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番号 用語 定義 対応英語(参考)
2.3 単振動, simple harmonic
独立変数の正弦関数で表される周期振動。次のように表される。
正弦振動 y Asin( t ) vibration ;
ここに, sinusoidal vibration
y : 単振動,A : 振幅, 角振動数,t : 独立変数,
替 振動の位相角
備考1. 単振動の極大値は,振幅Aである。
2. 二つ以上の正弦量の総和からなり,それらの振動数が
基本振動数の倍数である振動は,しばしば,複合振動
(complex vibration) ,多正弦振動と称される。この意味
で “complex vibration” という用語の使用は,好ましく
ない。
3. 準正弦振動は,見かけは正弦量であるが,振動数と振
幅の両方又は一方が,比較的緩やかに変化する。
2.4 不規則振動 random vibration
任意の時刻における大きさが正確に予測できない振動[不規則雑音
(2.7)参照]。
備考 不規則振動の大きさが与えられた範囲内にある確率は,
確率分布関数によって表される。
2.5 非定常振動 定常的でない不規則振動。 non-stationary
vibration
2.6 雑音, a) 不愉快な,望ましくない音。 noise
ノイズ b) 一般に不規則な性質をもち,そのスペクトルが明確な振動数成
分をもたない音又は信号。
備考 上記の定義を拡張して,雑音は,望ましくない,又は不
規則な性質の電気的な振動を含むことがある。もし,雑
音の性質があいまいならば,音響雑音,電気雑音のよう
な用語が使われるべきである。
2.7 不規則雑音 random noise
任意の時刻における大きさが正確に予測できない雑音[不規則振動
(2.4)とその備考参照]。
2.8 ガウス雑音 Gaussian random
瞬時値がガウス分布をもつような不規則雑音[ガウス分布(A.32)参
照]。 noise
2.9 ホワイトノイズ, white noise ;
問題としているスペクトルの全域にわたって,一定の周波数帯域幅
白色雑音, white random
(又は単位帯域幅)当たり,等しいエネルギをもつような雑音。
白色不規則振動 vibration
備考 白色不規則振動は,問題にしている周波数全域にわたっ
て,一定の二乗平均スペクトル密度をもつ[パワースペ
クトル密度(5.1)参照]。
2.10 ピンクノイズ, pink noise ;
帯域幅をその中心周波数に比例するようにとったとき,その帯域幅
ピンク不規則振 当たり一定のエネルギをもつような雑音。 pink random
動 備考 オクターブ帯域幅(又は1/nオクターブ帯域幅)のフィvibration
ルタを通してピンクノイズのエネルギスペクトルを作る
と振動数に無関係な一定値をとる。
2.11 狭帯域不規則振 narrow-band
ある狭い帯域幅の周波数成分だけをもつ不規則振動[不規則振動
動 (2.4) 参照]。 random vibration
備考1. 帯域幅が“狭い”という意味は,問題に応じて相対的
に決まるが,通常1/3オクターブ以下である。
2. 狭帯域不規則振動の波形は,振幅と位相とが不規則に
変化する正弦波の様相を呈する。
2.12 広帯域不規則振 broad-band random
振動数成分が広い周波数帯域に広がっているような不規則振動[不
動 規則振動(2.4)参照]。 vibration
備考 帯域幅が“広い”という意味は,問題に応じて相対的に
決まるが,通常1オクターブ以上である。
――――― [JIS B 0153 pdf 11] ―――――
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B 0153 : 2001
番号 用語 定義 対応英語(参考)
2.13 卓越振動数 スペクトル密度曲線において,最大値を示す振動数。 dominant frequency
2.14 定常振動 継続的な周期振動。 steady-state
vibration
2.15 過渡振動 定常又は不規則ではない振動。定常状態でない振動。 transient vibration
備考 この用語は,基本的に機械衝撃(3.1)と関連している。
2.16 強制振動 定常的な励振によって引き起こされる定常振動。 forced vibration
[oscillation]
備考1. 強制振動は,(線形系の場合)励振と同じ振動数をも
つ。
2. 過渡振動は,強制振動と考えられていない。
2.17 自由振動 励振又は拘束を除いた後に生じる振動。 free vibration ;
備考1. 系は,その固有振動数で振動する。 free oscillation
