JIS B 7442:2013 産業用X線CT装置―用語 | ページ 2

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B 7442 : 2013
2) T性能関連用語
番号 用語 定義 対応英語(参考)
0101 空間周波数 spatial frequency
正弦波などの周期的パターンが,単位長さ当たりで繰り返される
回数(単位 : LP/mm)。
0102 MTF, MTF,
コントラストを空間周波数の関数として記述する関数。鋭利な端
変調伝達関数, modulation
部画像において,そのエッジ・レスポンス関数のフーリエ変換の
変調度伝達関数 スペクトル強度をその最大値が1になるように規格化したもの。transfer function
注記 X線CTでは,このMTFを画像の輪郭部の鮮鋭度として算
出することができ,例えば,MTFの値が0.2又は0.1となる
空間周波数をカットオフ周波数とすることがある。この
MTFの値はワーク依存性がないので,装置固有の性能とし
て評価することができる利点がある。
0103 カットオフ周波 cutoff frequency
X線CTにおいて,画像として再現できる上限の空間周波数。例え
数, ば,MTFが0.1となる空間周波数をいう。
遮断周波数
0104 空間分解能 spatial resolution
位置的に接近した2点を独立した2点として識別できる能力で,
識別できる最小の間隔。
注記 X線CTの空間分解能は,装置のMTF特性と画像雑音とに
依存する。つまり,ワークの材質,大きさ及び空間分解能を
評価した位置の影響を受けるので,空間分解能を明記するに
は,これらを併記する必要がある。
0105 鮮鋭度 sharpness
画像の鮮明さ又は鮮鋭さに関する物理量。像の輪郭部の立ち上が
りを測定してMTFで評価することができる。
0106 画像雑音, image noise
産業用CT値の統計的変動又はアーチファクト。統計的変動は,画
画像ノイズ 像上のか(顆)粒状の模様となって現れる。主な要因は,X線検
出量の統計的変動によるランダムノイズである。ランダムノイズ
以外の雑音には,電気系のノイズ又はアーチファクトがある。
0107 コントラスト contrast
ある注目物体とそれ以外の背景とが区別できるような視覚的な特
徴の差。産業用X線CTでは,背景の産業用CT値をCbとし,着
目する部分の産業用CT値をCf,空気に相当する産業用CT値を
C0とするとき,コントラストは |Cf−Cb| / |Cf+Cb−2C0|×100(%)
とする。
注記 産業用CT値は,装置ごとに任意のスケールで数値化してい
るので,同じ材質であっても装置によって異なる産業用CT
値になることがある。そのため,空気の産業用CT値を材質
の基準とする。このコントラストの定義もそれを基準にして
おり,一般の画像の場合の定義とは異なる。
0108 コントラスト分 contrast resolution
画像のノイズを考慮して,ある部分とその背景とを,それらの産
解能, 業用CT値(平均値)の差を用いて識別できるとき,識別の限界と
濃度分解能 なる産業用CT値の差。
注記 X線CTのコントラスト分解能は,ワークの材質及び大きさ,
平滑化などの画像処理の有無,CT計測時間などに依存する
ので,コントラスト分解能を明記するには,これらを併記す
る必要がある。

――――― [JIS B 7442 pdf 6] ―――――

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番号 用語 定義 対応英語(参考)
0109 部分体積効果 partial volume
検出素子ごとに検出するX線ビームが有限の大きさをもち,この
X線ビームの大きさの一部がワークの体積を部分的に透過するとeffect
きの減弱が,線減弱の指数法則を満たさないために生じる効果。
これによって断面画像にはアーチファクトが発生することがあ
る。
注記 画素又はボクセルが有限な大きさをもつことによって,その
画素又はボクセルにおけるワークの占有比率による画素値
の変化を,部分体積効果ということもある。
0110 線質硬化, beam hardening
X線源から発生したX線が,あるエネルギー域に連続エネルギー
ビームハードニ スペクトルをもってワーク内部を透過するとき,エネルギーの低
ング いX線がより多く減弱してエネルギースペクトルの平均エネルギ
ーが高くなる現象。ワークによる減弱が大きいほど,平均エネル
ギーは高くなる。
b) 線源系用語
番号 用語 定義 対応英語(参考)
1001 X線源 X-ray source
X線を発生する装置。X線管,電子線形加速器などがある。X線を
発生する焦点をいうこともある。
1002 電子線形加速器 linear electron
マイクロ波などを用いて電子を加速する装置のうち,電子を曲げ
ずに直線的に加速する装置。この加速した電子をターゲットに衝accelerator
突させ,制動放射によってX線を発生する。1 MeV近辺より高い (LINAC)
エネルギーのX線源として使われる。

