29
C 1515 : 2020 (IEC 60942 : 2017)
附属書B
(規定)
定期試験
B.1 一般事項
B.1.1 この附属書は,定期試験で行われる試験について規定し,クラスLS,クラス1及びクラス2の音
響校正器のいずれにも適用する。全ての試験機関で一貫した方法で試験を実施されることを目的とする。
適用可能な限り,この附属書に規定する全ての試験を実施する。
B.1.2 複数の音圧レベル及び複数の周波数をもつ音響校正器の場合,依頼者から申出があれば,限定した
音圧レベル及び周波数の設定で試験してもよい。ただし,これらの組合せは主周波数における主音圧レベ
ルを含む。限定した設定で試験する場合,その旨を音響校正器に表記する。この規格に従う全ての試験を
実施していないことを示すため,証明書にその旨を記載する。この規格への適合性について一般的な記述
をすること又は結論を出すことはできない。
B.1.3 要求事項への適合性は,次の基準を満たした場合に実証することができる。
a) 設計目標値からの偏差が,受容限度値を超えない。
b) 95 %の包含確率で,測定の不確かさがこの規格に規定された測定の不確かさの最大許容値を超えな
い。
定期試験を行う機関は,ISO/IEC Guide 98-3の指針に従い,全ての測定について測定の不確かさを求め
なければならない。実際の測定の不確かさは,95 %の包含確率で計算する。
試験機関が1回だけ測定を行う場合,その試験機関は,総合的な測定の不確かさへの偶然性による寄与
を推定することになる。推定は,同種の音響校正器に対して過去に行われた複数回の測定に基づいて求め
てもよい。
B.1.4 この附属書に規定する試験によって適合性を評価するときの95 %の包含確率の測定の不確かさの
最大許容値は,附属書Aと同じである。試験機関が95 %の包含確率で算出した実際の測定の不確かさが
測定の最大許容値を超える場合,この附属書の適合性の評価に,その測定結果を用いてはならない。
B.1.5 法定計量の目的で行う定期試験は,この附属書に規定する試験に相当する。これらの試験は,初期
検査及びそれに続く検査の両方に適用する。この附属書の試験に合格した後,試験機関が音響校正器に合
格の表記を行ってもよい。
B.1.6 ピストンホンがクラスLS/M及びクラス1/Mの両方の仕様に適合すると製造業者が宣言する場
合,依頼者からの申出がない限り,各クラスでの全ての試験を実施する。限定したクラスで性能評価した
場合,その旨を音響校正器に表記する。この規格に従ったクラスLS/M及びクラス1/Mの全ての試験を
実施していないことを示すため,証明書にその旨を付記する。また,この規格への適合性について一般的
な記述をすること又は結論を出すことはできない。
B.1.7 試験機関は,該当するパラメータについて最新の校正を行った機器を用いて測定する。必要であれ
ば,その校正は,国家標準へのトレーサビリティがなければならない。
B.2 試験のための供試品
音響校正器は,試験機関が必要とする場合には,附属品(アダプタ,気圧計など)とともに取扱説明書
の写しを添えて試験のために提供する。クラスLSの音響校正器には,個々の校正票を提供する。クラス
――――― [JIS C 1515 pdf 31] ―――――
30
C 1515 : 2020 (IEC 60942 : 2017)
LSの音響校正器が修理を必要とする場合,修理後の再校正は新たに指定したレベルとする。
B.3 事前検査
測定に先立ち,音響校正器及び全ての附属品を目視検査し,正常に動作することを確認する。取扱説明
書に規定する方法によって,音響校正器の電源電圧が取扱説明書に規定する動作範囲内であることを確か
める。
B.4 性能試験
B.4.1 向き
取扱説明書が音響校正器を特定の向きで用いるよう指定する場合,試験はその向きで行う。
B.4.2 周囲の騒音
周囲の騒音が測定に影響を及ぼすのを避けるため,マイクロホンを音響校正器に挿入後,電源を入れる
前にマイクロホンで測定した音圧レベルが指定されたレベルより30 dB以上低い場合だけ試験する。
B.4.3 環境条件
B.4.3.1 この箇条の全ての試験は,次の環境条件の範囲内で行う。
− 静圧 : 80 kPa105 kPa
− 温度 : 20 ℃26 ℃
− 相対湿度 : 25 %90 %
試験室の場所の静圧が規定の範囲でない限り,静圧が規定の範囲となるよう圧力チャンバを用いる。表
2の仕様は,音圧レベルの測定に適用する。
