JIS C 60695-1-10:2020 火災危険性試験―電気・電子―第1-10部:電気・電子製品の火災危険性評価指針―一般指針 | ページ 3

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C 60695-1-10 : 2020 (IEC 60695-1-10 : 2016)

5.5 火災の危険性評価

  該当する電気·電子製品に関連する重要な火災シナリオを決定する目的で,次のa)及びb)の事項を明ら
かにするために,火災の危険性評価の手法を適用する。
a) 重要な火災シナリオに関連する製品の燃焼特性
b) 適切な試験方法及び性能要件
電気·電子製品の完全な火災の危険性評価は,一つ以上の火災シナリオを含むことがある。その場合,
評価手順には幾つかの試験及び複数の火災シナリオに基づいた性能基準を含むこととなる。
ある火災シナリオについて,火災の危険性評価を行う手順は,IEC 60695-1-11による。

6 火災試験の種類

6.1 一般事項

  電気·電子製品の火災危険性の評価は,試料の最大寸法によって,小規模火災試験(3.15参照),中間規
模火災試験(3.8参照),大規模火災試験(3.9参照)又は実規模火災試験(3.13参照)に基づいて実施する。
電気·電子製品に適用する全ての種類の火災危険性試験は,二つの基本的なグループ,すなわち,定性
的火災試験(3.10参照)と定量的火災試験(3.11参照)とに分類される。

6.2 火災試験の定量的及び定性的なグループ

6.2.1 定量的火災試験
定量的火災試験の評価基準は,次による。
a) 定量的火災試験は,電気·電子製品の使用環境,すなわち,想定している実際の通常使用状態及び想
定できる異常使用状態を考慮に入れる。その理由は,一つの環境の下で火災危険性をもたらす火災条
件は,異なった環境下では必ずしも同じ火災危険性を生じないからである。
b) 定量的火災試験は,その試験結果と火災放出物の有害な影響とを定量的に関連付ける可能性をもつ。
すなわち,定量的火災試験は,実際の通常使用状態における人及び/又は財産に対する,火災で発生
した熱及び気体の有害な影響を示すことが可能である。この相関関係は,火災安全性とは明確な関係
がない,人工的に作り出された,時にはゆが(歪)められた性能指標が用いられることを排除する。
c) 定量的火災試験の結果は,的確に定義した用語及び合理的な科学単位を用いて表現する。これによっ
て,電気·電子製品の火災への総合的な効果が定量的に評価でき,他の製品との比較が可能となる。
電気·電子製品のための火災試験を開発又は変更する場合には,なるべく定量的火災試験とすることが
望ましい。可能な場合には,定量的火災試験を採用することを奨励する。また,実使用状態での危険性を
反映した具体的な測定を行うよう留意することが望ましい。
6.2.2 定性的火災試験
定性的火災試験は,試験結果を不連続な尺度で表現し,合否判定試験及び製品の特性をある順位で付番
することによって分類する。火災リスクを定量化することに適したデータは,定性的火災試験からは得ら
れない。定性的火災試験の試験条件は,関係する火災シナリオとの関連付けができないため,その試験結
果は,その製品の実際規模の火災特性と関係付けることはできない。ただし,定性的火災試験は,火災リ

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スクに関する製品の分類ができること,又は規格化した火災試験の手順に従って試験した結果,明確な合
否判定が得られるため,材料の予備選定又は特定の最終製品試験には有用である。ある特定条件の下では,
定性的火災試験の結果は,電気·電子製品の火災危険性評価において,間接的に用いることが可能である。

