この規格ページの目次
4
C 2143-1 : 2015 (IEC 60216-1 : 2013)
3.1.8
打切りデータ(censored data)
未知の値の数が既知である不完全データ。
注記1 打切りが規定の数値から上又は下から始まる場合は,打切りがタイプ1であるという。規定
の順序統計量の上又は下から始まる場合は,打切りがタイプ2であるという。この規格では,
タイプ2だけを扱う。
注記2 規定する劣化処理時間後に試験を終了するとき,“定時打切り”又は“タイプ1途中打切り”
という。規定する数の試験片が故障した後に試験を終了するとき,“定数打切り”又は“タイ
プ2途中打切り”という。
3.1.9
自由度(degrees of freedom)
データの数からパラメータの数を引いた数。
3.1.10
データセットの不偏分散(variance of a data sets)
一つ又はそれ以上のパラメータによって定義した照合水準からのデータ偏差の平方の和を,自由度で除
したもの。
注記 照合水準は,例えば,平均値(1パラメータ)又は直線(2パラメータ,勾配及び切片)である。
3.1.11
データセットの共分散(covariance of data sets)
一つのデータセットの各要素が他のデータセットに対応している,要素の数が等しい二つのデータセッ
トについて,各データセットの平均からの要素の偏差を,対応するデータセット間で積算し,その合計を
自由度で除したもの。
3.1.12
回帰分析(regression analysis)
二つのデータグループの対応する要素の間の関係を示す最適直線を想定し,その直線とグループの一つ
の要素との偏差の平方の和が最小になるように,最適直線を導く過程。
注記 最適直線のパラメータを,回帰係数という。
3.1.13
相関係数(correlation coefficient)
二つのデータセットの要素間の関係の完全性を表す数。相関係数は,共分散をデータセットの分散の積
の平方根で除したものに等しい。
注記 この平方の値は,0(相関なし)と1(完全な相関)との間である。
3.1.14
信頼限界,TC(confidence limit)
試験結果から計算される統計的パラメータで,TI(温度指数)の真の値に関して,95 %の信頼度の範囲
を示す下側限界。
注記1 95 %の信頼度とは,温度指数の真の値が実際に信頼限界よりも小さくなる可能性が5 %だけ
であることを意味している。
注記2 例えば,破壊試験の直線性検定のように,あるときには95 %以外の信頼度の値を用いること
がある。
――――― [JIS C 2143-1 pdf 6] ―――――
5
C 2143-1 : 2015 (IEC 60216-1 : 2013)
3.1.15
破壊試験(destructive test)
測定によって試験片が非可逆的な変化を受け,同一試験片での繰り返し測定をすることができない特性
試験。
3.1.16
非破壊試験(non-destructive test)
測定によって試験片がその後の測定に支障がある変化を受けず,適切な処理の後,同一試験片で繰り返
し測定をすることができる特性試験。
3.1.17
保証試験(proof test)
各劣化処理サイクルが終わった後,各試験片に規定のストレスを加えて,試験片が壊れるまで引き続き
劣化処理サイクルを続ける特性試験。
3.1.18
温度グループ(temperature group)
同じオーブンの中で共に同じ温度に暴露する試験片のグループ。
3.1.19
試験グループ(test group)
破壊試験のために,3.1.18の温度グループから一緒に取り出す試験片のグループ。
注記 混同されるおそれがない場合,温度グループ又は試験グループを,単に“グループ”という。
3.1.20
終点(end point)
熱的耐久性試験において,実用を考慮して定める特性の基準値。
3.2 記号及び略語
この規格で用いる主な記号及び略語は,次による。
箇条番号
na,nb,nc,nd 5.3.2.4
破壊試験での試験片の数 ....................................................
n 6.4.1
y値の数 ................................................................................
N 5.3.2.4
試験片の数 ...........................................................................
mi 6.3.3
温度グループiの試験片数(打切りデータ) ...................
F 6.6.2
フィッシャー分布した統計的変数 .....................................
x 6.3.1
絶対温度の逆数(1/Θ) ......................................................
