この規格ページの目次
- 413 保護手段 : 電気的分離
- 413.1 一般事項
- 413.2 基本保護に対する要求事項
- 413.3 故障保護に対する要求事項
- 414 保護手段 : SELV及びPELVによる特別低電圧
- 414.1 一般事項
- 414.2 基本保護及び故障保護に対する要求事項
- 414.3 SELV及びPELV用電源
- 414.4 SELV及びPELV回路に対する要求事項
- 415 追加保護
- 415.1 追加保護 : RCD
- 415.2 追加保護 : 補助保護等電位ボンディング
- JIS C 60364-4-41:2022の引用国際規格 ISO 一覧
- JIS C 60364-4-41:2022の国際規格 ICS 分類一覧
- JIS C 60364-4-41:2022の関連規格と引用規格一覧
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C 60364-4-41 : 2022 (IEC 60364-4-41 : 2005+AMD1 : 2017)
413 保護手段 : 電気的分離
413.1 一般事項
413.1.1 電気的分離は,次の保護手段である。
− 基本保護は,附属書Aに従った充電部の基礎絶縁又はバリア及びエンクロージャによって行う。
− 故障保護は,他の回路及び大地から分離した回路の単純分離によって行う。
413.1.2 413.1.3で認める場合を除いて,この保護手段は,単純分離をもつ,一つの非接地電源から一つの
電気使用機器への電力供給に限らなければならない。
注記 この保護手段を用いる場合は,製品規格に従った基礎絶縁への適合を確実にすることが特に重要
である。
413.1.3 二つ以上の電気使用機器が,単純分離をもつ非接地電源から供給される場合は,C.3の要求事項
に適合しなければならない。
413.2 基本保護に対する要求事項
全ての低圧電気設備は,附属書Aの基本保護手段の要素の一つ又は箇条412の保護手段に適合しなけれ
ばならない。
413.3 故障保護に対する要求事項
413.3.1 電気的分離による保護は,413.3.2413.3.6の規定を満足しなければならない。
413.3.2 分離回路へは,少なくとも単純分離をもつ電源から供給しなければならず,かつ,分離回路の電
圧は,500 V以下でなければならない。
413.3.3 分離回路の充電部を,他の回路又は大地若しくは保護導体に接続してはならない。
電気的分離を確立するために,回路間に基礎絶縁を確立するように設置しなければならない。
413.3.4 可とうケーブル及びコードは,機械的損傷を受けやすい部分の配線は全て目視できなければなら
ない。
413.3.5 分離回路には,別個の配線設備を用いることが望ましい。分離回路及び他の回路が,同じ配線設
備内にあった場合,金属製外被のない多心ケーブル又は絶縁性電線管,絶縁性ダクト若しくは絶縁性トラ
ンキングに収めた絶縁電線を,次の条件で使用しなければならない。
− 定格電圧を,最高の公称電圧以上とする。
− 各回路を,過電流保護する。
413.3.6 分離回路の露出導電性部分は,他の回路の保護導体若しくは露出導電性部分又は大地のいずれに
も接続してはならない。
注記 分離回路の露出導電性部分が,故意に又は偶然に他の回路の露出導電性部分に接触するおそれの
ある場合には,感電保護は,電気的分離による保護だけではなく,他の回路の露出導電性部分に
施した保護手段の要素にも依存する。
――――― [JIS C 60364 pdf 16] ―――――
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C 60364-4-41 : 2022 (IEC 60364-4-41 : 2005+AMD1 : 2017)
414 保護手段 : SELV及びPELVによる特別低電圧
414.1 一般事項
414.1.1 特別低電圧による保護は,次の二つの異なる特別低電圧システムのいずれかによる。
− SELV
− PELV
この保護手段は,次のことを要求する。
− JIS C 0366に規定する電圧バンドIの交流50 V又は直流120 Vの上限以下のSELV又はPELVシステ
ムでの電圧制限
− SELV及びPELV回路以外の他の全ての回路からのSELV又はPELVシステムの保護分離,及びSELV
又はPELVシステムと他のSELV又はPELVシステムとの間の基礎絶縁
− SELVシステムだけに関しては,SELVシステムと大地との間の基礎絶縁
414.1.2 箇条414に従ったSELV又はPELVの使用は,全ての状況での保護手段とみなす。
注記 JIS C 0364-7規格群では,特別低電圧の値を交流50 V又は直流120 Vより低い値に制限している
場合もある。
414.2 基本保護及び故障保護に対する要求事項
基本保護及び故障保護は,次の全てを満足する場合に適合しているとみなす。
− 公称電圧が,電圧バンドIの上限以下の場合
− 電力を,414.3に規定する電源の一つから供給する場合
− 414.4の条件を満たす場合