2. 多自由度系では,空間的に特定の固有振動モード(2.49
参照)の振幅分布で,また時間的には固有振動数(2.80
参照)で正弦振動する性質があり,これを“固有振動
(natural vibration) ”という。ただし1自由度系は,1質
点の運動なので,その固有振動は,固有振動数で正弦
振動するだけである。1自由度系の自由振動では,外乱
に応じてこの固有振動が現れる。線形多自由度系の自
由振動では,初期外乱の分布と時間変動に近い固有振
動モード及び固有振動数をもつ,一つ又は複数の固有
振動が重ね合わされて現れる。
3. 減衰をもつ振動系の自由振動を減衰自由振動 (damped
free vibration) という。
2.18 自励振動 self-induced
系の内部において,非振動的なエネルギが振動的エネルギへ変換さ
れておこる機械系の振動。 vibration ;
self-excited
備考 一般に系がもつ固有振動数に近い振動数で振動する。
vibration
2.19 周囲振動 ambient vibration
与えられた環境に関連するすべてを包含する振動。通常,遠く及び
近くの多くの振動源からの振動の合成である。
2.20 外来振動 問題としている主要な振動とは異なるすべての振動。 extraneous vibration
備考 周囲振動は,外来振動の大きさに影響する。
2.21 非周期運動 周期的ではない振動。 aperiodic motion
2.22 cycle (noun)
サイクル(名詞) 周期的な現象又は関数が,全く同じ状態を繰り返すまでにたどる状
態又は値の全範囲[サイクル(動詞)(2.101)参照]。
2.23 基本周期, fundamental
周期関数が同じ状態を繰り返すのに必要な独立変数の最小増加分
周期 [周期振動(2.2)参照]。 period ;
period
備考 あいまいさがなければ基本周期は,単に周期と呼ばれる。
2.24 振動数, 周期の逆数。 (cyclic) requency
周波数 備考 振動数の単位は,ヘルツ (Hz) であり,1秒当たり1サイ
クルに相当する。
2.25 基本振動数 a) 周期量については,基本周期の逆数。 fundamental
frequency
b) 振動系については,最も低い固有振動数。この振動数に対応す
る正規モードを,基本固有モードという。
――――― [JIS B 0153 pdf 12] ―――――
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B 0153 : 2001
番号 用語 定義 対応英語(参考)
2.26 (周期量の)調波 基本振動数の整倍数の振動数をもつ正弦量。 harmonic (of a
periodic quantity)
備考1. 倍音という用語は,しばしば調波の代わりに使われ,n
番目の調波は, (n−1) 倍音と呼ばれる。
2. 英語では,第1倍音及び第2調波は,基本振動数の2
倍の振動数をもつ。フランス語では,調波と倍音とを
区別せず,第2調波は,基本振動数の2倍の振動数を
もつ。“倍音”という用語は,周期量の成分を数える上
であいまいなため好ましくない。
2.27 分数調波 関係している量の基本周期の1/n(nは整数)の周期をもつ正弦量。 subharmonic
2.28 うなり beats
振動数がわずかに異なる二つの単振動を組み合わせたときに生じ
る振幅の周期的な変化。うなりは,振動数の差で起こる。
2.29 うなり振動数 振動数がわずかに異なる二つの振動の振動数の差の絶対値。 beat frequency
2.30 角振動数, 振動数の2 の量。 angular frequency ;
円振動数 circular frequency
備考 角振動数の単位は,単位時間当たりのラジアンである。
2.31 位相角, 独立変数のある値を基準として測られた,正弦振動の進み角。 phase angle ;
(正弦振動の)位 phase (of a
相 sinusoidal
vibration)
2.32 位相差, phase difference ;
振動数が等しい二つの周期振動の間のそれぞれの位相の差。正弦振
位相角差 動の場合には同じ原点から測った位相角の差。 phase angle
difference
2.33 振幅 正弦振動の極大値。 amplitude
備考1. この“振幅”という用語は,他の意味と区別するため
ベクトル振幅と呼ばれ,また全振幅と区別するため,
片振幅又は最大振幅と呼ばれることがある。全振幅は,
調和振動の全行程(変位の概念)又はp-p値と等しい。
“全振幅”と“片振幅”という用語の使用は,好まし
くない。
2. 振動理論では,正弦量の極大値を示す以外の目的で“振
幅”が使われることは,好ましくない。
2.34 ピーク値, peak value ;
