JIS C 60364-4-41:2022 低圧電気設備―第4-41部:安全保護―感電保護 | ページ 5

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C 60364-4-41 : 2022 (IEC 60364-4-41 : 2005+AMD1 : 2017)
附属書A
(規定)
基本保護のための保護手段の要素
注記 この附属書では,基本保護としてA.1及びA.2が規定されており,選択した保護手段の一部とし
て使われる場合の要求事項を示す。
A.1 充電部の基礎絶縁
注記 絶縁の目的は,充電部への接触を防止することである。
充電部は,壊さなければ除去できない絶縁物で完全に覆わなければならない。
機器にあっては,絶縁は,電気機器に対する当該JIS又はIEC製品規格に適合しなければならない。
A.2 バリア又はエンクロージャ
注記 バリア又はエンクロージャの目的は,充電部への接触を防止することである。
A.2.1 充電部は,保護等級IPXXB又はIP2X以上のエンクロージャの内部,又はバリアの背後に置かな
ければならない。ただし,ソケット,ヒューズなどのように,部品の取替え中に大きな開口部が生じる場
合,又は機器の個別製品規格の要求事項に従い機器が正常な機能を得るために,大きな開口部を必要とす
る場合に,次の条件を全て満足している場合はこの限りではない。
− 人又は家畜が充電部に無意識に触れないように,適切な予防措置を施す。
− 人がその開口部を経由して充電部に触れるおそれがある場合,故意に触れない方がよいと気付くよう
な措置を施す。
− 開口部は,正常な機能及び部品の取替えのための要求とは矛盾せずに,取り替える部品の大きさ及び
作業に支障のない範囲で,できるだけ小さくなければならない。
A.2.2 容易に接近可能なバリア又はエンクロージャの水平上面は,保護等級IPXXD又はIP4X以上のも
のでなければならない。
A.2.3 バリア及びエンクロージャは,水,外来固形物など関連する外的影響を考慮し,通常の使用条件に
おいて,要求される保護等級及び充電部からの適切な離隔距離を維持するため,所定の位置に堅固に固定
し,かつ,十分な安定性及び耐久性をもたなければならない。
A.2.4 バリアの取外し又はエンクロージャの開放若しくはエンクロージャの一部分の取外しは,次のいず
れかの場合に限り可能でなければならない。
− 工具又は鍵を用いる。
− バリア又はエンクロージャが保護する充電部の電源を遮断した後であり,また,電力供給の復旧が,
バリア又はエンクロージャを復元又は再閉鎖した後に限り可能である。
− 充電部への接触を防止するための保護等級IPXXB又はIP2X以上の中間バリアがあり,中間バリアを
取り外すのに工具又は鍵を用いる。
A.2.5 バリアの背後又はエンクロージャの中に,開路した後も危険な電荷が残るような機器(コンデンサ

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C 60364-4-41 : 2022 (IEC 60364-4-41 : 2005+AMD1 : 2017)
など)を設置する場合は,警告標識が必要である。アークの消滅,リレーの応答遅延などのために用いる
小容量のコンデンサは,危険とはみなさない。
注記 静電荷による電圧が,電力供給遮断後5秒未満で直流120 V未満に低下する場合は,無意識の接
触は危険とはみなされない。

