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2) 移動式クレーン
a) 慣性力 ジブの旋回,起伏及び走行に伴う慣性力によって生じる力で,次式による。
ただし運動する部分の質量及び定格荷重によって生じる水平動荷重が,同一の水平方向に同時に
作用するものとして求める。
Fi Qg (4.4)
ここに, Fi : 水平動荷重(N)
Q : 定格荷重及び運動する部分の質量(kg)
g : 重力加速度(m/s2)
δ : 水平動荷重を求める係数=0.05
4.3 非定常荷重 作業中に受ける熱荷重及び風荷重のほか,積雪又は着氷による荷重,特殊な作業によ
る荷重,駆動装置の故障によって生じる荷重,非常停止などによって生じる荷重を実情に応じて考慮する。
4.3.1 熱荷重 温度変化によって部材の熱膨張が妨げられるような特別な場合に考慮する。標準的な作業
条件における気温は−25℃+45℃とする。ただし,熱荷重は移動式クレーンに対しては考慮しない。
4.3.2 作動時風荷重 作動時における風荷重の値はJIS B 8830 による。
4.4 特殊荷重 クレーン(移動式クレーンを除く)が停止時に受ける地震によって生じる水平力及び停
止時に受ける風荷重,緩衝器への衝突荷重などをいう。
4.4.1 地震荷重 走行式クレーン,固定式クレーンにかかわらず自重の20%の水平荷重を考慮する。ただ
し,ロープによりつられたつり荷による水平力は考慮しない。
なお,地震に対して動的特性を考慮した構造解析を行なったものについてはこの限りではない。
4.4.2 緩衝器への衝突荷重 つり荷のないクレーンが,定格速度の70%で緩衝器に衝突した場合の荷重
とする。ただし緩衝器の手前で自動的に減速する装置がある場合は,減速によって得られた速度で衝突す
るものとして衝突荷重を求めてよい。
なお,つり荷がトロリから剛体で案内される構造のクレーンでは,つり荷の影響も考慮する。さらに,
つり荷又は案内部分が地上の障害物と衝突するおそれのある場合は,トロリの片側車輪が持ち上がるまで
の水平力を考慮する。
4.4.3 停止時風荷重 クレーンに適用する停止時における風荷重の値は,JIS B 8830 による。
4.5 その他の荷重 歩道等にかかる荷重又は組立,解体,搬送時などに発生する荷重をいう。
4.5.1 歩道等への荷重 歩道及びはしごは,1個3,000 Nの移動する集中荷重が,また手すりには1個300N
の水平にかかる移動集中荷重が作用することとする。
4.5.2 組立,解体,搬送時の荷重 組立,解体又は搬送時に特別な荷重がかかると想定される場合は,こ
れらの荷重を考慮する。
5. 荷重の組合せ
5.1 記号 この項で使用する記号は,次による。
Vh : 巻上定格速度(m/s)
K : 作業係数(移動式クレーンを除く)
Ψ : 衝撃係数(移動式クレーンを除く)
γ : 動荷重係数(移動式クレーンに適用)
φ : 静荷重係数(移動式クレーンに適用)
――――― [JIS B 8831 pdf 6] ―――――
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5.2 荷重の割り増し クレーン(移動式クレーンを除く)に対しては,その種類及び作業条件に応じて作業
係数K 及び衝撃係数Ψを,移動式クレーンに対しては,動荷重係数γ及び静荷重係数φを乗じて荷重の割
り増しを行う。
5.2.1 作業係数K 負荷される荷重条件及び荷重を受ける回数に応じて,定常荷重に対して表 5.1に示す
作業係数により荷重の割り増しを行う。
各種クレーンに対する適用例を表 5.2に示す。
表 5.1 作業係数 K
荷重を受ける回数
負荷による区分 6.3×104回6.3×104回1.2×105回2.5×105回5.0×105回1.0×106回2.0×106回
未満 以上 以上 以上 以上 以上 以上
1.2×105回2.5×105回5.0×105回1.0×106回2.0×106回
未満 未満 未満 未満 未満
常態として定格荷重の
50%未満の荷重の荷を 1.00 1.02 1.05 1.08 1.11 1.14 1.17
つるクレーン
常態として定格荷重の
50%以上63%未満の荷 1.02 1.05 1.08 1.11 1.14 1.17 1.20
重の荷をつるクレーン
常態として定格荷重の
63%以上80%未満の荷 1.05 1.08 1.11 1.14 1.17 1.20 1.20
重の荷をつるクレーン
常態として定格荷重の
80%以上の荷重の荷を 1.08 1.11 1.14 1.17 1.20 1.20 1.20
つるクレーン
表 5.2 各種クレーンへの適用例
No. 適用されるクレーン 作業係数K No. 適用されるクレーン 作業係数K