6.3 火災試験の種類

6.3.1 火災模擬試験
火災模擬試験(実規模火災試験ともいう。3.13参照)は,電気·電子製品の火に対する反応を試験し,
実際に電気·電子製品の使用を可能な限り代表して行うものである。電気·電子製品の実際の使用条件(想
定内の異常使用,機能不全又は故障を含む。)は,可能な限りそのままの状態で模擬する。試験方法は,実
際の火災リスクに関連して設計されており,その試験は,製品を使用することによって生じる火災危険性
を適切に評価する。試験から得た所見は,電気·電子製品の設計に変更がある場合,又は製品の使用条件
が模擬試験とは異なる場合は,有効でない可能性がある。
6.3.2 耐火性試験
耐火性試験は,製品又は部品を規定する時間,特定の炎にさら(曝)した状態でその機能が保持される
かの性能を評価するものである。この試験では,熱,火又は試験炎暴露下における製品又は組立品の動作
及び特性のデータを提供する。
耐火性試験から得た所見を実際の火災における特性と関連付けるためには,試験条件と実際の火災の状
態とを比較すること,及び管理不能な可変因子,例えば,電気·電子製品を設置する環境について,十分
な配慮が必要である。
注記1 ISOは,建築物構造の試験のために,多くの耐火性試験を開発しており,ISO 834規格群に規
定されている。
注記2 IECの耐火性試験の例として,回路の保全性試験として知られている電気ケーブル試験は,IEC
60331規格群に規定されている。
6.3.3 火災反応性試験
火災反応性試験は,標準試験片を規定の条件下で試験し,多くの場合は燃焼挙動に関係した特性のデー
タ,及び比較評価することを目的としたデータを得るために用いる。火災反応性試験は,着火性,燃焼継
続性,延焼特性,発熱特性,発煙特性,有害ガス生成特性及び腐食ガス生成特性を測定する。
6.3.4 予備選択火災試験
予備選択火災試験は,最終製品の製造において,候補となる材料,部品及び半完成品を評価し,選択す
る段階において用いる試験である。JIS C 60695-1-30は,予備選択試験の手順についての指針を示してい
る。
6.3.5 基本性能試験
基本性能試験は,材料の特定の物理的特性又は化学的特性の情報を,独立して確実に得るための試験で
ある。火災危険性評価に関連する基本性能としては,例えば,熱伝導率,熱容量,密度,融点,沸点,気
化熱及び燃焼熱がある。

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7 定性的火災試験の適切な使い方

  既存の定性的火災試験を維持することが望ましく,かつ,新たな定性的火災試験の開発が容認される状
況にあることが認識されている。
次のいずれかの場合,定性的火災試験を維持及び/又は開発してもよい。
a) 法的拘束力のある規則の中で,当該試験を引用又は基礎として用いている。
b) 当該試験が,明確な火災安全の利益を産み出している。
c) 当該試験が,品質管理又は製品開発を単に意図している(この目的は,規格の本体に規定する必要が
ある。)。
d) 当該試験を,予備選択試験として用いている。

8 要求事項及び試験仕様の作成

  電気·電子製品の火災危険性試験に関する要求事項及び試験仕様書を新たに作成するときは,次に示す
手順に従うことが望ましい。
選択された試験方法は,問題となっている火災シナリオに関係のあるものでなければならない。
a) 同様な用途のために作成した既存の推奨試験方法を調べ,その適用可能性及び制限を検討する。
b) 火災シナリオに関する背景情報をできるだけ多く集める。
c) 既存の試験方法の適用範囲及び特性を考慮する。
d) 既存の試験方法が適当であると思われる場合には,次の特性に対するその試験方法の規定を調べる。
− 定量的火災試験を用いることが望ましい。試験条件は,火災シナリオに関連していて,測定パラメ
ータは,火災安全工学に基づく製品を設計する目的のために適切であることが望ましい。
− 定性的火災試験は,箇条7に規定する必要条件を満足しなければならない。
− 試験方法の関連特性として,感度(例えば,検出レベル),試験室間再現性及び併行精度を確認する
ことが望ましい。
e) 試験手順について調査し,目的を満たす性能を調べる。
f) 試験方法の規格を,その適用範囲,制限,条件及び試験結果の使い方を含めて立案する。規格の中に,
可能な限り推奨試験方法の手順を参照として記載する。

