JIS A 1409:1998 残響室法吸音率の測定方法

JIS A 1409:1998 規格概要

この規格 A1409は、残響室内に設置した,壁・天井仕上げとして用いられる音響材料の吸音率,又は家具,人,吸音体などの物体を対称とする等価吸音面積の測定方法を規定。共鳴特性の鋭い共鳴器の吸音率特性の測定は意図していない。

JISA1409 規格全文情報

規格番号
JIS A1409 
規格名称
残響室法吸音率の測定方法
規格名称英語訳
Method for measurement of sound absorption coefficients in a reverberation room
制定年月日
1967年8月1日
最新改正日
2016年10月20日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

ISO 354:1985(IDT)
国際規格分類

ICS

17.140.01, 91.120.20
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
建築 II-1(試験) 2021, 建築 II-2(試験) 2021
改訂:履歴
1967-08-01 制定日, 1971-02-01 確認日, 1974-04-01 確認日, 1977-08-01 改正日, 1982-08-15 確認日, 1987-07-01 確認日, 1993-01-01 確認日, 1998-12-20 改正日, 2006-11-20 確認日, 2011-10-20 確認日, 2016-10-20 確認
ページ
JIS A 1409:1998 PDF [17]
A 1409 : 1998 (ISO 354 : 1985)

まえがき

  この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによって,JIS A 1409 : 1977は改正され,この規格に置き換えられる。
JIS A 1409には,次に示す附属書がある。
附属書A(規定) 残響室における音場の拡散性
附属書B(参考) 8.1.2.3及び8.1.3の計算式の解説的な注意事項
附属書C(参考) 反復性の評価
附属書D(規定) 吸音率試験のための試料の取付方法
附属書E(参考) 残響室内の温度及び相対湿度の変化の残響時間に対する影響の補正方法

(pdf 一覧ページ番号 )

――――― [JIS A 1409 pdf 1] ―――――

                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
A 1409 : 1998
(ISO 354 : 1985)

残響室法吸音率の測定方法

Method for measurement of sound absorption coefficients in a reverberation room

序文 この規格は1985年に第1版として発行されたISO 354, Acoustics−Measurement of sound absorption in
a reverberation room及び1997年に追補された附属書のAMENDMENT1 : Annex D (normative) −Test
specimen mountings for sound absorption testsを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作
成した日本工業規格(日本産業規格)である。
なお,この規格で,点線の下線を施した箇所は,原国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲 この規格は,残響室内に設置した,壁・天井仕上げとして用いられる音響材料の吸音率,
又は家具,人,吸音体などの物体を対象とする等価吸音面積の測定方法を規定する。共鳴特性の鋭い共鳴
器の吸音率特性の測定は意図していない。
得られた結果は,吸音特性の相互比較の目的や室内音響及び騒音制御に関する設計のための計算に利用
される。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構成
するものであって,その後の改正版・追補はそれに適用しない。発効年(発行年)を付記していない引用
規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
ISO 5725-2 : 1994 Accuracy (trueness and precision) f measurement methods and results−Part 2 : Basic
method for the determination of repeatability and reproducibility of a standard measurement method
IEC 61260 : 1995 Electroacoustics−Octave-band and fractional-octave-band filters
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
3.1 残響時間 (reverberation time) 音が停止した後,音圧レベルが60dB減衰するのに要する時間。単
位は秒 (s)。
備考 この定義は,音圧レベルと時間の間に線形な関係があり,暗騒音が十分に低いという理想的な
場合の仮定に基づいている。
3.2 室の等価吸音面積 (equivalent sound absorption area of a room) 1, A2 回折効果はないものとし,室
内にある吸音要素だけがあるとして,これと同じ残響時間を与える全吸音面(吸音率 : 1.0)の仮想的な面
積。試料を入れない状態における残響室の等価吸音面積はA1の記号で表し,試料を入れた状態における残
響室の等価吸音面積はA2の記号で表す。単位は平方メートル (m2)。

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A 1409 : 1998 (ISO 354 : 1985)
3.3 試料の等価吸音面積 (equivalent sound absorption area of a test specimen) 試料を入れた状態と入
れない状態における残響室の等価吸音面積の差。単位は,平方メートル (m2)。
参考 等価吸音面積は,吸音力ともいう。
3.4 愀
残響室法吸音率 (sound absorption coefficient in a reverberation room) { に試料を設置する
ことによる等価吸音面積の変化量を試料の面積で除した値。平面吸音材料にだけ定義される。
備考 残響室における測定によって吸音率を算出する場合は,その結果は添え字 “S” によって表す。
この添え字の使用は平面波が平らな壁に,ある特定の入射角で入射する場合の入射音エネルギ
ーに対する反射しない(吸収,透過する)エネルギーの割合,として定義される吸音率(例え
ば,垂直入射吸音率)との混同を避けることになる。この“幾何学的な”吸音率は,通常1よ
りも小さく,したがって,百分率 (%) で表してもよいが,残響時間を測定して算出される残響
室法吸音率は,例えば,回折効果によって1よりも大きい値になる場合もあるので, 愀
率で表してはならない。
参考 原国際規格では,単に吸音率 (sound absorption coefficient) と称しているが,垂直入射吸音率と

