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B 1756 : 2017
洗 浄
油,グリース
染料及びインキ 石けん及び泥 酸化物
及びワックス
“水切れ”のない被検面が
得られるまで洗浄を繰り返す
エッチング
タイプ1 タイプ2 タイプ3
(この規格では用いない) 浸炭鋼又は低合金鋼 高合金鋼又は工具鋼
さび止め油
検 査
洗 浄
(ベーキングが必要な場合)
ベーキング
(必要な場合)
さび止め油
図2−検査手順の流れ図
5.2 洗浄
試料の被検面をエッチング検査するためには,十分な洗浄を行うことが不可欠である。洗浄が不十分な
場合,不均一な変色及び染みが残り,エッチング後の判定が困難になることがある。
洗浄が十分であるかは,洗浄した被検面を水洗したときに,“水切れ”がないことで確認できる。洗浄方
法は,生産者が決めなければならない。実際の洗浄方法は,汚れ(混入物)の種類によって異なる。表1
に,汚れ(混入物)の種類とそれに対応する一般的な洗浄方法を示す。
――――― [JIS B 1756 pdf 6] ―――――
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エッチングに先立ち,残留物を除去するための追加処理が必要な場合がある。一般的な(推奨する)洗
浄方法は,次の事項を含む。
− 蒸気脱脂又は溶剤洗浄
− ブラスト処理(研磨剤洗浄) : 表面性状及び寸法精度を維持するための,研磨材の大きさ,研磨剤の種
類(メディア),吹付け(ブラスト)方法などの選択
きずを付けないようにする及び清浄な白い手袋で試料を取り扱う。
− アルカリ洗浄又は超音波洗浄
− 水洗を行い“水切れ”の有無を確認する。“水切れ”がある場合は,“水切れ”がなくなるまで,洗浄
と“水切れ”確認とを繰り返す。
表1−洗浄方法の一例
汚れの種類 洗浄方法
染料及びインキ アルコール,メチルエチルケトン又は同等品
グリース及び油 蒸気脱脂
石けん アルカリ洗浄液(6080 ℃)又は超音波洗浄
5.3 エッチング
エッチングは,次による。
a) 焼戻しの兆候の数値化 焼戻しの兆候を数値化するために,適切な参照グレースケールを使用する必
要がある。参考のために,商業上入手できる参照グレースケールの例を図1に示す。表面焼戻しを示
すため,既知の表面焼戻しの兆候があるサンプル部品の使用が望ましい。検査日時の違いによる検査
結果の差異,又はこの規格で規定している異なる方法を用いている検査員若しくは検査機関の間での
検査結果の差異を改善するためにグレースケールカードの使用が必要である。
化学濃度,滞留時間,又は灰色の色合の望ましい範囲については,この規格への適合の必須条件で
はなく,この推奨範囲を用いた検査の表面焼戻し等級(表4参照)と同等の結果が得られることが証
明できていればよい。灰色の色合いの範囲は,最大値又は最小値を示すのではなく,処理の結果灰色
が明るすぎたり暗すぎたりするのを防ぐためのものである。
b) エッチング方法の選択 エッチング方法は,試料の材質及び取扱いの容易さによって選択する。
1) タイプ1のエッチング方法(高温脱色) 古い文献に記載のある方法であるが,現在は用いてないの
で,この規格には規定しない。
2) タイプ2のエッチング方法(表2参照) 一般的なエッチング方法である。タイプ2は,通常,浸炭
鋼の検査に用いるが,表面焼入れをした部分にも用いることができる。ときには工程1で反応が起
きない場合がある。その場合は,受渡当事者間の協定によって,表3に示す工程1工程3の前処
理を行うことを検討するのがよい。
3) タイプ3のエッチング方法(表3参照) 通常,工具鋼及び合金鋼の検査に用いるが,単純な硝酸エ
ッチングには反応しないので,前処理が必要である。また,タイプ3は,タイプ2の代用として用
