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A 1481-5 : 2021 (ISO 22262-3 : 2016)
附属書D
(参考)
マトリックス質量低減法の効果
JIS A 1481-4に規定されたマトリックス質量低減法は,試料のマトリックスの削減だけでなく,バルク
建材中に含まれる一部の干渉鉱物の除去にも効果がある。
マトリックス質量低減効果を示す事例を,図D.1図D.3に示す。ここに示す事例は,アスベストセメ
ント平板及び吹付けロックウールに関するものである。
***複数プロット***
Chry : クリソタイル
Amo : アモサイト
粉砕試料
Ca : 方解石
(粉末試料ホルダーに充) F : フッ素樹脂
Zn : 標準金属基板(亜鉛)
残さ(渣)試料
(ろ過し,金属基底標準板に装着)
CuKα 2θ(°)
図D.1−吹付けロックウールのX線回折パターン
上段のチャートは,未処理の粉砕試料を粉体試料ホルダーに圧縮して収め,従来のX線回折測定機器を
使って得たものである。
下段のチャートは,100 mgの粉砕試料をぎ酸処理した残さ(渣)(14 mg)[残さ(渣)率 : 14 %]をPTFE
バインダグラスファイバーフィルタでろ過した後,亜鉛板に載せて測定したものである。
下段のチャートから分かるように,ぎ酸でマトリックスを削減した後は,方解石のX線ピークが消えて
“クリソタイルと思われるピーク数”が多くなりピーク強度が増し,小さな“アモサイトと思われるピー
ク”が見えるようになった。
クリソタイル及びアモサイトの定量値は,それぞれ2.7 %と0.2 %とであった。
――――― [JIS A 1481-5 pdf 41] ―――――
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A 1481-5 : 2021 (ISO 22262-3 : 2016)
計数値/秒
Chry: クリソタイル
Ca: 方解石
Q: 石英
Ma: 磁鉄鉱
Br: ブラウンミラライト
F: フッ素樹脂
(Zn: 亜鉛)
CuKα 2θ(°)
図D.2−吹付けロックウールのX線回折パターン
チャート(1)は,従来の粉末試料ホルダーに装着した粉砕試料。
チャート(2)は,10 mgの粉砕試料をPTFEバインダグラスファイバーフィルタでろ過し,ガラス板に取
り付けて測定したもの。
チャート(3)は,100 mgの粉砕試料[残さ(渣)率 : 16 %]をぎ酸処理した残さ(渣)試料から10 mgの
二次試料を採取し,PTFEバインダグラスファイバーフィルタでろ過し,亜鉛板に載せて/置いて(取り付
けて)測定したもの。
チャート(3)から分かるように,ぎ酸を用いたマトリックス質量低減法によって,吹付けロックウール中
の方解石及びブラウンミラライトが溶解し,“クリソタイルと思われるピーク”が増えていた。クリソタイ
ルの定量値は,0.7 %であった。
――――― [JIS A 1481-5 pdf 42] ―――――
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A 1481-5 : 2021 (ISO 22262-3 : 2016)
計数値/秒
Chry: クリソタイル
Ca: 方解石
CS: ケイ酸カルシウム
F: フッ素樹脂
Q: 石英
Ta: タルク
Ma: 磁鉄鉱
Ru: ルチル
(Zn: 亜鉛)
CuKα 2θ(°)
図D.3−アスベストセメント平板のX線回折パターン
チャート(1)は,従来の粉末試料ホルダーに装着した粉砕試料。
チャート(2)は,10 mgの粉砕試料をPTFEバインダグラスファイバーフィルタでろ過し,ガラス板に載
せて測定したもの。
チャート(3)は,100 mgの粉砕試料[残さ(渣)率 : 16 %]をぎ酸処理した残さ(渣)試料(16 mg)か
ら10 mgの二次試料を採取し,PTFEバインダグラスファイバーフィルタでろ過し,亜鉛板に載せて測定
したもの。
チャート(3)から分かるように,ぎ酸を用いたマトリックス質量低減法によって,アスベストセメント平
板中の方解石及びけい酸カルシウムが溶解し,“クリソタイルと思われるピーク”が増えていた。クリソタ
イルの定量値は,5.8 %であった。
――――― [JIS A 1481-5 pdf 43] ―――――
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A 1481-5 : 2021 (ISO 22262-3 : 2016)