の混同を避けるため,残響室法吸音率 (sound sbsorption coefficient in a reverberation room)
た。
3.5 反復性 (repeatability) 測定者,装置,残響室及び測定時期のいずれもが同じ条件の下で,同じ材
料について同じ方法を用いて得られた二つの独立した試験結果の間の絶対的な違いが,指定された確率に
なるように期待される値。特別の指示のない場合にその確率は95%である。
3.6 再現性 (reproducibility) 測定者,装置,残響室又は測定時期のいずれかが異なる条件の下で,同
じ材料について同じ方法を用いて得られた二つの独立した試験結果の間の絶対的な違いが,指定された確
率になるように期待される値。特別の指示のない場合にその確率は95%である。
4. 測定原理 残響室に試料を入れた状態と入れない状態における残響時間を測定し,それらの残響時間
から,試料の等価吸音面積Aを算出する。
平面吸音材料の場合,試料の表面積SでAを除すことによって,吸音率を算出する。
試料が幾つかの同一の試験体からなる場合,個々の試験体の等価吸音面積は試験体の数でAを除すこと
によって算出する。
5. 測定装置 測定装置は,7.の要求事項に適合したものを使用する。
6. 残響室及び測定条件
6.1 残響室及び音場の拡散
6.1.1 残響室の容積 残響室の容積は,150m3以上とし,新設する場合は,200m3程度にする。
6.1.2 残響室の形状 残響室の形状は,次の条件を満足することが望ましい。
lmax<1.9V 1/3
ここに, lmax : 室の境界に内挿する最も長い直線の長さ(例えば,直方体
室の場合は長い方の対角線)
V : 室の容積
固有周波数の,特に低い周波数帯域での一様な分布状態を得るために,室の二つの寸法の比率が小さい
整数にならないようにする。

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A 1409 : 1998 (ISO 354 : 1985)
備考 非直方体室の床面に試料を設置した場合,内側に傾けた非鉛直壁によって,その結果は直方体
室で得られた結果によって良く一致する。
参考 不整形残響室の多い我が国では,上記備考に記述された実験的傾向は十分に確かめられていな
い。
6.1.3 音場の拡散 室内の音の減衰過程での音場は,十分に拡散させる。室の形にかかわらず,満足のい
く拡散状態を達成するために,一般に,静止つり下げ拡散板又は回転翼の使用が要求される(附属書A参
照)。
6.1.4 室の等価吸音面積 1/3オクターブバンドごとに測定した,試料を入れない状態における残響室の
等価吸音面積A1は,表1で与えられる値を超えないものとする。
表1 容積200m3の室の最大等価吸音面積
周波数 (Hz) 125 250 500 1 000 2 000 4 000
等価吸音面積 (m2) 6.5 6.5 6.5 7.0 9.5 13.0
室容積が200m3と異なる場合は,表1で与えられる値を (V/200)2/3倍する。
試料を入れない状態における残響室の等価吸音面積の周波数特性を示すグラフは滑らかな曲線になり,
1/3オクターブバンドでの両隣りの値の平均値から15%以上のピーク又はディップを生じないのが望まし
い。
6.2 試料
6.2.1 平面吸音材料
参考 平面吸音材料は,原国際規格のPlane absorbersを訳した用語で,6.2.2の個別吸音体に対して,
その投影面積で特定することができる吸音材料を総称する。
6.2.1.1 試料は,10m2と12m2の間の面積をもつものとする。室の容積が250m3よりも大きい場合には,
試料面積を (V/250)2/3倍する。
備考 非常に小さい吸音率の材料の試験では,測定される残響時間T1とT2(8.1.2参照)の間の有効
な差異を得るために,規定より大きい試料面積とすることが望ましい。
6.2.1.2 試料は,幅と長さの比率が0.71になる長方形にするのが望ましい。試料は室の境界面の任意の
端(縁又はへり又は辺)まで1mより近付くことがないように設置する。試料の端の辺は,室の最も近い
辺に平行にならないようにするのが望ましい。
6.2.1.3 試料は,製造業者が支給する関連仕様書,使用者が支給する適用詳細などに従って設置する。
試料を室の表面に直接設置する場合,試料の端は一般には長方形の断面で,かつ,厚さが2cm以下の反
射性の材料による枠によって,全体を確実に覆う。その枠は試料の表面より上にはみ出さないようにする
とともに,設置される室の表面にしっかりと密着させる。
例えば,つり天井をシミュレートして,試料の背後に空気層をとる場合は,空気層枠の側面は試料面に
対して垂直に構成し,空気層と試料の端の両方を覆い,かつ,十分反射性にする。
備考1. 試料を入れない状態における残響時間の測定は,枠及び/又は空気層枠がない状態で測定す
るのが望ましい。
2. 試料の背後に空気層をとる場合は,上記の方法の代わりに残響室の壁か床にくぼみを設けて
そこに試料を設置することができる。この方法は,規定された方法と同じ結果は得られない
可能性がある。
6.2.2 個別吸音体
参考 個別吸音体は,原国際規格のDiscrete sound absorbersを訳した用語で,6.2.1の平面吸音材料に

