JIS B 8266:2003 圧力容器の構造―特定規格 | ページ 8

32
B 8266 : 2003
7.2.2 突合せ溶接するハブ付平鏡板又は管板と胴との取付け 付図1 a) 1)4) に示すように突合せ溶接
するハブの付いた平鏡板又は管板と胴との取付けは,次による。
a) ハブは鍛造によって製作する。
b) ハブを鍛造する場合には,胴軸に平行な方向の最小引張強さと伸びが材料規格の値を満足するような
方法で行う。これを証明するために,軸方向にできるだけハブに近い位置で採取した引張試験片(必
要に応じサブサイズのものでよい。)で試験しなければならない。ハブの長さは,ハブが溶接接合され
る耐圧部の厚さの1.5倍又は19 mmのいずれか大きい値以上とする。ただし,50 mmを超える必要は
ない。
備考 幾つかの鍛造品の一群に対して,代表試験片1個でよい。ただし,この場合は,それらの鍛造
品が同一設計,同一溶解のもので,かつ,同じ方法で鍛造したものに限る。
7.2.3 ステーによって支えられない平鏡板及び管板と胴との取付け ステーによって支えられない平鏡
板及び管板を付図1 b) に示すように溶接によって隅角部の継手を形成する場合の溶接は,次による。
a) 溶接継手の断面上に,溶接金属と鍛造又は圧延された板との間の溶接線を板の表面に平行及び直角方
向に付図1 b) に示すような寸法a及び寸法bをそれぞれ定める。
b) ボルト締めフランジ接続のフランジ部及びボルト締め用の穴のあいたつば部のある平鏡板並びに管板
に対しては,(a+b) は接合される耐圧部材の呼び厚さの3倍以上とする。
c) ボルト締め用のつば部のない平鏡板に対しては,(a+b) は接合される耐圧部材の呼び厚さの2倍以上
とする[付図1 b) 1-1) 参照]。
d) 溶接継手の他の寸法は,付図1 b) に示す図による。
e) 溶接継手断面における各寸法で,胴,鏡板又は他の耐圧部の厚さより薄いものがある構造,又は接合
部に偏心を起こすような構造のものは,用いてはならない。
7.2.4 分類Dに用いる溶接継手 7.1.1 d) に規定するノズル,マンホール,サンプなど(以下,ノズルな
どという。)を圧力容器の穴に取り付ける分類Dの溶接継手の詳細は,次による。
a) 圧力容器の表面に接合されるノズルなど 付図3 a) 及び付図3 b) に示すように圧力容器壁の表面に
接合されるノズルなどは,FP継手で取り付ける。片面からだけの溶接は裏波溶接を行うか,又は裏当
てを用いる。また,継手部が完全に溶け込んだかどうか外観では分からない溶接に対しては,裏当て
を用いる。裏当てを用いた場合は,溶接後裏当てを取り除かなければならない。
b) 強め材を付けない差込み形ノズルなど 付図3 c),d-1),d-2),e-1),e-2) 及び付図3 f) に示すように
圧力容器壁にあけた穴に,部分的に又は穴を貫通して差し込んだノズルなどで強め材を付けない場合
は,FP継手にて取り付ける。裏当てを用いた場合には,溶接後裏当てを取り除かなければならない。
c) 強め材を付けた差込み形ノズルなど 強め材を付けた差込み形ノズルなどは,次による。
1) 付図4のa) c) に示すよう,1枚以上の強め材を付けた差込み形ノズルなどは,ノズルなどの外周
及び強め材の外周縁をそれぞれ溶接して取り付ける。ノズルなどの外周溶接はFP継手とし,強め
材の外周縁の溶接はすみ肉溶接とする。すみ肉溶接ののど厚は0.7te又は0.7tのいずれか小さい値以
上とする。
ここに,t : 胴又は鏡板の呼び厚さ (mm),te : 強め材の呼び厚さ (mm)
2) 強め材には,6.1.9 a) の規定による知らせ穴を設ける。強め材の溶接部を圧縮空気,石けん水又は
同様のもので予備の気密試験をするため,知らせ穴にはタップを切らなければならない。知らせ穴
は,圧力容器の使用中に開けたままでもプラグをしてもよい。プラグをする場合には,プラグは強
め材と圧力容器壁との間の圧力に耐えられるような丈夫なプラグをしてはならない。また,熱処理

