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C 1910-2 : 2017 (IEC 61786-2 : 2014)
高電圧発生源の近傍を除いて,商用周波数の電界を測定する必要はない。なぜなら,電界は,大きくて
も数十ボルト毎メートル(V/m)に過ぎないからである[3,22]1)。
注1) 角括弧内の数字は,参考文献を意味する。
様々な環境における典型的な磁界及び電界の特徴の例を,附属書Aに示す。
4.1.24.1.6に記載するような測定計画の目的は,明確に定義しなければならない。測定器の選定及び校
正の要求事項(例えば,測定器の通過帯域,測定レンジ,校正周波数など)には,明確に定義した目的が
必要となる。目的を確定して適切な測定器を用意した後,測定方法及び関連する測定計画を最終的に決め
る前に,測定しようとする環境において予備実験を行うとよい。測定の目的を達成するため,測定計画に
は,可能な方法を示して従う手順を順に記載する。測定計画には,測定器に対する要求事項(例えば,通
過帯域,プローブ寸法,測定レンジ),測定場所及び測定期間を明確に記載する。これによって,同じ測定
計画に基づいて類似した環境で得られた信頼できる測定結果の比較が可能となる。
考えられる測定の目的,及び目的を達成するために考えられる方法を,4.1.24.1.6に示す。
4.1.2 ばく露基準への適合性評価のための磁界及び電界の特徴付け
合成値,及び周波数の関数として表す磁界又は電界の制限値は,多くの文書[例えば,1719,21]で示
しており,磁界若しくは電界の最大値,又は特定範囲における空間平均値を求める必要がある。測定位置
は,人の存在し得る位置を考慮して決定する。
方法 : 磁界及び電界の合成値を測定するために,3軸測定器を用いる。電力線の近傍[4,9,15]及び電気機
器[10]近傍におけるこのような測定に関する規格及び指針がある。
電力線近傍の磁界の測定は,負荷電流と関連付けるとよい。機器に流れる負荷電流は,一定,又は決ま
った値の範囲で比較的短時間で周期的に変動することが多いため,数回の測定を行うことによって合成磁
界の最大値を求めることが可能である。
4.1.3 空間分布の特徴付け
磁界及び電界は,それらの発生源の近傍で一様ではない。例えば,電力線下の磁界又は電界の空間的な
変動がその代表例であり,計算で求められる(図1及び図2参照)。
図1において,非一様性は,次の最大値(%)で定義する[4,9]。
Bh Bavg/ Bavg100
ここに, Bh : 地上0.5 m,1.0 m及び1.5 mの高さにおける磁界の強さ
Bavg : 三つの高さにおける磁界の強さの算術平均値
――――― [JIS C 1910-2 pdf 6] ―――――
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C 1910-2 : 2017 (IEC 61786-2 : 2014)
5.0 untransposed 100
順相配列 1.5 m
4.5 90
AA A
A 1.0 m
4.0 0.5 m 80
BB B
B
-
非一様性 70
3.5 CC C
C
60 3.2 m 3.2 m
3.0
%)
( T)
50
2.5
40 3.0 m
2.0 30 3.5 m 3.5 m
様性(
1.5
磁界
20
1.0
非一
10 3.0 m
0.5 0 3.8 m 3.8 m
0.0 10
30 20 10 0 10 20 30
距離(m)
導体
7.0 transposed
逆相配列 100
phase sequence 1.5 m
6.0 AA CC m
1.0m
1.0 90
0.5
non -m 80 6.0 m
BB BB
非一様性
)
5.0 70
( T
CC AA
%)
60
4.0
50 1.0 m
性(
3.0
磁界
40
非一様
2.0 30 地表
0 距離(m)
20
1.0
10
0.0 0
30 20 10 0 10 20 30
距離(m) 77 kV 2回線垂直配列
図1−77 kV架空送電線の下の磁界レベル(出典 : [9])
(77 kV,2回線垂直配列)
3.2 m 3.2 m
phase sequence
位相配列
sequence
phase
AA AA AA CC 3.0 m
900
Electric
900 Field (V/m) BB BB BB BB 3.5 m 3.5 m
800
800 CC CC CC AA
3.0 m
m)
700 順相 逆相
transposed
Untransposed
700 3.8 m 3.8 m