いることができる。さらに,タイプ2の工程1の硝酸エッチングで,グレースケールレベルを生成
できない場合には,タイプ3を用いるのがよい。
c) 浸せき 実際にはタンク内に浸す方法が望ましいが,これができない大きな試料は綿布又はスプレー
を用いて表2又は表3に示したものと同様の試薬及び方法でエッチングすることができる。タンクに
浸す方法を用いない場合は,生産者と購買者との間で合意を得る必要がある。
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エッチング後直ちに被検面の検査を実施する。綿布又はスプレーを用いた場合,隣接した表面(例
えば,歯面又は重要な軸受部)に試薬がかかる可能性があるため,適切な予防措置をとることが望ま
しい。
d) ベーキング 検査後,水素ぜい性防止の目的で,ベーキングを行うことは,この規格の要求事項では
ないが,行ってもよい。また,その他の要求事項に準拠するために必要な場合がある。その方法とし
て,SAE AMS 2759/9 [1] がある。この場合の最高処理温度は,SAE AMS 2759/9の条件を用いるのでな
く,最終の焼戻し温度より,少なくとも14 ℃以上低くしなければならない。
警告 エッチング検査後のベーキングは,機械加工後の応力除去のために用いることもできる。ただ
し,エッチング検査で不合格となり,手直しのための再加工が必要な場合は,エッチング検査
で合格するまでは,ベーキングを行わないほうがよい。再加工後のエッチング検査前にベーキ
ングを行うと,再加工による焼戻しを検出しにくくなる。また,これはベーキング手順に関す
る要求事項にも矛盾する。
表2−タイプ2のエッチング方法(浸炭鋼又は低合金鋼)
工程a) 溶液b) 推奨時間c) 摘要
1 硝酸エッチングd) 体積分率1.5 %5 %硝酸の 3060秒間 黒色酸化被膜が生成される適切な時
グレースケールの判定がアルコール溶液又は水溶液1030秒間 間は一様でない。実際の時間は試験
タンク : 7(M)11 e) によって設定し,再現確認を行う。
綿布 : 7(M)15 e)
2 水洗 水 適宜 酸の除去
3 アルコール浸せきf) アルコール 適宜 浸せき及び水の除去
4 脱色d) 体積分率2 %6 %塩酸の 3060秒間 被検面が均一な茶色がかった灰色と
グレースケールの判定がアルコール溶液 なるように適切な時間だけ浸せきす
タンク : 610 e) る。実際の時間は試験によって設定
綿布 : 210 e) し,再現確認を行う。
5 水洗 水 適宜 酸の除去
6 中和 pH10以上のアルカリ溶液 1060秒間 かくはんしながら浸せき
7 水洗 水 適宜 アルカリ溶液の除去
8 アルコール浸せき及び乾アルコール又は湯 適宜 浸せき,乾燥及び水の除去
燥 g), h)
9 防せい さび止め油 適宜 防食及び色合いを強調するため。
注記 工程1のタンクは大量に工程を実施するときに使用し,また,グレースケール範囲が狭いときに使用する。
綿布は少量にかつ詳細に実施するときに使用し,また,グレースケール範囲が広いときに使用する。
注a) 各液槽への浸せき及び水洗は,不均一なエッチングを避けるため,又は完全に中和するため,均一にかくは
んする。水洗は,工程2,工程5及び工程7で複数回使用してもよい。
b) 全ての溶液は常温で用いる。
c) 各推奨時間は目安であり,設定時間が推奨時間と異なっても差し支えない。
d) エッチング検査が不要で精密な寸法公差をもつ部分は,損傷又は肉厚減少を避けるため,適宜にマスキング
するとよい。この表に記載した条件のエッチングでは,片側約0.003 mmの肉厚減少が生じる。
e) 数値はティッフィン(Tiffen)グレースケールの値を記載している。
f) 工程1でアルコール溶液を用いた場合は,工程3は省いてもよい。