B.4.3.2 クラスLS/M及びクラス1/Mの音響校正器では,測定値を基準静圧での値となるよう,静圧
について取扱説明書に記載する補正値を用いる。気圧計が音響校正器の附属品として提供される場合には,
その気圧計によって静圧を測定する。
注記 気圧計は,基準静圧を基準として,音圧レベルを直接補正できるデータで補正量を与えてもよ
い。
B.4.4 附属品
音響校正器に気圧計が附属品として提供される場合には,音響校正器が発生する音圧レベルの測定に先
立ち,指示値を校正された精密気圧計と比較して気圧計の検査を行い読値を記録する。音響校正器の取扱
説明書に静圧測定に関する受容限度値が記載されている場合には,静圧の読値は,取扱説明書の受容限度
値内でなければならない。静圧の指示値が取扱説明書に記述された受容限度値に入らない場合は,音響校
正器の定期試験は実施してはならない。受容限度値の記述が取扱説明書にない場合,正しい補正値が用い
られなければ,正しい定期試験は実施できない。
注記 気圧計の一つの静圧だけでの検査は,その他の静圧での性能について情報を得ることができな
い。提供される気圧計の指示値を,校正された精密気圧計と該当する静圧範囲にわたって比較
するのがよい。OIML国際勧告R97に適切な試験手順が記載されている。
B.4.5 マイクロホンの仕様
クラスLS,クラス1及びクラス2の音響校正器の試験に用いるマイクロホンは,5.8.1に規定するマイ
クロホンを用いる。
B.4.6 音圧レベル
B.4.6.1 一般事項
――――― [JIS C 1515 pdf 32] ―――――
31
C 1515 : 2020 (IEC 60942 : 2017)
音響校正器にマイクロホンを結合し,マイクロホン及び音響校正器が安定化するよう取扱説明書に指定
する時間をおく。主音圧レベルと主周波数において,20 s25 sの時間において平均し,音響校正器が発
生する音圧レベルを測定する。
B.4.6.2 音圧レベルの測定方法
B.4.6.2.1 マイクロホン法
B.4.6.2.1.1 試験対象音響校正器が発生する音圧レベルを,校正されたマイクロホン又はマイクロホンシ
ステムを用いて測定する。挿入電圧法(IEC 61094-2参照)又はマイクロホンの開放回路電圧を測定する
等価な方法を用いてもよい。
B.4.6.2.1.2 試験機関は,国家標準への二つの独立したトレーサビリティ体系を維持することが望ましい。
一つは,マイクロホン又はマイクロホンシステムによるものであって,もう一つは,音響校正器のような
試験機関独自の校正された装置によるものである。この附属書に従う試験の前後に,校正されたマイクロ
ホン又はマイクロホンシステムの性能を,試験機関独自の装置を用いて検証することが望ましい。校正さ
れた装置を選択する際には,この規格に定める不確かさを考慮する。
B.4.6.2.2 音響校正器による比較法
B.4.6.2.2.1 試験対象となる音響校正器が発生する音圧レベルを,校正された音響校正器が発生する音圧
レベルと比較して測定する。
B.4.6.2.2.2 校正された音響校正器が,試験対象の音響校正器と同じ音圧レベル及び周波数ではない場合,
試験機関は試験対象の全ての周波数でレベル直線性を確立する必要がある。
B.4.6.2.2.3 試験機関は,国家標準への二つの独立したトレーサビリティ体系を維持することが望ましい。
一つは,校正された音響校正器によるものであって,もう一つは,別の音響校正器若しくはマイクロホン
又はマイクロホンシステムのような試験機関独自の装置によるものである。この附属書に従う試験の前後
に,校正された音響校正器の性能を,試験機関独自の装置を用いて検証することが望ましい。校正された
機器を選択する場合にはこの規格に定める不確かさを考慮する。
B.4.6.3 測定
B.4.6.3.1 B.4.6.2.1又はB.4.6.2.2に規定するいずれかの方法によって,主周波数の主音圧レベルは,3回
以上測定する。マイクロホンは各測定の前に音響校正器に結合し,各測定後に取り外す。マイクロホンの
回転方向の角度が各測定に渡って均等に分配されるよう,各結合でマイクロホンを軸周りに回転させる。
測定値の算術平均値と対応する指定音圧レベルとの差の絶対値は,表2に規定する受容限度値を超えては
ならない。包含確率を95 %とした実際の測定の不確かさは,表A.1に規定する測定の不確かさの最大許容
値を超えてはならない。
B.4.6.3.2 複数の周波数の音を発生する音響校正器では,依頼者が要求しない限り(B.1.2による。),
