JIS B 0684-2:2019 製品の幾何特性仕様(GPS)―平面度―第2部:仕様オペレータ | ページ 2

4
B 0684-2 : 2019
附属書A
(参考)
調和解析
A.1 調和成分
有限長の信号は,フーリエ級数によって調和成分(正弦波成分ともいう。)に分解できる。フーリエ級数
は,波長が基本波長の整数分の1の調和成分からなる。基本波長は,対象とする信号の長さに等しい波長
であり,第1次調和成分という。波長が基本波長の1/2の調和成分は,第2次調和成分,波長が基本波長
の1/3の調和成分は,第3次調和成分という(図A.1参照)。n番目の調和成分は,基本波長をn等分した
波長をもつ調和成分である。
a) 第1次調和成分
b) 第2次調和成分
c) 第3次調和成分
図A.1−調和成分
A.2 エイリアシング及びサンプリングの定理
デジタル化されたデータが原信号を適切に表すためには,サンプリング間隔に配慮する必要がある。帯
域制限された信号に含まれる調和成分には,最短次又は最高次の調和成分が存在する。サンプリングの定
理は,次のように最短波長と最大サンプリング間隔との関係を表している。
− 与えられた波長より短い波長が無限長の信号に含まれていない場合には,与えられた波長の半分以下
の等間隔にとったデータによって原信号が再現できる。
厳密には,サンプリングの定理は,無限長の信号に適用するが,有限長であっても存在し得る最短波長

――――― [JIS B 0684-2 pdf 6] ―――――

                                                                                              5
B 0684-2 : 2019
の半分よりも短いサンプリング間隔というサンプリングの定理は,有効である。
注記1 一般に,サンプリング間隔は,対象とする最短波長の1/4以下にすることが多い。
− サンプリング間隔がサンプリングの定理で定まる値より大きい場合には,デジタル化した信号は,エ
イリアシングによる影響を受ける。エイリアシングとは,サンプリング間隔が大きいために,短い波
長の調和成分が長い波長の調和成分として現れる現象(エイリアス信号という。)である(図A.2参照)。
このような場合には,高次の調和成分は,低次の調和成分となって現れるので,その後の解析に影響
する。
a b
c
a 原信号
b エイリアス信号
c サンプリング間隔
注記 この図は,サンプリング間隔がサンプリングの定理による値より大きすぎる場合を示す。
図A.2−エイリアシング
− 実際には,多くの測定機において,エイリアシングを抑制するために,測定子先端形状によるフィル
タリング効果,アナログフィルタ,デジタルフィルタ及びこれらの組合せが利用される。位相補償ロ
ーパスフィルタを適用した信号では,サンプリングの定理によって,次のように最大サンプリング間
隔を定める。
− 位相補償ローパスフィルタの振幅伝達率が,0.02 %となる波長よりも短い調和成分を無視してよい場
合には,サンプリングの定理によると,サンプリング間隔は,カットオフ波長の1/7以下となる。
注記2 位相補償ローパスフィルタとは,ガウシアンローパスフィルタをいう。
A.3 平面形体の調和成分
調和解析における各測得方式の特性について,次に示す。
a) 長方形格子状プロービング方式 この方式の特徴は,直交する方向に沿ったデータ密度が高いことで
ある。平面形体全体にわたって高密度なデータが得られる方式ではないが,直交する方向の調和成分
を評価することができる。そのために,この方式は,長方形の平面全体を評価する場合に適用するこ
とを推奨する。
b) 円形格子状プロービング方式 この方式の特徴は,半径方向及び円周方向に沿ったデータ密度が高い