――――― [JIS B 8266 pdf 36] ―――――

                                                                                             33
B 8266 : 2003
中は,知らせ穴にプラグをしてはならない。
d) 強め材と一体になっているノズルなど 付図2に示すように強め材と一体になっているノズルなどは,
B-1継手で取り付ける。付図2に示されていないものは,付図3のg) に示すようにFP継手で取り付
けなければならない。
e) 内ねじ付管継手 内ねじ付管継手は,呼び径2B以下のものに限る。付図6のa),b) 及びc) に示す
ようにFP継手で取り付ける。ただし,付図6のd) に示すようなくら形の管継手で,のど厚が図に示
すように0.7te又は0.7tのいずれか小さい値以上のFW継手で取り付けるものは,用いてもよい。材料
制限は,表7.1参照[t及びteはc) 1) 参照]。
f) 外部荷重を受けないノズルなど 外部荷重を受けないノズルなどは,次による。
1) 付図5 a) ) に示すPP継手によるものは,計器用穴,検査用穴など,本質的に外部からの機械的
荷重が加わらないもの及び熱応力が圧力容器本体のものより小さいものに対して,次の1.1)1.4)
の条件を満足する場合にだけ用いてもよい。
1.1) 6.9に規定の穴の構造の穴補強に関する規定を満足しなければならない。ただし,付図5 c) に示す
取付けにおいては,ノズル材料を補強に有効な部分として算入してはならない。
1.2) 取り付ける穴径は,101.6 mm以下とする。
1.3) 溶接の溶込み深さtwは141 tn以上とし,tcは6 mm又は0.7tnのいずれか小さい値以上とする。tw,
tc及びtnは,付図5参照。
1.4) 溶接部は,表9.3に従い,非破壊試験を行う。
2) 外部荷重を受けない植込みボルト付溶接継手は,本体付図4 d) に示すようにFW継手で取り付けて
もよい(材料制限は,表7.1参照。)。
7.2.5 すみ肉溶接 すみ肉溶接は,次による。
a) 7.1.2の規定によってすみ肉溶接を耐圧部に用いてよい。すみ肉のルート部において完全な溶込みが得
られるように特に注意を払わなければならない。
b) 隅角部の継手又はT継手は,板が溶接部と無関係に支えられている場合には,すみ肉溶接で行ってよ
い。ただし,プラットフォーム,ラダー,配管,断熱材などを支えるラグ及びクリップを取り付ける
すみ肉溶接に対しては,ラグ及びクリップを支える必要はない。
c) 図7.5に用いてはならないすみ肉溶接の例を,幾つか示す。

――――― [JIS B 8266 pdf 37] ―――――

34
B 8266 : 2003
図 7.5 用いてはならないすみ肉溶接の例
d) 取付物を取り付けるすみ肉の強さは,附属書11の4.の規定による。

7.3 非破壊試験

 溶接継手の非破壊試験については,9.2及び表9.3,並びに11.の規定による。

7.4 熱処理

 溶接後の熱処理は,10.及び附属書14の規定による。

8. 工作一般

8.1 材料の確認

 材料の確認は,次による。
a) 圧力容器の耐圧部に用いる材料及び耐圧部に溶接する非耐圧部材は,5.の材料規定に応じ,5.2.15.2.3
に規定する規格材料で,その材料規格のすべての規定及びこの規格で特別に要求された規定に合致し
ていることを証明する材料証明書(ミルシート)によって確認しなければならない。
b) 材料は,材料発注仕様書から受入れ検査,材料証明書の確認,さらに,圧力容器完成に至るまで,材
料の流れにおいても管理できるように材料ごとに必要な記号を刻印又はマーキングし,設計で指定さ
れた材料が圧力容器の完成時にも正しく使用されていることを確認できるようにする。材料が切断,
加工されても記号が残るように,材料を切断する前に記号を移し換える。これらは材料使用明細図又
は表に記録し,材料証明書と使用した各部材との照合確認ができるようにする。