B.4.6.3.1の主音圧レベルの測定は,取扱説明書で指定する最高周波数及び最低周波数で繰り返す。
B.4.6.3.3 取扱説明書に記載する全ての音圧レベル及び周波数の組合せ,又は依頼者が要求する組合せに
ついて,音圧レベルの測定を,マイクロホンを結合したまま(反復をせずに),繰り返す(B.1.2参照)。測
定値と対応する指定音圧レベルとの差の絶対値は,表2に規定する受容限度値を超えてはならない。包含
確率を95 %とした実際の測定の不確かさは,表A.1に規定する測定の不確かさの最大許容値を超えてはな
らない。試験は,通常,一つの形式のマイクロホンだけで行う。
B.4.7 周波数
音響校正器が発生する音の周波数は,B.4.6で用いたマイクロホンによって,取扱説明書に記載する主周
波数,又は依頼者が指定する音圧レベルと周波数との組合せについて,主音圧レベルで20 s25 s間の平
――――― [JIS C 1515 pdf 33] ―――――
32
C 1515 : 2020 (IEC 60942 : 2017)
均値を測定する。各測定周波数と指定周波数との差の絶対値は,表4に規定する受容限度値を超えてはな
らない。95 %の包含確率で算出した実際の測定の不確かさは,表A.2に規定する最大許容値を超えてはな
らない。
B.4.8 全ひずみ及び雑音
音響校正器が発生する音圧の全ひずみ及び雑音は,取扱説明書に記載する最大音圧レベル及び最小音圧
レベルの各周波数の組合せ,又は主音圧レベル及び主周波数の組合せ,並びに依頼者が指定する他の音圧
レベル及び周波数の組合せで,B.4.6で用いたマイクロホンによって,公称周波数が22.4 Hz22.4 kHzの
帯域において20 s25 s間の平均値を測定する。全ひずみ及び雑音は,バンドエリミネーションフィルタ
を用いたひずみ率計又は適切なFFTアナライザを用いて測定し,測定方法を報告する。測定した全ひずみ
及び雑音は,表7に規定する音響校正器のクラスの受容限度値を超えてはならない。包含確率を95 %とし
た実際の測定の不確かさは,表A.3に規定する測定の不確かさの最大許容値を超えてはならない。高調波
ひずみだけを測定する機器は,適切ではない。
B.5 指定の形式以外のマイクロホンによる音響校正器の校正
B.4では,特定の形式のマイクロホンを用いて,定期試験において,音響校正器のこの附属書への適合
性を評価するのに必要な全ての試験を規定している。規格への適合性の評価に加えて,依頼者が要求する
他の形式のマイクロホンに対する音響校正器の校正が可能である。これらの追加の試験に対し,測定した
音圧レベル,周波数並びに全ひずみ及び雑音は,試験報告書に記載する。この場合,その形式のマイクロ
ホンを用いて,B.4に規定する方法で測定する。音響校正器の校正に追加されたマイクロホンの形式は,
特定の形式の音響校正器に対して用いることを意図したものでなければならない。用いた測定方法,得ら
れた測定値及び対応する95 %の包含確率で求めた実際の測定の不確かさを試験報告書に記載する。
B.6 作成文書
適用可能な場合,試験報告書にはa),b),c),f),i),j),k),l),p) 及びq) を記載しなければならない。
また,d),e),g),h),m),n),o) 及びr) は推奨事項である。試験機関の発行する試験報告書の内容は,
国内の状況などに依存して様々である。ただし,音響校正器の試験の後,試験機関は,少なくとも次の事
項を記載した試験報告書を発行することが望ましい。
a) 試験を実施した機関の名称及び所在地
b) 音響校正器の製造業者又は供給者の名称及び音響校正器の形式
c) 音響校正器の製造番号と使用したアダプタ
d) 使用したマイクロホンの製造業者又は供給者の名称,並びにマイクロホンの形式及び構成
e) 定期試験に提出された音響校正器の形式が,附属書Aに規定する型式評価試験に合格していることを
示す,型式評価に責を負う試験機関による公の文書の提示の有無
f) 音響校正器が,附属書Bの規定に従って試験されたという記載
g) 音響校正器の形式が,この規格の附属書Aに規定する型式評価試験に合格している文書が公に示され
ており,附属書Bに規定する試験に合格した場合,次のように記載する。“型式評価試験の証明に責
を負う試験機関が,この音響校正器の形式がJIS C 1515:2020の附属書Aに規定する型式評価試験に
合格していることを公に示しており,試験に供された音響校正器は,JIS C 1515:2020のクラスXの全
