この規格ページの目次
4
B 1562 : 2021 (ISO 15243 : 2017)
5 故障モード
5.1 転がり接触疲労 5.1.2 内部起点疲労
5.1.3 表面起点疲労
5.2 摩耗 5.2.2 アブレシブ摩耗
5.2.3 凝着摩耗
5.3 腐食 5.3.2 湿分腐食
5.3.3 摩擦腐食 5.3.3.2 フレッチング
5.4 電食 5.4.2 過大電流による電食 5.3.3.3 擬似ブリネル圧痕
5.4.3 電流漏れによる電食
5.5 塑性変形 5.5.2 過大荷重による塑性変形
5.5.3 異物による圧痕
5.6 亀裂及び破壊 5.6.2 強制破壊
5.6.3 疲労破壊
5.6.4 熱亀裂
図2−故障モードの分類
5 故障モード
5.1 転がり接触疲労(rolling contact fatigue)
5.1.1 一般
転がり接触疲労は,転動体と軌道面との接触部に発生する繰返し応力によって生じ,材料組織(微小組
織)の変化を伴い,結果として表面又は微小組織のスポーリング(フレーキング)として現れる。
なお,故障モードの名称の後の括弧内は,対応国際規格が採用する用語を示す。
注記 スポーリングとフレーキング(離)とは,同義語である(A.4参照)。
5.1.2 内部起点疲労(subsurface initiated fatigue)
ヘルツ理論によると転がり接触における繰返し荷重の影響下では,材料組織の変化が生じ,軸受にかか
る荷重,運転温度,材料並びにその清浄度及び内部組織によって,異なる表面下のある深さ及び位置で微
――――― [JIS B 1562 pdf 6] ―――――
5
B 1562 : 2021 (ISO 15243 : 2017)
小亀裂が発生する。その微小亀裂の発生は,軸受用鋼中の非金属介在物が原因であることが多い。
材料組織の変化は,金属学的調査(A.3参照)で発見可能な場合があり,微小亀裂が進展し,表面に達
するとスポーリング(フレーキング)が生じる(図3及び図4参照)。
図3−深溝玉軸受の初期の内部起点スポーリング(フレーキング)−内輪軌道面(内輪回転)
図4−円すいころ軸受の進展した内部起点スポーリング(フレーキング)−内輪軌道面(内輪固定)
5.1.3 表面起点疲労(surface initiated fatigue)
表面起点疲労は,様々な要因の中で,とりわけ表面疲労に起因する。
表面疲労は,表面の凹凸(平滑化,バニッシング及びグレージング)の塑性変形によって生じる。
転動体と軸受軌道面の凹凸との接触は,十分でない潤滑油量,用途に対する適切でない潤滑油種,想定
を超えた運転温度,粗い表面仕上などで起こり,適切でない潤滑条件(潤滑油膜厚さが十分でない)によ
ることが多い。
表面の凹凸の接触及び塑性変形には,次のようなものがある。
− 軌道面の微小亀裂及び微小スポーリング(フレーキング)(図5参照)
− 軌道面の表面起点微小スポーリング(フレーキング)(図6参照)
− 軌道面の微小スポーリング(フレーキング)領域(灰色に変色)(図7参照)
――――― [JIS B 1562 pdf 7] ―――――
6
B 1562 : 2021 (ISO 15243 : 2017)
潤滑油膜が薄い条件下での滑りは,表面損傷を著しく加速する。
また,潤滑油膜厚さが十分で,かつ,運転条件が適正であっても,接触表面への異物のかみ込み(5.5.3
参照),局所的な過大荷重による表面の塑性変形,又は取扱いによる圧痕が原因となって,表面起点疲労が
起こることがある。凹凸の凸部が潤滑油膜厚さ以上となることで表面変形が起こる。これらの異物のかみ
込みによる表面起点疲労については,A.2.6.2を参照。
注記 JIS B 1518[1]には,軸受寿命に影響があることが分かっている材料,潤滑,環境,異物及び軸受
荷重のような,表面に関係する計算パラメータが含まれている。
図5−軌道面の微小亀裂及び微小スポーリング(フレーキング)
図6−軌道面の表面起点微小スポーリング(フレーキング)
――――― [JIS B 1562 pdf 8] ―――――
7
B 1562 : 2021 (ISO 15243 : 2017)
図7−軌道面の微小スポーリング(フレーキング)領域
5.2 摩耗(wear)
5.2.1 一般
摩耗とは,滑り接触表面又は滑りを伴った転がり接触表面の表面の凹凸の相互作用によって,徐々に材
料が除去されることをいう。
5.2.2 アブレシブ摩耗(abrasive wear)
アブレシブ摩耗(異物摩耗及び三元摩耗)とは,硬い異物が介在する滑りによって,軸受材料が除去さ
れることをいう。これは,硬い表面又は異物が他の表面を切り取ったり,えぐり取ったりすることで,材
料を取り去ることによって起こる。表面の荒れ及び摩耗粉が原因で,表面の光沢がなくなる(図8参照)。
軌道面の転走部及び保持器(図9参照)の材料が摩耗するにつれて,摩耗粉は徐々に増加し,最終的には
摩耗が加速度的に進み,軸受が故障する。
通常は表面の光沢がなくなるが,摩耗粉が非常に細かい場合は,表面が磨かれて鏡面状となることもあ
る(図10参照)。
注記 転がり軸受の“なじみ運転”とは,軸受が回転を始めた後,例えば,運転音又は運転温度が安
定し,正常運転状態になるまでの短期間の過程をいう。正常な転走跡は見られるものの,損傷
を示すものではない(A.4.48参照)。
――――― [JIS B 1562 pdf 9] ―――――
8
B 1562 : 2021 (ISO 15243 : 2017)
図8−自動調心ころ軸受内輪軌道面のアブレシブ摩耗
図9−もみ抜き保持器ポケットの進展したアブレシブ摩耗
図10−円すいころ軸受内輪大つば面ところ大端面とのアブレシブ摩耗
5.2.3 凝着摩耗(adhesive wear)
凝着摩耗は,摩擦熱によって,一方の表面の材料の一部が他方の表面へ移動することであり,ときには
表面の焼戻し又は再硬化が生じる。凝着摩耗では,接触域の亀裂及びスポーリング(フレーキング)を引
き起こす可能性がある局所応力集中が起こる。
スミアリング(スキッディング,ゴーリング,スコーリング及びフロスティングを含む。)は,適切でな
い潤滑条件下で滑りが発生し,接触表面の凝着による摩擦から局所的に温度が上昇することで起こり,結
――――― [JIS B 1562 pdf 10] ―――――
次のページ PDF 11
JIS B 1562:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 15243:2017(IDT)
JIS B 1562:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 21 : 一般的に使用される機械的システム及び構成要素 > 21.100 : 軸受 > 21.100.20 : 転がり軸受
JIS B 1562:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0104:1991
- 転がり軸受用語