JIS C 2550-1:2011 電磁鋼帯試験方法―第1部:エプスタイン試験器による電磁鋼帯の磁気特性の測定方法 | ページ 2

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注記 エプスタイン試験器では,0.94 mを既定の値とする。
3.3
磁束密度(magnetic flux density)
一様に磁化された試験片の,単位断面積当たりの磁束量。単位はテスラ(T)。
3.4
磁気分極(magnetic polarization)
一様に磁化された試験片の,単位断面積当たりの磁化の強さ。単位はテスラ(T)。
注記 エプスタイン試験器において,二次コイルと空隙補償用の相互誘導器を用いて測定される値は,
磁気分極Jである。磁束密度Bと磁気分極Jとは,真空透磁率をμ0 [=4π×10−7 H/m]とすると,
B=J+μ0Hの関係にある。電磁鋼帯などの高透磁率材料では,磁束密度Bと磁気分極Jとはほ
ぼ等しい。我が国では,一般的に磁気分極と磁束密度とを区別せずに用いることが多い。
3.5
実効質量(effective mass)
磁気回路を構成する鉄心のうち,実効磁路長に相当する長さの部分が鉄損に寄与するとして求めた等価
質量(4.3参照)。単位は(kg)。
3.6
空隙補償(air flux compensation)
二次コイルの誘起電圧から,コイル内に試験片がない状態で二次コイルに誘起する電圧を差し引くこと
によって,二次コイルの誘起電圧が磁気分極Jの微分値に対応させること(4.4参照)。
3.7
鉄損(specific total iron loss)
正弦波磁束励磁条件によって励磁したときに,試験片中で消費されるエネルギーの,試験片の実効質量
1 kg当たりの値(5.5参照)。単位は(W/kg)。
3.8
皮相電力(specific apparent power)
正弦波磁束励磁条件によって励磁したときの,励磁電圧の実効値と励磁電流の実効値との積を試験片の
実効質量で除した値(6.2.4参照)。単位は(VA/kg)。
3.9
初磁化曲線(normal magnetization curve)
試験片を消磁した後,試験片に印加する直流磁界の強さを零から増加させたときに,試験片の磁束密度
と磁界の強さとの関係を示す曲線(8.2参照)。

4 交流磁気測定の一般的原理

4.1 エプスタイン試験法の原理

  エプスタイン試験器は,一次コイル,二次コイル及び鉄心として組み立てられた試験片とで構成され,
無負荷変圧器を形成する。この無負荷変圧器の交流磁気特性を,次に規定する方法に従い測定する。

4.2 試験片

  試験片は,その端部が一枚ずつ交互に重なり合うようにして(図1参照),正方形に組み,長さと断面積
の等しい4個の辺を形成する。

――――― [JIS C 2550-1 pdf 6] ―――――

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単位 mm
図1−試験片の長さが280 mmの場合の試験片の端の交互積層方法(double-lapped joints)
試験片は,個別の製品規格(JIS C 2552,JIS C 2553)の規定に従い採取する。
注記 試験片の切断方法については,附属書JAを参照。
試験片は,著しいかえりが発生しない方法によって切断し,特に指定がある場合には,対応する製品規
格に従い熱処理を行う。試験片は,次の寸法とする。
− 幅 30 mm
− 長さ 280 mm以上320 mm以下
試験片の幅は±0.2 mm以内,長さは±0.5 mm以内の許容差で切断する。
試験片を,圧延方向に対して平行又は直角に切断する場合には,鋼帯の縁を基準方向とする。
指定された方向と実際に切断された方向との角度は,次の許容差内でなければならない。
− 方向性電磁鋼帯については,±1°
− 無方向性電磁鋼帯については,±5°
平たん(坦)な試験片だけを用いる。測定に当たり,試験片の絶縁皮膜以外の絶縁物を付け加えてはな
らない。
鉄心を構成する試験片の枚数は4の倍数,かつ,対応する製品規格で指定された数とする。しかしなが
ら,試験片の実効質量[式(3)参照]は,280 mm長さの試験片に対し0.24 kg以上とする。試験片は12枚
以上,実効質量は約0.5 kgを推奨する。各厚さに対する推奨枚数を表1に示す。
表1−試験片の推奨枚数
厚さ 枚数
mm
0.23 36
0.27 28
0.30 28
0.35 24
0.50 16
0.65 12

