JIS C 2550-5:2020 電磁鋼帯試験方法―第5部:電磁鋼帯の抵抗率,密度及び占積率の測定方法 | ページ 2

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電源
試験片
A, B, C, D : 電気接点
A1
A1 : 直流電流計
V1
V1 : 直流電圧計
IAB : AB間電流
S : 電流反転スイッチ
UCD : 電位接点CD間の電圧
図2−長方形単板試験片の抵抗率測定回路(R2法)
抵抗値RAB,CDは,式(3)によって算出する。
UCD
RAB,CD (3)
IAB
ここに, RAB,CD : 電位接点CD間の抵抗値(Ω)
UCD : 電位接点CD間の電圧(V)
IAB : 電流接点AB間の電流(A)
二つの対向接点A及びCの接続を入れ替えた後,接点DとAとの間の電圧,及び接点BとCとの間の
電流を測定し,同様に抵抗値RBC,DAを算出する。
二次元場の等角写像法に基づき,均一厚さ及び任意の形状の物体について,式(4)の関係が成立する。
d RAB,CD RBC,DA
F (4)
ln2 2
ここに, ρ : 抵抗率(Ω・m)
d : 絶縁被膜を除いた試験片の厚さ(m)
RAB,CD : 電位接点CD間の抵抗値(Ω)
RBC,DA : 電位接点DA間の抵抗値(Ω)
Fρ : 比 RAB,CD
だけの関数
RBC,DA
RAB,CD
比 が1に近い場合には,Fρは1になり,これを省略できる。この比を1に近くするには,図2に
RBC, DA
示すように,接点A,B,C及びDは,長方形試験片のそれぞれの辺の中心に対称に配置する。
R2法は,長方形単板試験片の測定に使用する基板及び接点ホルダ(附属書A参照)を使用して,エプ
スタイン試験片にも適用できる。信頼性のある結果を得るため,例えば,10枚以上の試験片を測定し,結
果を平均する必要がある。
注記 R2法(van-der-Pauw法)は,エプスタイン試験片を使用するR1法と等価であり,同じ等級の

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材料の個々のエプスタイン試験片にR1法を適用した場合の分散よりも小さいことが示されて
いる。R2法は,適用できる試験片形状の範囲が広い利点がある。
4.2.3 厚さdの測定
4.2.3.1 一般事項
式(2)及び式(4)に使用する試験片の厚さdは,4.2.3.2に規定する方法で算出する。
4.2.3.2 密度ρmに基づく方法
厚さdは,5.3の方法で測定した密度ρmの値,又は製造業者から提供された密度の値を使用して,式(5)
から算出する。
m
d (5)
m bl
ここに, d : 絶縁被膜を除いた試験片の厚さ(m)
m : 試験片の質量(kg)
ρm : 試験片の密度(kg・m−3)
b : 試験片の幅(m)
l : 試験片の長さ(m)

4.3 試験片

4.3.1  エプスタイン試験片
R1法(4.2.1参照)に使用するJIS C 2550-1に合致したエプスタイン試験片は,次の寸法とする。
− 幅 30 mm
− 長さ 280 mm320 mm
試験片の幅は±0.2 mm,長さは±0.5 mmの許容差に入るよう切断する。
4.3.2 長方形単板試験片
R2法(4.2.2参照)に使用する正方形又は長方形のJIS C 2556に合致した単板試験片は,次の寸法とす
る。
− 幅 300 mm500 mm
− 長さ 500 mm610 mm
試験片の幅及び長さは±0.5 mmの許容差に入るよう切断する。

