JIS C 5381-351:2019 低圧サージ防護用部品―第351部:通信・信号回線に接続するサージアイソレーショントランス(SIT)の要求性能及び試験方法 | ページ 3

                                                                                              9
C 5381-351 : 2019 (IEC 61643-351 : 2016)
記号説明
WP : 一次巻線
WS : 二次巻線
ES : 静電遮蔽
R : 基準面又は基準点
CP-Screen A,CP-Screen B : 一次巻線から静電遮蔽までの静電容量 経路A及び経路B
CS-Screen A,CS-Screen B : 二次巻線から静電遮蔽までの静電容量 経路A及び経路B
CP-SA,CP-SB : 一次巻線から二次巻線までの静電遮蔽の影響が及ばない静電容量 経路A及び経路B
ZT : 終端又は負荷インピーダンス
ZS : 通信線路のインピーダンス
図6−静電遮蔽をもつSITのコモンモードサージ条件

5.2 コモンモードサージ

  コモンモードサージ条件下のSITを図5及び図6に示す。定格インパルス耐電圧は,絶縁協調を考慮し
て想定するコモンモードサージ電圧のピーク以上とする(7.1参照)。静電遮蔽(ES)によって減結合して
いない一次巻線から二次巻線までの(CP-SA+CP-SBで示す)静電容量は,一次側から二次側回路へ容量性の
電流経路を提供する(6.2参照)。
コモンモードサージの主なパラメータは,定格インパルス耐電圧及び内部巻線間の静電容量並びに絶縁
の健全性を確認するための試験後の絶縁抵抗である。
注記 対応国際規格の明らかな誤記のため,図5を追加し,図5及び図6とした。

5.3 ディファレンシャルモードサージ

  ディファレンシャルモードサージは,通常,システムの非対称によってコモンモードサージからディフ
ァレンシャルモードに変換することによって発生する。ディファレンシャルモードサージでのSITの動作
は,それらを緩和することはほとんどない。SITの帯域幅によっては,出力サージの周波数領域にフィル
タリング効果をもたらす。
SITは,コアの飽和によって,二次電圧の波形が切り取られる可能性がある。幾つかの規格では,SIT
に一次巻線の電流定格を要求し,ディファレンシャルモードの電力故障の試験を規定している。

――――― [JIS C 5381-351 pdf 11] ―――――

10
C 5381-351 : 2019 (IEC 61643-351 : 2016)

6 特性

6.1 特性の測定

  特性は,試験時の測定可能な部品のパラメータ及び部品の試験で得た値である。特性は,これらの量の
代表値として,最大値,最小値又はこれらの組合せとすることを製造業者が指定する場合がある。
特性測定のための温度及び湿度環境は,JIS C 60721-3-3の分類3K1による。
a) 低温 : 20 ℃±2 ℃
b) 高温 : 25 ℃±2 ℃
c) 低相対湿度 : 20 %
d) 高相対湿度 : 75 %

6.2 一次巻線と二次巻線との間の静電容量

  この試験は,SITの実効的な内部巻線間の静電容量を測定する。
a) 試験方法 SITの内部巻線間の静電容量測定の試験回路を図7に示す。図7には,SITの容量成分だけ
を示す。一次巻線WP及び二次巻線WSは,両方の巻線を短絡する。内部巻線間の静電容量は,これら
二つの短絡間で測定する。
記号説明
WP : 一次巻線
WS : 二次巻線
CP-S : 一次巻線と二次巻線との間の静電容量
F : 静電容量計
図7−SITの内部巻線間の静電容量測定の試験回路
静電遮蔽をもつSITの内部巻線間の静電容量測定の試験回路を図8に示す。図8には,SITの容量
成分だけを示す。一次巻線WP及び二次巻線WSは,両方の端子を短絡して試験する。内部巻線間の静
電容量は,これら二つの短絡間で測定する。保護測定は,3線(Hi,Lo及び保護接続G)又は6線(Hi,
Lo,保護接続フィード,Hi,Lo及び保護接続センス)技術のいずれかを用いて行う。図8は,ブルー
ムライン3線式変圧比アームブリッジを示す。この測定は,同軸ケーブルを用いることによって,接
続ケーブルの分流容量を測定から除くことができる。

――――― [JIS C 5381-351 pdf 12] ―――――

                                                                                             11
C 5381-351 : 2019 (IEC 61643-351 : 2016)
記号説明
WP : 一次巻線 CP-Screen : 一次巻線と静電遮蔽との間の静電容量
WS : 二次巻線 CS-Screen : 二次巻線と静電遮蔽との間の静電容量
ES : 静電遮蔽 CP-S : 一次巻線と二次巻線との間の静電容量
CH : 静電容量測定接続Hi G : 保護接続(同軸ケーブルの遮蔽)
CL : 静電容量測定接続Lo F : 保護測定静電容量ブリッジ
図8−静電遮蔽をもつSITの内部巻線間の静電容量測定の試験回路
保護接続Gを一次巻線側に接続し,測定リード線を二次巻線及び静電遮蔽に接続することによって,
二次巻線と静電遮蔽との静電容量CS-Screenを測定することができる。同様に,保護接続Gを二次巻線
側に接続し,測定リード線を一次巻線と静電遮蔽に接続した場合,一次巻線と静電遮蔽との静電容量
CP-Screenを測定することができる。
b) 値 この規格は,任意の寸法及び構成の低周波交流電力並びに高周波スイッチングを対象とする。こ
の数値はある程度のばらつきがあるため,推奨値のリストを作成することは現実的ではない。内部巻
線間の静電容量値は,負荷側の回路に流れる容量性サージ電流のレベルを予測するために用いる。
c) 合格基準(判定基準) 内部巻線間の静電容量の測定値は,製造業者が指定する限度内とする。製造
業者が標準値だけを示しているとき,測定値が標準値の±30 %を超えた場合,製造業者に連絡して,
測定技術及び製品パラメータの分布を検証することが望ましい。