8.2 材料欠陥の補修

 材料に欠陥がある場合の補修の方法は,次による。
a) 欠陥除去の確認 欠陥部を除去した後は,11.3 c) 又は11.3 d) にそれぞれ規定する磁粉探傷試験又は
浸透探傷試験を行い,欠陥が完全に除去されたことを確認する。
b) 溶接補修 溶接によって材料を補修する場合には,9.1.2の規定によって確認された溶接施工方法及び
9.1.3の規定による溶接士によって行わなければならない。材料規格に衝撃試験が要求されている場合
には,溶接施工方法確認試験において溶接金属及び熱影響部の吸収エネルギー値又は横膨出量が附属
書15の規定を満足しなければならない。また,補修した材料に熱処理が必要な場合には10.の規定に
よる。
c) 溶接補修後の試験 溶接によって補修を行った表面は平滑に仕上げ,11.3 c) 又は11.3 d) にそれぞれ
規定する磁粉探傷試験又は浸透探傷試験を行い,合格しなければならない。また,補修溶接した部分

――――― [JIS B 8266 pdf 38] ―――――

                                                                                             35
B 8266 : 2003
の溶接の深さが10 mm又は板厚の21のいずれかを超える場合には,その部分を11.3 a) に規定する放
射線透過試験を行い,合格しなければならない。

8.3 材料の加工前の検査

 材料の加工前の検査は,次による。
a) 圧力容器の製作に用いる材料は,圧力容器の安全性に影響すると思われる欠陥を検出するために,加
工前に目視及び必要な場合には,各種の非破壊試験方法を用いて,できる限り検査する。
b) 衝撃試験の必要な材料は,加工前にすべての表面に割れのないことを確認する。

8.4 材料の切断及び切断面の仕上げ

 板その他の材料の切断及び切断面の仕上げは,次による。
a) 板,鏡板の端部,その他の部材は,必要な形及び寸法に機械せん断,研磨,切削などの機械的方法,
又はガス切断,アーク切断などの熱切断で切断してもよい。熱切断の場合には,溶けかす及び有害な
変色部は,機械的方法で除去する。熱切断による場合には,機械的性質に及ぼす影響を考慮しなけれ
ばならない。
b) 開先は滑らかで,溶けかすなどの有害な付着物を除去していなければならない。合金鋼及び硬化性の
ある材料をガス及びアーク熱で溶断したときは,必要に応じて硬化層,変質部などをグラインダなど
で除去する。また,非鉄金属材料を溶断した場合も同様とする。
c) 完成した圧力容器の中に,溶接されないままに残っているノズル及びマンホールのネック端は,せん
断で切断してもよいが,せん断ばりは他の方法で取り除いて滑らかに仕上げなければならない。切断
端面は,11.3 c) 又は11.3 d) にそれぞれ規定する磁粉探傷試験又は浸透探傷試験を行う。

8.5 切断面の試験・検査

 切断面の試験・検査は,次による。
a) 次の1)及び2)に規定する切断面は,11.3 c) 又は11.3 d) にそれぞれ規定する磁粉探傷試験又は浸透探
傷試験を行い,欠陥の検出を行う。
1) 呼び厚さが13 mmを超える鍛造又は圧延の平鏡板又は管板に耐圧部を溶接して表7.1 FP継手に規
定の隅角部を形成する場合の溶接継手開先を含めたすべての切断面。
2) 付図3 a),b) 及びf) に示すノズルを取り付ける板材にあけた穴の切断面。
b) )の規定に加えて,呼び厚さ38 mmを超える材料の切断面及び呼び径3Bを超えるa) 2) に規定のノズ
ル以外の形式のノズル穴の切断面について磁粉探傷試験又は浸透探傷試験を行い,欠陥を検出する。
c) ) 及びb) 以外に切断面については,目視によって十分に検査し,欠陥を検出する。
d) ) c) の試験・検査で検出されたラミネーション以外の欠陥(長さ方向が材料の表面と平行でないも
の)は除去する。介在物のように不連続部が材料表面に平行なものが上記の試験・検査のいずれかで
発見された場合は,その長さが25 mm以下であれば補修せずにそのまま用いてよい。
e) ラミネーションのような不連続部が有害であるような使用条件のものについては,JIS G 0801又はJIS
G 0802によって超音波探傷試験を行う。
f) 切断面に欠陥がある場合には,8.2の規定によって補修することができる。

