JIS B 8606:1998 冷媒用圧縮機の試験方法

JIS B 8606:1998 規格概要

この規格 B8606は、冷媒用の単段の容積形圧縮機の冷凍能力,入力,全断熱効率及び成績係数を,冷媒を用いて求めるための試験方法について規定。圧縮機の製造業者の工場又は要求される正確さの試験を行うために必要な機器が利用できる場所で行う試験に適用。

JISB8606 規格全文情報

規格番号
JIS B8606 
規格名称
冷媒用圧縮機の試験方法
規格名称英語訳
Testing of refrigerant compressors
制定年月日
1975年9月1日
最新改正日
2018年10月22日
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‐ 
対応国際規格

ISO

ISO/FDIS 917:1998(MOD)
国際規格分類

ICS

27.200
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
ポンプ 2019
改訂:履歴
1975-09-01 制定日, 1978-09-01 確認日, 1984-03-01 確認日, 1984-10-01 改正日, 1990-03-01 確認日, 1995-06-01 確認日, 1998-09-20 改正日, 2004-02-20 確認日, 2008-10-01 確認日, 2013-10-21 確認日, 2018-10-22 確認
ページ
JIS B 8606:1998 PDF [47]
B 8606 : 1998

まえがき

  この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによって,JIS B 8606-1984は改正され,この規格に置き換えられる。
今回の改正では,国際整合化を図るため,ISO/FDIS 917 : 1998, Testing of refrigerant compressors(冷媒用
圧縮機の試験方法)を基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。通商産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS B 8606には,次に示す附属書がある。
附属書A(規定) 計器の校正及び不確かさ
附属書B(規定) 不確かさの解析
附属書C(参考) 量記号
附属書D(参考) 油循環量測定方法
附属書E(参考) 附属の油分離器による油循環量の測定方法
附属書F(参考) 参考文献

(pdf 一覧ページ番号 1)

――――― [JIS B 8606 pdf 1] ―――――

                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
B 8606 : 1998

冷媒用圧縮機の試験方法

Testing of refrigerant compressors

序文 この規格は,1989年に第2版として発行されたIS0 917, Testing of refrigerant compressorsの見直しが
行われ,1998年にまとめられたISO/FDIS 917, Testing of refrigerant compressorsを元に作成した日本工業規
格であり,原国際規格の技術的内容を変更することなく作成している。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲 この規格は,冷媒用の単段の容積形圧縮機(以下,圧縮機という。)の冷凍能力,入力,全
断熱効率及び成績係数を,冷媒を用いて求めるための試験方法について規定する。この規格は,圧縮機の
製造業者の工場又は要求される正確さの試験を行うために必要な機器が利用できる場所で行う試験に適用
する。試験に用いる計器の種類,校正及び不確かさについては,附属書A(規定)及びB(規定)に示す。
附属書C(参考),D(参考),E及びF(参考)は,この規格の本体及び附属書(規定)に関連する補足情
報であり,規定の一部ではない。
なお,この規格は,他の形式の圧縮機を試験する場合にも準用することができる。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO/FDIS 917 : 1998, Testing of refrigerant compressors
参考 自動車用エアコンディショナの試験方法については,次の規格がある。
JIS D 1618 自動車用エアコンディショナー試験方法
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
ISO 5149 Mechanical refrigerating systems used for cooling and heating−Safety requirements
ISO 5167-1 Measurement of fluid flow by means of pressure differential devices−Part 1 : Orifice plates,
nozzles and venturi tubes inserted in circular cross-section conduits running full
ISO/TR 5168 Measurement of fluid flow−Evaluation of uncertainties(1)
注(1) 発行の予定。
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
備考 算定に使用する量記号及び単位は,それらの定義とともに,附属書C(参考)に示す。
なお,この規格で用いる圧力について,特に明記してないときは,絶対圧力をいう。
3.1 冷凍能力 (refrigerating capacity of a refrigerant compressor, 彑禎 の測定位置での吐出し圧
力に対応した飽和温度の冷媒液と,圧縮機入口の測定位置での吸込み冷媒蒸気との間の比エンタルピー差
に,試験で求められた圧縮機の単位時間当たりの冷媒質量流量を乗じた値。