g) 一般的な方法は,アルコールに浸せきしてよくかくはんするか,又は65 ℃以上の湯洗いの後,汚れのない空
気吹き付けによる乾燥である。
h) 工程9で水置換油を用いる場合は,工程8は必須ではない。
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表3−タイプ3のエッチング方法(高合金鋼又は工具鋼)
工程a) 溶液b) 推奨時間c) 摘要
1 塩酸エッチングd) 体積分率2 %6 %塩酸の 1.53.5分間 実際の時間は試験によって確立し,
アルコール溶液又は水溶液3060秒間 設定する。
2 水洗 水 適宜 酸の除去
3 アルコール浸せきf) アルコール 適宜 浸せき及び水の除去
4 硝酸エッチングd) 体積分率1.5 %5 %硝酸の 1.53.5分間 黒色酸化被膜が生成される適切な時
グレースケールの判定がアルコール溶液又は水溶液3060秒間 間は一様でない。実際の時間は試験
1115 e) によって設定し,再現確認を行う。
5 水洗 水 適宜 酸の除去
6 アルコール浸せきf) アルコール 適宜 浸せき及び水の除去
7 脱色d) 体積分率2 %6 %塩酸の 1.53.5分間 被検面が均一な茶色がかった灰色と
グレースケールの判定がアルコール溶液又は水溶液3060秒間 なるように適切な時間だけ浸せきす
26 e) る。実際の時間は試験によって設定
し,再現確認を行う。
8 水洗 水 適宜 酸の除去
9 中和 pH10以上のアルカリ溶液 1060秒間 かくはんしながら浸せき
10 水洗 水 適宜 アルカリ溶液の除去
11 乾燥g), h) アルコール又は湯 適宜 浸せき,乾燥及び水の除去
12 防せい さび止め油 適宜 防食及び色合いを強調するため。
注a) 各液槽への浸せき及び水洗は,不均一なエッチングを避けるため,又は完全に中和するため,均一にかくは
んする。水洗は,工程2,工程5,工程8及び工程10で複数回使用してもよい。
b) 全ての溶液は常温で用いる。
c) 各推奨時間は目安であり,設定時間が推奨時間と異なっても差し支えない。
d) エッチング検査が不要で精密な寸法公差をもつ部分は,損傷又は肉厚減少を避けるため,適宜にマスキング
するとよい。この表に記載した条件のエッチングでは,片側約0.003 mmの肉厚減少が生じる。
e) 数値はティッフィン(Tiffen)グレースケールの値を記載している。
f) 工程1でアルコール溶液を用いた場合は,工程3は省いてもよい。同様に,工程4でアルコール溶液を用い
た場合は,工程6は省いてもよい。
g) 一般的な方法は,アルコールに浸せきしてよくかくはんするか,又は65 ℃以上の湯洗いの後,汚れのない空
気吹き付けによる乾燥である。
h) 工程12で水置換油を用いる場合は,工程11は必須ではない。
6 検査基準
6.1 目視検査及び等級分類
表面焼戻し状況の等級分類を,表4に示す。被検面を適切に洗浄・エッチングすれば,表面焼戻しがな
い部分は,一様な灰色を呈する。局部的に表面焼戻しがある部分は,濃い灰色又は黒を呈する。一般にそ
の色合いが濃いほど,表面焼戻しの度合いが高い。また,表面研削時の発生熱量が過大な場合には,表面
が再硬化することがある。この再硬化部分は,白又は明るい色調の焼戻しのないマルテンサイトを含み,
その周囲を黒の焼戻し部分が取り囲んでいることもある。
被検面に油汚れ,変色,さび,その他の表面に異常がある場合は,誤ったエッチング結果を招くことが
ある。その場合には,再洗浄した上,再検査しなければならない。しかし,エッチングを繰り返すと,表
面の金属が離して肉厚が減少するので,公差範囲から外れないよう注意が必要である。染みなどによる
変色部はほぼ完全に拭き取ることができるので,表面焼戻し部と区別できる。表面焼戻し部は表面を拭き
取った後でも,周りより黒ずんだ色彩を呈する。