9 一般的な発火源

  幾つかの一般的な電気的及び非電気的発火源の一覧を,附属書Aに示す。

10 火災危険性試験の参照文書

  JIS C 60695規格群,IEC 60695規格群及び関連する規格類の一覧を,附属書Bに示す。

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附属書A
(参考)
発火源の出力
A.1 一般
火災は,火花が一回発生したときと同じくらい小さい火災源から発生することがある。ただし,電気·
電子製品の分野では,材料及び設計を適切に選択することによって,電力消費が15 W以下である場合に
は発火が起こりにくいと想定している。
例えば,JIS C 6950-1では,情報技術機器に用いられる部品は,15 W以下の電源を供給される部品で,
適切な材料の上に搭載する場合には防火用エンクロージャを必要とせず,また,JIS C 6065では,15 Wを
超える部分は,適切なエンクロージャによって保護されている場合を除き,プリント配線板はJIS C 60695-
11-10によるカテゴリV-1以上とするよう規定している。
注記 低電圧電気製品における発火及び火災の発生確率に関連する様々なレベルの電力及びエネルギー
に関するより詳しい評価は,IEC TS 60695-1-14に記載されている。
A.2 幾つかの一般的な電気的及び非電気的発火源
表A.1には,幾つかの一般的な電気的及び非電気的発火源を列挙し,それらの電力及びエネルギーに関
する情報を提供する。
表A.1−発火源の例
発火源 規格番号 時間 電力 エネルギー
秒a) W kJ
ニードルフレーム JIS C 60695-11-5 5120 b) 3850 c) 0.196.0
30
50 W炎 JIS C 60695-11-10 50 d) 1.5
(試験方法A)
マッチの炎 − − 約40 e) −
ろうそくの炎 − − 約90 f) −
550 ℃のグローワイヤ JIS C 60695-2-10 30 約55 約1.65
750 ℃のグローワイヤ JIS C 60695-2-10 30 約120 約3.6
960 ℃のグローワイヤ JIS C 60695-2-10 30 約240 約7.2
25
500 W炎 JIS C 60695-11-20 500 d) 12.5
(試験手順−短冊試験片)
1 kW炎 JIS C 3665-1-2 60(D≦25 mmのケーブル) 1 000 d) 30
くしゃくしゃ紙1枚 − 152 2 237 340
古紙籠 − 360 9 444 3 400
注a) 火災試験において,持続時間は,発火源を試験片にかざしている時間を指す。
注b) 望ましい時間は,5秒,10秒,20秒,30秒,60秒及び120秒間である。
注c) 炎の出力は燃料によって様々である。ブタンでは49.75 W及び37.8 Wであり,プロパンでは40.4 Wであ
る。
注d) 公称値
注e) 典型的な家庭用マッチ(例えば,2 mm×2 mm×45 mm)は,約0.08 gの質量をもち,25秒35秒間で水平
に燃焼する。マッチ棒は,約15 kJ/gの燃焼熱をもつ。これは,約40 Wの平均エネルギー出力に等しい。
注f) 典型的な家庭用ろうそくは,38 gの質量をもち,5時間で燃焼する(製造業者のデータ)。ろうそくのろう
の燃焼熱は,約42 kJ/gである。これは,約90 Wの平均エネルギー出力に等しい。

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A.3 JIS C 62368-1の電力源分類
JIS C 62368-1では,オーディオ·ビデオ,情報及び通信技術機器を用いる人のためのセーフガードが規
定されている。
電気的要因による火災に関して,次の三つのクラスの電力源が定義されている。
− PS1−電力源が3秒後に15 W以下となる回路
− PS2−PS1の制限を超えるが,5秒後に100 W以下となる回路
− PS3−PS2の制限を超える回路
注記 対応国際規格では“PS1−電力源が最初の3秒間に500 Wを超えず,3秒間後に15 W以下と
なる回路”と規定されているが,これはIEC 62368-1の第1版の内容であり,ここでは,2014
年に発行された第2版に対応したJIS C 62368-1:2018によって記載した。
これらの分類に基づいて,次の要件が示される。
− PS1−発火しにくい。
− PS2−発火はある条件下で起こり得るが,火災の成長と広がりは限られている。
− PS3−発火が起こることがあり,燃料が利用可能な場所で火災が広がる。

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JIS C 60695-1-10:2020の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60695-1-10:2016(IDT)

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