JIS B 9706-1:2009 機械類の安全性―表示,マーキング及び操作―第1部:視覚,聴覚及び触覚シグナルの要求事項 | ページ 2

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B 9706-1 : 2009 (IEC 61310-1 : 2007)
3.8
危険状態 (hazardous situation)
人が,少なくとも一つの危険源にさらされる状態。危険源にさらされることによって,瞬時に又は長期
的に危害が及ぶことがある(JIS B 9700-1の3.9を修正)。
3.9
照光式アクチュエータ (illuminated actuator)
照光によって可視表示できる,光源付きのアクチュエータ。光源の操作は,アクチュエータ操作に対応
するもの及び対応しないものがある(IEC 60073:2002の3.8参照)。
3.10
機械類 (machinery, machine)
連結された部品又は構成品の組合せであって,そのうちの少なくとも一つは適切な機械駆動部,制御回
路及び動力回路を備えて動くものであって,特に,材料の加工,処理,移動,こん(梱)包などの用途に
合うように結合されたもの。同一の目的を達成するために完全な統一体として機能するように配置され,
制御される複数の機械の集合体も含む(JIS B 9700-1の3.1を修正)。
3.11
メッセージ [message (in telegraphy and data communication) ]
送信側から受信側に伝送される一連の文字及び制御シーケンス。送信側が文字の組合せを決定する(IEV
721-09-01参照)。
3.12
オペレータ (operator)
機械の設置,操作,調整,保全,清掃,修理又は輸送に携わる人。
3.13
リスク (risk)
危害の発生確率及び危害のひどさの組合せ(JIS B 9700-1の3.11参照)。
3.14
安全標識 (safety sign)
安全色4)及び幾何学的形状を組み合わせた基本形によって一般的な安全のメッセージを伝え,図記号を
加えることによって,特定の安全のメッセージを伝える標識[JIS Z 9101の3.b) 参照]。
注4) 安全色とは,安全を図るための意味を備えた特別の属性をもつ色をいう[JIS Z 9101の3.a)参
照]。安全色及び対比色については,JIS Z 9101及びJIS Z 9103に詳しい規定がある。
3.15
彩度 (saturation)
ある面について,その明るさにおいて判断される有彩色の度合の強さ。
注記 与えられた視覚条件において,視覚可能範囲の明るさにおける色の感覚は,非常に明るい場合
を除いて,明るさに依存せずほぼ一定の彩度を示す。JIS Z 8113では,彩度(saturation)を飽
和度としている。
3.16
シグナル (signal)
3.16.1
聴覚シグナル (acoustic signal)
音源の,音色,周波数,及び断続形態によって伝達する情報(IEC 60073の3.2.1参照)。
3.16.2
能動的シグナル (active signal)

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機械の状態の変化を報知するため又はリスクの変化を警告するために,伝達内容を即時に変えられる機
器によって伝達する情報(表1の例参照)。
3.16.3
受動的シグナル (passive signal)
機械又は機械周辺の恒久的情報を提供するための機器によって伝達する情報(表1の例参照)。
3.16.4
触覚シグナル (tactile signal)
振動,力,表面粗さ,形状又は位置によって伝達する情報。
3.16.5
視覚シグナル (visual signal)
表示機器の明るさ,コントラスト,色,形状,大きさ又は位置によって伝達する情報。

