JIS C 5900:2019 光伝送用受動部品通則 | ページ 3

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C 5900 : 2019
ここに, a : 光損失(dB)
Pi in : i番目の端子に入射する光パワー(W)
Pj out : j番目の端子から出射する光パワー(W)
3.3.4
挿入損失(insertion loss)
一つの端子とそれに対し伝達を意図する端子との間の光損失をデシベル(dB)で表した値。正の値とす
る。入射する端子とそれに対する端子との一対で定義する。光受動部品に対して挿入損失を規定する場合,
一般に,伝達を意図する全ての端子間の通過帯域(パスバンド)内の最大値とする。
3.3.5
減衰量(attenuation)
一つの端子とそれに対し減衰を意図する端子との間の光損失をデシベル(dB)で表した値。正の値とす
る。
3.3.6
アイソレーション(isolation)
一つの端子と阻止を意図する端子との間の光損失をデシベル(dB)で表した値。正の値とする。阻止の
関係にある端子対のうち,ある状態において,伝達を意図する関係となる端子対で定義する。光受動部品
に対してアイソレーションを規定する場合,一般に,阻止の関係にある全ての組合せの端子対におけるア
イソレーションの最小値とする。
注記1 光アイソレータ及び光サーキュレータでは,伝達を意図する二つの端子間の,逆方向の光損
失をいう。波長選択光ブランチングデバイスでは,あるチャネルで伝達を意図する二つの端
子間の,阻止を意図するチャネルにおける光損失をいう。
注記2 波長選択光ブランチングデバイスの特殊な例として,波長アド・ドロップでは,アド端子群
とドロップ端子群とが,全てのチャネルで阻止の関係にある。この場合のアイソレーション
を,アド・ドロップアイソレーションという。
3.3.7
クロストーク(crosstalk)
選択された一つの出力を意図する端子に対して,阻止を意図する光パワーと,伝達を意図する光パワー
との比をデシベル(dB)で表した値。負の値とする。光受動部品に対してクロストークを規定する場合,
一般に,全ての出力を意図する端子のクロストークの最大値とする。
3.3.8
ディレクティビティ(directivity)
阻止の関係にある端子対のうち,あらゆる状態においても伝達を意図する関係にならない端子対間の光
損失をデシベル(dB)で表した値。正の値とする。3端子以上の光受動部品に対して定義する。光受動部
品に対してディレクティビティを規定する場合,一般に,ディレクティビティを定義する全ての端子間の
ディレクティビティの最小値とする。波長選択光ブランチングデバイスにおいて,アド・ドロップ端子間
には,ディレクティビティを適用しない。2×2バイパス光スイッチにも適用しない。
注記1 光サーキュレータでは,挿入損失及びアイソレーションの関係にない端子間の光損失をいう。
波長選択光ブランチングデバイス及び波長選択性のない光ブランチングデバイスでは,全て
の使用波長範囲において,伝達を意図する関係にない端子対の光損失をいう。
注記2 アイソレーションは,阻止を意図する端子間で定義するのに対し,ディレクティビティは,

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C 5900 : 2019
明示的には阻止を意図していないが,阻止の関係であることを望む端子間で定義する。明示
的に阻止を意図していないとは,漏れ光及び/又は迷光の阻止を期待することである。
3.3.9
反射減衰量(return loss)
一つの端子に入射する光パワーと,同じ端子から出射する光パワーとの比をデシベル(dB)で表した値。
正の値とする。
P2
rl−10 log 10
P1
ここに, rl : 反射減衰量(dB)
P1 : 端子に入射する光パワー(W)
P2 : 同じ端子から出射する光パワー(W)
3.3.10
使用波長(operating wavelength)
光伝送用受動部品の所期の性能を満たす代表的な波長。
3.3.11
チャネル(channel)
光伝送用受動部品の所期の性能を満たす代表的な波長又は周波数。
注記 チャネルの番号を自然数で表すことがある。
3.3.12
使用波長範囲(operating wavelength range)
所期の性能を満たす使用波長を含む波長範囲。伝達,阻止,分岐,結合及び減衰を意図する端子間の全
ての波長範囲を含む。複数の波長範囲がある場合は,全ての波長範囲を含む。
3.3.13
通過帯域,パスバンド(passband)
使用波長範囲のうち,伝達を意図する一つの波長範囲。
注記 使用波長範囲の中に,複数のパスバンドを含む場合がある。
3.3.14
通過帯域リップル,パスバンドリップル(passband ripple)
通過帯域における挿入損失の最大最小差。複数の通過帯域をもつ光受動部品においては,通過帯域の最
大値を示す。
3.3.15
波長依存性(wavelength dependence)
入力光の波長による光学特性の差異。
3.3.16
波長依存性損失,WDL(wavelength dependent loss)
入力光の波長による挿入損失の最大値と最小値との差。一般に,通過帯域(パスバンド)ごとに規定す
る。
3.3.17
波長分散(chromatic dispersion)
群遅延の波長又は周波数に対する微分値。

