JIS B 1562:2009 転がり軸受―損傷及び故障―用語,特性及び原因 | ページ 6

24
B 1562 : 2009 (ISO 15243 : 2004)
A.2.2.7 内輪軌道に斜めに走るフレーキング
故障原因
運転中のミスアライメント。
軸のたわみ。
軸及びハウジングなどの肩の直角度不良。
対策
軸受形式が適切であるか確認する。
ミスアライメントをなくすか,ミスアライメントが
許容できる軸受を選定する。
軸のたわみを小さくする。
軸及びハウジングなどの肩の直角度を確認する。
A.2.3 摩耗
A.2.3.1 ころ端面の(凝着)摩耗
故障原因
ころ端面での過大アキシアル荷重及び/又は潤滑不
良。
(焼付きによるころ端面の凝着摩耗を拡大写真に示
す。凝着に比べて損傷の程度がより軽微なスミアリ
ングを図9に示す。)
対策
潤滑を改善する。
ころ端面とつばとの間の接触面圧及び潤滑条件に最
適な軸受を選定する。
A.2.3.2 円すいころ軸受の(アブレシブ)摩耗
故障原因
異物が混入した潤滑剤。
(ころ端面の接触面が摩耗する。摩耗状態を写真に
示す。)
対策
潤滑の清浄度を高く維持できるように改善する。

――――― [JIS B 1562 pdf 26] ―――――

                                                                                             25
B 1562 : 2009 (ISO 15243 : 2004)
A.2.3.3 軌道のスミアリング
故障原因
不適切な装置設計,軸受選定及び運転。
極軽荷重での回転。
保持器/転動体組合せ品への過大慣性力(高加速
度)。
無負荷状態での振動。
軸の動的バランス不良。
潤滑不良。
[軸受の軌道に発生したスミアリング(スキッディ
ング)を写真に示す。]
対策
軸受の選定,特に軸受の小形化を再検討する。
無負荷での試験運転を実施する場合は,なじみ運転
を十分に行う。
振動を制御する。
適切な潤滑剤を選定する(粘度,組成,添加剤)。
注記 “なじみ運転”とは,音又は温度などで判断
できる回転状態が,安定,改善するまでの短
時間の運転をいう。
A.2.3.4 つばの摩耗,ころ端面とつばのスミアリング
故障原因
潤滑不足を伴う過大アキシアル荷重。
軸の過大変位。
軸受の位置決め不良。
組込み面の直角度不良。
対策
軸受の使用条件を見直す。
A.2.3.5 外輪軌道のバニッシング
故障原因
潤滑剤選定不良又は潤滑量不足。
(軌道面は,しばしば鏡面になる。)
対策
適切な粘度の潤滑剤を選定する。
十分な潤滑剤を供給する。
給油間隔を見直す。

――――― [JIS B 1562 pdf 27] ―――――

26
B 1562 : 2009 (ISO 15243 : 2004)
A.2.3.6 軌道,つば及びころの重摩耗
故障原因
過大荷重。
潤滑不良。
対策
荷重及び潤滑条件を確認する。
運転条件に合った適切な軸受を選定する。
A.2.3.7 関連部品との摩擦による軸受側面のスクラッチング/摩耗
故障原因
しめしろ不足と関連部品のゆるみ。
[損傷としては,内輪クリープによる接触側面の円
周上のスクラッチング及び摩耗。同様に軸の曲がり
又は関連部品がゆるんだときに作用する振動で,フ
レッチング(コロージョン)のような摩耗を引き起
こす。]
対策
適切なはめあいを選定し,より強く軸方向に締め付
ける。
荷重と振動に関する使用条件を確認する。
A.2.3.8 発熱,転走面の変色及び溶融
故障原因
潤滑不良。
荷重及び速度に対して運転すきまが過小。
過大荷重。
(これらの原因によって温度が上昇し,表面硬さが
低下する。保持器からの摩耗粉が圧延され,軌道に
付着する。運転を継続すれば,致命的な故障が発生
する可能性がある。)
対策
適切な潤滑剤及び潤滑量の確認をする。
適切なラジアル内部すきまを選定する。
軸受の選定を再検討する。

――――― [JIS B 1562 pdf 28] ―――――

                                                                                             27
B 1562 : 2009 (ISO 15243 : 2004)
A.2.3.9 保持器ポケット及び玉の摩耗(はちまき状のすじ)
故障原因
過大荷重。
潤滑不良。
予圧不良。
(保持器ポケットに侵入した硬い粒子による,はち
まき状のすじが発生する。)
対策
軸受の選定(特に保持器形式)及びラジアル内部す
きまを再検討する。
潤滑を改善する。
A.2.3.10 焼付きを伴う保持器ポケットの摩耗
故障原因
すきま不足又はミスアライメントによる転動体の異
常な動き。
過大振動。
潤滑不良。
軸受選定不良。
組込不良。
対策
荷重及び組込み状態を確認する。
適切なすきま及び潤滑を選定する。
軸受及び保持器形式の選定を再検討する。
A.2.3.11 スラスト玉軸受の保持器ポケットの摩耗及び保持器破壊
故障原因
玉の遠心力過大。
高速回転でのアキシアル荷重不足。
対策
必要最小アキシアル荷重を設定する。
製造業者の定める最大許容速度を考慮する。
適用可能ならば,(定圧)予圧を設定する。

――――― [JIS B 1562 pdf 29] ―――――

28
B 1562 : 2009 (ISO 15243 : 2004)
A.2.3.12 軌道面及びころ転動面の軸方向すりきず
故障原因
組込不良又はラジアル内部すきま不良。
(保持器付きころを,回転させずに傾いて組み込む
ことによって起こる,軌道面及びころ転動面のすり
きず。不適切なラジアル内部すきまの場合も,同様
な損傷を起こす。)
対策
保持器付きころを,傾けて組み込まない。
可能ならば,保持器付きころをゆっくりと回転させ
ながら組み込む。
ラジアル内部すきまが適正かどうかを確認する。
A.2.4 腐食
A.2.4.1 湿潤環境での腐食
故障原因
水の浸入又は不十分な潤滑。
(水分の浸入又は不十分な潤滑による円筒ころ軸受
軌道輪の深いさびを写真に示す。)
対策
密封性を改善する。
さび止め性の優れたグリース又は油を使用する。
A.2.4.2 未使用軸受の腐食
故障原因
取扱い不良又は不十分なさび止め。
(不適切な保管及び取扱い又は不十分なさび止めに
よる未使用軸受のさびを写真に示す。)
対策
一定温度で低湿度の乾燥した場所で保管する。
軸受組込み直前に開こんする。

――――― [JIS B 1562 pdf 30] ―――――

次のページ PDF 31

JIS B 1562:2009の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 15243:2004(IDT)

JIS B 1562:2009の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 1562:2009の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISB0104:1991
転がり軸受用語