この規格ページの目次
4
C 1513-2 : 2021 (IEC 61260-2 : 2016+AMD1 : 2017)
略してはならない。型式が証明された1/Nオクターブバンドフィルタを設計変更し,新たに型式の証明の
依頼が試験機関にあった場合は,試験機関の判断によって,設計変更による影響のない性能に関する試験
を繰り返す必要はない。
6.1.2 過負荷指示器又は電池駆動機器の電源の点検方法など,JIS C 1513-1:2020において要求する機能
がフィルタに備えていない場合,JIS C 1513-1:2020の要求事項に適合しないため,型式評価試験は行わな
い。
6.1.3 フィルタの構成は,必要な附属品を含め,取扱説明書にて指定する通常の動作モードの一つについ
て,全ての型式評価試験を行う。JIS C 1513-1:2020の要求事項に適合すると取扱説明書に記載する全ての
フィルタの構成について試験する。
6.1.4 取扱説明書において,フィルタがオプション設備を備えている状態でJIS C 1513-1:2020の仕様に
適合すると記載している場合は,オプション設備との組合せについても試験を行い,関連仕様への適合性
を検証する。
6.1.5 フィルタがレベル検出器及びフィルタ信号のレベルを0.1 dB以上の分解能で表示する表示装置を
もつ機器を含む場合,表示装置の表示する値を試験に用いる。表示する値に対応する電気出力が提供され,
試験機関が表示装置の代わりに電気出力を利用する場合,試験機関は,印加された電気入力信号レベルの
変化に対応する表示装置及び電気出力の信号レベルの変化が,JIS C 1513-1:2020の要求事項に適合するこ
とを検証する。
6.1.6 JIS C 1509-1:2017に規定するサウンドレベルメータの要求事項に適合する測定装置において動作
するように設計されたバンドパスフィルタでは,この装置の表示装置を用いて,フィルタセットからの出
力信号レベルを測定する。
6.1.7 ディジタル読出し装置をもつフィルタセット,又は製造業者が指定するディジタルフォーマットで
利用可能な出力をもつフィルタセット(例えば,ディジタルインターフェース接続を介して)については,
数値の読み出し若しくはディジタル出力を介した適切な表示又は記録装置から出力のレベルを求める。出
力が複数存在し,取扱説明書で試験用に出力が指定されている場合には,この出力を型式評価試験に用い
る。
6.1.8 取扱説明書にフィルタの調整手順(感度調整など)を記載している場合は,測定前に調整を行う。
6.1.9 全ての試験について,推奨する電源から電力をフィルタに供給する。取扱説明書に内蔵電池の要求
事項を記載している場合,型式評価試験では,その要求を満たす電池を取り付ける。
6.1.10 フィルタは,試験を行うために電源を投入する前に,環境条件下で均衡に達するようにする。
6.1.11 フィルタが複数の信号処理チャンネルをもつ場合,異なる信号処理手法を利用したチャンネルごと
に型式評価試験を行う。全てのチャンネルの機能が同じである多チャンネルシステムでは,試験するチャ
ンネル数は,試験機関の判断で,チャンネルの総数より少なくてもよい。
6.1.12 性能仕様に対する適合性は,次の基準を満たす場合に実証される。
a) 設計目標値からの偏差が受容限度値を超えない。
b) 対応する測定の不確かさが,JIS C 1513-1:2020において95 %の包含確率で規定する測定の不確かさの
最大許容値を超えない。
――――― [JIS C 1513-2 pdf 6] ―――――
5
C 1513-2 : 2021 (IEC 61260-2 : 2016+AMD1 : 2017)
この規格の仕様に対する適合性の評価例を,JIS C 1513-1:2020の附属書C(この規格の仕様に対する適
合性の評価例)に示している。
6.1.13 型式評価試験を行う試験機関は,ISO/IEC Guide 98-3:2008の指針に従って,全ての測定について
測定の不確かさを求める。実際の測定の不確かさは,95 %の包含確率を用いて求める。特定の試験におけ
る実際の測定の不確かさの計算は,少なくとも次の不確かさを考慮する。
− 試験を実施するために用いる個々の試験装置の校正に起因する不確かさ
− 環境の影響に起因する不確かさ