4 安全関連情報を表すシグナル

4.1 一般事項

  機械は,機械に接近する人のリスクを低減するために,次の要求事項を満足しなければならない。
− 適切な安全関連情報を人に伝える手段を備えている。
− アクチュエータは,安全に使用でき,アクチュエータ上又はその近傍の適切なマーキングによって明
確に識別できる。
− 警告機能が正常に作動することをオペレータが確認する手段を備えている。
能動的シグナルは,危険源が発生したことを人に伝え,必要な行動を促すために用いる。
受動的シグナルは,恒常的なリスクを警告するために,また,例えば,避難経路,非常停止用アクチュ
エータの位置などを示すために用いる。
注記1 表1は,能動的シグナル及び受動的シグナルの例を示している。
すべての安全関連シグナルは,その意味がオペレータに明確に伝わるように設計しなければならない。
特に,機械の設計及び据付けにおいては,人間工学的原則を考慮しなければならない。シグナル及びその
コード化は,機械全体において矛盾があってはならない。安全関連情報を伝達する機器を選択するときは,
その機器が故障したときの影響を考慮しなければならない(例えば,ランプのフィラメント故障,ビデオ
ディスプレーの電子銃の故障などは,シグナルの喪失をもたらす。)。
注記2 安全関連情報伝達機器の故障に対する具体的方策は,リスクアセスメントに基づいて決定す
る。この規格では規定しない。
安全関連情報は,オペレータ又は危険区域内にいる人の知覚能力に適応する手段を用いて伝達しなけれ
ばならない。視覚的手段によって伝達できる場合には,視覚シグナルを用いなければならない。例えば,
弱視,色弱,難聴などの知覚障害者,又は保護具着用によって知覚を阻害される人が,安全関連シグナル
を認識する必要がある場合は,次に示す補助的手段などを用いることによってこれらの人が確実に知覚で
きるように,特に留意しなければならない。
− 複数の知覚手段(視覚,聴覚及び触覚)の使用。
− 複数のコード(5.2.2参照)の使用。
次の場合には,視覚シグナルを補完する手段を選択し,用いなければならない。
a) 他の情報が過剰であるために目的のシグナルを容易に認識できない。
b) 次の理由によって,視覚シグナルによるだけでは伝達が不十分である。

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− オペレータが,アクチュエータを操作しながら別の場所を見る必要がある。
− 危険区域内にいる人が,オペレータの視野外になる。
− 危険区域内にいる人が,警告シグナルを視認できない。
表1−シグナルの例
シグナルの種類 視覚(4.2参照) 聴覚(4.3参照) 触覚(4.4参照)
能動的シグナル 表示のオンオフ 音響のオンオフ 振動
又は次の属性の変化 : 又は次の属性の変化 : 位置の変化
−色 − 周波数 クリック感,スナップ感
− 明るさ − 強度(音量) 戻り止め機構の触感による選
− コントラスト 異なる音種 択位置の伝達
− 彩度(飽和度)
点滅照明又はせん光照明
位置の変化
受動的シグナル 安全標識 無音 形状
補助標識 表面の粗さ
マーキング 浮き彫り
形状,色 相対位置

4.2 視覚シグナル

4.2.1  一般事項
視覚シグナルは,次の条件を満足しなければならない。
− 伝える相手の視野に入るように配置する。
− 背景に対して適度の明るさコントラスト及び色コントラストをもつ。
表示機器及び照光式アクチュエータに用いる照明の照度は,通常は一定とし,更に細かい区別及び詳細
情報の伝達を目的とする場合(特に情報を強調したいとき)には,点滅照明又はせん光照明を用いるとよ
い。
4.2.2 視野
視覚シグナルは,視認を容易にするために次の条件を満足しなければならない。
a) シグナル及び光源は,必要なすべての視点から表示面が見えるように配置する。
b) 能動的な安全関連シグナルは,作業位置にいるオペレータ及び危険区域内にいる人から視認できるよ
うに配置し,可能な限り広い角度からよく見えるようにする。
c) 視認できる視角が限定される表示面は,必要なすべての位置からよく見えるように配置する。
d) 受動的な視覚シグナル(安全標識,補助標識,マーキングなど)は,情報必要者が場所を移動(自分
又は他者のリスクを増すような移動)しなくてもシグナルを視認できるように配置する。
注記1 図2及び図3は,視覚シグナルを見る人の垂直軸上及び水平軸上の推奨視野及び許容視野
を示している。
注記2 VDT(ディスプレー端末装置)の文字情報の文字の高さ,幅,及び間隔に関しては,JIS Z
8513に規定がある。

