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費用 許容範囲
(LQI基準)
限界安全性改善費用
限界破壊・破壊費用
意思決定パラメータ
図G.2−金銭的最適化の境界条件としてのLQI許容基準
G.1G.5では,人命リスクに関する制約条件に着目してきたが,箇条4で規定しているように,環境へ
のリスク,天然資源の利用,排出,予想する最大損失など,その他の制約条件についてもこの最適化の過
程で考慮することが可能である。
人命リスクをもたらさない構造物については,通常,設計及びアセスメントにおける決定は,純粋に経
済的な最適化の観点からしてもよい。しかし,実際には,そのような状況は存在するとしても極めてまれ
(稀)である。全ての構造物は,その供用期間の一部において,人命リスクをもたらす。
経済的観点から,ライフサイクルにおける最適化をする場合に考えられる人命喪失は,補償費用,すな
わち,SVSLとして考慮するべきである。人命の安全に関して必要な投資の制約条件を考える場合には,
SWTPを言及することが望ましく,すなわち,実装する設計戦略がSWTPと同程度の追加人命救助費用と
なっていることを示すべきである。SWTPを超える追加人命救助費用は,通常支払いが困難であるが,金
銭的最適化によって要求されるのであれば目標とすることも可能である(図G.2の安全性改善費用)。
G.2で記載したように,追加人命救助費用の原則は,ALARPの枠組みにおいて直接適用することが可能
である。特定の構造物及びプロジェクトを考えた個別の設計における決定において,この手順は明快であ
る。しかし,極めて重要なのは,ALARPの検証を,詮索及び不整合を避けるために管理した計画として
実施することである。
民間組織の側からの詮索を避けるためには,評価する人命救助に関する活動に関わる費用を最低限度に,
かつ,関係する民間組織において考えられる負の便益を取り除いて評価することを保証することが重要で
ある。負の便益が人命救助方策に関わる費用に含まれている場合,社会的費用に限定することが望ましい。
さらに,人命救助費用の評価においては,正味現在費用を計算するときに適用する参照時間は(コホート
生存率表が示す最長老の人を含み)100年程度とすることが望ましい。現状の規制要求は,一つの特定の
プロジェクト又は構造物に限ったものではなく,プロジェクト及び構造物の集合に対してのものであると
考えることを求めている。
表G.2に示される追加人命救助費用に基づき,追加人命救助費用の原則に従うような設計における決定
に対応する人命リスクを評価するパラメータスタディを行うことが可能である。そのようなパラメータス
タディを実施することで,追加人命救助費用の原則を,設計規格における人命の安全に関する信頼性受容
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規準の特定のために用いることが容易となる。パラメータスタディは,人命リスクを低減する費用を,設
計・建設費用という固定費用に対して変動させることで適切に実施することが可能である。さらに,結果
の重大性,不確定性,ばらつき,検討対象となる構造物に対する荷重及び耐力に関するその他の特徴に関
して異なる状況を想定して実施することが可能である。
G.5.2 受容可能な目標破壊確率の最大値
破壊事象が,次の限界状態関数[7]によって表される理想的な場合について,制約条件付き最適化問題を
表すことが可能である。
g=R−S (G.5)
ここに, R及びS : それぞれ耐力及び荷重を表す確率変数
意思決定パラメータpを,耐力の期待値と荷重の期待値との比(大域安全係数)と定義する。
E[S]
p (G.6)
E[R]
以上によって,いわゆるLQI許容基準は,次のように表すことが可能である。
dPf ( p) C1 (γSω) C1 (γSω)
≦ K1 (G.7)
dp g / qCxNF GxNF
ここに, C1 : 考慮される安全対策に関連する限界費用
最 社会を代表して意思決定する際の利率(すなわち,適切に選
ばれた経済成長率)
1年当たりの陳腐化率
NF : 構造物が破壊した場合の死者数の期待値
それ以外の用語は,G.4.2で定義されたとおりである。
不等式の右辺の分子C1( 最 大域安全係数pが単位量増加するときの年当たりの安全コストの増加
量を表す( 最 金調達費用, した場合の構造物の再建費用に解釈することが可能である。)。
分母は,構造物の破壊による人的結果NFに,追加で1人を救うためのSWTPを乗じることで貨幣単位に
変換されたものである。LQIに対して目標とする信頼性指標は,与えられたR及びSの確率モデルに対し
て定数K1の関数として導出される。
耐力及び荷重が両方とも対数正規分布に従い,R及びSの変動係数Vが0.1から0.3までの範囲であると
仮定すると,1年当たりの目標とする破壊確率が,式(G.7)中の定数K1の関数として求められる[3]。
表G.3−LQI許容基準に基づく基準期間を1年としたときの終局限界状態に対する
目標最小信頼性指標の暫定値