Θ 6.3.1
絶対温度(K) ....................................................................
y 6.3.3
終点到達時間の対数............................................................
6.3.1
温度(℃) ...........................................................................
Θ0 6.3.1
0 ℃の絶対温度の値(273.15 K) ......................................
τ 6.6.2,6.7
終点到達時間 .......................................................................
χ2 6.6.2
χ2分布した確率変数 ............................................................
TI 3.1.1,6.2,6.6.2
温度指数 ..............................................................................
TC 3.1.14,6.6.2
温度指数の下側95 %信頼限界 ...........................................
HIC 3.1.2,6.2,6.6.2
温度指数と等しい温度での半減温度幅 .............................
――――― [JIS C 2143-1 pdf 7] ―――――
6
C 2143-1 : 2015 (IEC 60216-1 : 2013)
注記 対応国際規格には,他に“a,b,r及びRTI”を規定しているが,この規格では用いていないた
め削除した。
4 手順の概要-完全な手順
材料の熱的耐久性の評価のために標準化した手順は,次による。
完全な評価手順は,次のa) g) 及び箇条5に完全に従うことが望ましい。
a) 目的とする特性の測定に十分で適切な試験片を準備する(5.3参照)。
b) 試験片グループを,設定した数点の高い温度で劣化処理する。このときの高温度劣化処理は,連続的
処理,又は試験片が室温若しくはその他の決めた温度に定期的に戻るような周期的劣化処理であって
もよい(5.5参照)。
c) 試験片に,劣化の程度を評価するための特性試験を実施する。特性試験には,特性の非破壊的測定,
破壊的測定又は潜在的に破壊的な保証試験がある(5.1及び5.2参照)。
d) 規定の終点まで,例えば,試験片が破壊するか又は測定した特性が一定水準値に到達するまで,連続
的な熱暴露又は周期的な熱暴露を継続する(5.1,5.2及び5.5参照)。
e) 劣化処理手順(連続的又は周期的)の種類及び特性試験の手順[c) 参照]を明示した上で,試験結果
として各試験片に関する劣化曲線又は終点到達までの時間若しくはサイクル数を報告する。
f) 6.1及び6.8の規定に従って,これらのデータを数値的に評価し,また,それらをグラフ上に表示する。
g) 温度指数及び半減温度幅として6.2に規定する数値形式で完全な情報を表記する。
試験及び評価の完全な手順は,箇条5箇条6に規定する。
簡略化した手順は,JIS C 2143-8に規定する。
5 試験手順の詳細
5.1 試験手順の選択
5.1.1 一般的事項
各試験手順では,試験片の形状・寸法及び数,暴露温度及び暴露時間,温度指数に関連する特性,その
測定方法,終点,経験的データからの熱的耐久性の導き方などを詳細に記載することが望ましい。
選択する特性は,できるだけ適切な方法で実際の用途における材料の機能を反映していることが望まし
い。選択する特性は,JIS C 2143-2による。
試験条件をそろえるために,オーブンから取り出した後及び測定する前に,試験片の状態調節を規定す
ることが必要な場合がある。
5.1.2 温度指数の決定に関する特別な指針
個別材料規格が利用できる場合,通常,温度指数の許容下限値を求めるための特性項目を規定している。
個別材料規格が利用できない場合,熱的耐久性を評価するための特性値及び方法は,JIS C 2143-2から選
