JIS B 7738:2020 コイルばね―圧縮・引張試験機の校正方法及び検証方法 | ページ 3

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6.5 力指示計の評価

6.5.1 相対指示誤差
個々の測定点について,3回の測定シリーズによって相対指示誤差を式(10)式(13)によって求める。
Fi1 F1
q1 100 (10)
F1
Fi2 F2
q2 100 (11)
F2
Fi3 F3
q3 100 (12)
F3
q1 q2 q3
q (13)
3
ここで,添字の“1”,“2”及び“3”は,個々の測定点における読み及び計算値が,何番目の測定シリー
ズに対応しているかを示す。
6.5.2 相対繰返し誤差
相対繰返し誤差bは,個々の測定点でのqmaxとqminとの差であり,式(14)によって求める。
bqmax qmin (14)
ここに, qmax : q1,q2及びq3の最大値
qmin : q1,q2及びq3の最小値
6.5.3 2台の力計間の一致性
一つの測定レンジを校正するために2台の力計が必要な場合には,両力計に同一の公称試験力を加える
(6.1参照)。それぞれの力計で得られた相対指示誤差の差は,分類しようとする等級に応じて表2に規定
する相対繰返し誤差を超えてはならない。すなわち,式(15)を満足しなければならない。
qT1 qT2 ≦bal (15)
ここに, qT1 : 力計1による測定で得られた相対指示誤差
qT2 : 力計2による測定で得られた相対指示誤差
bal : 表2に規定する相対繰返し誤差の上限値
代替的な方法として,それぞれの力計による測定値の不確かさを評価し,その不確かさを,それぞれの
力計による測定で得られた相対指示誤差の差と比較し,式(16)を満足することを確認することでも可能で
ある。
2
qT1 qT2 ≦ UT1 UT2 2 (16)
ここに, UT1 : 同一の測定点で力計1を使った測定の拡張不
確かさ(測定値に対する百分率で表示)
UT2 : 同一の測定点で力計2を使った測定の拡張不
確かさ(測定値に対する百分率で表示)

7 試験機の等級

  適切な等級によって試験機を特徴付けるための,力計測系の種々の相対誤差及び力指示計の相対分解能
の上限値を表2に規定する。
該当する場合,一台の試験機の全てのレンジの等級は,附属品の検証(6.4.6参照),ピストン位置の違
いによる影響の検証(6.4.7参照)又は相対往復誤差によって決まる等級によっても制限される。

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試験機の力指示計の各測定レンジの等級は,測定レンジ上限値の少なくとも20 %100 %の測定範囲で
全ての検証を満足する場合にだけ,付与することができる。
表2−力計測系の特性値
単位 %
試験機の 相対指示誤差 相対繰返し誤差 相対往復誤差a) 相対ゼロ誤差 相対分解能
等級 q b ν f0 a
0.5 ±0.5 0.5 ±0.75 ±0.05 0.25
1 ±1.0 1.0 ±1.5 ±0.1 0.5
2 ±2.0 2.0 ±3.0 ±0.2 1.0
3 ±3.0 3.0 ±4.5 ±0.3 1.5
注a) 相対往復誤差の決定は,依頼者からの要求がある場合に行う(6.4.8参照)。

8 長さ測定装置の校正

8.1 概要

  長さ測定装置の校正は,依頼者から要求を受けた場合に任意の測定点について行う。
長さ測定装置の校正は,適切な機器及び不確かさが明確な標準器,例えばJIS B 7506に規定するブロッ
クゲージなどによって行う。校正は,試験機の長さ校正範囲の計測特性及び性能を評価できるものでなけ
ればならない。

8.2 長さを本尺及びバーニヤ目盛で読み取る装置の校正方法

  JIS B 7517の5.4.2(高さ測定誤差E及び表5)に規定する方法で行う。

8.3 長さをデジタルで表示する装置又は記録紙上で指示する装置の校正方法

  圧縮装置は圧縮板を密着させ,引張装置はフックを引っかけて,長さ表示値又は指示値をゼロにしてゼ
ロ位置を定め,一定の測定力において任意の圧縮板間又はフック間の距離を測定する。
フック間の距離をフックの形状によって測定できない場合は,測定可能なジグに取り換えて測定しても
よい。