系統が,その系統と特別低電圧系統との間に少なくとも単純分離されているが,414.3のSELV及びPELV
用電源に対する要求事項に適合しない機器によってより高い電圧系統から供給される場合は,FELVに関
する要求事項を適用してもよい,411.7参照。
半導体コンバータ(IEC 60146-2参照)で発生する特別低電圧回路用の直流電圧は,整流スタックに供給
する内部交流電圧回路を必要とする。この内部交流電圧は,物理的理由によって直流電圧を超える。この
内部交流回路は,この箇条の解釈においてはより高い電圧回路とはみなさない。内部回路と外部のより高
い電圧回路との間には,保護分離が必要である。
蓄電池をもつ直流系統では,蓄電池の充電及び浮動電圧は,蓄電池の種類によって蓄電池の公称電圧を
超える。このことは,この箇条に規定する保護手段に追加するいかなる保護手段の要素も要求しない。充
電電圧は,最大値がIEC TS 61201:2007の表1に示す環境の状況に適合する交流75 V又は直流150 V以下
とすることが望ましい。
注記 (対応国際規格の注記1注記3の内容は規定であるため,点線の下線を施して本文に移動した。)
414.3 SELV及びPELV用電源
414.3.1414.3.5の電源を,SELV及びPELVシステム用に使用してもよい。
――――― [JIS C 60364 pdf 17] ―――――
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C 60364-4-41 : 2022 (IEC 60364-4-41 : 2005+AMD1 : 2017)
414.3.1 JIS C 61558-2-6に適合する安全絶縁変圧器。
414.3.2 414.3.1に規定する安全絶縁変圧器と同等の安全等級をもつ電流源(例えば,巻線が同等の絶縁
をもつ電動発電機)。
414.3.3 電気化学的電源(例えば,蓄電池),又はより高い電圧回路から独立したその他の電源(例えば,
ディーゼル駆動発電機)。
414.3.4 電子装置で,内部故障の場合でも,出力端子の電圧が414.1.1に規定する値を超えないことを保
証する保護手段の要素を用いた適切な規格に適合するもの(D.2参照)。ただし,充電部と接触する場合又
は充電部と露出導電性部分との間の故障の場合に,出力端子の電圧が直ちにそれらの値以下に下がる場合
は,出力端子がより高い電圧になってもよい。
より高い電圧が出力端子に現れる場合,出力端子の電圧を内部抵抗が3 000 Ω以上の電圧計で測定した
ときに414.1.1で規定する限界内の値であれば,この細別箇条に適合するとみなしてもよい。
注記1 この装置の例は,絶縁試験器及び絶縁監視装置を含む。
注記2 (対応国際規格の注記2の内容は規定であるため,点線の下線を施して本文に移動した。)
414.3.5 安全絶縁変圧器又は電動発電機などの低圧で供給する移動形電源は,箇条412に規定する二重絶
縁又は強化絶縁の使用による保護に対する要求事項に従って,選定又は施工しなければならない。
414.4 SELV及びPELV回路に対する要求事項
414.4.1 SELV及びPELV回路は,次の特性をもたなければならない。
− 充電部と他のSELV又はPELV回路との間の基礎絶縁。
− 二重絶縁若しくは強化絶縁による,又は基礎絶縁と存在する最も高い電圧に対する保護遮蔽による
SELV又はPELVではない回路の充電部からの保護分離。
SELV回路は,充電部と大地との間に基礎絶縁をもたなければならない。
PELV回路及び/又はPELV回路によって電力供給される機器の露出導電性部分は,接地してもよい。
特に保護分離は,継電器,接触子,補助スイッチなどの電気機器の充電部とより高い電圧回路の全ての
部分又はFELV回路との間に必要である。
PELV回路の接地は,大地又は電源内の接地した保護導体への接続によって行ってもよい。
注記 (対応国際規格の注記1及び注記2の内容は規定であるため,点線の下線を施して本文に移動し
た。)
414.4.2 少なくとも基礎絶縁をもつ他の回路の充電部とSELV及びPELV回路の配線設備との保護分離
は,次の対策の一つによって行ってもよい。
− SELV及びPELVの各回路導体は,基礎絶縁に加え,非金属外装又は絶縁エンクロージャを施す。
− SELV及びPELVの各回路導体は,接地した金属外装又は接地した金属遮蔽体によって電圧バンドIよ
り高い電圧の回路導体から分離する。
− 電圧バンドIより高い電圧の回路導体は,SELV及びPELV導体をそこに存在する最も高い電圧に対し
て絶縁する場合は,多心ケーブル又は導体の他のグループに含めてもよい。
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C 60364-4-41 : 2022 (IEC 60364-4-41 : 2005+AMD1 : 2017)
− 他の回路の配線設備が412.2.4.1に適合する。
− 物理的分離。
414.4.3 SELV及びPELVシステムのプラグ及びコンセントは,次の要求事項に適合しなければならない。
− プラグは,他の電圧系統のコンセントに差し込むことが不可能である。