――――― [JIS C 60364 pdf 22] ―――――

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C 60364-4-41 : 2022 (IEC 60364-4-41 : 2005+AMD1 : 2017)
附属書B
(規定)
オブスタクル及びアームズリーチ外への設置
B.1 適用
オブスタクル及びアームズリーチ外への設置という保護手段は,基本保護だけに規定する。
この附属書の規定は,故障保護のあるなしにかかわらず,熟練者又は技能者によって管理又は指揮下に
ある設備に適用する。
この附属書の基本保護手段の要素を保護手段の一つとして適用する場合の監督条件を,410.3.5に示す。
B.2 オブスタクル
注記 オブスタクルは,充電部へ無意識に接触するのを防止することが目的であるが,オブスタクルを
う(迂)回して故意に接触することを防止するものではない。
B.2.1 オブスタクルは,次のことを防止しなければならない。
− 身体の充電部への無意識の接近
− 通常の使用時に充電された機器を操作している間,充電部への無意識の接触
B.2.2 オブスタクルは,無意識に取り外せないように堅固に固定しなければならない。ただし,工具又は
鍵を使用しないで取り外すことができてもよい。
B.3 アームズリーチ外への設置
注記 アームズリーチ外への設置による保護の目的は,充電部に無意識に接触するのを防止することに
ある。
B.3.1 同時に接触可能な電圧の異なる部分は,アームズリーチ内にあってはならない。
二つの部分の距離が2.5 m未満の場合は,同時に接触可能とみなす(図B.1参照)。
注記 (対応国際規格の注記の内容は規定であるため,点線の下線を施して本文に移動した。)
B.3.2 通常,人がいる場所が,保護等級IPXXB又はIP2X未満のオブスタクル(例えば,手すり,金網)
によって水平方向を制限する場合,アームズリーチは,そのオブスタクルから測らなければならない。
上方向のアームズリーチは,図B.1のS面から2.5 mとする。この場合,保護等級IPXXB未満のオブス
タクルが中間にあっても,これを考慮しない。
注記 アームズリーチの値は,補助(例えば,工具又ははしご)なしで,素手で直接触れる場合に適用
する。
B.3.3 通常,容積の大きい又は長さの長い導電性のものを取り扱う場所において,導電性の工具又は材料
などを手にもって作業する場合は,その工具又は材料などの容積又は長さを考慮してB.3.1及びB.3.2で要
求する距離を増加しなければならない。

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C 60364-4-41 : 2022 (IEC 60364-4-41 : 2005+AMD1 : 2017)
単位 m
記号説明
S : 人によって占有されることが予想される面
図B.1−アームズリーチの範囲

――――― [JIS C 60364 pdf 24] ―――――

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C 60364-4-41 : 2022 (IEC 60364-4-41 : 2005+AMD1 : 2017)
附属書C
(規定)
設備が熟練者又は技能者の管理又は指揮下にある場合だけに
適用する保護手段
この附属書の故障保護手段の要素(間接接触保護)を,保護手段の一部として適用する可能性がある場
合の監督条件を410.3.6に示す。
C.1 非導電性場所
注記 この保護手段の目的は,充電部の基礎絶縁が故障した場合に,異なる電位となるおそれのある部
分に同時に触れることを防止することにある。
C.1.1 全ての低圧電気設備は,附属書Aに規定する基本保護に関する保護手段の要素の一つに適合しな
ければならない。
C.1.2 露出導電性部分は,充電部の基礎絶縁が故障したときに異なる電位となるおそれのある場合は,次
のいずれかの部分に通常の環境の下で人が同時に触れないように配置しなければならない。
− 二つの露出導電性部分
− 一つの露出導電性部分と全ての系統外導電性部分
C.1.3 非導電性場所においては,保護導体があってはならない。
C.1.4 非導電性の場所に絶縁性の床及び壁があり,次の措置の一つ以上を適用する場合は,C.1.2に適合
している。
a) 露出導電性部分間の離隔のほか,露出導電性部分と系統外導電性部分との間の適切な離隔
二つの部分間の距離が2.5 m以上である場合は,適切な離隔と考えてよい。また,アームズリーチ
の範囲外では,この距離を1.25 mに減らしてもよい。
b) 露出導電性部分と系統外導電性部分との間に有効なオブスタクルの挿入
オブスタクルによって距離がa) に示す値を超える場合は,このオブスタクルは十分に有効である。
このオブスタクルは,大地又は露出導電性部分に接続してはならない。また,オブスタクルは,でき
る限り絶縁材料でなければならない。
c) 系統外導電性部分の絶縁又は絶縁処理
絶縁は,十分な機械的強度をもち,2 000 V以上の試験電圧に耐えるものでなければならない。漏れ
電流は,通常の使用条件で1 mA以下でなければならない。
C.1.5 絶縁性の床及び壁の抵抗値は,JIS C 60364-6に規定する条件の下で,各測定点において次のいず
れかの値以上でなければならない。
− 設備の公称電圧が500 V以下の場合には,50 kΩ
− 設備の公称電圧が500 Vを超える場合には,100 kΩ
いずれの点でも抵抗が規定値未満である場合には,その床及び壁は感電保護目的に対しては系統外導電
性部分とみなす。

――――― [JIS C 60364 pdf 25] ―――――

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JIS C 60364-4-41:2022の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60364-4-41:2005(IDT)
  • IEC 60364-4-41:2005/AMENDMENT 1:2017(IDT)

JIS C 60364-4-41:2022の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 60364-4-41:2022の関連規格と引用規格一覧