V/
600
600
電界(
500
500
導体
400
400
300 11.0 m
300
200
200
100
100
0 1.0 m
0
地表
30
-30 20
-20 10
-10 0
0 10
10 20
20 30
30
距離x (m) 0 距離(m)
distance x (m)
図2−架空送電線の下の電界レベル(出典 : [9])
(77 kV,2回線垂直配列)
電力線又は特定できる単一の発生源から離れた場所における磁界の空間分布は,一般的には不明である。
発生源の電流から生じる磁界に空間依存性があるため,ほとんどの環境において,交流磁界は一様では
ない。住居内においては,静磁界も大きな空間変動を示す[29]。
――――― [JIS C 1910-2 pdf 7] ―――――
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C 1910-2 : 2017 (IEC 61786-2 : 2014)
方法 : 空間分布を特徴付けるときには,磁界の各方向成分を座標の関数として記録する。電力線[4,9,15]
及び電気機器[9]近傍において,このような測定を実施するための規格がある。このような測定は,携帯形
測定器を用いて行うことができるが,物理的な障害物が車輪の動きを妨げない場合には,移動測定用の車
輪に取り付けた測定器を磁界の空間分布を特徴付けるために用いることもできる。車輪が回転したとき,
磁界の合成値を記録するように,3軸磁界測定器にトリガがかかる。測定器に付帯するソフトウェアを用
いた場合,磁界分布,等磁界面の図示,磁界の統計的解析などが可能になる[2,26]。磁界制限値との適合
性評価をするための磁界レベルを得るためには,繰り返し測定を行って,データの時間変動を考慮する。
4.1.4 時間変動の特徴付け
磁界は,時間変動の大きい負荷電流及び大地帰還電流によって発生するので,磁界の時間変動は,2倍
を容易に超え得る。
電力線の下では,磁界は,送電線の負荷電流に依存する。1回線又は並列に運用されている2回線の場
合には,磁界は,送電線の負荷電流に比例する。図3は,735 kV送電線の負荷電流及び外気温の例である。
この場合には,負荷電流は,人の活動(日変動),外気温(季節変動)及び送電網における当該送電線の位
置に影響される。さらに,大きい負荷電流及び環境条件に伴う発熱に起因する導体のたるみによって,磁
界が変動し得る[16]。
V送電線の負荷電流(A)
温度
外気温(℃)
3
典型的な 75k
負荷電流
12/29 12/30 12/31 1/1 1/2 1/3 1/4 1/5 1/6 1/7
日
図3−人の活動(日変動)による735 kV送電線の負荷電流の変動及び外気温(季節変動)の例
方法 : 1か所以上の点における磁界変動を時間の関数として記録するために,市販のデータロガーへ接続
できるような出力端子をもつ3軸及び単軸磁界測定器を使用できる。3軸ばく露測定器及び磁界波形を取
得できる測定器も,磁界を周期的に記録するために使用できる。磁界は,日,週,季節などによって変動
する負荷電流に依存する(図3参照)ことから,磁界変動を正確に把握するために妥当な統計的評価がで
きる測定間隔を決める必要がある。対象とする測定場所において予備実験を実施することは,測定のサン
プリング時間を決めるのに有効である。
時間変動する磁界の最大値を実測によって求めることは,容易ではない。1回線電力線の下のように取
扱いの容易な場合には,磁界測定をするときに電流を記録し,外挿によって最大負荷時を想定することに
よって磁界の最大値を求めることができる。
電気的な大量輸送システム内,又は可変速駆動電動機のある他の場所で測定する場合には,更に考慮す
ると望ましい事項がある。例えば,電車内においては,磁界は,電車の速度に依存する(図4参照)。
――――― [JIS C 1910-2 pdf 8] ―――――
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C 1910-2 : 2017 (IEC 61786-2 : 2014)
広帯域
高調波
時間
注記 広帯域は40 Hz800 Hz,高調波は100 Hz800 Hz。
図4−フランスの高速鉄道電車内の磁界
電力線から発生する電界の値は,電圧がほぼ一定であるため,スポット測定による磁界とは異なり,大
きく変動することはない。ただし,大きな負荷電流による発熱によって導体のたるみが大きくなる場合,
電界が変化する[16]。
4.1.5 磁界又は電界の周波数成分の特徴付け