1 1.001.02
発電所用,分解点検用クレーン 11 アンローダ用橋形クレーン(GB付,LM付) 1.141.20
2 機械及び組立工場用クレーン 1.021.08 12 ぎそうクレーン 1.051.11
3 一般工場用クレーン 1.051.11 造船所用ジブクレーン
4 天井クレーン(GB付,LM付) 1.141.20 13 ふ頭用ジブクレーン(H付) 1.111.14
5 レードルクレーン 1.141.20 14 ふ頭用ジブクレーン(GB付,LM付) 1.141.20
6 ストリッパクレーン 1.20 15 大荷重ジブクレーン 1.021.05
ソーキングピットクレーン 16 建築用クレーン 1.051.08
7 装入クレーン 1.20 17 浮きクレーン(フック付) 1.111.14
8 鍛造クレーン 1.141.20 18 浮きクレーン(GB付,LM付) 1.141.20
9 一般用橋形クレーン(H付) 1.08 19 大荷重浮きクレーン 1.021.05
10 1.111.14
アンローダ用橋形クレーン(H付) 20 鉄道クレーン 1.08
コンテナ用橋形クレーン(H付)
備考 H : フック GB : グラブバケット LM : リフチングマグネット
5.2.2 衝撃係数Ψ 巻上げ作業に際して生じる衝撃は,起動の方法,加減速度,けた又はジブのたわみ,
ロープの長さなどによって異なり,衝撃係数は実測によって求めることができるが,一般には,衝撃係数
を垂直動荷重に乗じて荷重の割り増しを行う。
垂直動荷重によって生じる応力が,自重によるものと符号が異なる部材については,垂直動荷重を地上
に下ろすときの衝撃を考慮して,垂直動荷重に(1−Ψ)/2を乗じた荷重を考慮する。
衝撃係数は次式によって計算した値とする。
――――― [JIS B 8831 pdf 7] ―――――
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ジブクレーンの場合
Ψ=1+0.3 Vh ただし,1+0.3 Vh<1.10の場合は,Ψ=1.10
1+0.3 Vh>1.30の場合は,Ψ=1.30
その他のクレーンの場合
Ψ=1+0.6 Vh ただし,1+0.6 Vh<1.10の場合は,Ψ=1.10
1+0.6 Vh>1.60の場合は,Ψ=1.60 とする。
ここに, Ψ : 衝撃係数
Vh : 巻上定格速度(m/s)
5.2.3 動荷重係数γ 動荷重係数は,移動式クレーンに適用する。垂直動荷重に動荷重係数を乗じて荷重
の割増しを行う。その値γは,移動式クレーンの形式,作業状況に関係なくγ=1.25とする。
5.2.4 静荷重係数φ 静荷重係数は,移動式クレーンに適用する。垂直静荷重に静荷重係数を乗じて荷重
の割増しを行う。その値φは,移動式クレーンの形式,作業状況に関係なくφ=1.1とする。
5.3 荷重の組合せ
5.3.1 基本的な荷重の組合せ クレーン(移動式クレーンを除く)に対する構造部分の応力算定は,表 5.3,
移動式クレーンに対する構造部分の応力算定は表 5.4に示す荷重の組合せによる。
組合せAは定常荷重と非定常荷重の一部(熱による荷重)の組合せを,組合せBは定常荷重と非定常荷
重の組合せを,組合せCは定常荷重,非定常荷重及び特殊荷重の組合せを対象とする。
荷重の組合せは,構造部分の強度に関して最も不利となる組合せとする。すなわち,定格荷重とつり具
の質量,組合せ荷重と作用方向等の関係について,最も厳しい条件をとる。
5.3.2 組立,解体,輸送中の荷重の組合せ 組立及び解体工程における荷重の組合せのほか,場合によっ
ては輸送中に生じる荷重を考慮する。
表 5.3 荷重の組合せ・強度係数(移動式クレーンを除くクレーン)
組合せC
荷重の種類 組合せA 組合せB
C1 C2 C3 C4
定 垂直動荷重 つり上げ荷重に対して K・Ψ K・Ψ 1 1 − −
常 垂直静荷重 クレーンの質量に対して K K 1 1 1 1
荷 慣性力 つり上げ荷 K K − − − −
重 遠心力 重とクレー
水平動荷重
車輪側方力 ンの質量に
対して
非 熱による荷重 1 1 1 1 1 1
定
常 作動時風荷重 − 1 − − − −
荷
重 雪・氷による荷重 − 1 − − − −
特 地震荷重 クレーンの − − 1 − − 1
殊 質量に対し
緩衝器への衝突荷重 − − − 1 − −
荷
て
重
停止時風荷重 − − − − 1 −
降伏点に対して* 1.5 組合せAの値を 組合せAの値を
強度係数
引張強さに対して* 1.8 1.15で除した値 1.3で除した値
――――― [JIS B 8831 pdf 8] ―――――
