JIS B 9946:2019 排水・用水用オゾン処理装置―仕様項目及びオゾン濃度測定方法 | ページ 6

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附属書E
(参考)
オゾン濃度測定方法における補足事項
E.1 一般
オゾン濃度の測定方法には,化学分析として,よう素滴定法をはじめインジゴ吸光光度法,紫外線吸光
光度法などがあり,機械分析としては,紫外線吸収式,隔膜ポーラログラフ式など種々の方法,原理に基
づくものがある。また,処理装置ではオゾン濃度が低い場合,オゾンの分解速度が速い場合などがあり,
オゾン濃度の測定において注意を必要とする。この附属書では,化学分析における定量下限値,オゾンの
分解速度が速い場合の試料採取方法,各種オゾン濃度計の測定原理の他,測定の繰返し再現性,各測定方
法の測定結果間の相関性など,この規格を利用するオゾン処理関連の技術者に参考になると考えられる情
報を補足事項として記載する。
E.2 化学分析方法への補足事項
E.2.1 よう素滴定法及びその定量下限値(9.1.1及び9.1.3参照)
よう素滴定法及びその定量下限値に関する補足事項は,次による。
a) 希釈チオ硫酸ナトリウムの使用(チオ硫酸ナトリウム濃度 : 0.000 25 mol/L) 既存のよう素滴定法で
用いられているチオ硫酸ナトリウムの濃度は0.005 mol/Lであるが,溶存オゾン濃度が低濃度の場合に
は滴定量が少ない。このような場合には,チオ硫酸ナトリウム濃度を0.000 25 mol/L(20倍希釈)と
しても信頼性の高い測定が可能である(参考文献[14]参照)。
b) 定量下限値(9.1.3参照) 滴定試料の採取容量が200 mL程度の場合,よう素滴定法の定量下限値は
0.25 mg/L程度である(参考文献[14]参照)。
E.2.2 インジゴ吸光光度法における試料吸光度の補正(9.1.1参照)
インジゴ吸光光度法を用いる場合,試料そのものが波長600 nmにおいて吸光度をもつときには,補正
が必要である。質量法の場合の濃度算出式を式(E.1)に示す。
AIVI AS (VIVS VD ) BVS
C (E.1)
flVS
ここに, C : 試料中の溶存オゾン濃度(mg/L)
AI,AS,AB : それぞれ使用するインジゴ溶液,試験溶液,試料そのも
のの吸光度
f : 0.42(L/mg/cm)(検水)
l : セル長(cm)
VI,VS,VD : それぞれ使用するインジゴ溶液,試験溶液,希釈水の容
量(mL)
ただし,係数fは,モル吸光係数を20 000 L/mol/cmとした場合の値である。
f=0.42(L/mg/cm)は,1 molのオゾンの質量48 000 mgを用いて,モル吸光係数を48 000で除して求め
ることができる。
E.3 液相試料採取への質量法適用[9.1.2 c)参照]
オゾンは,不安定で分解しやすく,また,気散する。そのため,既存の試験方法のように,一旦試料を
容器に採取し,その容器から一定量の試料を容量採取後,試薬を混合するという操作では,時間を要し,

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濃度測定値が測定者によってばらつくなど,誤差が大きいと考えられる。そのため質量法を採用すること
が望ましい。次にその手順を示す。
a) よう素滴定法 三角フラスコにあらかじめ所定量のよう化カリウムを加えておき,そこに試料を採取
する。よう化カリウムを添加した状態での三角フラスコの質量をあらかじめ測定しておき,試料採取
後の質量との差から採取試料容量を算出する。採取試料質量がX gの場合,採取試料の密度は1 g/mL
として,採取試料容量はX mLとする。
b) インジゴ吸光光度法 三角フラスコにあらかじめ所定量のインジゴ溶液を加えておき,そこに試料を
採取する。インジゴを添加した状態での三角フラスコの質量をあらかじめ測定しておき,試料採取後
の質量との差から採取試料容量を算出する。採取試料質量がX gの場合,採取試料の密度は1 g/mLと
して,採取試料容量はX mLとする。インジゴ溶液の容量についても質量測定で算出することが望ま
しい。
E.4 紫外線吸光光度法における液相試料の採取[9.1.2 c)参照]
所定量の試料採取及び測定までに時間を要するため,あらかじめ手順及び所要時間を明確にしておく。
オゾンの分解が速い場合には,紫外線吸光光度法の使用は避ける。ただし,フローインジェクションなど
を用いて,試料採取から測定まで密閉系で短時間で行う場合には使用可能である。
E.5 オゾン濃度計(9.2.1参照)
オゾン濃度計の要求事項に関する補足事項は,次による。
a) 気相用紫外線吸収式オゾン濃度計 この濃度計は,気相の測定には最も利用されており,図E.1に示
す要素で構成されている{JIS B 7957の5.2.1[オゾン自動計測器(紫外線吸収方式)の構成]参照}。
光源
試料 排気
試料セル 流量計 ポンプ
切替弁
オゾン
分解器
測光部
演算表示器
図E.1−気相用紫外線吸収式オゾン濃度計の構成例
b) 液相用紫外線吸収式オゾン濃度計(直接法) JIS B 7957の5.2.1に規定されている濃度自動計測器を
液相用に置き換えたものである。ただし,この場合,オゾン分解器は用いない。干渉成分及び懸濁物