− 印加する信号に存在する小さな誤差に起因する不確かさ
− 測定結果の再現性に関連する不確かさ。試験機関が1回だけ測定を行う場合,その試験機関は,総合
的な不確かさへの偶然性による寄与を推定する。推定は,同種のフィルタ及びパラメータに対して過
去に行われた数回の測定結果に基づいて求める。
− フィルタからの応答を表示するために用いる表示装置の分解能に関連する不確かさ。信号レベルを0.1
dBの分解能で指示するディジタル表示装置の不確かさ成分は,−0.05 dB+0.05 dBの一様分布とし
て考慮する。
6.1.14 実際の測定の不確かさが測定の不確かさの最大許容値を超える場合,試験結果は,要求事項への適
合性を実証するために用いてはならない。したがって,型式評価試験は行わない。
6.1.15 必要に応じて,試験機関は,型式評価試験を行うために取扱説明書に記載された推奨事項を利用す
る。
6.2 試験機器
6.2.1 試験機関は,該当する量に対して適切な校正を行った機器を用いる。校正は,必要に応じて国家標
準にトレーサブルでなければならない。
6.2.2 必要とする試験の大部分は,周波数及び信号レベルが安定した正弦波信号を用いる。フィルタ減衰
を試験するための正弦波信号の雑音を含む全ひずみは,クラス1フィルタについては0.01 %以下,クラス
2フィルタについては0.03 %以下でなければならない。その他の試験の正弦波信号に対する全ひずみは,
0.1 %以下でなければならない。
6.2.3 時不変動作のための試験は,周波数が指数関数的な速度で変化又は掃引される一定振幅の正弦波信
号を用いる。時不変動作の決定のために,振幅及び掃引速度の不確かさから測定した時間平均出力信号レ
ベルの偏差への影響を求める。測定の不確かさは,JIS C 1513-1:2020の附属書B(測定の不確かさの最大
許容値)に規定する値を超えてはならない。
注記 このような不確かさがどのように得られるかの例を,附属書Aに示している。
6.2.4 試験中の環境条件を測定する機器の測定の不確かさは,周囲温度は0.5 ℃,相対湿度は3 %以下で
なければならない。
7 基準環境条件における試験
7.1 一般事項
7.1.1 静電気放電及び電磁両立性の試験を除き,基準環境条件における全ての試験は,周囲温度20
――――― [JIS C 1513-2 pdf 7] ―――――
6
C 1513-2 : 2021 (IEC 61260-2 : 2016+AMD1 : 2017)
26 及び相対湿度35 %65 %で行う。
7.1.2 フィルタを基準環境条件に順応させるために,6時間以上放置する。
7.1.3 実際の測定の不確かさを含む温度及び湿度の測定値は,この規格で規定する範囲を超えてはならな
い。静圧の変化の影響は,他の環境条件の変化による影響に比べ小さいと考えられる。影響が小さいとみ
なせない場合は,その旨を報告する。
7.2 相対減衰量,実効帯域幅偏差及び出力信号の和
7.2.1 一般事項
7.2.1.1 相対減衰量,実効帯域幅偏差及び出力信号の和の測定は,様々な周波数における一定振幅の正弦
波信号を用いた同一の測定によって行う。
7.2.1.2 測定は,基準レベルレンジで行う。入力信号のレベルは,直線動作範囲の上限より1 dB±0.1 dB
低いレベルとする。
7.2.1.3 該当する場合,製造業者が指定するインピーダンスで機器の入力及び出力を終端し,定常正弦波
信号をフィルタセットに入力する。次に,適切な周波数における相対減衰量を測定する。
7.2.1.4 一つのフィルタに対する試験信号の周波数は,厳密中心周波数を中心に対数尺度上に等間隔に設
定する。Sをフィルタ帯域幅当たりの試験周波数の個数とした場合,i番目の試験信号の規準化周波数Ωi
の関係は,式(1)で表す。
i
i GbS (1)
ここで, i : 任意の整数
S : フィルタ帯域幅当たりの試験周波数の個数。24以上とする。
G : オクターブ周波数比
b : 帯域幅表示の逆数
注記 フィルタが並列に動作するフィルタセット(リアルタイムアナライザ)で構成する場合,全ての
フィルタ帯域について,特定の周波数に対する応答を同時に測定し,更なる計算のためにその測
定結果を記録するとよい。
7.2.2 相対減衰量
7.2.2.1 任意の周波数における相対減衰量ΔA(Ω)は,JIS C 1513-1:2020の式(8)によって求める。測定した
