JIS C 5750-4-3:2021 ディペンダビリティマネジメント―第4-3部:システム信頼性のための解析技法―故障モード・影響解析(FMEA及びFMECA) | ページ 2

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C 5750-4-3 : 2021 (IEC 60812 : 2018)

3 用語,定義及び略語

3.1 用語及び定義

  この規格で用いる主な用語及び定義は,次によるほか,JIS Z 8115による。
ISO及びIECは,標準化に用いるための用語データベースを次のアドレスに維持している。
− IEC Electropedia : https://www.electropedia.org/
− ISO Online browsing platform : https://www.iso.org/obp/ui
3.1.1
故障モード(failure mode)
推奨しない用語 : フォールトモード(fault mode)
故障が起こる様相
注釈1 故障モードは,発生した状態の変化によって特定してもよい。状態の変化には,機能の喪失及
びその他の状態変化がある。
注釈2 “弁が開かない”及び“起動しない”が機能の喪失の例として,“短絡”及び“折損”がその他
の状態変化の例として挙げられる。
注釈3 人的故障モードは,誤った行為の実施にせよ,必要な行為の省略にせよ,人間の行為の結果と
して喪失される機能によって特定される。
(出典 : JIS Z 8115:2019の192-03-17,注釈1を修正し,注釈2及び注釈3を追加)
3.1.2
故障の影響(failure effect)
故障したアイテムの内部又は外部に波及した故障の結果
注釈1 ある解析(例えばFMEA,故障診断)においては,個々の故障モード及びその影響を考慮する
必要があることもある。
注釈2 故障の影響はまた,故障したプロセスの境界内又はその外での故障が及ぼす結果も含む。
(出典 : JIS Z 8115:2019の192-03-08,注釈2を追加)
3.1.3
システム(system)
一つ以上の明記された目的を達成するために組織された相互に作用する要素の組合せ
注釈1 システムとは,それが提供する製品又はサービスとみなされることもある。
注釈2 実際には,その意味の解釈は,例えば,航空機システムのように複合名詞の使用によってしば
しば明確にされる。別の表現として,システムという言葉を使わずに,文脈が明らかな場合は,
例えば,“航空機システム”を“航空機”という用語に置き換えることが可能である。その場合
は,システムという捉え方の観点が曖昧になる。
注釈3 JIS Z 8115の192-01-03では,“要求を満たすために集合的に振る舞う,相互に関連する一組の
アイテム”と定義している。
(出典 : JIS X 0170:2020の4.1.46,注記3を削除)
3.1.4
アイテム(item)
対象となるもの

――――― [JIS C 5750-4-3 pdf 6] ―――――

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C 5750-4-3 : 2021 (IEC 60812 : 2018)
注釈1 アイテムは,個々の部品,構成品,デバイス,機能ユニット,機器,サブシステム又はシステ
ムである。
注釈2 アイテムは,ハードウェア,ソフトウェア,人間又はそれらの組合せから構成される。
注釈3 アイテムは,別々に対象となり得る要素から,しばしば構成される。
注釈4 サービスを考慮する場合,サービスユニット,サービスプロセス,サービスシステムなどがア
イテムとなる。
注釈5 アイテムは,目的,対象又は分野によって独自な用語又は階層構造を用いて表現することがあ
る。
(出典 : JIS Z 8115:2019の192-01-01)
3.1.5
プロセス(process)
総合信頼性において入力を出力に変換する,相互に関連する又は相互に作用する一連の活動
(出典 : JIS Z 8115:2019の192-01-08)
注釈1 製品の製造工程(manufacturing process)の場合は“工程”という。
3.1.6
階層レベル(hierarchy level)
システム,アイテム又はプロセスの階層内の下位分割のレベル
注釈1 階層レベルは,分割単位(indenture level)としても知られる(JIS Z 8115:2019の192-01-05参
照)。
注釈2 最上位レベル及び最下位レベルは,それぞれ,階層の最上位及び最下位レベルに対応している。
中位レベルは,最上位レベルと最下位レベルとの間の複数のレベルに対応している。
3.1.7
要素(element)
故障モードがそこで特定される,システム,アイテム又はプロセスの階層の下位分割レベル
3.1.8
シナリオ(scenario)
システム,アイテム又はプロセスの機能がそこで果たされる,規定された状態の,起こり得るシーケン

