JIS B 8266:2003 圧力容器の構造―特定規格 | ページ 11

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B 8266 : 2003 完全溶込みの突合せ両側溶接継手又はこれと同等以上とみなされる突合せ片側溶接継手
記号の説明
継手の形式(詳細は7.1.2参照) 試験の方法
B-1 : 完全溶込みの突合せ両側溶接継手又はこれと同等以上とみなされ RT : 放射線透過試験
る突合せ片側溶接継手
B-2 : 裏当てを用いる突合せ片側溶接で裏当てを残す継手 UT : 超音波探傷試験
FP : 完全溶込み溶接の開先溶接で,二つの部材をL形又はT形に互い MT : 磁粉探傷試験
に直角に接合する隅角部の溶接継手
PP : 部分溶込み溶接の開先溶接で,二つの部材をL形又はT形に互い PT : 浸透探傷試験
に直角に接合する隅角部の溶接継手
FW : すみ肉溶接継手
注(12) 欄に掲げる材料で圧力容器が疲労解析を必要としない場合には,試験方法を次のように変更してもよい。ただし,SB480, SB450M, SB480M及びSBVIAについ
ては,厚さが13 mmを超える場合には,試験方法を変更してはならない。
a) 次の継手はMT又はPTに代え,目視による検査してもよい。
継手の分類 溶接継手の種類 条件
C FP,PP+FW,PP又はFW 接合される材料の薄い方≦13 mm
D FP,FP+FW及びPP 接合される材料の薄い方≦13 mmかつ,接合される材料の厚い方≦32 mm
D 強め材のFW 強め材はすべて。
取付物の溶接 すべて 接合される材料の薄い方≦13 mmかつ,接合される材料の厚い方≦32 mm
b) 接合される材料の薄い方が13 mm以下,かつ,穴の径が254 mm以下の場合は,分類CのB-1継手に対するRT又はUTをMT又はPTに代えてもよい。
c) 電子ビーム溶接方法で行った溶接部はすべてRTに加えてUTを行わなければならない。
(13) 圧力容器の製作で圧力容器を最後に閉じる継手でRTの判定ができない箇所については,UTで代用してもよい。
(14) フェライト鋼をエレクトロスラグ溶接方法で溶接した場合は,結晶細粒化熱処理(オーステナイト化)又は溶接後熱処理を行った後に,RTに加えて全長UTを
行わなければならない。また,摩擦圧接又は電子ビーム溶接方法で行った溶接部もRTに加えて全長UTを行わなければならない(9.2.6参照)。
(15) 調質高張力鋼の溶接部は,取付物の溶接も含めて溶接後熱処理及び耐圧試験後,すべての溶接表面をMT又はPTしなければならない。割れ又は割れに類する欠
陥は不合格で補修又は取り除かなければならない。
(16) 付図1 b) 2) 及び3) は,b (17) 付図3 a) 及びb) の胴又は鏡板の穴の露出端面は,MT又はPTを行わなければならない[9.2.3 a)参照]。
(18) 肉盛溶接を行ったB-1又はB-2継手は,肉盛溶接後にRTを行わなければならない[9.2.5 a) 参照]。
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B 8266 : 2003 すみ肉溶接継手

