この規格ページの目次
29
C 5750-4-3 : 2011 (IEC 60812 : 2006)
A.2.3 ワークシートへの記入
“アイテムの参照”欄及び“アイテムの説明及び機能”欄への記入は,解析の主題を明確化するために
行う。参考資料は,ブロック図又はその他の支援文書に合わせて調整することが望ましい。アイテムの要
約及びその機能を記入する。
アイテムの故障の形態は,“故障モード”欄に記入する。5.2.3に,潜在的故障モードを識別するための
指針を示す。それぞれのアイテムに固有の故障モードの識別子(“故障モードのコード”欄)を記入するこ
とによって,解析の結果を要約できる。
故障モードの最も可能性の高い原因を,“発生し得る故障原因”欄に記入して一覧にする。
解析中のアイテムがもつ故障モードの影響に関する簡潔な説明は,“局所的影響”欄に記入する。類似の
情報は,最終アイテムに関する故障モードの影響を示すために,“最終的影響”欄に記入する。一部のFMEA
解析では,中間的なレベルで故障の影響の大きさを評価することが望ましい。この場合は,“高次のアセン
ブリ”に対する影響がある場合は追加欄を設けて記入する。故障モードの影響の大きさを明らかにするこ
とについては,5.2.5に示す。
故障モードの検出方法に関する簡単な説明を,“検出方法”欄に記入する。検出方法は,設計で仕込まれ
るビルトインテスト(BIT)機器によって自動的に実施されるか,又は運用要員若しくは保全要員による
診断手順を必要とする。検出方法を明らかにしておくことが重要である。それによって,解析担当者が是
正処置が必要かどうかを確認できる。
冗長性のように,特定の故障モードを軽減する設計特性は,“故障への補償対策”欄に記入する。特定の
保全によって提供される補償又はオペレータの処置についても,ここに記入することが望ましい。
“厳しさの区分”欄には,FMEA解析担当者が判定した厳しさのレベルを記入する。
“発生確率又は頻度”欄には,特定の故障モードの発生率を記入する。頻度の基準は,用途(例えば,
100万時間当たりの故障,走行距離1 000 km当たりの故障など)に合うように調整する。
“備考”欄の記入には,5.3.4に示すように,解析担当者の意見及び提案を記入する。
A.2.4 ワークシートの備考
最後に,その他の事項を明確にするために,適切な備考を記入することが望ましい。設計への改善要望
のような実施可能な対応策を記録し,報告書で更に詳しく説明する。この欄には,次の項目を含めてもよ
い。
a) 何らかの異常な条件
b) 冗長要素の故障の影響
c) 特に致命的な設計特性に対する認識
d) 記載事項をより詳細にするための備考
e) 連続的な故障解析のための,その他の記載事項の参照
f) 重要な保全の要求事項
g) 主な故障の原因
h) 主な故障の影響の大きさ
i) 決定事項(例えば,設計審査のときの決定事項)
――――― [JIS C 5750-4-3 pdf 31] ―――――
30
C 5750-4-3 : 2011(IEC 60812 : 2006)
C5
2
最終アイテム : アイテム : 作成者 :
5
7
動作期間 : 改訂 : 日付 :
50-
アイテム アイテムの説明 故障モード故障モードの発生し得る 局所的影響 最終的影響検出方法 故障への 厳しさの 発生確率 備考
4-
3
の参照 及び機能 コード 故障原因 補償対策 区分 又は頻度
: 201
1(IEC60812 : 2
006)
図A.1−FMEAワークシートのフォーマット例
――――― [JIS C 5750-4-3 pdf 32] ―――――
31
C 5750-4-3 : 2011 (IEC 60812 : 2006)
附属書B
(参考)
解析の例
B.1 例1−RPN計算を伴う自動車電子工学部品のためのFMECA
自動車製品に対して行う広範囲のFMECAの一部を,図B.1に示す。解析する組立品は電源であり,バ
ッテリーラインへの接続だけである。
このバッテリーラインは,ダイオードD1及びバッテリーのプラス側をグランドに接続するコンデンサ
C9をもつ。このダイオードは,バッテリーのマイナス側がアイテムに接続されてマイナス電圧がグランド
に短絡した場合に,アイテムをダメージから守るように反対の極性となっている。コンデンサは,EMIフ
ィルタ用である。これらの部品のいずれかがグランドに短絡した場合,バッテリーの消耗の原因となるグ
ランド短絡となる。そうした故障には前兆がなく,自動車産業における“重大な(walk home)”故障はハ
ザードとみなす。したがって,両方の部品の“短絡”の故障モードは,Sランクが10である。故障の発生
確率は,車両使用時に発生するそれぞれのストレスでの部品の故障率から計算し,自動車に適用するFMEA
のOスケールとする。部品の短絡は試験ですぐに判明するので(すなわち,アイテムは動作していない。),
故障の検出は極めて低い。
前述の部品のいずれかの開放は,ダイオードが開放する場合を除いて,アイテムへのダメージの原因と
はならないので,逆のバッテリー保護は存在しないが,コンデンサが開放した状態では,EMIフィルタと
はならないので,車両中の他の機器についてはノイズ発生の可能性がある。
主にフィルタリングのために,バッテリーとアイテムの電気回路との間にコイルL1がある。コイルL1
が開放している場合,バッテリーが接続されず,警告表示が点灯しないので,アイテムは作動しない。コ
イルの故障率は極めて低いので,故障の発生確率は2である。
抵抗器R91は,スイッチングトランジスタにバッテリーの電圧を伝える。開放故障の場合,アイテムを
動作不能にし,厳しさのレベルは9になる。抵抗器の故障率は極めて低いので,故障の発生確率は2であ