振動量の与えられた時間の範囲における極大値[極大値(2.40)も参
照]。
正(負)のピーク peak magnitude ;
値 positive (negative)
備考 通常,振動する量のピーク値は,平均値からのその振動
peak value
の最大変化量をいう。正のピーク値は,正の最大変化量
であり,負のピーク値は,負の最大変化量である。
2.35 (振動の)p-p値 振動の与えられた区間内の極大極小間の代数差。 peak-to-peak value
(of a vibration)
2.36 行程, 変位のp-p値。 excursion ;
(振動の)全行程 total excursion (of a
vibration)
2.37 ピーク値のrms値に対する比[附属書A,A.37 : rms値参照]。
(振動の)クレス crest factor (of a
トファクタ, 備考1. 正弦波の波高率は,2である。 vibration) ;
波高率, 2. ピークファクタ (peak factor) ともいう。 peak-to-r. m. s. ratio
ピーク−rms比
2.38 form factor (of a
(振動の)波形率 二つの連続したゼロ点を通る半サイクルの平均値に対するrms値の
比。 vibration)
備考 正弦波の波形率は,2/ 2 =1.111である。
2.39 瞬時値, ある時刻における変化量の値。 instantaneous
値 value ;
value
――――― [JIS B 0153 pdf 13] ―――――
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B 0153 : 2001
番号 用語 定義 対応英語(参考)
2.40 極大値 maximum value
関数の値が独立変数のいかなる小さな変化によってでも減少する
とき,その関数の値。
2.41 最大値 maximum
独立変数のある与えられた区間において,関数の値が二つ以上の極
大値を含むとき,最も大きい極大値。
2.42 振動シビアリテ vibration severity
振動の大きさを記述する極大値,平均値,rms値又は他のパラメー
ィ タで表されるような値,若しくは一連の値の包括的な用語である。
瞬時値又は平均値に対しても使用できる。
備考1. 機械の振動シビアリティは,軸受又は取付台のような
機械の重要な点で測られた振動速度の最大のrms値で
定義される。
2. 振動の暴露時間が,振動のシビアリティを記述するパ
ラメータとして使われることがあるが,この用法は好
ましくない。
2.43 だ円振動 振動している点の軌跡がだ円の形である振動。 elliptical vibration
2.44 直線振動 振動している点の軌跡が直線である振動。 rectilinear
vibration ;
linear vibration
2.45 円振動 circular vibration
振動している点の軌跡が円の形である振動。これは,だ円振動の特
別な場合である。
2.46 節(ふし,せつ) 定在波の特性を表す量の振幅がゼロとなる点,線又は面。 node
備考1. 節の性質が明らかでない場合,適切な修飾語が使われ
るべきである。例えば,変位の節,圧力の節など。
2. 定在波の特性を表す量の振幅がゼロとなる点を節点
(nodal point) ,線を節線 (nodal line) ,面を節面 (nodal
surface) という。
2.47 腹(はら) 定在波の振幅が極大値であるような点,線又は面。 antinode ;
loop
備考 腹の性質が明らかでない場合,適切な修飾語が使われる
べきである。例えば,変位の腹,圧力の腹など。
2.48 振動モード mode of vibration
振動している系内の各点が特定の振動数に対して単振動(線形系の
場合)している場合,節及び腹からなる特有のパターン。
備考 多自由度系では,同時に二つ以上の固有振動モードが含
まれることがある。
2.49 固有振動モード natural mode of
系が一つの固有振動数で自由振動するときに現れる振動モード。
備考1. 系の固有振動がもつ振動振幅の空間的分布。 vibration
2. 系に減衰がなければ,固有振動モードは,正規モード
と等しい[正規モード(2.55)参照]。
3. 固有振動モードは,系の自由度の数だけ存在する。
4. 固有振動モードはしばしば単に固有モード (natural
mode, eigen mode) ともよばれる。
2.50 基本固有振動モ fundamental
系の最も低い固有振動数をもつ固有振動モード[基本振動数(2.25)
ード 参照]。 natural mode of
vibration
2.51 モード形 mode shape
機械系のある特定の振動モードの形は,振動の変位が最大になった