相対減衰量は,JIS C 1513-1:2020の5.10(相対減衰量)の受容限度値を超えてはならない。
7.2.2.2 相対減衰量は,フィルタセットのうち,最も低い厳密中心周波数の0.5倍の周波数から,最も高
い厳密中心周波数の1.5倍の周波数まで測定する。
7.2.2.3 相対減衰量の試験における測定の不確かさには,実際の周波数と要求される周波数との間の偏差
を考慮しなければならない。
7.2.3 実効帯域幅偏差
7.2.3.1 実効帯域幅Beは,JIS C 1513-1:2020の式(13)及び式(14)によって,規準化実効帯域幅に対する式
(14)の積分式から求める。その際,式(14)の積分は,規準化実効帯域幅について数値積分によって評価する。
――――― [JIS C 1513-2 pdf 8] ―――――
7
C 1513-2 : 2021 (IEC 61260-2 : 2016+AMD1 : 2017)
7.2.3.2 フィルタセットの各フィルタに対して,JIS C 1513-1:2020の式(14)の数値積分の推奨手順は,式
(2)に従い要素面積を合計して評価する台形公式である。
N
2 110 A i)
0.1Δ( A i 1)
0.1Δ(
Be 10 i1 i (2)
i N i
i 1 2
ここで, ΔA(Ωi) : i番目の規準化した試験周波数において測定した相対減
衰量(dB)
N : 周波数が7.2.2.2の範囲内にある限り,任意のフィルタ帯
域幅及びクラスに対し,2×Sと等しいか又は大きい整数
7.2.3.3 測定した実効帯域幅を用いて,JIS C 1513-1: 2020の5.12.1によって求めた実効帯域幅偏差は,
JIS C 1513-1: 2020の5.12.2の受容限度値を超えてはならない。
7.2.4 出力信号の和
7.2.4.1 jをフィルタセットのフィルタの識別子とし,j−1及びj+1は,j番目のフィルタよりも低い中心
周波数及び高い中心周波数をもつ隣接フィルタを示す。“ΔAj”,“ΔAj−1”及び“ΔAj+1”は,それぞれ,任意
の試験周波数における三つのフィルタの測定された相対減衰量を表す。
7.2.4.2 Sが相対減衰量試験からのフィルタ帯域幅当たりの試験周波数の数に等しい場合,MをS/2以下
の最大整数に等しくし,iを,相対減衰量を測定する周波数を定める“−M”と“+M”との間の任意の整
数とする。
7.2.4.3 厳密中心周波数fmをもつj番目のフィルタの下側及び上側の帯域端規準化周波数の間の規準化周
i
fi bS
波数“ i G ”で,入力信号レベルから基準減衰を引いたものと合計された出力信号のレベルとの
fm
間の差ΔPj(Ωi)は,次の関係から求める。
0.1 Aj 1 0.1 Aj 0.1 Aj 1
Pj
Δ( )10lg10
i 10 10 (3)
ここで, 1 : フィルタG[i/(bS)+1/b]の規準化周波数でフィルタ(j−1)
について測定された相対減衰量
規準化周波数G[i/(bS) ]で測定されたフィルタjの相対減衰
量
1 : フィルタG[i/(bS)−1/b]の規準化周波数で測定されたフィ
ルタ(j+1)の相対減衰量
注記 lgは,常用対数を表す。
7.2.4.4 最低の中心周波数をもつフィルタに隣接するフィルタに対応する識別子jをもつフィルタから,
フィルタセットにおける最高の中心周波数をもつフィルタに隣接するフィルタまで試験する。
7.2.4.5 提供されるフィルタ帯域幅について,式(3)に従って求める差ΔPj(Ωi)は,JIS C 1513-1:2020の5.16
(出力信号の和)で規定する受容限度値を超えてはならない。
7.3 直線動作範囲,測定範囲,レベルレンジ調整器及び過負荷指示
7.3.1 入力信号のレベルを変化させることによって求めるフィルタのレベル直線性は,定常正弦波信号を
用いて,規定のレベル及び周波数で試験する。レベル直線性偏差は,JIS C 1513-1:2020の5.13(直線動作
範囲)によって求める。
――――― [JIS C 1513-2 pdf 9] ―――――
8
C 1513-2 : 2021 (IEC 61260-2 : 2016+AMD1 : 2017)
7.3.2 レベル直線性は,利用可能な各レベルレンジで,三つのフィルタについて試験する。三つのフィル