6.3 絶縁抵抗(IR)

  この試験は,規定の直流電圧で絶縁抵抗を測定する。
a) 試験方法 絶縁抵抗計は,6.3 b)の直流試験電圧の規定値に設定する。試験電圧は,絶縁抵抗値を測定
する前に60秒間以上印加する。SITの絶縁抵抗測定の試験回路を図9に示す。一次巻線WP及び二次
巻線WSは,両方の端子を短絡して試験する。絶縁抵抗は,これら二つの短絡間で測定する。

――――― [JIS C 5381-351 pdf 13] ―――――

12
C 5381-351 : 2019 (IEC 61643-351 : 2016)
記号説明
WP : 一次巻線 Ω : 指定する直流試験電圧の絶縁抵抗計
WS : 二次巻線
図9−SITの絶縁抵抗測定の試験回路
静電遮蔽をもつSITの絶縁抵抗測定の試験回路を図10に示す。一次巻線WP及び二次巻線WSは,
両方の端子を短絡して試験する。絶縁抵抗は,これら二つの短絡間で測定する。特に指定がない場合,
次の二つを測定する。一つは,選択スイッチSWを静電遮蔽ES及び一次巻線WPに接続した状態で行
い,次に選択スイッチSWを静電遮蔽ES及び二次巻線WSに接続した状態で行う。
記号説明
WP : 一次巻線 Ω : 指定する直流試験電圧の絶縁抵抗計
WS : 二次巻線 SW : 2位置選択スイッチ
ES : 静電遮蔽
図10−静電遮蔽をもつSITの絶縁抵抗測定の試験回路
b) 値 直流電圧の推奨試験値は500 Vであり,直流電圧を60秒間以上印加した後に絶縁抵抗値を読み取
る。
c) 合格基準 絶縁抵抗値は,直流500 Vを印加して測定し,2 MΩ以上とする。

――――― [JIS C 5381-351 pdf 14] ―――――

                                                                                             13
C 5381-351 : 2019 (IEC 61643-351 : 2016)

6.4 通信用SITの電圧時間積

  この試験は,SITの二次巻線に通過するディファレンシャルモードサージを電圧時間積で測定する。
a) 試験方法 SITの電圧時間積の測定試験回路を図11に示す。パルス発生器Gは,電圧振幅及びパルス
持続時間の調整機能をもつ。
記号説明
WP : 一次巻線 G : パルス発生器,内部インピーダンス50
WS : 二次巻線 O : VS測定用オシロスコープ
VS : 瞬時的な二次巻線電圧
図11−SITの電圧時間積の測定試験回路
パルス発生器Gの開回路出力電圧波形及びSITの二次巻線が出力した電圧波形を図12に示す。パ
ルス発生器Gの開回路ピーク電圧VG及びパルス持続時間は,SITのコアが飽和するように調整する。
コアの飽和は,二次巻線の出力電圧パルスが切り取られ,パルス発生器Gの開回路出力電圧パルスよ
りも短い持続時間tS(SITの二次巻線電圧持続時間)によって示される。正確な測定を可能にするた
め,SITの二次巻線電圧持続時間tSを10 μs以上になるように,パルス発生器Gの電圧振幅を調整す
る。
記号説明
VG : パルス発生器の開回路ピーク電圧 tS : SITの二次巻線電圧持続時間(VSの50 %)
VS : 瞬時的な二次巻線のピーク電圧
図12−パルス発生器の開回路出力電圧波形及びSITの二次巻線出力電圧波形
瞬時的な二次巻線電圧は,振幅のピーク電圧VS及びVSの50 %のSITの二次巻線電圧持続時間tSを
測定する。SITの電圧時間積は,VS×tSで求め,μV・sで表す。
b) 値 SITの電圧時間積は,SITの寸法,構造及び情報通信技術(ICT)システムに依存する。この数値
はある程度のばらつきがあるため,推奨値のリストを作成することは現実的ではない。一例として,
イーサネット1)用のSITは,通常,50μV・s程度の電圧時間積をもつ。二次側に電圧制限部品がない場
合に,製造業者が指定するサージ波形に起因する切り取る前(コア飽和前)の二次電圧ピークレベル
を予測するために,電圧時間積の値を用いることができる。

――――― [JIS C 5381-351 pdf 15] ―――――

次のページ PDF 16

JIS C 5381-351:2019の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61643-351:2016(IDT)

JIS C 5381-351:2019の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 5381-351:2019の関連規格と引用規格一覧