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A 1409 : 1998 (ISO 354 : 1985)
対して,面積で特定できない分離した吸音体を総称する。
6.2.2.1 例えば,いす,人間,吸音体などの個別の試験体は,試験に際してもそれらの実際の代表的な配
置方法と同じように設置する。例えば,いす又は自立するついたてなどは床の上に据え置き,それらはあ
らゆる他の境界に1m以上離して配置する。吸音体は,あらゆる境界又は拡散板から1m以上,かつ,マ
イクロホンからも1m以上離して設置する。
6.2.2.2 1m2以上で12m2を超えない程度の,測定し得る室の等価吸音面積の変化を与えるために,一つの
試料は,個々の試験体(通常は少なくとも三つ)の十分な数を用いるのが望ましい。室の容積が250m3よ
りも大きい場合は,それらの値は12 (V/250)2/3倍する。
通常,個別のものとして取り扱われる試験体は,2m以上離してランダムに配列するのが望ましい。試
料がただ一つの試験体からなっている場合,互いに2m以上離れた3か所以上で測定し,その結果を平均
するのが望ましい。
6.2.2.3 試料が連なった試験体(例えば,劇場いす,騒音吸収体)からなる場合,試験に際してそれらは
その配列どおりに設置する。人が座った座席の配列群として試験する場合は,配列の端は反射性の材料で
覆い,その囲いは1mの高さまでとするのが望ましい。他の場合は,囲いの高さは試料の高さに合わせる
のが望ましい。
6.2.3 カーテン 壁に沿って設置されるカーテンは,閉じてあれば平面吸音材料 (6.2.1) とし,また,開
けてあれば個別吸音体 (6.2.2) として取り扱う。前者の場合,試料の端は囲う必要がある。壁又は室の端
からの最小距離を1mとする要求事項は,カーテンの場合には適用しない。
6.3 温度及び相対湿度 室内の相対湿度は40%より大きいものとする。残響時間T1とT2(8.1.2参照)の
一連の測定の間,相対湿度と温度は可能な限り一定にし,少なくとも表2で与えられる環境を満たすこと
が望ましい。
表2 T1とT2の測定中の温度及び相対湿度の許容変化範囲
相対湿度の範囲 測定中の相対湿度の許容変化範囲 測定中の温度の許容変化範囲 測定温度の下限
4060% 3% 3℃ 10℃
>60% 5% 5℃ 10℃
試験を実施する前に,室内の温度と相対湿度と試料とが平衡状態になるようにするのが望ましい。
備考 8.1.2に従って算出される等価吸音面積Aに対して,空気の音響吸収係数を考慮して補正を適用
してもよいが,補正は等価吸音面積にして0.5m2を超えてはならない。残響室内の温度及び相
対湿度の変化に対する等価吸音面積及び吸音率の補正方法を附属書Eに示す。補正を行った場
合は,補正量を試験報告書に記載するのが望ましい。
7. 試験の手順
7.1 音の発生 残響室の中における音は,できる限り全指向性の放射パターンの一つ以上の数のスピー
カーによって発生する。300Hz以下の周波数帯域では,測定は音源を少なくとも2か所(少なくとも3m
離れて)に順次設置して,又は等価の複数の音源装置などによってなすものとし,その音源は,別個の(互
いに無相関な)ノイズ源によって駆動するのでなければ同時には音を発生しないのが望ましい。
試験信号は,少なくとも1/3オクターブの帯域幅の連続した周波数特性をもつ帯域制限ノイズによって
構成する。
減衰する前の定常励起信号のレベルは,7.2.2で規定している減衰曲線の読み取りを可能にするために,
暗騒音のレベルより十分高くする。

――――― [JIS A 1409 pdf 5] ―――――

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