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質が含まれた試料を測定するときは,試料をエアレーションしてオゾンを除いたものを基準水として
比較測定し,オゾン濃度を求める方法を採用する。
c) 液相用紫外線吸収式オゾン濃度計(間接法) 測定方法は,液中のオゾンを気相へ置換後,気相オゾ
ン濃度を測定し,分配係数と水温とで補正することによって,溶存オゾン濃度を測定する方法であり,
連続的に溶存オゾン濃度を測定することができる。溶存オゾンを気相に置換して間接的に測定を行う
ため,干渉成分,懸濁物質,有機物質などによる妨害の影響を受けにくく,低濃度から高濃度まで広
範囲にわたって高い精度で測定が可能である。また,汚れによる影響も受けにくく,長期安定性に優
れ保守性がよい。
気相に置換されたオゾンの紫外線吸収量から溶存オゾン濃度は,式(E.2)によって求めることができ
る。
CL=DCN (E.2)
ここに, CL : 溶存オゾン濃度(mg/L)
D : 分配係数
.06041[ (T / 273.15) ]
D
1 .0063T
T : 水温(℃)
CN : 気液分離部の気相中のオゾン濃度[g/m3(N)]
気相中のオゾンは254 nmの紫外線を吸収し,光の吸収量とオゾン濃度との関係は温度及び圧力の補
正項を加えると式(E.3)のようになる。
101.325T I0
CN log (E.3)
273.15εdP I
ここに, CN : 標準状態での気相中の濃度(mol/L)
P : 試料ガスの圧力(kPa)
T : 試料ガスの温度(K)
ε : モル吸光係数(L/mol/cm)
d : 測定光路長(cm)
I0 : ゼロガスの光透過量
I : 試料ガスの光透過量
液相用紫外線吸収式オゾン濃度計の構成例を,図E.2に示す。

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図E.2−液相用紫外線吸収式オゾン濃度計(間接法)の構成例
d) 隔膜ポーラログラフ式オゾン濃度計 電気化学的な分析手法の一つで,作用電極と対電極との間に電
圧をかけ,その電流からオゾン濃度を求めることができる。オゾンは作用電極で還元され,隔膜を拡
散したオゾン量に比例して両極間に流れる電流が変化する。比較的高感度で応答も早く連続測定が可
能で,濃度管理に適している。隔膜及び印加電圧の選定条件によって共存物質の影響が変化する。ま
た,隔膜を拡散するオゾンの量は,隔膜の表面の汚れなど付着物質によって阻害され負の干渉を招く
ので,13か月程度ごとに隔膜の洗浄又は交換が必要である。さらに,隔膜を交換したとき1日程度
安定化させ,その後校正が必要である。
隔膜ポーラログラフ式オゾン濃度計の構成例を,図E.3に示す。
図E.3−隔膜ポーラログラフ式オゾン濃度計の構成例

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e) 定電位電解式オゾン濃度計 検出部の膜を透過したオゾンがよう化物イオンとよう素酸イオンを含む
電解液に反応し,よう素を生成する。作用電極にはポテンシオスタット回路で一定電位が与えられて
おり,生成したよう素を作用電極上で還元する。この際,流れる還元電流を測定しオゾン濃度を求め
る。気相中のオゾン濃度の測定に適用する。
定電位電解式オゾン濃度計の構成例を,図E.4に示す。ふっ素樹脂膜,作用電極,対極,照合電極
などを備えた検出部(電解セル)と定電位電源,増幅器などを備えた演算部とで構成される。検出部
は,電解液中の三つの電極がガス透過性のふっ素樹脂膜で検出ガスと分離した構造となっている。
図E.4−定電位電解式オゾン濃度計の構成例
E.6 化学分析及びオゾン濃度計の繰返し性(9.1.3及び9.2.1参照)
a) 純水系 紫外線吸光光度法,インジゴ吸光光度法,アシッドクロムバイオレットK(ACVK)吸光光
度法,隔膜ポーラログラフ式オゾン濃度計及び紫外線吸収式オゾン濃度計(間接法)の全ての測定方
法は,溶存オゾン濃度0.10.5 mg/Lの範囲で十分な繰返し性をもつ(参考文献[14]参照)。
b) 排水系 インジゴ吸光光度法,隔膜ポーラログラフ式オゾン濃度計及び紫外線吸収式オゾン濃度計(間
接法)の全ての測定方法は,溶存オゾン濃度0.10.3 mg/Lの範囲で十分な繰返し性をもつ(参考文献
[14]参照)。
E.7 化学分析及びオゾン濃度計による測定方法間の比較(9.1.3及び9.2.1参照)
a) 純水系 紫外線吸光光度法,インジゴ吸光光度法,ACVK吸光光度法,隔膜ポーラログラフ式オゾン
濃度計及び紫外線吸収式オゾン濃度計(間接法)の全ての測定方法は,溶存オゾン濃度に対して比例
関係が認められた(参考文献[14]参照)。
b) 排水系 インジゴ吸光光度法,隔膜ポーラログラフ式オゾン濃度計及び紫外線吸収式オゾン濃度計(間
接法)は,溶存オゾン濃度に対して比例関係が認められた(参考文献[14]参照)。

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