注釈1 状態は,アイテム又はプロセスの性能に影響し得る,定義されたアイテム又はプロセスの,調
べている境界外の活動又は要因を含むことがある。
注釈2 物理的状態は,温度,湿度,照明レベル,衝撃,汚染,放射線レベルなどの全ての環境要因を
含む。
注釈3 組織の状態は,スタッフのレベル,身体的/心理的ストレスなどの要因を含む。
3.1.9
故障原因(failure cause)
故障に至る事情(状況)の集合
注釈1 故障原因は,アイテムの仕様,設計,製造,設置,運用又は保全に由来することがある。
注釈2 故障原因の例には,軸受の焼き付きの故障モードをもたらす汚染又は不十分な潤滑がある。
注釈3 プロセスの場合の故障原因は,刺激過剰,記憶違い,誤解,誤った仮定のようなヒューマンエ

――――― [JIS C 5750-4-3 pdf 7] ―――――

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C 5750-4-3 : 2021 (IEC 60812 : 2018)
ラーのメカニズムを含む。
(出典 : JIS Z 8115:2019の192-03-11,注釈2及び注釈3を追加)
3.1.10
故障メカニズム(failure mechanism)
故障に至るプロセス
注釈1 プロセスは,物理的,化学的,論理的,心理的,又はそれらの組合せでもよい。
(出典 : JIS Z 8115:2019の192-03-12,注釈1の文言を変更)
3.1.11
起こりやすさ(likelihood)
何かが起こる可能性
注釈1 この規格で,用語“起こりやすさ”は,客観的若しくは主観的,定性的若しくは定量的に定義,
測定又は決定される,何かが起こる可能性を示し,一般用語を用いて,又は数学的に記述され
る(所定の期間における発生確率,頻度など)。
注釈2 英語の用語“起こりやすさ(likelihood)”は,ある種の言語では直接これに対応する用語がなく,
代わりに,用語“発生確率(probability)”に対応する用語がしばしば用いられる。しかし,英
語ではしばしば,“発生確率”は数学用語として狭い意味で解釈される。したがって,この規格
では,用語“起こりやすさ”は,英語以外の多くの言語での用語“発生確率”と同じ,広い解
釈をもつことが望ましいという意図で用いられている。
(出典 : JIS Q 0073:2010の3.6.1.1,注釈1及び注釈2の文言を変更)
3.1.12
厳しさ(severity)
故障又はフォールトの潜在的又は実際の結果の相対的な格付け
注釈1 厳しさは,何らかの結果と関係することがある。
注釈2 JIS Z 8115の192J-03-112では,“(故障の)厳しさ”を“アイテムの運用,環境又は運用担当者
に対する故障モードの影響の重要性又は格付け”と定義している。
(出典 : EN 13306:2010の5.13,“相対的な格付け”を追加,注釈2を追加)
3.1.13
検出方法(detection method)
それによって故障モード又は故障の発端が明らかになる手段
3.1.14
管理策,制御策(control)
故障モードが起こらないようにする,若しくは故障モードの起こりやすさを低減させる,又はその影響
を変える能力をもつ,設計上の性質又はその他の既存の対策
注釈1 管理は,補償対策を指す場合がある。
3.1.15
致命度(criticality)
<故障モードの>規定の評価基準を用いて決定した重要度の格付け
注釈1 致命度の評価基準は,通常,システム,アイテム又はプロセスの階層の最上位レベルに対する
故障モードの影響を示す。