択する。個別材料規格がなく,JIS C 2143-2にも規定がない場合は,国際規格,国家規格,団体規格及び
特別に考えられた方法を,この優先順位で用いることが望ましい。
5.1.3 20 000時間以外での温度指数の決定
ほとんどの場合,要求される熱的耐久性は20 000時間での耐久性を前提としている。ただし,それ以外
の長時間又は短時間での熱的耐久性に関連する情報が必要なことがある。例えば,20 000時間より長い規
定時間をとる場合,この規格の要求事項又は推奨事項となっている時間[例えば,5.5 a) に規定する,最
短終点到達時間である5 000時間]を,20 000時間に対する実際の規定時間に比例して増やさなければな
――――― [JIS C 2143-1 pdf 8] ―――――
7
C 2143-1 : 2015 (IEC 60216-1 : 2013)
らない。同様に,劣化処理サイクル時間も,同じ比率で変えるのがよい。ただし,温度の外挿間隔は25 K
を超えてはならない。20 000時間より短い規定時間の場合,必要であれば,関係する時間を同じ比率で減
らしてもよい。
規定時間が非常に短く,かつ,劣化処理温度がより高温の場合,劣化処理温度が転移点,例えば,ガラ
ス転移温度,局部的な溶融が起こる温度など,非直線性を伴う温度域に入ることがあり,特に注意が必要
である。規定時間が非常に長い場合にも,非直線性となることがある(附属書A参照)。
5.2 終点の選択
電気絶縁材料の熱的耐久性は,電気絶縁システムにおける役割に応じて容易に選択できるように,異な
る特性項目及び/又は終点から導かれる耐久性データによって示す必要がある(JIS C 2143-2参照)。
終点の決め方は,次のいずれかの方法による。
a) 初期特性値からの増加又は減少の百分率をとる方法。この方法は,材料の間の比較には有効であるが,
b) の方法に比べて通常の使用時に要求される特性値との相関は乏しい。初期特性値の確定については,
5.4を参照。
b) 特性の固定値をとる方法。終点の値は,通常の使用時の要求事項に関連して選ぶ。保証試験の終点は,
主として特性の固定値で規定する。
電気絶縁材料が劣化した場合,電気絶縁システムの実稼働中のストレスに耐える能力が低下する。終点
は,この能力の程度を示すように選択することが望ましい。試験の終点とする劣化の程度は,使用時に要
求される材料特性に対して十分安全な値をとることが望ましい。
5.3 試験片の準備及び試験片の数
5.3.1 試験片の準備
劣化試験に用いる試験片は,調査する母集団から無作為に抽出して構成することが望ましく,これらの
試験片は全て互いに同等に取り扱う。
個別材料規格又は試験規格には,試験片の準備に関して必要な全ての指針が含まれている。
試験片の厚さは,熱的耐久性の決定に関する特性測定の項目の表の中に規定されている場合がある(JIS
C 2143-2参照)。特性測定の項目の表の中に規定がない場合,試験片の厚さを報告しなければならない。
物理的性質によっては,試験片の厚さの僅かな変化であっても影響を受けやすい。このように影響を受け
やすい場合で,関連する個別材料規格に規定があるときには,各劣化処理サイクルの後の試験片の厚さを
測定し,報告する必要がある。
劣化の速度は,試験片の厚さによって異なることがあり,試験片の厚さは,試験の要因として重要であ
る。試験片の厚さが異なる材料の劣化データは,必ずしも比較できるとは限らない。したがって,試験す
る材料は,異なる試験片の厚さによる特性の測定から求めた二つ以上の熱的耐久性を評価する方がよい。
試験片の寸法の許容差は,一般の試験で通常に用いるものと同じであり,試験片の寸法に通常より小さ
い許容差が必要な場合,特別な許容差を規定するのがよい。寸法を測定して選別することによって,試験
片が均質で試験材料を代表していることを確認することができる。
加工工程が材料の劣化特性に顕著に影響することがあり,サンプルの抽出,調達ロールからのシートの
切断,与えられた方向での異方性材料の切出し,成形方法,硬化方法,前処理などは,全ての試験片につ
いて同じ方法で行う。
5.3.2 試験片の数
5.3.2.1 一般的事項
耐久性試験結果の精度は,各温度で劣化を受けた試験片の数に大きく依存する。試験片の適切な数につ
――――― [JIS C 2143-1 pdf 9] ―――――
8
C 2143-1 : 2015 (IEC 60216-1 : 2013)