――――― [JIS B 7442 pdf 7] ―――――

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番号 用語 定義 対応英語(参考)
1003 実焦点 real focal spot,
真空内で加速された電子が,ターゲットに衝突してX線が発生す
actual focal spot
る領域。この領域の大きさを,実焦点寸法,実焦点サイズなどと
いう。
1004 実効焦点 effective focal spot
照射野の中心から見た見掛けの焦点の領域。この領域の大きさを
実効焦点寸法,実効焦点サイズなどという。
注記 実効焦点寸法の大きさによって,次のような焦点の呼び名が
ある。
a) 普通焦点,ミリフォーカス : 実効焦点寸法が,おおむね
0.5 mm以上のもの。一般の医療用(焦点寸法1 mm前後),
又は工業用透過試験(X線フィルム撮影)用(焦点寸法
23 mm程度)で使われる。
b) ミニフォーカス : 実効焦点寸法がおおむね0.10.5 mm
のもの。“普通焦点より小さい”という意味合いが込め
られている。
c) マイクロフォーカス : 実効焦点寸法が100 満のも
の。JIS Z 2300の(1232)を参照。
d) ナノフォーカス : 実効焦点寸法がおおむね1 満の
もの。サブミクロンフォーカスと呼ぶこともある。
1005 ターゲット角 target angle,
反射形X線管内の電子線の進行方向とターゲット面の法線とのな
度, す角度。 anode angle
陽極角度 注記 ターゲット角度の値は,一般に透過X線管では0°(電子線
がターゲット面に垂直に当たる),反射形X線管では10
30°である。ターゲットに当たる電子線の大きさが一定の場
合,ターゲット角度が小さくなるほど,その角度によって縮
小される方向の“見掛けの焦点(実効焦点)”はより小さく
なり,また,ターゲット側のX線の照射角度もより小さく
なる。

――――― [JIS B 7442 pdf 8] ―――――

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番号 用語 定義 対応英語(参考)
1006 照射窓 beam window
実焦点で生じたX線を取り出すために設けられた窓。X線管内を
真空に保つために剛性が高く,X線の減弱の小さい材質(例えば,
ベリリウム)が用いられる。
1007 コリメーション コリメータを用いて,放射線束を所定の形状に制限すること。collimation
1008 コリメータ collimator
X線束の方向及び領域を制限し決定するための,鉛,タングステ
ンなどのX線遮蔽材料でできた器具。特に産業用X線CTでは,X
線源側に設置する“線源コリメータ”と,検出器側に設置する“検
出器コリメータ”との2種類がある。
1009 線源コリメータ source collimator
X線源の照射窓の付近に置かれ,X線の放射方向,形状を調整する
器具。
注記 ペンシルビーム形成又はファンビーム形成において,ファン
の広がり方向と垂直の方向との厚さ調整のために設けられ
ることがある。
1010 X線フィルタ 低エネルギー域のX線を減弱するように,X線源と検出器との間X-ray absorption
に置く器具。一般に,ワークの原子番号よりも上位の原子番号をfilter
もつ均一な材質の板状のものを用いることが多い。

――――― [JIS B 7442 pdf 9] ―――――

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番号 用語 定義 対応英語(参考)
1011 エネルギースペ energy spectrum
X線強度のエネルギー又は波長の分布。エネルギースペクトルの
クトル 形の違いを定性的に表現するために“線質”という用語が用いら
れることもある。
1012 実効エネルギー 白色X線の強度がアルミニウム,銅などの物質によって1/2に減effective energy
弱する透過厚さ(半価層)における線減弱係数に対応する単一のX
線エネルギー。すなわち,半価層が等しい単色X線のエネルギー
のこと。半価層に限らず,任意の減弱比に対応する単一のX線エ
ネルギーを称することもある。
注記 任意の減弱比に対応する実効エネルギーの算出は,X線の減
弱曲線を測定し,その曲線に対して,着目する減弱比に対応
した減弱長での接線を計算することで求めることができる。
1013 平均エネルギー X線のエネルギーをEで表し,そのエネルギースペクトルをI(E) avarage energy
としたとき,<E>=∫E・I(E) dE/∫I(E) dEで計算されるエネルギー。
1014 ビーム角特性 X線源から放射されるX線の角度による強度(又は線量率)の分angular
布。 distribution of
注記 一般にX線照射方向の中心軸付近で大きく,そこからの角 X-ray intensity
度が離れるほど小さくなる。特に,ターゲット角度による“け
られ”を生じる部分では,その手前から著しい強度低下が生
じる。
1015 透過可能厚さ X-ray penetrable
検出系の測定レンジに対して,その測定下限となるときの透過距
離に相当するワークの厚さ。 length
注記 この厚さを表記する場合には,材質を必ず明記する必要があ
る。例えば,透過可能厚さ : 100 mm(アルミニウム材質の
場合)。
この透過可能厚さを超えるワークの場合には,有効な計測
ができないため(検出下限以下となるため),画像にアーチ
ファクトが発生する。透過能力ともいう。
1016 ペンシルビーム 細いX線のビーム。 pencil beam X-ray
X線
1017 ファンビームX fan beam X-ray
広げた扇子の“要”の部分を実焦点とし,扇の先へ向かって照射
線 され,ほぼ平面内に扇形に広がるX線のビーム。
注記 扇の開いている面の法線方向は,スライス幅方向と呼ばれ,
その方向の利用角度はファンビームでは小さいが,コーンビ
ームでは,その利用角度が広い。
1018 ファンビーム角 ファンビームX線の扇形の開き角度。 fan-beam angle

――――― [JIS B 7442 pdf 10] ―――――

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