JIS C 5900:2019 光伝送用受動部品通則 | ページ 2

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伝達係数tijを要素とする正方行列。ここで,iは入射する端子を表し,jは出射する端子を表す。光伝送
用受動部品の波長依存性を示す場合,その伝達行列全体に波長λを添字として付し,Tn (λ)と示すこともで
きる。
例1 n=3の場合
)
t11 ( )
t12 ( t13 (
) t11 t12 t13
T3 () )
t21 ( t22 (
) )
t23 ( t21 t22 t23
)
t31 ( )
t32 ( t33 (
) t31 t32 t33
伝達係数の波長依存性を示す必要がない場合は,波長λを省略することができる。
例2
t11 t12 t13 t11 t12 t13
)
tij ( Tn(
tij , ) Tn ,t21 t22 t23 t21 t22 t23
t31 t32 t33 t31 t32 t33
光伝送用受動部品の入出力端子間に線形結合関係が成立するときは,各端子への入力光パワーP1 in,P2 in,
···,Pn inと各端子間の出力光パワーP1 out,P2 out,···,Pn outとの間には,次の式が成立する。
P1 out Pi1n
P2 out P2 in
Ttn
Pn out Pn in
注記 Tnの転置行列をTntで表す。
3.1.21
対数伝達行列(logarithmic transfer matrix)
対数伝達係数aijを要素とする正方行列。ここで,iは入射する端子を表し,jは出射する端子を表す。一
般に,対数伝達行列の要素は,次のようになる。
aij = −10 log 10 tij
ここに, tij : 伝達係数
aij : 端子iから入射した光が端子jから出射するときに
受ける光損失
3.1.22
偏光状態(state of polarization)
偏光の振動状態の分類。直線,だ(楕)円及び円がある。
3.1.23
分波(wavelength demultiplexing)
複数の波長を含んだ光を,波長に応じて複数の端子から出射する(連体修飾)。
3.1.24
合波(wavelength multiplexing)
波長の異なる光を複数の端子に入射し,一つの端子から出射する(連体修飾)。
3.1.25
波長選択性(wavelength-selective)
分波する及び/若しくは合波する,又はあらかじめ定められた波長帯域の光だけを伝達する機能。

――――― [JIS C 5900 pdf 6] ―――――

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3.1.26
端子構成(port configuration)
光受動部品の端子(全端子数n)を,次に記載する全ての関係を満たす,端子数Mの端子群及び端子数
Nの端子群の二つの端子群(M+N=n)に分割した場合の端子の接続関係を示す概念。M×Nで表す。
a) 端子数Mの端子群のいずれの端子も,同じ端子群のその他の端子に対して,伝達,減衰,分岐又は結
合を意図する関係にない。
b) 端子数Nの端子群のいずれの端子も,同じ端子群のその他の端子に対して,伝達,減衰,分岐又は結
合を意図する関係にない。
c) 端子数Mの端子群のいずれの端子も,端子数Nの端子群のいずれの端子に対しても,伝達,減衰,分
岐又は結合を意図する関係になり得る。
d) 端子数Nの端子群のいずれの端子も,端子数Mの端子群のいずれの端子に対しても,伝達,減衰,分
岐又は結合を意図する関係になり得る。
特に断りがない場合,M≦Nとする。
注記1 入力端子群(端子数M)及び出力端子群(端子数N)の端子構成の表記方法として用いる場
合,M>Nであっても,M×Nと表すことがある。
注記2 波長選択ブランチングデバイスの端子構成の表記方法として用いる場合,伝達,減衰,分岐
又は結合を意図する関係にあるとは,いずれかの通過帯域(パスバンド)において伝達する
ことを意味する。
注記3 光スイッチの端子構成の表記方法として用いる場合,伝達,減衰,分岐又は結合を意図する
関係にあるとは,ある状態において伝達することを意味する。
3.1.27
非相反性(non-reciprocal)
2端子間の光の伝達特性が,光の入出力方向によって異なる機能。
注記1 非相反性の反対語は,相反性である。
注記2 非相反性素子を含む例としては,入力端子と出力端子とを反転すると伝達しない光受動部品
である光アイソレータ,光サーキュレータなどがある。また,入力端子と出力端子とを反転
しても伝達でき,かつ,両方向に用いる光受動部品は,相反性素子だけの組合せからできて
いる。
注記3 同時に一つの端子を入力端子及び出力端子として用いる適用方法を,双方向(bi-directional)
という。双方向の反対語は一方向(uni-directional)である。双方向と両方向とを誤用しない
ように注意する。双方向は適用方法を示す用語であり,両方向は光受動部品の機能を表す用
語である。