8.4 長さをデジタルで表示する装置又は記録紙上で指示する装置の測定誤差

  長さをデジタルで表示する装置又は記録紙上で指示する装置の長さの測定誤差の許容値は,表3による。
表3−長さ測定誤差の許容値
単位 mm
測定長 最小読取値0.050.01 最小読取値0.0050.001
50以下 ±0.05 ±0.025
50を超え 100以下 ±0.06 ±0.03
100を超え 200以下 ±0.07 ±0.04
200を超え 300以下 ±0.08 ±0.05
300を超え 400以下 ±0.09 ±0.06
400を超え 500以下 ±0.10 ±0.07
500を超え 600以下 ±0.11 ±0.08
測定長600 mmを超える場合は,次の式による。
− 最小読取値が0.05 mm0.01 mmの場合,±(0.05+0.000 1 l)mm
− 最小読取値が0.005 mm0.001 mmの場合,±(0.02+0.000 1 l)mm
ここに,lは測定する任意の圧縮板又はフック間の距離とする。

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8.5 負荷による長さ測定装置の変動の検証

  負荷による長さ測定装置の変動の検証は,依頼者から要求を受けた場合に行う。
任意の位置で,上下圧縮板中央位置又はフックに,測定する最大の圧縮力又は引張力まで負荷をかけた
場合の長さ測定装置の変動は,表3に規定する許容値を超えてはならない。

9 校正報告書及び/又は検証報告書

  校正報告書及び/又は検証報告書は,少なくとも次の内容を記載しなければならない。
a) 一般的な情報
1) この規格の番号
2) 試験機の識別(製造業者名,形式,製造番号及び分かれば製造年)。さらに,該当する場合には,力
指示計又は長さ指示計の識別(製造業者名,形式及び製造番号)
3) 試験機の設置場所
4) 使用する力計の形式,等級,器物番号,校正証明書番号及び発行年月日
5) 長さ測定装置の校正を行った場合は,使用する長さ標準器の形式,器物番号,校正証明書番号及び
発行年月日
6) 校正時の温度
7) 校正年月日
8) 校正機関名称
b) 校正結果及び検証結果
1) 一般検査中に発見された全ての異常
2) 各力計測系に対して,校正モード(引張,圧縮又は引張·圧縮),校正を行った測定レンジの等級並
びに要求に応じて,相対指示誤差,相対繰返し誤差,相対往復誤差,相対ゼロ誤差及び相対分解能
3) 評価が適用される各測定レンジの下限値
4) 長さ測定装置の校正を行った場合は,校正を行った長さ及びその測定誤差
5) 負荷による長さ測定装置の変動の検証を行った場合は,検証を行った負荷条件及びその測定誤差

10 校正の間隔

  校正の間隔は,試験機の形式,保全水準及び使用量に依存する。特に指定されない限り,校正の間隔は
12か月を超えないことが望ましい。校正は,試験機を移設したとき,並びに大きな修理又は調整を行った
ときにも実施しなければならない。

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附属書A
(規定)
試験機の一般検査
A.1 概要
試験機の一般検査を,力計測系の校正の実施前に行わなければならない(箇条5参照)。
A.2 目視検査
目視検査では,次のことを確認する。
a) 試験機が正常な作動状態にあり,次のような条件によって悪影響を受けない。
1) 移動クロスヘッドのガイドの著しい摩耗又は欠陥
2) 圧縮板の著しい摩耗又は欠損
3) フックの著しい摩耗又は欠損,及び軸方向に対するフック間の力のずれ
4) コラム及び固定クロスヘッドの緩み
b) 試験機が環境条件,例えば,振動,電源変動,腐食性物質,局部的な温度変動などによって影響を受
けない。
c) 取外し可能な振子装置のおもりを使用している場合は,その質量が正しいことを確認する。
A.3 試験機の構造検査
試験機の構造は,力を軸方向に加えるようになっていることを確認する。
A.4 クロスヘッドドライブ機構の検査
クロスヘッドドライブ機構は,力の均一かつ円滑な変化と種々の別個の力とが十分な精度で得られるこ
とを確認する。

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附属書B
(参考)
圧縮板の検査
B.1 圧縮板の検査
圧縮板の検査は,次による。
a) 圧縮板の平面度 : 通常,100 mm×100 mmにおいて0.01 mm程度としている。
b) 圧縮板間の平行度 : 通常,100 mm×100 mmにおいて0.01 mm程度としている。
c) 取外し可能な圧縮板の場合,平面度及び平行度がa)及びb)を満足するのが望ましい。
d) 鋼製の場合,硬さは55 HRC以上であることが望ましい。

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