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C 5381-351 : 2019 (IEC 61643-351 : 2016)
c) 合格基準 電圧時間積の測定値は,製造業者が指定する限度内とする。製造業者が標準値だけを示し
ているとき,測定値が標準値の±30 %を超えた場合,製造業者に連絡して,測定技術及び製品パラメ
ータの分布を検証することが望ましい。
注1) “イーサネット”及び“Ethernet”は,富士ゼロックス株式会社の登録商標である。
7 定格
7.1 定格インパルス耐電圧
この試験は,部品タイプのSITの製造業者が指定する定格インパルス耐電圧を確認する。
a) 試験方法 絶縁部分の定格インパルス耐電圧は,1.2/50のインパルス電圧(附属書Aを参照)を用い
て試験する。この規格では,部品,装置及び機器のポートの試験に用いる一般的な方法であるインパ
ルス耐電圧試験だけを規定する。SITの定格インパルス耐電圧試験回路を図13に示す。1.2/50サージ
発生器Gは,オシロスコープOによってその電圧波形を測定し,絶縁分離した巻線WP及びWSに印
加するインパルス電圧をもつ。一次巻線WP及び二次巻線WSは,両方の端子を短絡して試験する。
記号説明
WP : 一次巻線 G : 1.2/50サージ発生器
WS : 二次巻線 O : オシロスコープ又は同等のインパルス電圧測定装置
図13−SITの定格インパルス耐電圧試験回路
静電遮蔽をもつSITの定格インパルス耐電圧の試験回路を図14に示す。1.2/50サージ発生器Gは,
オシロスコープOによってその電圧波形を測定し,絶縁分離した一次巻線WP及び二次巻線WSに印
加するインパルス電圧をもつ。一次巻線WP及び二次巻線WSは,両方の端子を短絡して試験する。特
に指定がない場合,次の二つを測定する。一つは,選択スイッチSWを静電遮蔽ESと一次巻線WP
に接続した状態で行い,次に選択スイッチSWを静電遮蔽ES及び二次巻線WSに接続した状態で行う。
――――― [JIS C 5381-351 pdf 16] ―――――
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C 5381-351 : 2019 (IEC 61643-351 : 2016)
記号説明
WP : 一次巻線 G : 1.2/50サージ発生器
WS : 二次巻線 O : オシロスコープ又は同等のインパルス電圧測定装置
ES : 静電遮蔽 SW : 2位置選択スイッチ
図14−静電遮蔽をもつSITの定格インパルス耐電圧の試験回路
定格インパルス耐電圧試験の前に,試験の合格/不合格の基準となる波形のテンプレートを決定す
る。初めに,1.2/50サージ発生器Gの電圧を表2に示すSITの定格インパルス耐電圧に対応するイン
パルス電圧として設定する。1.2/50サージ発生器Gの電圧波形を記録する。波形を振幅のピークの10 %
だけ上に移動して作成した上限及び波形を10 %だけ下降した下限からなる1.2/50サージ発生器Gの
開回路電圧1.2/50波形からテンプレート(図15参照)を作成する。
記号説明
d : 1.2/50の開回路電圧波形の正及び負の垂直波形変位距離
距離dはピーク開回路電圧の10 %に等しい。
図15−1.2/50開回路波形による合格/不合格のテンプレートの構成
――――― [JIS C 5381-351 pdf 17] ―――――
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C 5381-351 : 2019 (IEC 61643-351 : 2016)
テンプレートの使用例を図16に示す。この図16は,テンプレートを影付きの領域として示す。定
格インパルス耐電圧試験に合格するには,定格インパルス耐電圧試験中の波形がテンプレート領域外
への逸脱がないものとする[図16 a)参照]。テンプレート領域外にあるきょ(鋸)歯状の波形[図16
b)参照]及び切取り状の波形[図16 c)参照]などのテンプレートから逸脱した絶縁破壊は,試験の不
合格を意味する。
b) 試験不合格,テンプレートの領域
a) 試験合格,1.2/50の開回路電圧波 c) 試験不合格,テンプレートの
形から構築したテンプレート領 外にあるきょ(鋸)歯状の波形 領域外にある切取り上の波形
域内の試験波形
図16−合格/不合格のテンプレート及び試験波形
図13又は図14の試験回路を適宜に用いて,SITの定格インパルス耐電圧に対応するインパルス電
圧を1.2/50サージ発生器GによってSITに印加し,インパルス波形をオシロスコープOで記録する。
記録した電圧が図16 a)に適合していることを確認する。静電遮蔽をもつSITは,図14を参照して,2
位置選択スイッチSWを試験する側の位置にして試験を繰り返し,記録した電圧が図16 a)に適合して
いることを確認する。定格インパルス耐電圧試験の後,6.3に規定する絶縁抵抗を測定する。
b) 値 SITの定格インパルス耐電圧とそれに対応する試験用インパルス電圧の推奨値を表2に示す。SIT
の定格インパルス耐電圧が規定値以上であることを保証するため,印加するインパルス電圧は定格イ
ンパルス耐電圧よりも高い電圧とする。表2に示したインパルス試験電圧と定格インパルス耐電圧と
の比は,JIS C 60664-1及びIEC/TR 60664-2-1:2011に基づいて4 kV未満の電圧では1.17倍,4 kV以
上では1.23倍となる。
試験は,製造業者が指定するとおりに取り付けた部品並びに沿面距離,空間距離及び絶縁バリアの
複合した耐性を測定する。