ての要求事項に適合しているとみなす。”この結論を得る根拠となる,公示された文書を明示すること
が望ましい。
――――― [JIS C 1515 pdf 34] ―――――
33
C 1515 : 2020 (IEC 60942 : 2017)
h) 音響校正器の形式が,この規格の附属書Aに規定する型式評価試験に合格している文書が示されてい
ないが,附属書Bに規定する試験に合格した場合,次のように記載する。“試験に供された音響校正
器は,試験を実施した環境条件において,音圧レベル及び周波数についての定期試験を規定したJIS C
1515:2020の附属書Bに規定するクラスXの要求事項への適合性を示した。しかし,型式評価試験の
証明に責を負う試験機関が,この音響校正器の形式がJIS C 1515:2020の附属書Aに規定する型式評
価試験に合格していることを公に示していることが確認できないため,この音響校正器のJIS C
1515:2020の要求事項への適合性について一般的な結論を出すことはできない。”
i) 定期試験を行った年月日
j) 全ひずみ及び雑音の測定を含む,測定に用いた方法の記述
k) 95 %の包含確率で算出した不確かさを添えた音圧レベルの測定値。“M”の文字表示が付加された音響
校正器では,基準静圧での値に補正した値。補正した場合には,静圧の補正に用いた補正値の根拠(取
扱説明書又は,例えば,気圧計というような機器)
l) 95 %の包含確率で算出した測定の不確かさを添えた周波数,及び全ひずみ及び雑音の測定値
m) 試験時の環境条件
n) 音響校正器又は提供される気圧計に調整を加えた場合には,調整を加える前に観測された指示値又は
音圧レベルの測定値
o) 試験を行った条件で,該当するクラスについて音響校正器が附属書Bの要求事項に適合しなかった場
合には,不適合であったことを示す記述
p) 複数レベル及び複数周波数の音響校正器に対して,依頼者が限定した数の音圧レベル及び周波数の設
定での試験を指定するか,又は同意する場合,次のような記述を試験報告書に含める。“JIS C 1515:2020
に適合すると取扱説明書に記載した音圧レベル及び周波数の範囲に対し,JIS C 1515:2020の附属書B
に規定する全ての定期試験を依頼者が要求しなかったため,この音響校正器のJIS C 1515:2020の要求
事項への適合性について一般的な結論を出すことはできない。”試験報告書には試験した音圧レベル及
び周波数を全て記載しなければならない。
q) 製造業者がクラスLS/M及びクラス1/Mの両方の仕様に適合する旨を宣言するピストンホンに対し
て,依頼者の合意によってクラスLS/M又はクラス1/Mのいずれかの仕様に対してだけ試験を行っ
た場合,次のような記述を試験報告書に含める。“依頼者がJIS C 1515:2020の附属書Bに規定するク
ラスXの仕様に対し音響校正器の試験を要求した。製造業者は,その音響校正器がクラスLS/M及
びクラス1/Mの両方の仕様に適合すると宣言している。この音響校正器のJIS C 1515:2020のクラス
Xに対する要求事項への適合性について一般的な結論を出すことはできない。”
注記 “クラスX”は,“クラスLS/M1”又は“クラス1/M”のいずれかの適切なクラスに置き
換える。
r) 該当する場合,B.5に従い追加した,特定の形式以外のマイクロホンに対する,95 %の包含確率で算
出した測定の不確かさを添えた音圧レベル,周波数,及び全ひずみ及び雑音の値
――――― [JIS C 1515 pdf 35] ―――――
次のページ PDF 36
JIS C 1515:2020の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60942:2017(IDT)
JIS C 1515:2020の国際規格 ICS 分類一覧
- 33 : 電気通信工学.オーディオ及びビデオ工学 > 33.100 : 電磁両立性(EMC) > 33.100.20 : イミュニティ
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.140 : 音響及び音響測定 > 17.140.50 : 電気音響
JIS C 1515:2020の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC1509-1:2017
- 電気音響―サウンドレベルメータ(騒音計)―第1部:仕様