局部的な表面焼戻し部,及び再硬化した部分(すなわち,焼戻しのないマルテンサイト部)はその部分
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の面圧強度に影響を及ぼすことになるが,実用できる可能性はあるので,合否の判定は受渡当事者間で協
定によることが望ましい。
特に,亀裂に進展しやすい等級D及び等級Eの状況を呈する部分は,磁粉探傷試験によって亀裂有無の
検査を実施することが望ましい。
表4に示す等級分類システムを用いて,受入れ基準及び廃却基準を設けるのが望ましい。
また,この規格の使用者が独自の参照規格を設定しておくことが望ましい(箇条9参照)。
6.2 表面硬さへの影響
これらエッチング検査方法は,表面硬さの変化を容易に検出できる。浸炭された表面に表面焼戻し部分
があると,許容接触応力σHlimが低下することはよく知られている。表面焼戻しが検出された部分は,でき
ればエッチング結果の補足として,適切な方法で硬さ検査を実施することが望ましい。硬さ検査方法には
差異があるので,硬さ計測装置の形式,荷重,使用する換算図表などについて記録することが望ましい。
被検面にきずを付けずに測定できるポータブル微小硬さ計もある。正確に,かつ,被検面にきずを付け
ずに硬さを計測できる硬さ計を用いることが基本である。硬さ計が届かない部分もあるので注意する。
表4−表面焼戻し等級分類システム
接頭コード
F : 機能表面;歯面,歯底面,軸受面,その他の指定箇所
N : 非機能表面;上記以外の表面
等級コードa)
等級 説明 表面目視状態(最悪部分)
A 焼戻しなし 一様な灰色
B 軽微な焼戻し 小範囲の(明るい)変色
(C) (削除等級) (中程度の焼戻し) (使用しない)
D 重度の焼戻し 広範囲の(暗い)変色
E 再硬化(極度のオーバヒーティング) 黒色変色域に囲まれた白色域
接尾コードb)
レベル 影響部面積の最大許容割合
1 10 %
2 25 %
3 無制限
注記 等級の表示例及びその意味を,次に示す。
− FA/NB2 : 機能表面での焼戻しは許容されないが,単一の非機能表面(例えば,ボス及び軸の肩部)での軽
微な焼戻しは,その領域の25 %まで差し支えない。
− FB1/ND2 : 単一の機能表面での軽微な焼戻しは,その領域の10 %まで差し支えない。さらに,単一の非機
能表面(例えば,ボス及び軸の肩部)での重度の焼戻しは,その領域の25 %まで差し支えない。
− FB2 : 単一の機能表面での軽微な焼戻しは,その領域の25 %まで差し支えない。さらに,非機能表面での
焼戻しには制限なし。
− FB3/FD2/ND3 : 軽微な焼戻しは無制限に許容されるが,重度の焼戻しは,単一の機能表面(例えば,歯面)
において,その領域の25 %まで差し支えない。さらに,非機能表面での焼戻しは無制限でも差し支えない。
注a) 歯面のような単一表面で測定する。
b) 等級Aには適用できない。
7 エッチング変色の除去
エッチングによる変色は機能的に有害ではないが,外観上の理由で要求があれば,アルカリ電界クリー
ナ,ベーパホーニング,ポリッシング,ガラスピーニングなどによって除去することができる。
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JIS B 1756:2017の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 14104:2014(MOD)
JIS B 1756:2017の国際規格 ICS 分類一覧
- 21 : 一般的に使用される機械的システム及び構成要素 > 21.200 : 歯車
JIS B 1756:2017の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISZ2305:2013
- 非破壊試験技術者の資格及び認証