9.4 耐食クラッド,耐食肉盛溶接又は耐食ライニングに対する特別規定

 耐食クラッド,耐食肉盛溶接
又は耐食ライニングに対する特別規定は,次による。
なお,ステンレスクラッド鋼の溶接施工については,附属書13の3.4を参照する。
a) 合せ材が強度部材に含まれない場合には,引張試験を行う前に合せ材の部分を除去しなければならな
い。
なお,合せ材の強度が母材の強度より低い場合には除去しなくてもよい。
b) クラッド鋼,肉盛溶接部又はライニングの継手の溶接は,次による。
1) 継手形状及び溶接方法は,耐食金属と母材との混合を最少に抑えるようにする。
2) 胴,鏡板又は耐圧部を溶接して,付図1[ただし,a) 1)4) を除く。]に示すような隅角部の継手を
溶接する場合には,継手の溶接に先立って合せ材を取り除いてから母材を溶接するか,又は母材が
溶融しているのが確かめられるような溶接方法を用いて母材を溶接する。継手の耐食金属部は,適
合する耐食金属溶加材を用いて溶接するか,又は他の適切な手段を用いてもよい。
備考 これらの規定によって設計,製作する場合には,異材間の線膨張係数の差による異常な応力集
中が生じないように検討するのがよい。
c) 圧力容器の内容物による腐食作用を受ける溶接金属は,合せ材又はライニング材と同等の耐食性をも
つのがよい。溶接金属が,溶接接合される材料と同等の成分になるような溶加材を用いるとよい。機
械的性質が良いものであり,また,耐食性が使用条件に十分なものである場合には,他の化学成分の
溶接金属でもよい。ニオブで安定したオーステナイト系ステンレス鋼の溶接金属のニオブ含有量は,
1.00 %を超えてはならない。ただし,溶接される材料によって高いニオブ含有量が許容されている場
合を除く。
d) クロム系ステンレス鋼の合せ材又はライニング板をつなぐ合金材溶接継手は,次の1) 又は2) の規定
によって割れの有無を検査しなければならない。
1) ストレートクロム系ステンレス鋼の溶加材を用いた溶接継手は,全線にわたり割れの検査をしなけ
ればならない。クロム系ステンレス鋼の溶接が母材の溶接部と連続して接触している場合は,全線
放射線透過試験で割れの検査をする。母材に取り付けたライニングの溶接で母材の溶接線と交差し
ているだけのものは,表面の割れを検出できるものであれば,どんな方法で行ってもよい。
2) オーステナイト系クロムニッケル鋼の溶加材又は空冷非硬化形のニッケル・クロム・鉄合金の溶加
材で溶接した継手は,20 %RTを行わなければならない。ライニングの溶接線に対しては,母材の
溶接線と連続して接触しているライニング溶接の場合には,20 %RTを行う。
e) ライニングの取付け ライニング材は,この規格で許容されている溶接方法であれば,どんな方法で
母材その他に取り付けてもよい。ただし,ライニング材を母材に取り付ける溶接は,各溶接方法ごと
に実際の製作に用いる方法と同一要領で,また,母材,ライニング及び溶接金属にそれぞれ用いる材
料の化学成分がいずれも実際の製作に用いる材料の範囲内のものを用いて,ライニング取付け溶接に
対する溶接施工方法の確認試験を,行わなければならない。これは,実際の製作に用いる溶接姿勢ご
とに行い,圧力容器の溶接施工方法の確認試験方法ごとに試験片1個を採取し,切断,研磨,エッチ
ングし,溶接部と母材との境界がはっきり分かるようにする。溶接施工方法を確認するに当たっては,
試験片を拡大鏡を用いずに肉眼で見て,溶着が完全であり,溶着部及び熱影響部に割れが一切なけれ
ば合格とする。
f) ライニングの密封度 ライニングについては,使用条件に適しているかどうかの密封度試験を行うと
よい。ただし,試験の詳細については,圧力容器の受渡当事者間の協定による。この試験は,荷重を

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受けもっている母材が損傷を受けていないことを確認するためのものとする。圧力容器の内容物に母
材が接触した場合,母材に急速な腐食が起こると考えられる場合には,密封度試験の方法に特に注意
するのがよい。
耐圧試験後,圧力容器の内面を検査し,試験液がライニングからしみ出しているかどうかを調べる。
ライニング裏面にしみ出ている場合には,圧力容器が運転に入ったとき重大な損傷を受けることがあ
るので,圧力容器の運転温度が試験液の沸点を超えている場合には,ライニングに損傷を与えずにラ
イニング裏面にしみ出した試験液をすべて追い出すのに十分な時間をかけてゆっくり加熱するのがよ
い。試験液をすべて追い出してからライニングを溶接補修する。ライニング補修後に放射線透過試験,
熱処理及び耐圧試験を繰り返す必要はない。ただし,補修溶接に母材まで通るような欠陥があると思
われる理由がある場合には,その限りでない。

9.5 管板と伝熱管との溶接に対する特別規定

 管板と伝熱管との溶接に対する特別規定は,次による。
a) 材料 伝熱管,管板又は管板表面の材料が,この規格に規定する溶接性のよい材料のものであれば,
伝熱管は,管板に溶接で取り付けてよい。
b) 管板の穴あけ 管板にあける管穴は,原寸ドリルであけるか,又は原寸の43の径にパンチした後,ド
リル,リーマ又は回転カッタで原寸に仕上げてよい。この場合には,伝熱管と管穴とのすき間及び管
穴の仕上げは,次の1) 及び2) による。
1) 管外面と管穴の内面とのすき間は,溶接施工方法の確認試験に用いたすき間を超えてはならない。
2) 管板の溶接される側の管穴の縁にばりがあってはならない。また,溶接されない反対側の管穴の縁
の鋭利なかど(角)は除去しなければならない。管板にあけた管穴の表面は,滑らかに仕上げなけ
ればならない。
c) 溶接部の設計及び継手の形式 伝熱管を管板に溶接するときの溶接部の形状は,JIS B 8274の5.4(伝
熱管と管板の接合方法)の規定による。
なお,溶接の寸法,溶接詳細及び継手の形式は,溶接施工要領書に詳細に記載しなければならない。
d) 伝熱管と管板との溶接施工方法の確認試験 伝熱管と管板との溶接施工方法の確認試験は,JIS B
8285の附属書2の4.(管と管板との溶接の確認試験)及びJIS B 8274の規定による。