附属書E
(参考)
X線回折法によるX線回折定量測定の不確かさの評価及び
典型的な検出限界の範囲
E.1 アスベストの検出限界
表E.1−典型的な検出限界[9,10,11,16]
クリソタイル
X線回折ピーク(反射) 12.1°(002) 24.3°(004)
範囲(g/cm2)a) 2.5 g5 g 5 g10 g
角せん(閃)石アスベスト
X線回折ピーク(反射) 約28.429.0°[310 c)]
約10.5°(110)[210 b)]
範囲(g/cm2) 2 g5 g 2.5 g5 g
注a) フィルタの有効面積は2 cm2。
注b) アンソフィライトに対して。
注c) クロシドライト(330)及びアンソフィライト(610)などアスベストの
タイプによって変化する。
E.2 不確かさの推定
異なる実験室で測定したデータを用い不確かさを推定する。これはISO 20988:2007の実験計画A7に基
づいたものである。
E.2.1 不確かさに関する統計的分析法
この方法の不確かさの計算に関する手順を表E.2に示す。これはISO 20988:2007のB.9を参照したもの
である。
――――― [JIS A 1481-5 pdf 44] ―――――
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A 1481-5 : 2021 (ISO 22262-3 : 2016)
表E.2−同じシステムの試験所間比較に関する不確かさ推定の要素
要素 手順
問題の特定
不確かさのパラメーター マトリックス中にクリソタイル量がy=0.1 mg/10 mg2.0 mg/10 mgの場合の標準不確
かさ。
マトリックス中にクリソタイル量がy=0.1 mg/10 mg2.0 mg/10 mgの場合の95 %拡張
不確かさ
実験計画 同じ測定システムの研究所間比較。
クリソタイルの未知だが一定の試験試料を,同じタイプの一つの測定システムを使っ
て,三つの各試験所で(K=3),5回(N=5)ずつ測定する。
入力データ j=1からN=5まで,及びi=1からK=3までの一連の測定値y(i,j)
参照値 1
K N
y (,)
yij
KN i 1j 1
追加情報 参照値yは,測定の真値の不偏推定値として扱われる。
代表性 一連の観察によって,試験室間の比較試験に参加した試験室間のばらつきが分かった。
参加した各試験室は,試験の前にX線回折装置の校正を独自に行っている。
データ処理
モデル式 (,)
ykj yai () (,)
eij
ここで,
残差偏差 (,)
ekj (,)
yij ()
yk
試験室の偏り ()
ai ()
yi y
N
試験室の平均 1
()
yi (,)
yij
N j1
2 2 2
分散式 y
var() uy() ua() ()
ue
再現性標準偏差 1
K
2
()
ue sr sk()
K i 1
試験所の標準偏差 1
N
sL (,)
ykj ()
yk
N 1j 1
試験所間のばらつき 1
K
()
ua ()
yk y
K i 1
参照値の標準不確かさ 1 2
()
uy ua()
K
不確かさ分析の結果
yの標準不確かさ 1
K
2
()
uy ()
yi y r ()
sy
K 1K 1
自由度数 v K−1
だからu(y) u(a)
包含係数 K0.95
K=2.0
yの拡張不確かさ U(y)=K0.95·u(y)
適用範囲 min (y)≦y≦max (y)
――――― [JIS A 1481-5 pdf 45] ―――――
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JIS A 1481-5:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 22262-3:2016(IDT)
JIS A 1481-5:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.040 : 気質 > 13.040.20 : 雰囲気
JIS A 1481-5:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISA1481-1:2016
- 建材製品中のアスベスト含有率測定方法―第1部:市販バルク材からの試料採取及び定性的判定方法
- JISA1481-4:2016
- 建材製品中のアスベスト含有率測定方法―第4部:質量法及び顕微鏡法によるアスベストの定量分析方法