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B 9706-1 : 2009 (IEC 61310-1 : 2007)
視野A : 推奨
視野B : 許容
視野C : 不適当
視線D : 標準視線(統計の中央値)
図2−視覚シグナルを見る人の垂直視野
視野A : 推奨
視野B : 許容
視野C : 不適当
視線D : 標準視線(統計の中央値)
図3−視覚シグナルを見る人の水平視野
4.2.3 明るさ,色及びコントラスト
視覚シグナルの明るさ,色及びコントラストに関して,次の要求事項を満足しなければならない。
a) 発光表示面では,明るさコントラスト比が6対1を下回らない。
b) 表示面は,定常時及び非常時の目視条件下で鮮明に見える。
c) 予想されるすべての目視条件(例えば,非常時)に適応するように,必要ならば,非発光表示面には
照明手段を備える。

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B 9706-1 : 2009 (IEC 61310-1 : 2007)
4.2.4 図記号
図記号は,容易に理解でき,明確に解釈できるように,単純で論理的でなければならない。可能な限り,
ISO 7000及びIEC 60417に規定する図記号を用いなければならない。
注記 機器・装置用図記号の基本原則が,JIS Z 8221(規格群)に規定されている。機械によく用い
られるIEC 60417の代表的図記号が,この規格の附属書Aに記載されている。
4.2.5 安全標識及び補助標識
安全標識は,意図する条件及び予見される条件下で視認できなければならない。
禁止,強制,警告などの安全情報は,形状,安全色,対比色5)及び図記号を組み合わせて伝達しなけれ
ばならない。
安全標識は,ISO 7010 6)に適合しなければならない。
安全標識だけによって安全に必要なすべての情報を伝達できない場合は,追加の文字情報を伝達するた
めに補助標識7)を安全標識と組み合わせて用いなければならない。
補助標識は,JIS Z 9101に適合しなければならない。
注5) 対比色とは,図記号,文字,地色などを用いて,安全色を引き立たせる効果をもつ無彩色をい
う[JIS Z 9103の3.a) 参照]。
6) SO 7010の図記号の一部は,JIS Z 9104の附属書2に記載されている。
7) 補助標識とは,標識の主要な目的を更に明確にするために,補助情報を提供する標識をいう[JIS
Z 9101の3.d) 参照]。

4.3 聴覚シグナル

  聴覚シグナルは,差し迫った危険を警告し,危険状態が発生したこと及び持続中であることを伝えなけ
ればならない。オペレータの制御又は介入が可能な場合は,聴覚シグナルは少なくともオペレータが介入
するまで持続しなければならない。
聴覚シグナルは,次の条件を満足しなければならない。
− 音量は,周囲の騒音より大きく,容易に聴き取れ,かつ,苦痛を感じるほど過大でない。
− 音響のパルス幅,パルス間隔又はパルスグループ間隔を容易に識別でき,他の聴覚シグナル及び周囲
騒音から明りょうに区別できる。
− ISO 7731の,認識,音響,弁別性及び明りょう性に関する要求事項を満たす。

4.4 触覚シグナル

  触覚を通してオペレータに伝える情報は,視覚及び聴覚とは独立に,オペレータが,伝達要素の表面粗
さ,形状及び相対位置を判断して,伝えようとする機械の多種の操作機能を認識でき,区別できるもので
なければならない。
注記1 触覚シグナルは,人体の部分(例えば,指,手,足など)が意図的にアクチュエータの表面
(例えば,押しボタン,レバーなど)に接触するときに伝達される。視認性が低い条件下で
は,触覚シグナルだけに依存することが必要な場合もある。
注記2 触覚シグナルを認識し,理解するためには,オペレータがそのシグナルの意味を承知してい
ることが前提になる。

5 シグナルのコード化

5.1 一般事項

  シグナルは,コード化しなければならない。コードは,この規格に従って,機械の設計の初期段階にお

――――― [JIS B 9706-1 pdf 10] ―――――

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JIS B 9706-1:2009の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61310-1:2007(IDT)

JIS B 9706-1:2009の国際規格 ICS 分類一覧

JIS B 9706-1:2009の関連規格と引用規格一覧