きな粒径では参照CPCを用
いた方が不確かさを小さくできる。
c) 校正エアロゾルの粒子数濃度下限 FCAEを参照装置として校正を行う場合,電流計にとって十分な
電荷量濃度が得られるよう,DEMCから取り出される帯電粒子の個数濃度は,約103 cm-3程度の下限
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より高くなければならない。参照CPCを用いて校正を行う場合には,参照CPCの直線性が証明され
ていれば[44],この要求事項は必須ではない。校正証明書に記載された濃度よりも低い濃度での参照
装置の有効性を確認する方法については,附属書Hに記載する。
d) 校正エアロゾルの粒子数濃度上限 FCAEは,その測定可能範囲の全域にわたって,電荷量濃度測定
に基づく単一の方式によって,粒子数濃度を測定する。CPCは,基本原理の異なる複数の測定方式を
利用するものがある。すなわち,低い濃度での単純な光散乱計数方式(単一粒子計数モード),より高
い濃度での同時通過損失補正を伴う単一粒子計数モード,及び最も高い濃度での光強度から粒子濃度
を測定する方式(光量計測モードとして知られる)である。光量計測モードは,例えば,光学系の汚
染によって,感度の変化が生じやすい。この規格では,参照CPCの使用は単一粒子計数モードだけに
制限する。同時通過損失補正はあってもなくてもよい。このため,参照CPCを用いた校正での個数濃
度の上限は,一般的にFCAE法よりも低い。
以上をまとめると,参照CPCを用いた校正は,FCAEを用いた校正と比較して,小粒径又は高濃度の場
合に不利であるが,校正エアロゾルに対する制約が少なく,また,大粒径及び低濃度において有利である。
校正エアロゾルに対するFCAEと参照CPCとの要求の違いを表1にまとめて示す。
表1−FCAE及び参照CPCの校正エアロゾルに対する要求事項
参照装置 粒径範囲 一般的な粒子個数 校正エアロゾル粒子の電荷に対する要求事項
(nm) 濃度範囲 最小可測粒径近傍で プラトー領域の粒径で
(cm-3) 被験CPCを校正する場合 被験CPCを校正する場合
FCAE 51 000 103105以上 Φ<0.1 Φ<0.1
CPC dmin,ref1 000 1104以上 Φ<0.1 制限なし
注記 Φは多価帯電粒子の割合であり,6.3.3 c)の式(7)及び7.3.3 c)の式(16)によって定義されるパラメータである。
6 FCAEを参照装置として用いた校正
6.1 設備及び手順の概要
FCAEを参照装置として用いる場合の校正設備を,図4に示す。実線で示したものは全て校正作業に必
要な要素であり(箇条5参照),エアロゾル発生器,エアロゾル調整器,DEMCに入れるエアロゾルの湿
度を測るための湿度計,電荷調整装置,DEMC,補助エア,混合器,分流器,FCAE,及び被験CPCが含
まれる。この図には含まれていないが,測定の開始時及び終了時に補助エアの相対湿度を計測するための
湿度計も用いなければならない。また,各装置の体積流量を計測する際には圧力計が必要になることがあ
る。
DEMCからの校正エアロゾルの流量がDEMC下流にある装置の流量の合計よりも高い場合,余剰排気
として余分な流量を排出しなければならない。図には示されていないが,恒温槽又は測定室の温度を連続
測定する温度計も用いなければならない。
図4に破線で示す要素は設置を推奨するものであり,必須ではない。例えば,恒温槽並びにDEMCシー
ス流及び補助エアの熱交換器は,校正設備全体の温度を安定させるために使用する。モニタCPCは,校正
エアロゾルの安定性を確認するために使用する。補助エアの流量は,スロットルバルブで調節するか,又
は圧縮空気にマスフローコントローラを取り付けて調節する。
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注記 破線で示す要素は必須ではないが,使用することが望ましい。また,熱交換器は実線で示されているが,必須
ではない。
図4−FCAEを参照装置とする校正設備の例
6.2以降に記載する校正手順の概略を,表2に示す。
表2−FCAEを参照装置とするCPC校正手順
6.2 準備
6.2.2 エアロゾル発生器及びエアロゾル調整器(未知の場合,粒径分布を測定)
6.2.3 他の機器(マスフローコントローラなど)
6.2.4 DEMC及びシースエア調整器(ISO 15900に従う)
6.2.5 FCAE
ゼロ点確認 : 1秒間当たりの平均値を15分間測定し,ゼロ点補正した電荷量濃度と入口流量との積の絶
対値が1 fC/s未満,かつ,標準偏差が2.5 fC/s未満である。
全体の漏れ試験を行う。
流量の測定を15分間に5回繰り返して行い,CVが2 %未満である。
6.2.6 被験CPC
ゼロカウント確認 : 1秒間当たりの平均値を少なくとも5分間測定した算術平均値は,0.1 cm-3未満であ
る。
高レスポンス確認を行う。
流量の測定を5分間に5回繰り返して行い,CVが2 %未満である。
6.2.7 測定装置及びエアロゾル発生器/調整器をDEMCへ接続する。
DEMC流量を,シースエア対サンプル比が7:1以上となるように設定する(電圧はオフ)。
FCAEの流量を測定する。
FCAEゼロ確認 : 30秒間当たりの算術平均値を2分間測定し,ゼロ補正した電荷量濃度と入口流量との積
の絶対値が1 fC/s未満,かつ,標準偏差が0.5 fC/s未満である。
被験CPCゼロ確認 : 30秒間当たりの算術平均値を2分間測定し,算術平均値が1 cm-3未満である。
式(5)を用い,FCAEの最小濃度レベルを決定する。
6.3 検出効率の測定
6.3.2 DEMCの粒径設定
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