る。アイテムが動作しないので,故障の検出は1である。
――――― [JIS C 5750-4-3 pdf 33] ―――――
32
C 5750-4-3 : 2011 (IEC 60812 : 2006)
C5
2
アイテム・機能 潜在的 潜在的 潜在的 故障の 現在の設計現在の設計 推奨処置 責任及び 処置の結果
5
7
故障 故障の影響 厳 原因・ 詳細な原因 管理予防 管理の検出 目標
50
し
-
サブ アセン 構成品 モード 局所的 最終的な 故障の ・メカニズム 発 R 終了日
4
さ 区 取 厳故
-
生 検 し 障故
3
システム ブリ 影響 影響 の 分 メカニズム P ら
: 2
頻 さ の障R
レ 出 れ
度 N の 発の
0
ベ る P
1
レ 生検
1(
ル 処 ベ 確出N
I
置
E
ル率
C60
電力供給
812
V1
: 2
D1 短絡 バッテリー バッテリー 10構成品の固 材料の不具合 3 より高い品 評価及び信 1 30
006
電圧+グラ の消耗,重大 有の故障 質の選択及 頼性妥当性
)
ンドへの短 びランク付 試験
絡 け
D1 開放 逆電圧保護 目立つ影響2 構成品の固 接合又は半伝 3 より高い品 評価及び信 2 12
なし なし 有の故障 導若しくは亀 質の選択及 頼性妥当性
裂 びランク付 試験
け
C9 短絡 バッテリー バッテリー 10構成品の固 絶縁破壊又は 3 より高い品 評価及び信 1 30
電圧+グラ の消耗,重大 有の故障 クラック 質の選択及 頼性妥当性
ンドへの短 びランク付 試験
絡 け
C9 開放 EMI排出な 仕様から外 2 構成品の固 絶縁開放,リ 2 より高い品 評価及び信 1 4
し れたアイテ 有の故障 質の選択及 頼性妥当性
ーク,ボイド,
ムの運用 又はクラック びランク付 試験
け
L1 開放 No V1− アイテムの 9 構成品の固 材料の不具合 2 より高い品 評価及び信 1 18
動作不能 有の故障 質の選択及 頼性妥当性
警告表示な びランク付 試験
し け
R91 開放 そのアイテ アイテムの9 構成品の固 接合又は材料 2より高い品 評価及び信 1 18
ムの回路切 動作不能 有の故障 のクラック 質の選択及 頼性妥当性
り換えのた 警告表示な びランク付 試験
めの電圧な し け
し
図B.1−RPN計算を伴う自動車電子工学の一部のFMECA
――――― [JIS C 5750-4-3 pdf 34] ―――――
33
C 5750-4-3 : 2011 (IEC 60812 : 2006)
B.2 例2−モータ発電機セットのサブ・サブシステムのためのFMEA
この例は,モータ発電機(M-G)システムへのFMEAの適用を示す。この検討対象は,このシステムだ
けに限定し,M-Gセットが電力を供給する負荷の故障の影響又はその他の故障の外的な影響には適用しな
い。これは解析の境界を明確にしている。部分だけで示すこの例は,システムをどのように階層構造のブ
ロック図の形態で表現するかを明確にする。最初の下位分類は五つのサブシステム(図B.2参照)及びそ
れらの一つを明らかにし,エンクロージャ・ヒーティング,換気及び冷却システムは,FMEAを開始する
ために決定した構成品のレベルよりも低い階層構造のレベルを通して開発する(図B.3参照)。また,ブロ
ック図はFMEAワークシートと相互参照できる番号をもつシステムを示す。
この規格で推奨するフォーマットに従っているM-Gセットのサブ・サブシステムのワークシートの一例
を,図B.4に示す。
このFMEAの基本的な前提条件は,完全なM-Gシステムに対する故障の影響の厳しさの定義及び分類
である。この例のシステムでの定義を,表B.1に示す。
表B.1−完全なM-Gシステムに対する故障の影響の厳しさの定義及び分類
レベル 厳しさ 説明
5 全機能喪失 ミッション完了前に発電能力の故障がある。
4 致命的 ミッション完了前にシステムに劣化がある。
3 重度 修復までの強制停止によって発電能力が失われる。
2 軽度 修復に都合がつくまでに一時的にシステムに劣化がある。
1 無視できる 発電能力の喪失又は著しい劣化はない。
モーター発電機
セット
10 20 30 40 50
エンクロージャ・ヒ
DC機械 AC機械
機械の構造 ーティング,換気 器具の使用
(+AVFR制御) (+AVFR制御)
及び冷却システム
図B.2−モータ発電機セットのサブシステム図
――――― [JIS C 5750-4-3 pdf 35] ―――――
次のページ PDF 36
JIS C 5750-4-3:2011の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60812:2006(IDT)
JIS C 5750-4-3:2011の国際規格 ICS 分類一覧
- 21 : 一般的に使用される機械的システム及び構成要素 > 21.020 : 機械,装置、設備の特性及び設計
- 03 : サービス.経営組織,管理及び品質.行政.運輸.社会学. > 03.120 : 品質 > 03.120.30 : 統計的方法の応用
- 03 : サービス.経営組織,管理及び品質.行政.運輸.社会学. > 03.120 : 品質 > 03.120.01 : 品質一般
JIS C 5750-4-3:2011の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC5750-1:2010
- ディペンダビリティ マネジメント―第1部:ディペンダビリティ マネジメントシステム
- JISQ9000:2015
- 品質マネジメントシステム―基本及び用語
- JISZ8115:2019
- ディペンダビリティ(総合信頼性)用語