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注記1 波長分散は,一般に,使用波長によって異なる値となる。
注記2 代表的な単位は,ピコ秒毎ナノメートル(ps/nm)又はピコ秒毎ギガヘルツ(ps/GHz)。
注記3 ピコ秒毎ギガヘルツ(ps/GHz)の単位は,通常使われていないが,システムへの影響を考慮
すると,定義として優れている。
3.3.18
偏光依存性(polarization dependence)
入力光の偏光状態による光学特性の差異。
3.3.19
偏光依存性損失,PDL(polarization dependent loss)
入力光の偏光状態によって変化する挿入損失の変動分。伝達を意図する端子対に適用する。
3.3.20
偏波モード分散,PMD(polarization mode dispersion)
光信号が,光ファイバ,光部品,サブシステムなどを通過する場合に起きる,二つの主偏光状態(principal
states of polarization : PSP)間の群遅延差。
3.3.21
群遅延(group delay)
光伝送用部品内でパルスが遅れる時間。
注記 群遅延は,一般に,使用波長によって異なる値となる。
3.3.22
分散スロープ(chromatic dispersion slope)
波長分散の波長又は周波数に対する微分値。
注記1 分散スロープは,一般に,使用波長によって異なる値となる。
注記2 代表的な単位は,ピコ秒毎平方ナノメートル(ps/nm2)又はピコ秒毎平方ギガヘルツ(ps/GHz2)。
注記3 ピコ秒毎平方ギガヘルツ(ps/GHz2)の単位は,通常使われていないが,システムへの影響を
考慮すると,定義として優れている。
3.3.23
反射率(reflectance)
一つの端子に入射する光パワーと,同じ端子から出射する光パワーとの比を百分率(%)又は比で表し
た値。
3.3.24
透過率(transmittance)
一つの端子とそれに対する端子との間の光の透過率を百分率(%)又は比で表した値。
3.3.25
モード依存性(launch mode dependence)
マルチモード形光ファイバを用いる光伝送用部品で起こる,励振モードによる光学特性の差異。
3.3.26
モード遅延時間差(differential mode delay)
マルチモード形光ファイバを用いる光伝送用部品内の励振モードによるパルスが遅れる時間。
3.3.27
最大入力パワー(maximum input power)

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C 5900 : 2019
光伝送用部品が,損傷又は特性劣化を起こさない入力光パワーの最大値。
3.3.28
消光比(extinction ratio)
光伝送用部品の一対の入出力端子間において,伝達を意図する状態と阻止を意図する状態との光損失の
比をデシベル(dB)で表した値。正の値とする。
注記 強度光変調器では,オン/オフ(on/off)の変調時の光損失の比を,オン/オフ(on/off)消光
比という。偏波面保存光ファイバを用いた光部品では,偏光消光比という。

4 定格などの標準

4.1 標準的環境条件

  標準的環境条件は,JIS C 61300-1の箇条5(標準的環境条件)による。温度条件だけで,標準的環境条
件としてもよい。

4.2 定格などに用いる数値

  定格などに用いる数値は,JIS Z 8601による。

4.3 温度

  使用温度範囲及び定格を定める場合の温度は,表1の温度から選ぶ。
表1−温度
単位 ℃
選ぶ温度
−65 −5 27 85 200
−55 0 30 100 250
−40 5 40 125 315
−25 20 55 155 400
−10 23 70 175

5 規格体系

  箇条1(適用範囲)の注記に記載する個別の光伝送用受動部品の規格体系は,次のとおりである。現在,
次の規格体系に従っていない規格は,それらの規格の改正のときに順次修正する。
− JIS C XXXX-1 第1部 : 通則
− JIS C XXXX-2 第2部 : 試験方法
− JIS C XXXX-3以降 第3部以降 : 通則に記載する分類例に従って規定する個別の製品規格

6 基本的光学特性

  光伝送用受動部品の基本的な光学特性は,次の項目とする。
a) 挿入損失
b) アイソレーション
c) 反射減衰量

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C 5900 : 2019
参考文献
IEC TS 62538,Categorization of optical devices
IEC TS 62627-09,Fibre optic interconnecting devices and passive components−Vocabulary for passive optical
devices

JIS C 5900:2019の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 5900:2019の関連規格と引用規格一覧