3.2 部品の用語及びその定義

3.2.1
光伝送用部品(fiber optic component)
光ファイバを用いた光伝送に使用し,かつ,1本以上の光ファイバと接続でき,光ファイバからの光の
入力,光ファイバへの光の出力,又はその両方が可能である部品。
注記 光伝送用部品は,IEC TS 62538で定義するoptical deviceに該当する。optical deviceは,optical
element,optical component,optical assembly,optical sub-assembly及びoptical moduleを含む。

――――― [JIS C 5900 pdf 7] ―――――

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3.2.2
光伝送用受動部品(fiber optic passive component)
入射する光に対してエネルギーの変換機能をもたず,接続した全ての光ファイバから入射する光パワー
の総量よりも,全ての光ファイバへ出射する光パワーの総量が大きくならない光伝送用部品。
3.2.3
光伝送用パワー制御受動部品(fiber optic power control device)
一対の光の入力及び出力端子をもち,あらかじめ波長に依存しない伝達係数を制御することによって,
出力端子から出射する光パワーを制御する光伝送用受動部品。
注記 伝達係数の制御は,あるパワーを超えた光を入射したときに行う場合及び全ての入射光の光パ
ワーに対し制御する場合に行う。
3.2.4
光減衰器(optical attenuator)
光の入力,出力又はその両方が可能な2個の端子をもち,減衰を意図する光伝送用受動部品。
3.2.5
光アイソレータ(optical isolator)
入力端子及び出力端子をもち,入力端子から出力端子へは伝達を意図し,出力端子から入力端子へは阻
止を意図する非相反性の光伝送用受動部品。
3.2.6
光サーキュレータ(optical circulator)
光の入力,出力又はその両方が可能な3個以上の端子をもち,入力光及び出力光が,入出力端子に対し,
循環関係をもった非相反性の光伝送用受動部品。例えば,第1端子の入力光が第2端子に出射し,第2端
子の入力光が第3端子に出射する。
3.2.7
分散補償器(chromatic dispersion compensator)
波長分散をもつ2端子光伝送用受動部品。一般に,光路中に発生する分散値又は分散スロープを補償す
るために用いる。
3.2.8
光変調器(optical modulator)
光の入力,出力又はその両方が可能な2個の端子をもち,外部からの信号に応じて光を変調し,出射す
る機能をもつ光伝送用部品。
注記 変調には,強度変調,位相変調,周波数変調などがある。
3.2.9
偏光子(polarizer)
光の入力,出力又はその両方が可能な2個の端子をもち,入力光に対し,偏光特性をもつ光を出射する
光伝送用受動部品。
3.2.10
偏光制御器(polarization controller)
光の入力,出力又はその両方が可能な2個の端子をもち,入力光の偏光状態を制御し,これを出射する
光伝送用受動部品。