次の理由から,周波数成分の特徴付けは,重要な目的となる。
a) 電気機器の発生する電界及び磁界は,商用周波数の高調波又は商用周波数に無関係な周波数をしばし
ば含んでいる。
b) 電界及び磁界の制限値は周波数の関数として設定されている[1719,21]。
一般的な電気機器から発生する高調波成分を多く含む磁界の例を,図5に示す。図5 a) は,66.04 cm(26
インチ)液晶テレビの平面スクリーン中心から10 cm離れた点における磁界の水平方向成分の波形である。
磁界の高調波成分を,図5 a) の波形の周波数スペクトルとして図5 b) に示す。基本波周波数は50 Hzで
あり,第3次及び第5次高調波を多く含むことが分かる。
――――― [JIS C 1910-2 pdf 9] ―――――
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C 1910-2 : 2017 (IEC 61786-2 : 2014)
0.3 0.1
0,1
0.2 frequency:
Fundamental Hz50 Hz
基本波周波数50
0.08
0.1
)
)
0.06
T
T
磁界(μ
磁界(μ
0
0.04
−0.1
−0.2 0.02
−0.3
00
−0.02
-0.02 −0.01
-0.01 00 0.01
0.01 0.02
0.02 500 1 000 1 500 2 000
時間(s) 周波数(Hz)
a) 波形 b) 周波数スペクトル
図5−66.04 cm(26インチ)平面スクリーン液晶テレビから発生する磁界
方法 : 市販の1軸及び3軸磁界測定器には,磁界強度に比例した電圧を出力する端子をもつものがある。
このような測定器を市販のスペクトルアナライザとともに用いる場合,磁界の周波数成分を特徴付ける
ことができる。波形記録装置には,記録したデータから周波数成分を求めることができるソフトウェアを
もつものもある。磁界の商用周波数成分の実効値と,一つ以上の高調波成分の実効値とを切り換えて表示
できる磁界測定器もある。スペクトルアナライザを内蔵している磁界及び電界測定器もある。
例えば,電気的な大量輸送システムのように可変速電気機器から発生する磁界の高調波成分は,速度に
よって変化する[5]ことに注意するとよい。
交流電力システムの電界の総合高調波ひずみは小さい。したがって,電界における商用周波数の高調波
は,無視できる[9]。
4.1.6 公衆の磁界ばく露の特徴付け及び評価量の定義
商用周波数磁界へのばく露による健康影響の可能性を調査するために,職業的及び公衆ばく露に関する
数多くの疫学研究が行われてきた。磁界測定によって,異なる統計的指標を定義できる。
方法 : 人体の関心のある部位における磁界を周期的に測定する小形の3軸ばく露量計を身に付けることに
よって,ばく露のより正確な評価ができる。
測定値の空間的及び時間的変動,及び被験者の行動記録に基づいて,人体ばく露を評価する[31]。
人体への取付けが可能な市販の3軸ばく露量計を使用できる。磁界測定のサンプリング周期,メモリ容
量及び電池の寿命によるが,このような測定器は,磁界の合成値を数日間にわたって定期的に記録する。
サンプリング周期は,磁界と対象物との相互作用を仮定したモデルに部分的に依存する。収集したデータ
は,コンピュータにダウンロードすることができ,測定器に附属した,又は別途開発したソフトウェアに
よって,時間加重平均(TWA),幾何平均及び幾つかのパーセンタイル値のようなばく露パラメータを求
めることができる。
特定の場所における過去の人体ばく露は,ばく露量計を装着させた被験者に,その場所における以前と
同じ行動をさせることによって推定することが望ましい[27,28,30]。この方法は,磁界発生源が以前と
大きく変わっていないことを前提としている。
――――― [JIS C 1910-2 pdf 10] ―――――
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JIS C 1910-2:2017の引用国際規格 ISO 一覧
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JIS C 1910-2:2017の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.220 : 電気学.磁気学.電気的及び磁気的測定 > 17.220.20 : 電気的及び磁気的量の測定
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