JIS B 1045:2001 締結用部品―水素ぜい化検出のための予荷重試験―平行座面による方法 | ページ 2

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B 1045 : 2001 (ISO 15330 : 1999)
1 上板
2 充てん板(長いボルト,ねじ又は植込みボルト用)
3 下板
4 頭部に置き代わるナット
注(1) IS B 1001による1級のボルト穴径
図1 ボルト,ねじ及び植込みボルト用の試験装置
1 皿穴をもつ上板
2 下板
図2 平たんな座面をもたないボルト及びねじに対する試験装置の例

5.2 スレッドローリングねじ,タッピンねじ及びドリルねじ

 スレッドローリングねじ,タッピンねじ
及びドリルねじ用の装置は,それぞれISO 7085,JIS B 1055又はJIS B 1059にある対応するねじ込み試験
で指定するような機械的性質をもつ鋼で造られ,あらかじめねじ切りされた板からなる(図3参照)。板を
保護するために,硬さ区分300HVの適切な座金をねじの頭部下に用いてもよい。板の最小厚さは,1d(d
は,ねじの呼び径)とする。その他すべての要求事項は,ボルト,ねじ及び植込みボルトに対するものと
同じである(5.1参照)。
備考 かみ合うねじのタッピングをするのに十分な長さをもっている場合には,タップを使用する代

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わりに,試験するねじを該当する規格(上記参照)に従った径をもつ穴にねじ込むことによっ
てあらかじめタップすることができる。めねじが完成した後,ねじ込みを続けるのに必要とす
るトルクは,極端に減少し,締付け工程が始まらない限りは増加しない。
長いねじの試験に対しては,平行で,かつ,研削された面をもつ1枚又は複数の鋼板を充てん板として
使用してもよい。板にある穴の直径は,ねじの呼び径より10%を超えて大きくてはならない。
1 充てん板(長いねじ用)
2 ねじ切りされた板
注(2) 図3 スレッドローリングねじ,タッピンねじ又はドリルねじに対する試験装置

5.3 座金組込みねじ

 座金組込みねじに対する試験は,5.1又は5.2に規定する適切な装置を用いて実施
する。

5.4 ナット

 ナットは,広がることで座面部分に引張応力を受ける可能性があることを認識するのがよ
い。このことは,普通のナットばかりでなく,フランジ付きナット又はその他普通でない形のナットにつ
いても適用することができる。したがって,ナットの試験は,製造業者と加工業者との間で同意すること
を考慮しなければならない。
試験用ナットの装置は,5.1の規定と同じである。

5.5 ばね座金

 数枚のばね座金を,ばね座金の呼び径に応じた呼び径のボルトに組込む。試験するばね
座金を平座金と交互に組込む。平座金の硬さは,40HRC以上とし,試験するばね座金より大きい硬さでな
ければならない。
皿ばね座金の試験は,図4に示すような組合せで行う。
座金を組み込んだものは,ばね座金が平らになるのに十分な荷重が生じるまで締付ける。

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図4 皿ばね座金用の試験装置

6. サンプリング

 工程管理に対して,サンプリング計画は,製造業者と工程の特定の段階における責任
ある当事者(例えば,熱処理又は表面処理をする人)との同意又は会社の責任のある部門間の同意のもと
で行う。このサンプリングは,各製造バッチから選択する。
サンプルの部品は,補助的な拡大なしに目視によるき裂について検査する。

7. 試験手順

7.1 潤滑

 ボルト,ねじ,植込みボルト及びナットは,試験の信頼性を高めるために,試験前に潤滑を
施すものとする。
備考 適切な潤滑(例えば,油又は硫黄を含まない任意の潤滑剤)によって,より均一な摩擦係数が
得られる。
さらに,潤滑剤を用いることによって,より低いねじり力でより高い引張荷重が得られるよ
うになる。

7.2 予荷重の負荷

 この試験を行うときには,十分な注意を払うのがよい。ぜい化した締結用部品は,
突然破壊して重大な傷害を引き起こすことがある。そのため,この傷害を避ける防御物又はその他適切な
装置を用意することが望ましい。
最大締付け速度は,0.33sec−1 (20rpm) とする。

7.2.1 ボルト,ねじ,植込みボルト及びナット

 ボルト,ねじ又は植込みボルトは,対応するナットと組
合せ,適切なトルクレンチで降伏点まで締付ける。降伏点までの締付けは,次のようないろいろな手法で
達成できる。
− トルク・角度のこう配を監視する,又は,
− 前もって決定されたトルクで締付けてから,前もって決定された角度だけ回転させる。
試験に用いるナットは,同一製造ロットのものとし,そのロットは,めっきの有無は問わないが,均質
のものでなければならない。
ナットは,対応するボルト又はねじに組合せ,降伏点まで締付ける。試験に用いるボルト又はねじは,
同一製造ロットのものとし,そのロットは,めっきの有無は問わないが,均質のものでなければならない。
予荷重の負荷手順は,次による。

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a) 5個のボルト又はねじを試験板にはめ込み,ナットを試験板の表面に着座するまで組み付ける。
b) 組み付けられたものを,個々の降伏点まで締付ける。締付けは,試験を行う者の判断でナット側,ボ
ルト又はねじの頭部側で実施することができるが,試験するすべての締結用部品で同じでなければな
らない。
c) 5個の締結用部品の,組付けの降伏点におけるトルク値を記録し,その平均値と最大・最小値の差を
計算する。この差が平均値の15%より小さければ,その平均値が指定されたサンプル(6.参照)に対
する試験トルクとする。15%を超える差の場合は,その指定された数の締結用部品は,それぞれ個々
の降伏点まで締付ける。
d) 指定された数の締結用部品を,a) c)に従って,試験締付けトルク又は個々の降伏点まで締付ける。