――――― [JIS B 8606 pdf 2] ―――――

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3.2 体積効率 (volumetric efficiency, 枉 騰地 定した吸込み状態における実際
縮機体積流量の,圧縮機押しのけ量に対する比。
3.3 入力 (power input, P)開放圧縮機の場合には,圧縮機軸入力。また,密閉圧縮機の場合には,電動
機端子における電気入力。ただし,これには,潤滑油ポンプのような圧縮機の運転の維持に必要な補機類
が消費する動力も含める。
備考 試験報告書には,入力が圧縮機の回転軸で測定されたものか,又は電動機端子で測定されたも
のであるかを明確にする必要がある。
3.4 全断熱効率 (isentropic efficiency, 彑祝 間の等エントロピー圧縮を仮定した場合の比エ
ンタルピー差と冷媒質量流量との積の,入力に対する比。
備考 試験報告書には、開放圧縮機と密閉圧縮機の区別を明確にする必要がある。
3.5 攀
成績係数 (coefficient of performance, 歛 凍能力の比。
備考 試験報告書には,入力が圧縮機の回転軸で測定されたものか,又は電動機端子で測定されたも
のであるかを明確にする必要がある。
3.6 試験時にサイクル内を循環する冷媒と油の混
油循環率 (oil circulation in the refrigeration system, x)
合液において,混合液の質量に対する油の質量の比。これは,圧縮機の製造業者が指定した油分離器を使
用して運転している場合には,油分離器の出口側で測定する。
4. 一般的事項
4.1 冷凍能力,体積効率及び油循環量の算定方法
a) 圧縮機の冷凍能力の算定は,次による。
1) 8.15.の試験方法に示すような,試験装置における圧縮機の出口と入口との間の各試験回路に挿入
された測定装置によって冷媒質量流量を求める。
2) 冷媒の熱力学的性質表又は状態式から求めた圧縮機の吐出し圧力における飽和液冷媒の比エンタル
ピー,並びに圧縮機の吸込みの圧力と温度における冷媒蒸気の比エンタルピーを決定する。
b) 体積効率は,6.7.2に示す算定式によって求める。
c) 油循環量は,附属書D(参考)に示す試験方法によるか,又はそれと同等以上の正確さが得られる試
験方法によって,求めなければならない。大形のスクリュー圧縮機のように,油噴射することが圧縮
サイクルの基本である場合には,圧縮機を通って流れる油の質量流量は,外部に取り付けてある油分
離器から附属書E(参考)に示す試験方法によって求める。圧縮機に流れ込む冷媒液の質量流量を求
める必要のある場合には,12.に示す冷媒液質量流量測定方法を使用することができる。ただし,試験
の間,圧縮機が通常の使用時に運転するのに必要な補助機器及び附属品は,すべて装備していなけれ
ばならない。
4.2 試験 4.2.6に規定する場合を除き,試験は可能な限り試験X及び試験Yの両試験を同時に行わなけ
ればならない。
4.2.1 試験Yは,可能な限り,試験Xとは異なる種類の試験方法とし,その結果を試験Xとは別に求め
なければならない。
4.2.2 試験X及び選択した試験Yのそれぞれについて,冷凍能力の推定誤差の値 (s び (s ‰
試験を行う前に測定に用いる計器の正確さから算定しておかなければならない[附属書B(規定)]。
4.2.3 試験X及び試験Yの種類は,7.に示す。

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4.2.4 冷凍能力に関する試験X及び試験Yの試験結果は,それらが±4%以下の相関関係にある場合には,
試験が適切であるとする[附属書B(規定)]。
4.2.5 4.2.2によって,それらの試験結果の正確さが有効と認められている場合には,冷凍能力及び体積
効率は,試験X及び試験Yの両試験結果の算術平均値を採用しなければならない。
4.2.2及び附属書B(規定)に示された方法で算定した試験X及び試験Yの推定誤差の値 (sfx) 及び (sfy)
は,これらを用いた [ (sfx2+sfy2) /2] 1/2によって,有効な試験結果に対する総合推定誤差を求めなければな
らない。
4.2.6 試験Xの正確さが確認されている場合には,試験Yを省略することができる。
4.3 試験通則一般 試験結果の正確さが要求される限界内にあることを確保するためには,次の規定を
満足することが必要であり,また,4.3.4の備考に示す事項を考慮しなければならない。
4.3.1 計器及び補助的な測定器具はすべて,正確さの証明された計器を用いて校正し,圧縮機の入口及び
出口との関係位置を正確に取り付け,また,その計器の読みが附属書A(規定)に規定された正確さの範
囲(標準偏差)内に収まるように調節しておかなければならない。
4.3.2 圧縮機の吸込み口における圧力と温度は,入口の上流側又は止め弁が設けてある場合には,その上
流側の配管の外径の8倍(又は,できる限り8倍に近い)の距離で,段付きのない直管部で測定しなけれ
ばならない。管の直径は,管径の16倍以上の長さにわたって,圧縮機の配管接続継手の管径と一致してい
なければならない。
なお,圧縮機に常備されている油分離器など機器の構成上の理由で,測定位置が外径の8倍の距離をと
れない場合には,外径の4倍以上(150mm以上)の距離で,圧縮機からの熱の影響を受けない位置でもよ
い。
4.3.3 圧縮機の吐出し口における圧力と温度は,出口の下流側又は止め弁が設けてある場合には,その下
流側の配管の外径の8倍(又は,できる限り8倍に近い)の距離で,段付きのない直管部で測定しなけれ
ばならない。管の直径は,管径の16倍以上の長さにわたって,圧縮機の配管接続継手の管径と一致してい
なければならない。
なお,圧縮機に常備されている機器の構成上の理由で,測定位置が外径の8倍の距離をとれない場合に
は,外径の4倍以上(150mm以上)の距離で,圧縮機からの熱の影響を受けない位置でもよい。
4.3.4 装置の冷媒と潤滑油
a) 装置内の冷媒及び潤滑油の充てん量は適正でなければならない。圧縮機からの潤滑油の排出量が冷媒
の質量流量の1.5%未満であることが確認されていない場合には,圧縮機の吐出し配管系に有効な油分
離器を設けなければならない。
なお,冷媒蒸気流量計法(方法D1),冷媒ガス流量計法(方法D2)及び液冷媒流量計法(方法F)
以外の,その他の試験方法では,潤滑油の循環は試験結果に影響を及ぼさないので,油分離器を取り
付けずに試験を行っても潤滑油の影響を補正する必要がない。
b) 油分離器を使用する場合には,分離された油を戻せる圧縮機では,直接圧縮機の潤滑油系統に油を戻
す装置としなければならない。
c) 油循環量を求める方法は,附属書D(参考)及び附属書E(参考)に示す。ただし,測定の正確さが
同等以上であれば,他の方法で測定してもよい。
d) 圧縮機が,通常,油分離器を使用するように設計されている場合には,装置で使用される油分離器か
らの油は,直接圧縮機の潤滑油系統又は圧縮機本体,又は測定装置と圧縮機の吸込み側継手との間の
吸込み管に戻さなければならない。