− コンセントには,他の電圧系統のプラグを差し込むことが不可能である。
− SELVシステムのプラグ及びコンセントは,保護導体用接触子がない。
414.4.4 SELV回路の露出導電性部分は,大地へ又は他の回路の保護導体若しくは露出導電性部分へ接続
してはならない。
注記 SELV回路の露出導電性部分が,偶然に又は故意に他の回路の露出導電性部分に接触するおそれ
のある場合には,感電保護は,SELVによる保護だけではなく,他の回路の露出導電性部分に施し
た保護手段の要素にも依存する。
414.4.5 公称電圧が交流25 V若しくは直流60 Vを超える場合又は機器が水に浸っている場合,SELV及
びPELV回路に対する基本保護は,次のいずれかによって施さなければならない。
− A.1に従った絶縁
− A.2に従ったバリア又はエンクロージャ
基本保護は,次のものに対して通常の乾燥状態では一般的に必要ない。
− 公称電圧が,交流25 V又は直流60 V以下の場合のSELV回路
− 公称電圧が,交流25 V又は直流60 V以下で,かつ,露出導電性部分及び/又は充電部を主接地端子
へ保護導体によって接続するPELV回路
他の全ての場合,SELV又はPELVシステムの公称電圧が交流12 V又は直流30 V以下の場合は,基本
保護は必要ない。
415 追加保護
外的影響のある条件の下及びある特殊場所(JIS C 0364-7規格群参照)における,保護手段で追加保護
を規定してもよい。
注記 (対応国際規格の注記の内容は規定であるため,点線の下線を施して本文に移動した。)
415.1 追加保護 : RCD
415.1.1 定格感度電流が30 mA以下のRCDは,基本保護に対する保護手段の要素の故障及び/又は故障
保護に対する保護手段の要素の故障の場合,又は使用者の不注意の場合に交流系統において追加保護用と
して使用してもよい。
415.1.2 この装置の使用は,単独の保護手段としては認められず,箇条411箇条414に規定する保護手
段の一つを適用する必要がある。
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C 60364-4-41 : 2022 (IEC 60364-4-41 : 2005+AMD1 : 2017)
415.2 追加保護 : 補助保護等電位ボンディング
補助保護等電位ボンディングは,故障保護に対する追加として用いる。
補助保護等電位ボンディングの使用は,火災,機器内の熱的ストレスなどに対する保護など,他の理由
のために電源を遮断する必要性を排除するものではない。
注記1 補助保護等電位ボンディングは,設備全体,設備の一部,機器の一つ又は設置場所に関連する。
注記2 追加要求事項が,特殊場所(JIS C 0364-7規格群参照),又は他の理由に関して必要となること
がある。
注記3 (対応国際規格の注記1及び注記2の内容は規定であるため,点線の下線を施して本文に移動
した。)
415.2.1 補助保護等電位ボンディングは,固定形機器の同時に接触可能な全ての露出導電性部分及び構造
体鉄筋コンクリートの主筋がボンディングを実施できる場所を含めた系統外導電性部分を含めなければな
らない。等電位ボンディングシステムは,コンセントを含む全ての機器の保護導体へ接続しなければなら
ない。
415.2.2 同時に接触可能な露出導電性部分と系統外導電性部分との間の抵抗値Rが,次の条件を満足し
なければならない。
50V
交流系統で, R≦
Ia
120V
直流系統で, R≦
Ia
ここで, Ia : 保護器の動作電流(A)
− RCDに関しては,IΔn
− 過電流保護器に関しては,5秒で動作する電流
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JIS C 60364-4-41:2022の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60364-4-41:2005(IDT)
- IEC 60364-4-41:2005/AMENDMENT 1:2017(IDT)
JIS C 60364-4-41:2022の国際規格 ICS 分類一覧
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.260 : 電気衝撃に対する防御.活線作業
JIS C 60364-4-41:2022の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC0366:1997
- 建築電気設備の電圧バンド
- JISC60364-5-52:2006
- 建築電気設備―第5-52部:電気機器の選定及び施工―配線設備
- JISC60364-5-54:2006
- 建築電気設備―第5-54部:電気機器の選定及び施工―接地設備,保護導体及び保護ボンディング導体
- JISC60364-6:2010
- 低圧電気設備―第6部:検証
- JISC61558-2-6:2012
- 入力電圧1 100V以下の変圧器,リアクトル,電源装置及びこれに類する装置の安全性―第2-6部:安全絶縁変圧器及び安全絶縁変圧器を組み込んだ電源装置の個別要求事項及び試験