――――― [JIS C 5900 pdf 8] ―――――

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3.2.11
偏光スクランブラ(polarization scrambler)
光の入力,出力又はその両方が可能な2個の端子をもち,入力光の偏光状態をランダムに変化させ,こ
れを出射する光伝送用受動部品。
3.2.12
偏光解消子(depolarizer)
光の入力,出力又はその両方が可能な2個の端子をもち,偏光特性をもつ光を入射し,偏光特性をもた
ない自然光に近い光を出射する光伝送用受動部品。
3.2.13
波長選択性のない光ブランチングデバイス,光カプラ,光スプリッタ(non-wavelength-selective branching
device,optical coupler,optical splitter)
特定の波長域において波長選択性のない,3個以上の端子をもつ両方向受動部品であって,1個又は2
個以上の入力端子からの入力を,1個又は2個以上の出力端子に,増幅,切替え又は変調することなしに,
分岐又は結合させる機能を提供するもの。
3.2.14
波長選択光ブランチングデバイス,光合波器,光分波器,光合分波器,WDMデバイス[wavelength-selective
branching device,wavelength multiplexer,wavelength demultiplexer,wavelength multiplexer/demultiplexer,
wavelength division multiplexing (WDM) evice]
光の入力,出力又はその両方が可能な3個以上の端子をもち,光の波長に依存してあらかじめ定められ
た割合で,端子に光を出射する光伝送用受動部品。波長選択光ブランチングデバイスは,光に対して増幅,
その他の能動機能をもたず,二つ以上の異なる波長範囲において異なる2対の端子間で伝達を意図する光
伝送用受動部品。
注記1 波長選択光ブランチングデバイスは,波長選択性がない光ブランチングデバイスに対比する
用語であり,IEC用語の階層構造に由来している。一般的には,WDMデバイスを用いる。
注記2 光合波器及び光分波器は,直接的には合波する及び分波する機能をもつ光伝送用受動部品を
指すが,波長選択光ブランチングデバイスは,非相反性がなく両方向性のため,光伝送用受
動部品の用途を示す場合に用いる。
3.2.15
光スイッチ(optical switch)
光の入力,出力又はその両方が可能な2個以上の端子をもち,かつ,ある端子に入射した光パワーを他
の端子から出射するか,又はいずれの端子からも出射しないかの二つ以上の定常的な状態をとることがで
き,これらの状態の間を外部からの駆動手段に応じて切り換えることができる光伝送用受動部品。
注記 光の入力,出力又はその両方が可能な2個の端子をもち,伝達を意図する状態及び阻止を意図
する状態の両方をとることができる光スイッチを,光シャッタともいう。
3.2.16
波長スイッチ(wavelength switch)
二つ以上の定められた波長範囲において動作し,一つ以上の波長範囲の光に対して,波長範囲ごとに伝
達を意図する状態又は阻止を意図する状態の制御を行う光スイッチ。
3.2.17
光フィルタ(optical filter)

――――― [JIS C 5900 pdf 9] ―――――

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複数の定められた波長範囲の光を,伝達,阻止又は定められた減衰量に減衰し,信号のスペクトル強度
分布を変更する,1個又は2個の入出力端子をもつ光伝送用受動部品。伝達を意図する波長範囲,阻止を
意図する波長範囲又は減衰を意図する波長範囲は,それぞれ複数あってもよい。
注記 使用波長範囲を複数の波長範囲に分けた場合,それぞれの波長範囲の光を,伝達,減衰又は複
数の異なる定められた減衰量に減衰することで信号のスペクトル強度分布を変更する。
3.2.18
ファイバ・ブラッグ・グレーティング,FBG(fiber Bragg grating)
光ファイバコア部分に光ファイバ軸方向の周期的な屈折率変化を形成した光伝送用受動部品。
注記 長手方向に周期が変わる屈折率変化をもつものを,チャープFBGという。
3.2.19
エタロン(etalon)
平行に置いた一対のミラーで構成する光キャビティからなる光受動部品。
3.2.20
GTエタロン(Gires-Tournois etalon)
平行に置いた一対のミラーからなり,入出力端子側のミラーは,ハーフミラー,もう一方は,全反射ミ
ラーで構成しているエタロン。GT(Gires-Tournois)干渉計ともいう。
3.2.21
FPエタロン(Fabry-Perot etalon)
平行に置いた一対のハーフミラーからなり,両ミラーがそれぞれ,入力端子側及び出力端子側に配置さ
れるエタロン。FP(Fabry-Perot)干渉計ともいう。
3.2.22
光キャビティ(optical cavity)
平行に置いた一対のミラーからなり,ミラー間の多重反射による干渉によって,ある損失波長特性をも
つ光受動部品。

3.3 性能パラメータ及びその定義

3.3.1
使用温度(operating temperature)
光伝送用部品を適正な状態で使用できる周囲温度。放熱する光伝送用部品の場合,ケース温度を指すこ
とがある。
3.3.2
使用温度範囲(operating temperature range)
使用温度の範囲。
3.3.3
光損失(optical attenuation)
ある特定の使用状態で,一つの端子に入射する光パワーと同一又は別の端子から出射する光パワーとの
比をデシベル(dB)で表した値。次の式によって算出する。
ただし,i=1,2,···,n及びj=1,2,···,n。
Pjout
a−10 log10
Piin

――――― [JIS C 5900 pdf 10] ―――――

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