相対的な 定数K1の範囲 LQIに基づく
人命救助費用 目標信頼性
大 10−310−2 β=3.1 (Pf10−3)
中 10−410−3 β=3.7 (Pf10−4)
小 10−510−4 β=4.2 (Pf10−5)
目標とする破壊確率は,基本確率変数の変動係数が大きい場合には,5倍程度増加する可能性がある。
一方,小さい変動係数に対しては1/2倍程度減少する。
G.5.3 経済的最適化に基づく目標信頼性
JCSS [8]が出版した確率論的モデルコードは,経済的最適化に基づく様々な構造物等級に対する目標信頼
性指標の暫定値を提示している(表G.4参照)。目標信頼性指標を,リスク低減対策の費用及び破壊の場合
の結果の大きさの関数として与え,いずれも対象とする構造物の初期建設費用と関連して定義する。目標
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信頼性指標は構造物の破壊事象と関係し,そのため,部材の破壊から構造物の部分崩壊,完全崩壊に至る
破壊事象に対して,破壊の結果の大きさを調節し,用いることが可能である。一般に,構造システムの目
標信頼性指標[15]は,表G.4に示すように,安全のための費用及び破壊の結果の大きさに関係する可能性が
ある。
表G.4−LQI許容基準に基づく基準期間を1年としたときの終局限界状態に対する
目標信頼性指標の最小値の暫定値[8]
安全対策の 破壊の結果の重大性(表F.1に示す等級)
相対的費用 等級2 等級3 等級4
大 β=3.1 (Pf10−3) β=3.3 (Pf5×10−4)β=3.7 (Pf10−4)
中 β=3.7 (Pf10−4) β=4.2 (Pf10−5) β=4.4 (Pf5×10−6)
小 β=4.2 (Pf10−5) β=4.4 (Pf5×10−6)β=4.7 (Pf10−6)
表G.4に示す目標信頼性指標は,経済的最適化を補足するものと理解することが望ましく,人命安全の
リスクに関する問題において受容できない可能性もある。これについては,G.5.1及びG.5.2のように,常
に個別に確認することが望ましい。
表G.3及び表G.4に示す目標信頼性指標の背景にあるリスク低減の相対費用は同義ではないので,以下
においては,それぞれの結果の重大性等級に対して式(G.7)中の定数K1がリスク低減費用と建設費用との比
の関数として表G.4が与える信頼性指標と同じように計算することを示す。
表G.5には,異なるリスク低減策の相対費用(C1/C0)及び破壊時の結果の大きさ(NF)に対して,建設
費用C0の異なる2種類の構造物を例として,式(G.7)に基づき計算された定数K1の値を示す。表G.5の(a)
は,建設費用がC0=2 000 CHF(スイスフラン)/m2である典型的なスイスの事務所建物であり,死者数の
期待値NFは建物の床面積1 m2当たりで評価している。表G.5の(b)は,[例 橋りょう(梁)のような]総
建設費用がC0=10×106CHFである構造物に対するK1の値を示す。この場合,構造物全体に対して死者数
の期待値NFを評価しなければならない。さらに,両方の構造物の計算においては,年当たりの陳腐化率
g
として2 %,社会的利率 最地 ┰ 定している。1人を救助する人命に対するSWTP,
Gx Cx は,
q
5.1×106 CHFと設定する。
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表G.5−建設費用C0の異なる2種類のスイスの構造物に対する,安全対策の相対費用及び
破壊時の人的結果の関数としてのK1の値
(a) 事務所,C0=2 000 CHF/m2
NF/m2 C1/C0−安全の相対費用
0.001(小) 0.01(通常) 0.1(大)
0.000 1 2E-04 2E-03 2E-02
0.001 2E-05 2E-04 2E-03
0.01 2E-06 2E-05 2E-04
0.1 2E-07 2E-06 2E-05
(b) 橋りょう(梁),C0=10×106 CHF
NF C1/C0−安全の相対費用
0.001(小) 0.01(通常) 0.1(大)
0.1 1E-03 1E-02 1E-01
1 1E-04 1E-03 1E-02
10 1E-05 1E-04 1E-03
100 1E-06 1E-05 1E-04
K1の値は,安全コスト,破壊時の結果の大きさ及び人命の安全に対するSWTPに関する情報を含む。現
在,表G.5のK1の値に基づき,対応する目標信頼性指標の最小値を表G.4に求めることが可能である。死
者数の期待値が100人となる橋りょう(梁)において,安全対策の相対費用が0.01である場合には,係数
K1は10-5となる。表G.3から,対応する年当たりの目標信頼性指標の最小値βは4.2となる。
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JIS A 3305:2020の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 2394:2015(IDT)