8.6 胴及び鏡板の成形

 胴及び鏡板の成形は,次による。
a) 胴及び鏡板は,成形後の材料の機械的性質を損なわないよう,かつ,各部の厚さが設計厚さ以下とな
らないように成形する。
b) 板をロール曲げする場合には,円筒胴の長手溶接継手端は,完成した継手部に平らな部分ができない
ように,まず予備ロール又は成形をして適切な曲率になるようにする。
c) 炭素鋼及び低合金鋼は,打撃による冷間成形を行ってはならない。
d) 炭素鋼及び低合金鋼を鍛造温度で打撃によって成形する場合には,打撃によって問題となるような変
形を生じてはならない。また,成形後は後熱処理を行う。

――――― [JIS B 8266 pdf 39] ―――――

36
B 8266 : 2003
e) 炭素鋼板及び低合金鋼板で冷間又は温間成形を行った胴,鏡板,その他の耐圧部材は,成形後の板の
伸び率が5 %を超え,かつ,次の1)5) に示すいずれかの条件に該当する場合には,その後,後熱
処理を行う。
1) 致死的物質を取り扱うことを目的とする圧力容器
2) 衝撃試験が要求されている材料
3) 冷間成形による板の厚さが16 mmを超えるもの
4) 冷間成形による板厚減少が板厚の10 %を超えるもの
5) 成形中の材料の温度が480 ℃以下で行われるもの
f) 母材の区分P-1グループ番号1及び2の材料であって,上記e) 1)5) の条件以外のものは,冷間成形
後の板の伸び率が40 %を超える場合に後熱処理を行わなければならない。
g) 上記e) 及びf) でいう成形後の伸び率は,次の式によって計算する。
1) 二次曲率をもつ鏡など
75t1 Rf
成形後の伸び率 (%)
Rf Re
2) 一次曲率をもつ円筒胴,円すい胴など
50t1 Rf
成形後の伸び率 (%)
Rf Re
ここに, t : 板の呼び厚さ (mm)
Rf : 成形後の板の中立軸での半径 (mm)
Re : 成形前の板の中立軸での半径(平板の場合は∞)(mm)
h) 炭素鋼及び低合金の胴,鏡板,その他の耐圧部材を圧力容器の製作者以外の者が冷間成形した場合に
は,8.6 a) g) の規定を満足していることを検査成績に記録しなければならない。

8.7 胴の真円度

8.7.1  内圧を受ける胴の真円度 内圧を受ける胴の真円度は,次による。
a) 内面に圧力を受ける胴の軸に垂直な同一面での基準内径に対する最大内径と最小内径との差の割合
(以下,真円度という。)は,いかなる断面においても,その断面における基準内径の1 %を超えて
はならない。直径は内径又は外径で測定してよい。外径を測定した場合は,その断面における板厚を
考慮して修正する(図8.1参照)。
b) 上記a) において,断面が胴に設けられた穴を通る場合には,又はその断面から穴の中心までの距離
が穴の内径寸法以内である場合には,その断面における基準内径の1 %にその穴の内径の2 %を加え
た値を超えてはならない。
真円度=(最大内径−最小内径)/基準内径×100 (%)
図 8.1 真円度計測法
8.7.2 外圧を受ける胴の真円度 外面に圧力を受ける胴の軸に垂直なすべての断面における真円度は,次
による。

――――― [JIS B 8266 pdf 40] ―――――

次のページ PDF 41

JIS B 8266:2003の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 8266:2003の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称