ときの変位分布によって与えられる。通常,モード形は,ある特定
の点における変位の大きさが特定の値をもつように正規化される。
備考 振動モード(2.48)と同じ意味で使われる場合が多い。
2.52 モード数 model numbers
系の正規モードがひと続きの整数で定義されるとき,これらの整数
は,モード数と呼ばれる。
――――― [JIS B 0153 pdf 14] ―――――
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B 0153 : 2001
番号 用語 定義 対応英語(参考)
2.53 連成モード coupled modes
一方の振動モードから他の振動モードへエネルギが移動できるよ
うな,互いに独立でなく影響し合う振動モード。
備考1. 線形系では各固有振動モードは,独立で連成しない。
系のパラメータが変化すると,変化後の固有振動モー
ドは,変化前の固有振動モードが連成し合うように観
測される。
2. 二つ以上の振動系が結合されることによって,互いに
影響し合う振動を連成振動 (coupled vibration) という。
2.54 非連成モード uncoupled modes
一方の振動モードから他の振動モードへエネルギが移動すること
がなく,他のモードと同時に,互いに独立系に存在することができ
る振動モード。
2.55 正規モード 不減衰機械系の固有振動モード。 normal mode
備考1. 系の運動は,関係するそれぞれの正規モードの運動の
総和からなる。
2. natural mode,characterstic mode及びeigen modeという
用語は,不減衰系においては正規モードと同義である。
2.56 波動, wave
媒体の物理的状態の変化で,それは媒体の物理的特性によって媒体
波 に伝搬される。
備考 変動を表す量は,媒体の任意の点においては時間の関数
であり,また任意の時間において,位置の関数で表され
る量。
2.57 波列 wave train
通常ほぼ周期的で,同じ(又はほぼ同じ)速度で移動している,限
られた数の連続した波。
2.58 wavelenghth (of a
(周期的な波の) 1周期離れた相次ぐ2点間を波面に対して垂直な伝搬方向に測った
波長 距離。 periodic wave)
2.59 圧縮波 弾性媒体に伝搬される圧縮又は引張応力の波動。 compressional wave
備考 圧縮波は,通常縦波である[縦波(2.60)参照]。
2.60 縦波 longitudinal wave
波の運動によって引き起こされる変位の方向が,伝搬の方向と平行
な波動。
2.61 せん断波 弾性媒体を伝搬するせん断応力の波動。 shear wave
備考1. せん断波は,通常横波である[横波(2.62)参照]。
2. せん断波は,体積の変化を伴わない。
2.62 横波 transverse wave
波面に対して垂直に伝搬される,媒体の要素の変位の方向が伝搬の
方向と垂直な波動。
2.63 波面, wave front
a) 空間における進行波では,ある瞬間に同じで位相をもつ点の軌
波先 跡からなる連続した面。
b) 進行している表面波では,ある瞬間に同じで位相をもつ点の軌
跡からなる連続した線。
2.64 平面波 波面が平行な平面になっている波動。 plane wave
2.65 球面波 波面が同心球面となっている波動。 spherical wave
2.66 定在波 standing wave
空間的に固定された一定の振幅分布をもつ周期的な波動で,同じ振
動数とで同じ種類の進行波の干渉の結果生じる。
備考1. 定在波は,同じ振動数と種類の逆方向に進行する波の
重ね合せの結果であると考えることができる。
2. 定在波は,節及び腹の位置が固定されていることが特
徴である。
2.67 可聴周波数, 通常,可聴音波のあらゆる周波数。 audio frequency
AF 備考 一般に可聴周波数は,2020 000Hz。
――――― [JIS B 0153 pdf 15] ―――――
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JIS B 0153:2001の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 2041:1990(MOD)
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- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.160 : 振動,衝撃及び振動の測定
- 01 : 総論.用語.標準化.ドキュメンテーション > 01.040 : 用語集 > 01.040.17 : 度量衡及び測定.物理的現象(用語集)