4.4 測定装置

4.4.1  R1法及びR2法に共通の必要条件
次の装置が必要である。
− 試験片の質量mを,±0.1 %の精度で測定できるひょう(秤)量器。
− 1 A10 Aの電流を供給できる低電圧直流安定化電源で構成する電源装置(4端子抵抗計を使用する場
合は,供給できる電流は低くてもよい。4.5.2及び4.5.3参照)。
− 試験片の抵抗Rを±1 %の精度で測定できる抵抗測定装置(例えば,±0.1 %の精度の電流計及び電圧
計,ケルビンダブルブリッジ又はこれらと類似の精度の4端子抵抗計)。
− 接点を備えた基板及び接点間の試験片よりも小さな(接点が配置された側において)支持平板で構成
する,試験片を接触させるための装置(4.4.2及び4.4.3参照)。ただし,支持平板と試験片との差異は,
各々の側面上で5 mm以下(長方形単板試験片については10 mm以下)。支持平板の厚さは,接点が
支持平板の上に置かれた試験片に触れる程度にする。
4.4.2 R1法の必要条件
エプスタイン試験片と電気的に接触する装置は,4個の接点を備える。つまり,脱着可能なブリッジ上

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に配置された2個の電位接点及び基板に固定された2個の電流接点とする。4個の接点は,2個の電位接点
C及びDが電流接点AとBとの間にあり,かつ,試験片長軸上にあるように配置する(図1参照)。電流
接点は,試験片の短辺中心から±0.5 mmの対称な位置に配置する。電位接点は,比較的鋭利な角部(例え
ば,1 mmの曲率半径)を備えており,電位接点間の距離leは,200 mmを超えるものとする。電位接点と
電流接点との間の最小距離は,試験片の幅以上とする(電位接点間の距離leを±0.5 mmの精度で測定でき
る測定器で測定する。図1参照)。
4.4.3 R2法の必要条件
R2法については,比較的鋭利な角部(例えば,1 mmの曲率半径)を備えた各々の接点を,基板に固定
されたホルダ上に取り付ける。接点は±1 mm(エプスタイン試験片については±0.5 mm)の精度で,試験
片の軸に対称に配置する(図2参照)。
注記1 R2法の測定装置の例は,附属書A参照。
注記2 十分に電気的に接触させるために,はんだ付けなどの他の方法を使用してもよい。

4.5 測定手順

4.5.1  試験片の厚さdの測定
試験片の厚さdは,4.2.3.2に規定する方法によって算出する。試験片の長さl及び幅bを測定し,質量
mをひょう(秤)量する。
4.5.2 エプスタイン試験片での手順(R1法)
回路を,図1に示すように接続する。指定された精度の電圧読取り値を得るため材料の厚さ及び材料の
特性に応じて,1 A5 Aの電流を試験片に流す。同じ測定精度の4端子抵抗計を使用する場合には,より
低い電流でよい。電圧及び電流を読み取り記録する(4端子抵抗計又はケルビンダブルブリッジで抵抗値
を直接測定する場合を除く。)。熱電圧の影響を減らすため,電流を反転し,同じ電流値に設定して再度電
圧を読み取り,これら二つの電圧値の平均値を算出する。
抵抗値Rは,式(1)によって算出する(4端子抵抗計又はケルビンダブルブリッジで抵抗値を直接測定す
る場合を除く。)。
抵抗率ρは,式(2)及び式(5)によって算出する。
4.5.3 長方形単板試験片での手順(R2法)
回路を,図2に示すように接続する。指定された精度の電圧読取り値を得るのに十分な2 A10 Aの電
流を,接点A及びBを介して試験片に流す。同じ測定精度の4端子抵抗計を使用する場合には,より低い
電流でよい。電圧及び電流を読み取り記録する(4端子抵抗計又はケルビンダブルブリッジで抵抗値を直
接測定する場合を除く。)。熱電圧の影響を減らすため,電流を反転し,同じ値に設定して再度電圧を読み
取り,これら二つの電圧値の平均値を算出する。
抵抗値RAB,CDを式(3)によって算出する(4端子抵抗計又はケルビンダブルブリッジで抵抗値を直接測定
する場合を除く。)。二つの対向接点A及びCの接続を入れ替えた後,同様に抵抗値RBC,DAを算出する。
抵抗率ρは,式(4)及び式(5)によって算出する。

4.6 再現性

  箇条4に基づくR1法及びR2法の再現性は,抵抗率の相対標準偏差で0.5 %とみなされる。

4.7 試験報告書

  (我が国の現状に合わせ,試験報告書は電磁鋼帯の製品規格で規定しているため,この規格では不採用
とした。)

