JIS C 60695-2-11:2016 耐火性試験―電気・電子―第2-11部:グローワイヤ/ホットワイヤ試験方法―最終製品に対するグローワイヤ燃焼性指数(GWEPT) | ページ 2

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C 60695-2-11 : 2016 (IEC 60695-2-11 : 2014)
試験中,試験片を含んでいる製品のその他の部分が,グローワイヤに起因しない熱によって着火し,試
験片の熱的条件に影響を及ぼす場合には,その試験は無効とする。
小部品は熱損失を避けるように,かつ,グローワイヤの貫通に耐えられるように,効果的に保持するこ
とができない(JIS C 60695-2-10参照)ため,最終製品のグローワイヤ燃焼試験は,小部品の試験には適
用しない。
次のいずれかの部品は,小部品とみなす(図1参照)。
a) 試験対象の全ての面が,直径15 mmの円内に完全に収まる部品
b) 試験対象の面の一部の寸法が15 mmよりも大きいが,その面に直径8 mmの円が完全に収まらない部

表面の確認に当たっては,表面の小さな突起,並びに2 mm以下の穴及びへこみは無視してもよい。
試験中の部品
試験対象の全ての 試験対象の面の一部が直径15 mm 試験対象の面の一部が15 mmより
面が,直径15 mm の円よりも大きいが,その面に直 も大きいが,その面に直径8 mm
の円に収まる場 径8 mmの円が完全に収まらない の円が完全に収まる場合 : 適用対
合 : 適用対象外 場合 : 適用対象外 象
図1−小部品

5 試験装置

  試験装置は,JIS C 60695-2-10に規定する装置とする。
例えば,試験片からの燃焼又は赤熱している滴下小片による火の広がりの可能性を評価するため,JIS C

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60695-2-10で規定する指定の敷物,又は通常試験片の周囲若しくは下方にある材料若しくは部品を,試験
片の下方に置く。周囲の材料又は部品を代表する指定の敷物と試験片との距離は,最終用途で発生する距
離と等しくする。周囲の材料又は距離が不明な部品が試験片の場合は,JIS C 60695-2-10に規定する,木
板と包装用テッシュとからなる指定の敷物を,グローワイヤを接触させる箇所から200 mm±5 mm下方の
位置に置く。
試験片が自立形の完成品の場合は,JIS C 60695-2-10に規定する指定の敷物の上方に,通常使用の状態
で置く。敷物は,完成品の底面の投影面のどちらの方向にも100 mm以上大きいものとする。
試験片が壁取付形の完成品の場合は,JIS C 60695-2-10に規定する指定の敷物の上方の200 mm±5 mm
の位置に,通常使用の状態で置く。

6 温度測定システムの確認

  温度測定システムの確認は,JIS C 60695-2-10に規定する方法で実施する。

7 状態調節

7.1 試験片の状態調節

  関連する製品規格に規定のない場合,試験片は,温度15 ℃35 ℃,相対湿度45 %75 %の雰囲気の
中で24時間状態調節する。

7.2 指定の敷物の状態調節

  木板に包装用テッシュを巻いた指定の敷物を用いる場合,その敷物の状態調節はJIS C 60695-2-10の規
定による。
試験片の周囲若しくは下方にある材料又は部品を用いる場合,その材料又は部品は,試験片と同じ方法
で状態調節する(7.1参照)。

7.3 試験条件

  試験は,温度15 ℃35 ℃,相対湿度75 %以下の試験室雰囲気の中で実施する。試験は7.1に規定する
条件から取り出した後,30分間以内に完了する。

8 試験手順

8.1 一般事項

  JIS C 60695-2-10に規定する一般試験手順に追加して,その他の規定がない場合,グローワイヤの先端
を,試験片表面の通常使用時に熱的負荷を受ける部分に押し付ける。グローワイヤは,できる限り水平に
保持する。
同一試験片の2か所以上で続けて試験する場合,後に実施する試験で,先に実施した試験による損傷が
試験結果に影響を及ぼさないようにする。
完成品の通常使用時に熱的負荷を受ける箇所が詳細に規定されていない場合,最も薄い箇所であって,
可能な限り,試験片の上端から15 mm以上の下方の部分にグローワイヤの先端を押し付ける。
試験片を試験装置に締め付けて保持する場合には,試験中に試験片に過剰な物理的応力がかからないよ
うにする。

8.2 試験温度

  グローワイヤは,関連する製品規格で規定する試験温度まで熱する。この温度は,表1の中の温度を選
択することが望ましい。

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表1−試験温度
単位 ℃
試験温度 許容差
550 ±10
600 ±10
650 ±10
700 ±10
750 ±10
800 ±15
850 ±15
900 ±15
960 ±15
関連する製品規格で試験温度を選択する場合には,図A.1に示す,グローワイヤ燃焼性指数(GWEPT)
の推奨温度を考慮する。