10. 熱処理

10.1 溶接後熱処理

 溶接後熱処理に関する一般事項,母材の区分(P番号及びグループ番号)別による溶
接後熱処理の範囲及び溶接後熱処理の方法は,附属書14による。

10.2 調質高張力鋼を用いて製作する圧力容器の熱処理

 調質高張力鋼を用いて製作する圧力容器の熱処
理は,附属書12の5.による。

10.3 非鉄金属材料を用いて製作する圧力容器の溶接後熱処理

 非鉄金属材料を用いて製作する圧力容器
の溶接後熱処理は,行わないほうがよく,受渡当事者間の協定がない限り行ってはならない。実施する場
合には,受渡当事者間で温度,時間及び方法を協定しなければならない。

10.4 ステンレスクラッド鋼を用いて製作する圧力容器の溶接後熱処理

 ステンレスクラッド鋼を用いて
製作する圧力容器の熱処理は,附属書13の3.4.10の規定による。

11. 試験・検査

11.1 試験・検査一般

 圧力容器の製作者は,他社に委託した圧力容器の部分,部品,成形,非破壊試験,
熱処理などの作業を含めて,製作した圧力容器がこの規格の規定に従って製作されたものであることを証

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明するために,少なくともa) d) に規定する試験・検査を行わなければならない。
a) 材料の試験・検査 圧力容器又は圧力容器の部分の製作に用いる材料については,次の試験・検査を
行う。
1) 材料がこの規格で使用を許されたものであることを証明するために,材料及び必要があれば試験材
の材料証明書(ミルシート)による確認[5.1 a) c),g) 及び5.2並びに8.1 a) 参照]。
2) 材料が設計仕様に合った必要な厚さのものであることの確認[5.1 d) 及び6.1.4参照]。
3) 鋼材の材料規格の規定に追加の特別規定によって熱処理を行った場合には,試験片による試験結果
の確認(5.3.2,5.3.3及び5.4.3参照)。
4) 材料規格の規定に追加指定して行う非破壊試験と試験結果の確認(5.3.4及び5.4.4参照)。
5) 必要によって行う衝撃試験及び試験結果の確認(5.3.5参照)。
6) ボルト,ナットの目視検査及び非破壊試験並びに試験結果の確認(5.5参照)。
7) 管継手,規格フランジなどの規格部品の試験結果の確認。
8) 材料の加工前の欠陥の検査(8.3参照)。
9) 材料の欠陥補修を行った場合の溶接補修後の非破壊試験及び試験結果の確認[8.2 c) 参照]。
10) 設計で指定された材料が正しく使用されていることを確認するために,材料証明書及び使用した各
部材の照合確認[8.1 b) 参照]。
11) 材料の切断面の非破壊試験及び試験結果の確認(8.4及び8.5参照)。
b) 工作一般に関する検査 工作一般に関する検査は,次による。
1) 胴及び鏡板が規定の形状に許容誤差範囲内に正しく成形されているかの検査(8.6,8.7,8.8及び附
属書12の3.3参照)。
2) 設計図面に記載の各種寸法,ノズル,マンホールなどの方位,胴,フランジなどの傾斜度などが許
容誤差範囲に製作されているかの検査。
3) 圧力容器の内,外面に取り付けられるノズル,マンホールなどの穴周辺の強め材,サドル当て板,
強め輪などが圧力容器の表面の曲率に合わせて適切に付いているかの検査(付図4及び付図8参照)。
c) 溶接継手の試験・検査 溶接継手の試験・検査は,次による。
1) 厚さが異なる部材の突合せ溶接継手の検査(7.2.1参照)。
2) 突合せ溶接するハブ付平鏡板又は管板と胴との取付部の非破壊試験及び試験結果の確認検査(7.2.2
参照)。
3) 必要によって行うノズル強め材の気密試験及び試験結果の確認検査(7.2.4参照)。
4) 溶接施工方法の確認試験及び試験結果の確認検査(9.1.2参照)。
5) 溶接士及び自動溶接士の資格の確認検査(9.1.3参照)。
6) 溶接士又は自動溶接士の照合確認検査(9.1.4参照)。
7) 溶接材料及びその取扱い並びに保管の確認検査(9.1.5参照)。
8) 溶接に先立って,取付部が正しく位置合せされており,接合される材料表面が清浄にされ,かつ,
端面の食違いが規定の誤差内にあることを確認する検査(9.1.79.1.9参照)。
9) 溶接端面の位置決め及び保持のために仮付け溶接を行い,取り除いた後の非破壊試験及び試験結果
の確認検査[9.1.7 b)及びc) 参照]。
10) 溶接部の溶込み深さの検査(9.1.11参照)。
11) 余盛の高さ及び仕上げの検査(9.1.12参照)。
12) 非破壊試験技術者の資格の確認検査(11.4参照)。