7.2.2 スレッドローリングねじ,タッピンねじ及びドリルねじ

 スレッドローリングねじ,タッピンねじ
又はドリルねじは,5個のねじについての試験から得られた破壊トルクの最小値の90%まで,適切なトル
クレンチで締付ける。締付けの手順は,次による。
a) 試験板の中に5個のねじを(できる限り平座金を入れて),その板に頭部が着座するまでねじ込む。
b) ねじをそれぞれの破壊トルクまで締付け,その値を記録する。その値の最小値をとり,指定されたサ
ンプル(6.参照)に対する試験締付けトルクを設定するために,その値に0.9を乗じる。5個のねじか
ら得られた最大と最小の破壊トルクの差は,最小値の15%を超えてはならない。
備考 その差が15%を超えたときは,この試験では水素ぜい化を検出できないことがある。
頭部形状又は締付け形状(十字穴,すりわり又は浅い十字穴)の関係で,ねじの破壊点までの締付
けを妨げるならば,試験締付けトルクは,最小の伝達トルクの90%とする。
c) 指定された数の締結用部品をb)に従って試験締付けトルクまで締め付ける。

7.2.3 ばね座金

 予荷重の負荷手順は,次による。
a) 5.5で規定するように,試験ボルトにばね座金を入れ,試験ナットを1番目の座金に着座するまでねじ
込む。
b) 組み込んだものを,ばね座金が平らになるまで締付ける。

7.3 参考試験

 応力が働いたり又は試験の最中でのき裂,頭部の分離又は締結用部品の破壊の発生は,
必ずしもめっき工程に起因する水素ぜい化によるものとは限らない。めっきなしの締結用部品の試験(参
考試験)は,ぜい性破壊を引き起こす製造工程の他の段階かどうかの指摘を与えることができるだろうし,
また,断言できるかもしれない。
参考試験のためのサンプリングは,6.で述べたように,受渡当事者間で同意しなければならない。試験
手順は,7.2.17.2.3による。

7.4 試験開始に対する時間

 予荷重試験の感受性は,試験開始の時間に左右される。したがって,この
試験はできるだけ早く行うのがよく,なるべくなら調査の対象となる製造工程の段階から24時間以内に実
施するのが望ましい。
備考 直ちに試験を行うことで,容易に発見可能な水素ぜい化が存在した場合,数日又は更に1週間
かそれ以上の試験開始時間の延長は,水素ぜい化の検出を著しく減らすであろう。

7.5 試験中の再締付け

 試験継続時間は,48時間とする。締結用部品は,少なくとも24時間ごとに試験
締付けトルク又は初期荷重まで再締付けを行う。トルクの損失が,少なくとも一つの締結用部品に対して,
50%以上あるならば,同じ締結用部品を用いて,試験を再び行う。
試験の完了に先立って,最後の再締付けを行う。最後の再締付けに先立って,ねじにかみこまれている
部分に破壊が起きているかどうか確認するため,締結用部品を,おおよそ1/2回転ねじ戻す。

――――― [JIS B 1045 pdf 9] ―――――

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8. 試験の評価

 予荷重試験の後,補助的な拡大なしに部品を検査する。この試験に合格するためには,
試験をしたどの締結用部品にも目視によるき裂や破壊があってはならない。

9. 試験報告書

 試験報告書には,次のことを明記する。
a) この規格の番号,すなわちJIS B 1045
b) バッチ又はロットの識別
c) 試験した締結用部品の数量
d) 調査をした工程名
e) 再締付けの回数とその時期
f) 試験持続時間
g) 実施しているならば,参考試験において破壊又は明白に破損した締結用部品の数量
h) 工程試験において破壊又は明白に破損した締結用部品の数量
i) 製造工程又は加工段階の最終と試験開始との間の時間(もし,分かるなら)

文献

[1] ISO 9587 : 1999, Metallic and other inorganic coatings−Pretreatments of iron or steel to reduce the risk of
hydrogen embrittlement.
JIS B 1045 原案作成委員会 構成表
氏名 所属
(委員長) 吉 本 勇 東京工業大学名誉教授
(幹事) 田 中 誠之助 株式会社佐賀鉄工所
田 原 一 株式会社佐賀鉄工所
(委員) 大橋宣俊 湘南工科大学
根 本 俊 雄 東京大学大学院
穐 山 貞 治 経済産業省産業技術環境局
橋 本 進 財団法人日本規格協会
田 中 俊 英 トヨタ自動車株式会社
高 木 潔 日産自動車株式会社
来 住 健 いすゞ自動車株式会社
八 賀 聡 一 社団法人日本工作機械工業会
篠 崎 晴 巳 株式会社アズマネジ
直 井 学 メイラ株式会社
鈴 木 孝 昌 株式会社青山製作所
岩 崎 幸 和 日本パワーファスニング株式会社
安 斎 克 茂 株式会社朝日メッキ
小 林 満 有限会社小林鍍金工業所
(事務局) 中 村 智 男 日本ねじ研究協会
(文責 田原 一)

JIS B 1045:2001の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 15330:1999(IDT)

JIS B 1045:2001の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 1045:2001の関連規格と引用規格一覧