――――― [JIS C 5381-351 pdf 18] ―――――
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C 5381-351 : 2019 (IEC 61643-351 : 2016)
表2−定格インパルス耐電圧のためのインパルス電圧の試験電圧
定格インパルス耐電圧 インパルス電圧a)
kV kV
0.8 0.94
1.5 1.75
2.1b) 2.4
2.5 2.92
4 4.92
6 7.39
8 9.85
10 12.3
12 14.8
15 18.5
25 30.8
30 36.9
40 49.2
60 73.9
80 98.5
120 148
注記1 定格インパルス耐電圧の10 kVの数値は,ITU-T K.21及びITU-T K.66を参照。
注記2 定格インパルス耐電圧の30 kVは,幾つかの国で用いている。
注a) 1.2/50の電圧振幅のピーク値の許容差はIEC/TR 60664-2-1:2011に基づき,±5 %とする。
b) SO/IEC/IEEE 8802-3:2014の1.2/50,2.4 kV試験値に対応する定格インパルス耐電圧である。
c) 合格基準 試験中の波形は,図16 a)の要求事項及び試験後の絶縁抵抗は,6.3の規定を満足しなけれ
ばならない。
7.2 信号用SITの定格巻線直流電流
この試験は,SITの定格巻線直流電流で部品タイプの巻線導体の温度上昇が規定値を超えないことを確
認する。この定格は,SITがディファレンシャルモードの交流電力故障条件の試験が必要な装置及び機器
のポートで使用する場合にだけ要求する。
a) 試験方法 この試験は銅導体のSITの巻線に適用し,SITの熱抵抗は一定であると仮定する。図17に,
二つの測定回路を示す。a)の回路は,巻線抵抗及び周囲温度の試験前の値を測定する。b)の回路は,
熱平衡に達した後の定格直流電流での巻線電圧及びSITの局所の周囲温度を測定する。
巻線温度は直接測定できないため,測定した巻線電圧が,5分間の間隔で行う3回の連続測定のう
ちのいずれかの2回で変動が0.4 %未満の場合,熱平衡に達したとみなす。一般的に,ほとんどの信
号用SITは,15分間以内に熱平衡に達する。これらの試験では,SITは,風通しのない環境に置かな
ければならない。
図17 a)の試験回路から得られた巻線抵抗R1及び周囲温度TA1の試験前の値を記録する。次に,図
17 b)の試験回路で定格直流電流IDCをSITの巻線に印加し,巻線電圧を5分間隔で測定する。熱平衡
に達したと判断したとき,そのときの巻線電圧VW及び局所周囲温度TA2を記録する。
抵抗値の増加,ΔRは,式(1)によって計算する。
VW
R R1 (1)
IDC
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銅導体の温度係数0.003 93を用いた巻線温度の増加,ΔTは,式(2)によって計算する。
R
T (2)
.0003 93R1
局所周囲温度(TA2−TA1)の上昇を補うために,IDCに起因する実効温度上昇ΔTDCは,式(3)によっ
て計算する。
ΔTDC=ΔT−(TA2−TA1) (3)
a) 温度上昇試験前の巻線抵抗R1及び周囲温度TA1 b) 巻線導体の温度上昇回路
測定回路
記号説明
WP : 一次巻線 Ω : 巻線抵抗測定用抵抗計
WS : 二次巻線 I : 巻線定格直流電流IDCに設定した電流源
TC : SITから10 mm±2 mm離した熱電対 V : 巻線電圧VW測定用電圧計
℃ : 局所周囲温度測定用温度計
図17−巻線導体の温度上昇試験回路
試験後に絶縁抵抗(6.3参照)を測定する。
b) 値 SITの一次巻線の定格巻線直流電流値は,SITの寸法,構造,及び情報通信技術(ICT)システム
に依存する。この数値はある程度のばらつきがあるため,推奨値のリストを作成することは現実的で
はない。一例として,イーサネット用のSITは,通常,1 Aの領域で温度上昇分が40 ℃の一次巻線定
格直流電流値をもつ。SITの定格巻線直流電流は,必要な過電流保護が動作するまで耐えることがで
きる,最大連続実効値の電力故障巻線電流を予測するために用いる。
c) 合格基準 定格直流電流で計算した巻線温度上昇ΔTDCは,規定値を超えてはならない。試験によって
危険が発生してはならず,また,6.3に規定する絶縁抵抗値よりも低い値となってはならない。
8 識別
8.1 一般
次の情報は,製造業者が提供する。
8.2 データシート
製品データシートには,利用可能な次のアプリケーション情報を提供する。
――――― [JIS C 5381-351 pdf 20] ―――――
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JIS C 5381-351:2019の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61643-351:2016(IDT)
JIS C 5381-351:2019の国際規格 ICS 分類一覧
- 33 : 電気通信工学.オーディオ及びビデオ工学 > 33.040 : 電気通信システム > 33.040.99 : 通信システムのその他の装置
JIS C 5381-351:2019の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC60664-1:2009
- 低圧系統内機器の絶縁協調―第1部:基本原則,要求事項及び試験
- JISC60721-3-3:1997
- 環境条件の分類 環境パラメータとその厳しさのグループ別分類 屋内固定使用の条件