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e) 試験中に冷媒を加えてはならない。また,冷媒回路と通じているクランクケースに油を加えてはなら
ない。
f) 試験運転中,冷媒回路には,圧縮機の正常な連続運転を確保し,試験結果の正確さが許容値内で影響
を受けない純度状態にある冷媒と油しか含まれないようにしなければならない。
備考 圧縮機の吸込み口の冷媒蒸気から液滴状の冷媒と潤滑油を完全に取り除くことは困難である。
ただし,圧縮機の吸込み口におけるこれらの要因によって生じる誤差は,一般に,次の三つを
同時に満足させることによって無視できる程度にまで少なくすることができる。
1) 圧縮機入口の冷媒蒸気が十分に過熱されていることを確認する。そのためには,吸込み蒸気
の過熱器が必要となり,かつ,外部の熱源からこれに供給される熱量はすべて適切に記録す
る必要がある。
2) 圧縮機の吐出し管に有効な油分離器を設ける。
一般に,油と液滴状冷媒の混合物の油含有量が,冷凍能力の誤差を1.5%未満とする量であ
れば,潤滑油の影響による補正をする必要はない。
3) 油分離器からの油を圧縮機に戻すことが適切でない場合には,油は戻さなくてもよい。
4.3.5 試験装置は,冷媒及び油の漏れがないことを確認しなければならない。適切な方法で,不凝縮ガス
が混入していないことを確認しなければならない。
4.3.6 装置は,異常な空気の流れの中にないようにしなければならない。
4.4 試験の期間
4.4.1 規定された試験は,指定された時間の間,試験結果に影響を及ぼす可能性のあるすべての要因の設
定試験条件からの変動が許容限界内に収まっており,これらの許容変動限界から逸脱する明らかな傾向を
示すことのない状態で,連続運転できる圧縮機を対象とする。これらの状態は,定常作動状態という。
4.4.2 圧縮機を始動させた後,準備運転の間に,試験に要求される測定値が設定試験条件からの許容変動
限界内に収まるまで、調節しなければならない。
4.4.3 定常作動状態に到達した後は,次に示す,いずれかの方法で測定しなければならない。
4.4.3.1 測定値が5.に規定した設定試験条件からの許容変動限界内にある場合には,試験の期間中の測定
は,1時間の間に20分を超えない等間隔で,少なくとも4回の読取りを行わなければならない。
4.4.3.2 試験の期間を通して,規定の設定試験条件からの偏りが,温度は±1K,圧縮機回転速度は±1%,
また,密閉圧縮機の電動機入力の電圧と周波数がそれぞれ±1%以下で十分に安定している場合には,3分
間以上の間隔で少なくとも4回の読取りを行わなければならない。記録計を使用する場合には,それらの
正確さは附属書A(規定)に規定する正確さと同等でなければならない。
なお,開放圧縮機の場合には,回転速度の許容変動限界は±1.5%とする。
4.4.3.3 定常作動状態での運転が5.の設定試験条件における規定を満足し,かつ,冷凍能力の指示値が1
時間の間継続して±1%以下の変動であることの確認されている自動化された試験装置では,測定回数は1
回でもよい。
4.4.4 連続する各測定値の算術平均を,その試験の測定値としなければならない。
4.4.5 それぞれの測定の時間間隔の始めと終わりには,すべての測定値から,運転が定常作動状態である
ことを確認しなければならない。
5. 設定試験条件及びそれからの偏り 試験を実施する条件として,圧縮機の試験に規定しなければなら
ない設定試験条件は,次のとおりである。

――――― [JIS B 8606 pdf 5] ―――――

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