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13) 溶接継手の非破壊試験及び試験結果の確認検査(9.2,表9.3及び11.3参照)。
14) 溶接部の欠陥の補修を行った場合には,補修溶接部の試験及び試験結果の確認検査(9.3.3参照)。
15) クロム系ステンレス鋼の合せ材又はライニングを接合する合金材溶接継手の割れ検査[9.4 d) 参照]。
16) ライニングの密封度試験及び試験結果の確認検査[9.4 f) 参照]。
17) 圧力容器の熱処理を行った場合には,熱処理記録の確認検査(10.参照)。
18) 溶接継手の機械試験及び試験結果の確認検査(11.2参照)。
d) 完成後の試験・検査 完成後の試験・検査は,次による。
1) 耐圧試験及び試験中の検査(11.6参照)。
2) 漏れ試験及び漏れ試験中の検査(11.7参照)。

11.2 溶接継手の機械試験

 溶接継手の機械試験の方法は,附属書16によるほか,結果の判定は,次によ
る。
a) 継手引張試験 継手引張試験結果の判定基準は,次による。
1) 試験片の引張強さが,当該試験材の規定最小引張強さ(規定最小引張強さが異なる母材の組合せの
ときは,いずれか小さい値)以上でなければならない。
2) 溶接継手に用いる設計応力強さが別に定められている場合には,その設計応力強さに対応する規定
最小引張強さ以上でなければならない。ただし,試験片が母材で破断した場合において,その引張
強さが母材の引張強さの最小値の95 %以上で,かつ,溶接部に欠陥がないときは,その試験片は
合格したものとする。
3) 分割して継手引張試験を行った場合には,その全部が1) 又は2) の基準以上でなければならない。
b) 曲げ試験 曲げ試験の結果,溶接金属の外側に,次の割れがあってはならない。
1) 3 mmを超える割れ(へりのかどに生じる割れを除く。)
2) 長さ3 mm以下の割れの長さの合計が7 mmを超えてはならない。
3) 割れ及びブローホールの個数の合計が10個を超えてはならない。
c) 衝撃試験 衝撃試験は,5.3.5及び附属書15の3.による。
d) 再試験 再試験は,次による。
1) 継手引張試験の基準に適合しなかった場合で,溶接部で破断し,かつ,そのときの引張強さが,規
定最小引張強さの90 %以上であるときは,再試験を行ってもよい。再試験は,2個(分割試験のと
きは,二組とする。)の試験片を作製し,そのすべての試験片がa) の規定を満足しなければならな
い。
2) 曲げ試験の基準に適合しなかった場合で,その原因が溶接部の欠陥以外であると認められるときは,
再試験を行ってもよい。再試験は,適合しなかった試験片のそれぞれについて2倍の個数の試験片
を作製し,そのすべての試験片がb) の規定を満足しなければならない。
3) 衝撃試験の基準に適合しなかった場合の再試験は,それぞれ材料の種類に応じ,附属書15の3.1 d),
3.2 d) 及び3.3 d) による。

11.3 非破壊試験の方法及び結果の判定

 溶接部,切断面,ジグ跡などの検査に適用される非破壊試験の
方法及び結果の判定は,次による。ただし,試験方法及び結果の判定が特記されたものを除く。
a) 放射線透過試験 放射線透過試験は,次による。
1) 放射線透過試験の方法 鋼の場合には,JIS Z 3104,アルミニウム及びアルミニウム合金の場合に
はJIS Z 3105,ステンレス鋼,耐食耐熱超合金,9 %ニッケル鋼及びその他これらに類するものは,
JIS Z 3106並びにチタン及びチタン合金はJIS Z 3107による。

――――― [JIS B 8266 pdf 55] ―――――

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規格名称