4.3 エプスタイン試験器

  エプスタイン試験器は,4個のコイルで構成され,これらのコイル内に,試験片を挿入し鉄心を組み立
てる(図2参照)。
注記1 エプスタイン試験器の例を附属書JAに示す。

――――― [JIS C 2550-1 pdf 7] ―――――

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図2−エプスタイン試験器(試験片の長さ280 mmの場合)
エプスタイン試験器には,空隙補償用の相互誘導器を含む。
コイルを支える巻枠は,フェノール樹脂等の硬質絶縁材料で製作する。巻枠は長方形の断面をもち,枠
内の空間幅は32 mmである。巻枠の高さは,約10 mm(枠内の空間高さは約6 mm)を推奨する。
コイルは正方形を形成するように,非磁性の絶縁体基板に固定する(図2参照)。鉄心として組み立てら
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+0 mmとする(図2参照)。
れた試験片の内側の縁が形成する正方形の辺の長さは,220
4個のコイルは,それぞれ二巻線を備える。
− 外側に,一次コイル(励磁コイル)
− 内側に,二次コイル(電圧コイル)
注記2 一次コイルと二次コイルとの間に,静電遮蔽を設けてもよい。
一次コイル及び二次コイルは,190 mm以上の長さに均一に分布させて巻き,各コイルは総巻数の1/4の
巻数とする。
4個のコイルの個々の一次コイルは,直列に結線し,二次コイルも同様とする。一次コイル及び二次コ
イルの巻数は,励磁電源,測定機器及び周波数に合わせて設定してよい。
注記3 一般的に使用され,推奨される総巻数は,700である。
コイルのインピーダンスの影響をできる限り低減するために,以下の要件を満たさなければならない。
R1 6 R2 6
2 ≦ .125 10, 2 ≦ 5 10
N1 N2
L1 9 L2 9
2 ≦ 5.2 10, 2 ≦ 5.2 10
N1 N2
ここに, R1 : 一次コイルの抵抗(Ω)
R2 : 二次コイルの抵抗(Ω)
L1 : 一次コイルのインダクタンス(H)
L2 : 二次コイルのインダクタンス(H)
N1 : 一次コイルの総巻数
N2 : 二次コイルの総巻数
注記4 例えば,次の特徴をもつコイルを使用すれば,これらの要件は満たされる。

――――― [JIS C 2550-1 pdf 8] ―――――

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− 総巻数 : N1=700,N2=700
− 一次コイル : 公称断面積が約1.8 mm2の銅線を2本並列に結線したものを,4個の巻枠に
それぞれ175ターンずつ,2本を密着させて三層に巻きつける。
− 二次コイル : 公称断面積0.8 mm2の1本の銅線を,4個の巻枠にそれぞれ175ターンずつ
一層に巻きつける。
磁気回路の実効磁路長lmは0.94 mを既定の値とする。したがって,試験片の磁気的に等価な質量である
実効質量maは,式(3)から算出する。
a lm
m m (3)
4l
ここに, ma : 試験片の実効質量(kg)
lm : 実効磁路長(m),lm=0.94
l : 試験片の長さ(m)
m : 試験片の合計質量(kg)