タとは,フィルタセットにおいて最低及び最高の中心周波数をもつフィルタ,並びに試験機関が選択した
周波数範囲の中央のフィルタとする。
7.3.3 レベルレンジ調整器は,基準レベルレンジに設定する。入力信号のレベルは,最初に,基準入力信
号レベルに調整する。その出力レベルを用いて,特定のフィルタの任意のレベルレンジにおける全ての入
力レベルについて,レベル直線性偏差を求める。
7.3.4 試験は,直線動作範囲の下限から過負荷指示器が過負荷を指示するレベルまで行う。入力信号のレ
ベルの変化は,5 dB以下とする。入力信号レベルの変化は,直線動作範囲の下限又は上限まで5 dB未満
の場合,及びレベルが上限を超える場合は1 dBとする。上限及び下限のレベルは,フィルタの取扱説明書
に記載する。過負荷を指示していない場合,フィルタは,要求事項に適合しないものとみなす。
7.3.5 測定の平均時間は,測定の不確かさが要求される最大許容値を超えないように,周波数及び低レベ
ルの入力信号における内部雑音の影響を考慮して,安定した表示をするのに十分な長さとする。
7.3.6 測定したレベル直線性偏差は,取扱説明書に記載するレベルレンジの直線動作範囲の下限と過負荷
指示のない状態で測定した上限との間の全ての測定レベルにおいて,JIS C 1513-1:2020の5.13.3及び5.13.4
の受容限度値を超えてはならない。
7.3.7 入力信号レベルが直線動作範囲の上限を下回る場合,過負荷を指示してはならない。
7.3.8 過負荷を指示する最小時間は,JIS C 1513-1:2020の5.17.3の規定に適合することを確認する。
7.3.9 時間平均出力信号レベル,時間積分したバンドレベル,最大レベル又はストアデータを表示する装
置をもつバンドパスフィルタについては,測定中の任意の時刻に過負荷状態が発生した場合に過負荷が指
示され,測定結果をリセットするまで指示を維持することを確認する。
7.3.10 選択したフィルタの全ての利用可能なレベルレンジについて,この試験を繰り返す。
7.4 時不変動作
7.4.1 取扱説明書にフィルタが時不変動作であることが記載されている場合,フィルタの時不変動作は,
JIS C 1513-1:2020の5.14(時不変動作)に規定する掃引周波数試験によって行う。試験は,基準レベルレ
ンジで行う。入力信号のレベルは,基準レベルレンジの直線動作範囲の上限より3 dB低いレベルとする。
7.4.2 掃引は,フィルタの相対減衰量が55 dB以上となる最低帯域端周波数未満の周波数fstartで始まり,
フィルタの相対減衰量が,再び55 dB以上となる最高帯域端周波数より大きい周波数fendで終わらなけれ
ばならない。
7.4.3 異なる中心周波数をもつフィルタセットからなるバンドパスフィルタの場合,測定は,全てのフィ
ルタをカバーする1回の掃引として実行することが可能である。fstartは,フィルタセットにおいて最も低
い下端周波数よりも相対減衰量が55 dB以上の低い周波数である。fendは,最も高い上端周波数よりも相対
減衰量が55 dB以上の高い周波数である。
7.4.4 出力信号の時間平均レベルは,フィルタの相対減衰量が55 dBである下端周波数に周波数が達した
時間で始まり,フィルタの相対減衰量が55 dBである上端周波数に達した時間以上で終わる平均時間(Tavg)
について測定する。平均時間は,フィルタの動作によって遅延した出力信号の時間も含む十分な長さでな
ければならない。
――――― [JIS C 1513-2 pdf 10] ―――――
次のページ PDF 11
JIS C 1513-2:2021の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61260-2:2016(IDT)
- IEC 61260-2:2016/AMENDMENT 1:2017(IDT)
JIS C 1513-2:2021の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.140 : 音響及び音響測定 > 17.140.50 : 電気音響
JIS C 1513-2:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称