――――― [JIS B 0684-2 pdf 7] ―――――

6
B 0684-2 : 2019
ことである。平面全体にわたる高密度なデータが得られる方式ではないが,半径方向及び円周方向の
調和成分を評価することができる。そのために,この方式は,円形の平面全体を評価する場合に適用
することを推奨する。
c) 三角形格子状プロービング方式 この方式の特徴は,三角形格子の方向に沿ったデータ密度が高いこ
とである。平面全体にわたる高密度なデータが得られる方式ではないが,三角形格子方向又は三方向
の調和成分を評価することができる。そのために,この方式は,長方形格子式及び極座標格子式に代
わって平面全体を評価する場合に適用することを推奨する。
d) ユニオンジャック状プロービング方式 この方式は,平面全体にわたるプロービングではないが,ユ
ニオンジャックの模様を表す方向に沿った調和成分を評価することができる。得られる平面度曲線は,
少数であり,広い表面をサンプリングするわけではないので,長い波長成分を無視できる場合に,プ
ロービングの時間短縮のために用いる。表面の波長成分が事前に分からない場合には,長方形格子状
プロービング方式,円形格子状プロービング方式,三角形格子状プロービング方式を推奨する。
e) 平行プロービング方式 この方式の特徴は,一方向に沿ったデータ密度が高く,一方向に偏った多く
の調和成分の情報を含むことになる。そのために,この方式は,ある一方向に高次の調和成分をもつ
場合に限って適用することを推奨する。
f) ランダムプロービング方式 この方式のデータ密度は,一般にa) e)に記載の方式よりも低い。その
ため,平面形体の調和成分を評価する能力は低く,フィルタ処理も困難である。そのため,この方式
は,パラメータのおおよその推定値だけを必要とする場合に限って推奨する。

――――― [JIS B 0684-2 pdf 8] ―――――

                                                                                              7
B 0684-2 : 2019
附属書B
(参考)
測得方針
B.1 一般事項
平面形状を確実に評価するためには,測定箇所を適切に選択しなければならない。妥当な測得方針を決
定するには,含まれる調和成分が最も重要になる。また,これらの調和成分によって,理論上必要な最小
測得点密度が決まる。
実際には,与えられた平面形体を理論上の最小測得点密度によって完全に表現することは困難である。
このような状況では,平面形状の評価に関わる全体的な情報ではなく,限定された一部の情報を取得する
測得方針が採られる。この測得方針を具現化する方式として,次のような測得方式が挙げられる。
− 長方形格子状プロービング方式
− 円形格子状プロービング方式
− 三角形格子状プロービング方式,ユニオンジャック状プロービング方式などの特殊な格子状方式
− 平行プロービング方式
− ランダムプロービング方式
上記のいずれの測得方式も,平面のほんの一部のサンプル点を得るにすぎない。したがって,ある評価
を目的として,平面形体を表すのに妥当なデータセットを取得したとしても,異なる測定装置,特殊な測
得方式の実施などの影響で測定結果に差異が生じることがある。各測得方式における調和成分については,
その活用方法に関する幾つかの提言とともにA.3に記載した。
B.2 長方形格子状プロービング方式
格子を形成するように,二つの直交した方向に等間隔に配置した直線で構成する方式(図B.1参照)。
B.3 円形格子状プロービング方式
原点を中心として等間隔に分割した同心円上の輪郭と,等角度に分割した放射状の直線とで構成する方
式(図B.2参照)。
B.4 三角形格子状プロービング方式
お互いに60°の角を成すように配置した,三角形格子の三方向の直線で構成する方式(図B.3参照)。
B.5 ユニオンジャック状プロービング方式
ユニオンジャックの模様に配置した縦横三直線の長方形格子と二つの対角線とで構成する方式(図B.4
参照)。
B.6 平行プロービング方式
一方向に等間隔に並ぶ,平行な直線で構成する方式(図B.5参照)。

――――― [JIS B 0684-2 pdf 9] ―――――

8
B 0684-2 : 2019
B.7 ランダムプロービング方式
平面上のランダム,又はある特定様式の位置から構成する方式(図B.6参照)。
図B.1−長方形格子状プロービング方式
図B.2−円形格子状プロービング方式
図B.3−三角形格子状プロービング方式
図B.4−ユニオンジャック状プロービング方式

――――― [JIS B 0684-2 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS B 0684-2:2019の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 12781-2:2011(MOD)

JIS B 0684-2:2019の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 0684-2:2019の関連規格と引用規格一覧