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備考1. 強度係数は,基本許容応力を求める係数とする。(JIS B 8821を参照。)* : いずれか小さい値を組合せ
Aの許容応力とする。
2. すべての荷重は検討しようとする部材に対して,最も不利な位置及び大きさをとる。例えばΨ をかけ
ない方が大きくなる場合にはΨ=1とする。
3. 水平動荷重は,慣性力,遠心力及び車輪側方力で,同時に起こることが予想される最も条件の悪い組合
せを考慮する。ただし,巻上動作と重ならないことが明らかな場合にはΨ=1としてよい。
4. 停止時には,トロリは無負荷で所定の位置に置く。これが決められないときには最も不利な位置にある
こととする。
5. 旋回クレーンの場合,停止時にはジブを無負荷で所定の位置に置く。指定のない場合は最も不利な位置
にあることとする。また,ジブが風で振り回されないことが明らかなときは,最も不利な方向から風を
受けることとする。
表 5.4 荷重の組合せ・強度係数(移動式クレーン)
荷重の種類 組合せA 組合せB
定 垂直動荷重 定格総荷重に対して γ=1.25 γ=1.25
常 垂直動荷重 移動式クレーンの質量に対して φ=1.1 φ=1.1
荷 水平動荷重 定格荷重と移動式クレーンの水平移動部分 − 1
重 に対して
非荷
定重 作動時風荷重 − 1
常
降伏点に対して** 1.5 組合せAの値を
強度係数
引張強さに対して** 1.8 1.15で除した値
備考 強度係数は,基本許容応力を求める係数とする。(JIS B 8821を参照。)** : いずれか小さい値を組
合せAの許容応力とする。
――――― [JIS B 8831 pdf 9] ―――――
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附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表
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JIS B 8831 : クレーン−荷重及び荷重の組合せに関する設計原則 ISO 8686-1 : 1989,クレーン荷重及び荷重の組合せに関する設計原則
第1部 : 一般
ISO 8686-3 : 1998,クレーン荷重及び荷重の組合せに関する設計原則
第3部 : タワークレーン
ISO 8686-5 : 1992,クレーン荷重及び荷重の組合せに関する設計原則
第5部 : 天井走行及び橋形クレーン
(I) ISの規定 (II) 国際 (III) 国際規格の規定 (V) ISと国際規格との技術的差異の理由
(IV) ISと国際規格との技術的差異
規格番号 の項目ごとの評価及びその内容 及び今後の対策
表示箇所 : 本文の左側
表示方法 : 傍線
項目 内容 項目 内容 項目ごと 技術的差異の内容
番号 番号 の評価
1.適用範 クレーン及び移動式クレ ISO 8686-11. JISに同じ IDT − −
囲 ーンに適用する ISO 8686-3
ISO 8686-5
2.引用規 JIS B 0146-1 2. ISO 4302 −
格 JIS B 0146-2 ISO 4306
JIS B 8830 ISO 4310
3.定義 この規格で使用する用語 同上 3. JISに同じ IDT − −
の定義を述べている。
4.荷重の 荷重の内容を説明してい 同上 6. 詳細対比表参照 MOD/変更 − 構造規格の規定を一部追加した。
種類 る。 (詳細対比表参照)
5.荷重の 荷重の組合せ方法を決め 7. 詳細対比表参照 MOD/変更 − 構造規格の規定を一部追加した。
組合せ ている。 (詳細対比表参照)
――――― [JIS B 8831 pdf 10] ―――――
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JIS B 8831:2004の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 8686-1:1989(MOD)
- ISO 8686-3:1998(MOD)
- ISO 8686-5:1992(MOD)
JIS B 8831:2004の国際規格 ICS 分類一覧
JIS B 8831:2004の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISB0146-1:2017
- クレーン―用語―第1部:一般
- JISB0146-2:2017
- クレーン―用語―第2部:移動式クレーン
- JISB8821:2013
- クレーン鋼構造部分の計算基準
- JISB8830:2001
- クレーン―風荷重の評価