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5 密度の測定

5.1 一般事項

  密度測定方法は,次の四つのいずれかによる。
− 抵抗率測定に基づく方法(D1法)
− ガスピクノメータ法。ISO 1183-3に規定する基本的な方法(D2法)
− 浸せき法。ISO 1183-1及びISO 2738に規定する方法(D3法)
− 試験片の化学組成による計算式に基づく方法(D4法,附属書C参照)
D1法は,箇条4で規定する抵抗率決定に関するR1法及びR2法に基づく間接測定法である。5.2で規定
するD1法は,次の化学組成範囲の無方向性電磁鋼帯にだけ適用する。
− けい素Si(質量%) : Si≦4 %
− アルミニウムAl(質量%) : 0.17 Si−0.28≦Al≦0.17 Si+0.28 ただし,Al≧0
− 他の合金成分の合計 : 0.4 %以下
化学組成が不明の場合は,この方法を使用する前に確認する必要がある。一般に,電磁鋼帯の化学組成
は,製造業者の裁量に委ねる。
D2法は,5.3で規定する直接測定法で,方向性電磁鋼帯及び無方向性電磁鋼帯に適用する。
D3法は,ISO 1183-1及びISO 2738で規定される直接測定法である。
注記1 以前は,密度の測定には浸せき法が基本的な方法と考えられていた。しかし,経験によって,
相対的に大きな表面積をもつ試験片の場合には,表面に付着する残留気泡の影響のため,こ
の方法を使用するのは極めて困難なことが分かった。これに対して,ガスピクノメータ法は,
より実用的であり,かつ,電磁鋼帯試験片の場合,高い精度が得られる。
D4法は,試験片の化学成分に基づく計算式による間接測定法であり,受渡当事者間の合意に基づき適用
する。けい素及びアルミニウム成分に基づく密度計算式の例を附属書Cに示す。
注記2 製造業者は,一般的に,製造過程の厚い試験片を使用した寸法測定に基づき体積を決定して,
密度を決定する。

5.2 抵抗率測定に基づく方法(D1法)

5.2.1  測定原理

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7.90
7.80
7.70
7.60
○ R1法による測定値,□ :R2法による測定値
図3−無方向性電磁鋼帯における積ρm・ρの関数としての密度ρm
5.1で規定する電磁鋼帯の場合には,経験によると密度ρmと積ρm・ρとの間の関係は,図3に示すように
単調であり,ほとんど直線的である。したがって,密度の直接測定に代わり積ρm・ρの測定によっても密度
を算出することが可能である。
注記1 密度ρm及び抵抗率ρのいずれも,けい素及びアルミニウム成分の関数である。
実験データの直線回帰によって得られた図3に示す直線関数によって,次の実験式が導かれる。
ρm=7 975−89 000×(ρmρ) (6)
ここに, ρm : 絶縁被膜を除いた試験片の密度(kg・m−3)
ρm・ρ : 密度と抵抗率との積(Ω・kg・m−2)
注記2 この関係式は,一般的な不純物成分範囲の無方向性電磁鋼帯に浸せき法を適用した測定値を
統計的に処理した結果から確立されている。エプスタイン試験片(R1法)及び長方形単板試
験片(R2法)による積ρm・ρは,箇条4に基づいて決定される。
5.2.2 試験片
5.2.2.1 エプスタイン試験片
4.2.1に規定するエプスタイン試験片を使用する場合,式(2)及び式(5)から,積ρm・ρと抵抗値Rとの関係
である式(7)が得られる。
m Rm

(pdf 一覧ページ番号 )

                                le l
ここに, ρm : 絶縁皮膜を除いた試験片の密度(kg・m−3)
ρ : 抵抗率(Ω・m)
R : 抵抗値(Ω)
m : 試験片の質量(kg)

――――― [JIS C 2550-5 pdf 10] ―――――

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  • IEC 60404-13:2018(MOD)

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