4.4 空隙補償

  空隙補償用の相互誘導器は,4個のコイルに囲まれた空間の中心に配置し,相互誘導器の軸は,4個のコ
イルの軸が作る平面に対して垂直とする。相互誘導器の一次コイルは,エプスタイン試験器の一次コイル
に直列に接続し,相互誘導器の二次コイルは,エプスタイン試験器の二次コイルに,逆極性で直列に接続
する(図3参照)。
Hz : 周波数計
A : 電流測定計器
W : 電力計
M : 空隙補償用の相互誘導器
V1 : 平均値形交流電圧計
V2 : 実効値交流電圧計
図3−電力計による測定回路
相互誘導器のインダクタンスの値は,エプスタイン試験器のコイルに試験片を挿入していない状態で,
一次コイルに交流電流を流したときに,接続された二次コイルの非共通端子間の電圧が,エプスタイン試
験器の二次コイル単独の両端に現れる電圧の0.1 %以下になるように調整する。
このようにして,連結された二次コイルに誘起される電圧の整流平均値は,試験片の磁束密度の波高値
に比例する。

4.5 励磁電源

  励磁電源は,インピーダンスが低く,電圧及び周波数の安定性の高いものを使用する。測定時において,
電圧及び周波数の変動は,±0.2 %を超えてはならない。
鉄損,皮相電力及び磁界の強さの実効値を測定する場合には,二次電圧の波形率は1.10 %1.12 % 1) と

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する。
注記1 二次電圧の波形率の制御には,幾つかの方法がある。例えば,電子的に制御された電源,又
は負帰還制御が行える電源増幅器の使用などがある。二次電圧の波形率は,二次電圧の実効
値の整流平均値に対する比率である。
注1) EC規格では“1.111±1 %”と表記している。
波形率の測定には,実効値交流電圧計及び平均値形交流電圧計を使用する。
注記2 二次電圧の波形をオシロスコープで調べ,基本波以外の成分を含まないことを確認すること
が望ましい。

4.6 交流電圧測定

  エプスタイン試験器の二次電圧は,入力インピーダンス1 000 Ω/V以上の交流電圧計を使用して測定す
る。
注記 デジタルサンプリング法の適用については,附属書Aを参照。
4.6.1 平均値形交流電圧計
±0.5 %以内の精度の,整流平均値に応答する電圧計を使用する。
注記 デジタル電圧計が望ましい。
4.6.2 実効値交流電圧計
±0.5 %以内の精度の,実効値に応答する電圧計を使用する。
注記 デジタル電圧計が望ましい。
4.6.3 波高値電圧計
±2.5 %以内の精度の,波高値に応答する電圧計を使用する。

4.7 交流電流測定

4.7.1  実効値電流測定
次のいずれかの方法で,励磁電流の実効値を測定する。
− クラス±0.5 %以内の精度の,低インピーダンスの実効値電流計
− 一次コイルに直列に接続した無誘導精密抵抗器両端の電圧降下を,実効値電圧計で測定する。抵抗器
と電圧計の総合的な不確かさは1 %以下とする。
二次電圧を調整し,損失を測定する場合には,電流計と精密抵抗器との各々を短絡する。
4.7.2 電流波高値測定
高感度の波高値電圧計,又は校正済みのオシロスコープで,一次コイルに直列に接続した無誘導精密抵
抗器両端の電圧降下の波高値を測定する。使用する装置のフルスケール誤差を±3 %以下とする。
4.7.3 抵抗器
±0.5 %以内の精度の,既知の値の無誘導精密抵抗器を使用する。
抵抗値は,波高値電圧計の感度に応じて選定する。誘起電圧波形のひず(歪)みを最小限に抑えるため,
抵抗値は1 Ωを超えてはならない。
4.7.4 相互誘導器
±0.5 %以内の精度の,校正された相互誘導器を使用する。相互誘導器の一次インピーダンスはできる限
り低くする。誤差を最小限に抑えるために,相互誘導器に接続される測定計器のインピーダンスと比較し
て,相互誘導器インダクターの二次インピーダンスを低くする。
インダクター相互誘導器の校正及び使用中は,エプスタイン試験器又は他の装置の漏れ磁束によって測
定が影響されないように注意する。

――――― [JIS C 2550-1 pdf 10] ―――――

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  • IEC 60404-2:2008(MOD)

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