――――― [JIS C 5750-4-3 pdf 8] ―――――

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C 5750-4-3 : 2021 (IEC 60812 : 2018)
注釈2 致命度の尺度は,通常,影響の厳しさを,故障モードの少なくとも他の一つの特性と組み合わ
せる。
注釈3 致命度の具体的な意味は,解析の中で定義される評価方法に依存しており,この規格の中で詳
しく解説する。
注釈4 致命度は故障モードと関係し,故障原因とは関係しない(後者が全く特定されない場合)。
3.1.16
処置(treatment)
ある故障モードの起こりやすさ及び/又は影響を変えるための行動
注釈1 処置は,時に,軽減と呼ばれる。
注釈2 処置は,故障原因を取り除き,故障モード発生の起こりやすさを変化させ,及び/又は結果を
変化させるための行動を含むことがある。
3.1.17
ヒューマンエラー(human error)
人間が実施する又は省略する行為と,意図される又は要求される行為との相違
例 誤った行動をすること,必要な行動を省くこと,計算の誤り,値の読み違い。
(出典 : JIS Z 8115:2019の192-03-14)
3.1.18
冗長(redundancy)
<システム内の>システムにおいて,一つの機能を果たす二つ以上の手段の準備
注釈1 “共通モード故障”の可能性を低減するため,機能達成の付加手段は,意図的に異なる(多様
な)ものになることがある。
(出典 : JIS Z 8115:2019の192-10-02)
3.1.19
共通原因故障(common cause failures)
その故障が起こりさえしなければ独立とみなせる複数のアイテムに,単一の原因によって共通して起こ
る故障
注釈1 共通原因故障が,“共通モード故障”であることもあり得る。
注釈2 共通原因故障が潜在すると,システム冗長の有効性が低減する。
(出典 : JIS Z 8115:2019の192-03-18)
3.1.20
共通モード故障(common mode failures,<within a system>)
システム内で同じ故障モードによって特徴付けられる異なるアイテムの故障
注釈1 共通モードの故障が相異なる原因から引き起こされることがある。
注釈2 共通モード故障が“共通原因故障”であることもあり得る。
注釈3 共通モード故障が潜在すると,システム冗長の有効性を低下させる。
(出典 : JIS Z 8115:2019の192-03-19)
3.1.21
試験容易性(testability,<of an item>)

――――― [JIS C 5750-4-3 pdf 9] ―――――

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C 5750-4-3 : 2021 (IEC 60812 : 2018)
アイテムの故障/フォールトを検出,隔離するための運用の間,及びその後に,アイテムの試験を容易
にする度合い
(出典 : JIS Z 8115:2019の192-09-20,“故障/フォールトを検出,隔離するための運用の間,及びその
後に,”を追加)

3.2 略語

ARPN    代替リスク優先数(alternative risk priority number)
CCF 共通原因故障(common cause failure)
COTS 商用既製品(commercial off the shelf)
CSU 構成品ソフトウェアユニット(component software unit)
DC 診断カバー率(diagnostic coverage)
EMI 電磁障害(electromagnetic interference)
EMP 電磁パルス(electromagnetic pulse)
ESD 緊急停止(emergency shutdown)
ETA 事象の木解析(event tree analysis)
FIT 時間当たりの故障回数(failure in time)
FTA 故障の木解析(fault tree analysis)
FMEA 故障モード·影響解析(failure modes and effects analysis)
FMECA 故障モード·影響及び致命度解析(failure modes, effects and criticality analysis)
FMEDA 故障モード·影響及び診断解析(failure modes, effects and diagnostic analysis)
MTBF 平均故障間動作時間(mean operating time between failures)
MTTR 平均修復時間(mean time to restoration)
OEM 相手先商標製品製造(original equipment manufacturer)
RBD 信頼性ブロック図(reliability block diagram)
RCA 根本原因分析(root cause analysis)
RCM 信頼性中心保全(reliability centred maintenance)
RPN リスク優先数(risk priority number)
SFF 安全側故障割合(safe failure fraction)
SIL 安全度水準(safety integrity level)
SOD 厳しさ,発生度及び検出度(severity, occurrence and detectability)

4 概要

4.1 目的及び目標

  FMEAは,アイテム又はプロセスを構成要素に分解するとともに,順番に各構成要素について故障モー
ド及び影響を明確にして解析する方法である。これは,悪影響を除去するか,又はそれらの起こりやすさ
若しくは厳しさを低減させることによって,必要とされる改善策を明らかにするためである。致命度解析
を追加する目的は,可能性のある処置に対し,故障モードの優先順位付けを行えるようにすることである。
FMEAを実施する理由には,次が含まれる。

――――― [JIS C 5750-4-3 pdf 10] ―――――

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JIS C 5750-4-3:2021の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60812:2018(IDT)

JIS C 5750-4-3:2021の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 5750-4-3:2021の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISZ8115:2019
ディペンダビリティ(総合信頼性)用語