8.3 試験片の数量

  関連する製品規格に規定がない場合は,試験は1個の試験片で実施する。

9 観察及び測定

  グローワイヤを押し付けている間の時間tA(30秒間±1秒間),及びその後の30秒間に,試験片,試験
片の周囲の部位及び試験片の下方に置いた指定の敷物を観察し,次の事項を記録する。
a) 着火の有無。着火があった場合には,グローワイヤ先端を押し付けてから,試験片又は試験片の下方
に置いた指定の敷物が着火するまでの時間ti(最小単位0.5秒)。
b) グローワイヤ先端を押し付けてから,押し付けている間又は引き離した後,全ての火炎が消えるまで
の時間tE(最小単位0.5秒)。
c) 燃焼している材料の大部分が,グローワイヤに付着して取り去られることによる試験片の消火の有無。
d) 試験片の完全燃焼による消失の有無。
e) 試験片の下方に置いた指定の敷物の着火の有無。

10 試験結果の評価

  試験温度がT ℃において,次のいずれかに該当する場合,試験片は,温度T ℃のグローワイヤ燃焼性
指数(GWEPT)をもっているとみなす。
a) 着火がない。
b) 着火があった場合,次の条件の全てが当てはまる。
1) 試験片の火炎又は赤熱燃焼が,グローワイヤを除去した後30秒間以内に消火する[すなわち,tE≦
tA+30(s)]。
2) 試験片の下方に置いた指定の敷物が,着火しない。

11 試験報告書

  試験報告書には,次の事項を記載する。
a) この規格の規格番号(JIS C 60695-2-11)

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C 60695-2-11 : 2016 (IEC 60695-2-11 : 2014)
b) 試験片のタイプ及び製造業者の説明(箇条4参照)
c) 試験片の作成方法の説明(箇条4参照)
d) 試験片の状態調節(箇条7参照)
e) 試験した試験片の数(8.3参照)
f) 試験する表面及びグローワイヤを押し付ける箇所(8.1参照)
g) 滴下小片による影響を評価するために用いる指定の敷物とグローワイヤを押し付けた点との垂直距離
(箇条5参照)
h) 試験温度(8.2参照)
i) 箇条9に規定する全ての観察及び測定結果
j) 箇条10で決定したGWEPT。記載方法は,次による。
例えば,850 ℃で試験した試験片の場合,“GWEPT : 850”。

12 関連する製品規格に規定する情報

  関連する製品規格でこの規格を引用する場合は,次の事項を規定する。
a) 試験片のタイプ及び説明(箇条4参照)
b) 試験片の作成方法(箇条4参照)
c) 試験片の状態調節(箇条7参照)
d) 試験片の数(8.3参照)
e) 試験する表面及びグローワイヤを押し付ける箇所(8.1参照)
f) 滴下小片による影響を評価するために使用する指定の敷物(箇条5参照)
g) “GWEPT”の語句及び試験温度(8.2及び箇条10参照)。例えば,“JIS C 60695-2-11による850 ℃の
GWEPT”。
h) 同じ試験片で試験する製品の部分又は領域(8.1参照)
i) 規定する基準が安全要求事項の適合性を判定するのに適切であるか,又は他の基準を用いる場合は代
替の基準(箇条9参照)
j) 残存する危険をカバーするために,周囲部分への追加試験を考慮する必要があるかどうか。考慮する
必要がある場合,試験方法及び要求事項を規定する。
注記 周囲部分への追加試験に関するガイダンスは,IEC 60695-1-11を参照する。

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附属書A
(参考)
GWEPTの推奨温度
GWEPTの推奨温度の設定は,図A.1による。
いいえ いいえ 着火には いいえ
開始 小部品 無影響量
不十分なエネルギー
に該当? に該当?
(注記2)
はい はい はい
GWEPT GWEPT
試験不可(4.4) 試験不要
いいえ 導電部分を はい いいえ 導電部分に いいえ
据付機器?
保持する箇所? 接触する又は近接する?
(注記3)
(注記2)
はい はい
火災危険性
評価(注記1)
人の注意の はい いいえ
行き届く機器? I>0.5 A?
GWEPT はい
いいえ
960 ℃ GWEPT
750 ℃
GWEPT
注意の いいえ
850 ℃ GWEPT
行き届かない
I>0.2 A? 650 ℃
GWEPT
750 ℃ はい GWEPT
GWEPT 550 ℃
GWEPT
650 ℃ 750 ℃
850 ℃
I : 定格電流
A : アンペア
GWEPT : 最終製品のグローワイヤ燃焼性指数
注記1 GWEPTの温度は,関連する製品規格で確認した火災危険性評価に従って,適切なものを指定することができ
る。
注記2 “着火には不十分なエネルギー”及び“導電部分に近接する”の具体的な規定は,危険性の厳しさなど,幾
つかの要因に依存するため,関連する製品規格の中で規定することが望ましい。
注記3 据付機器の例には,コンセント,回路保護装置,低電流開閉装置などを含む。
注記4 フローチャートの右側の据付機器でないものは,JIS C 9335-1の適用範囲の製品のうち,限定する製品に
GWEPTを適用している。
図A.1−GWEPTの推奨温度

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JIS C 60695-2-11:2016の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60695-2-11:2014(IDT)

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