いての指針は,JIS C 2143-3による。通常,5.8に規定する試験手順に影響するものとして,次の規定(5.3.2.2
5.3.2.4)を適用する。
試験片を追加して準備しておくこと,又は少なくともそれらの試験片を後で準備できるような原材料バ
ッチを保存しておくことが望ましい。これによって,熱的耐久性が直線から外れたり,又はオーブンの熱
的暴走によって試験片が使用できなくなったりする不測の事態が発生した場合,追加の劣化処理試験に必
要な試験片のグループ間の差の生成リスクを最小にすることができる。
非破壊試験又は保証試験での判定基準が初期特性値に基づく場合,初期特性値は,各温度グループでの
試験片の数の2倍以上の数の試験片のグループから求めることが望ましい。破壊試験については,5.3.2.4
参照。
5.3.2.2 非破壊試験での試験片の数
試験片の数は,ほとんどの場合,各暴露温度について5個で十分である。それ以上の詳細な手引きは,
JIS C 2143-3による。
5.3.2.3 保証試験での試験片の数
試験片の数は,ほとんどの場合,各暴露温度について11個以上が必要である。グラフによる処理又はそ
の他の幾つかの処理では,各グループの試験片の数が奇数の場合,データの取扱いはより簡単になる。そ
れ以上の詳細な手引きは,JIS C 2143-3による。
5.3.2.4 破壊試験での試験片の数
試験片の数は,次の式によって求める。
N=na×nb×nc+nd
ここに, N : 試験片の数
na : 一つの温度で同じ処理を受け,特性評価後に廃棄する試験グ
ループの試験片の数(通常,na=5)
nb : 一つの温度での,例えば,暴露時間の水準の数のような処理
の数
nc : 劣化処理温度の水準の数
nd : 初期特性値を確定するために用いるグループの試験片数。判
定基準が,初期値からの特性の変化率(百分率)の場合,通
常は,nd=2 naとする。判定基準が絶対的な特性水準の場合,
初期値の報告を要求されない限り,nd=0とする。
5.4 初期特性値の確定
初期特性値を測定する試験片は,劣化試験に用意した試験片から,無作為に抽出したグループを構成す
るように選定する。この試験片は,特性値を測定する前に,最も低い劣化処理温度(5.5参照)で2日間(48
時間±6時間)状態調節を行う。
例えば,非常に厚い試験片などの場合,安定な値を得るためには2日間以上の時間が必要となる。
特性の測定方法について,特に規定(例えば,試験方法に関係する個別材料規格,又はJIS C 2143-2に
規定する方法。)がない場合,初期特性値には試験結果の算術平均を用いる。
5.5 暴露温度及び暴露時間
温度指数の決定には,終点到達時間の対数と絶対温度の逆数との間に直線関係を立証できる範囲で3点
以上,望ましくは4点以上の温度で試験片を暴露する。
適切な熱的耐久性の計算で不確かさを低減するには,熱暴露の温度範囲を慎重に選び,次の要求事項を
満たす必要がある(20 000時間での熱的耐久性が必要な場合は,5.1.3も参照)。
――――― [JIS C 2143-1 pdf 10] ―――――
次のページ PDF 11
JIS C 2143-1:2015の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60216-1:2013(IDT)
JIS C 2143-1:2015の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.220 : 電気学.磁気学.電気的及び磁気的測定 > 17.220.99 : 電気及び磁気学に関するその他の規格
JIS C 2143-1:2015の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC2142:2016
- 固体電気絶縁材料―試験前及び試験時における標準状態
- JISC2143-2:2011
- 電気絶縁材料―熱的耐久性―第2部:熱的耐久性の測定―評価指標の選択
- JISC2143-3:2013
- 電気絶縁材料―熱的耐久性―第3部:熱的耐久性の計算の手引き
- JISC2143-4-1:2014
- 電気絶縁材料―熱的耐久性―第4-1部:劣化処理オーブン―シングルチャンバオーブン
- JISC2143-8:2015
- 電気絶縁材料―熱的耐久性―第8部:簡略化した手順による熱的耐久性の計算の手引