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C 61000-4-4 : 2015 (IEC 61000-4-4 : 2012)
3.1.17
立上がり時間(rise time)
パルスの瞬時値が,最初にピーク値の10 %に達してから,90 %に到達するまでの時間間隔。
(JIS C 60050-161:1997-161-02-05 変更)
3.1.18
トランジェント(transient)
対象とする時間スケールに比べて短い時間間隔で,二つの連続する定常状態の間を変化する現象又は量
に関係するもの,又はその呼称。
(JIS C 60050-161:1997-161-02-01)
3.1.19
単線印加モード(結合)[unsymmetric mode (coupling)]
RGPに対する,一つのラインのコモンモード結合。
注記 用語“単線印加モード”と“unsymmetric mode”とは,用語として対応しないが,対応国際規
格の用語を引用し,全線印加モードに対応する用語とした。
3.1.19A
全線印加モード(結合)[symmetric mode(coupling)]
RGPに対する,全てのラインのコモンモード結合。
3.1.20
検証(verification)
試験装置システム(例えば,試験発生器と相互接続しているケーブル)を確認し,この試験システムが
箇条6に規定する仕様の範囲内で機能していることを確認する一連の作業。
注記1 検証の方法は,校正の方法と異なってもよい。
注記2 この規格でのこの定義は,IEC 60050-300:2001-311-01-13で規定する定義と異なっている。
3.2 略語
AE 補助装置(Auxiliary Equipment)
CDN 結合/減結合回路網(Coupling/Decoupling Network)
EFT/B 電気的ファストトランジェント/バースト(Electrical Fast Transient/Burst)
EMC 電磁両立性(ElectroMagnetic Compatibility)
EUT 供試装置(Equipment Under Test)
MU 測定不確かさ(Measurement Uncertainty)
PE 保護接地(Protective Earth)
4 一般
EFT/B試験は,電気・電子装置の電源,制御,信号及び接地ポートに結合した多くのファストトランジ
ェントからなるバーストによる試験である。このEFTは,高振幅,短い立上がり時間,高繰返し率及び低
エネルギーの過渡現象を特徴とする。
試験は,スイッチングトランジェント(誘導負荷の遮断,リレー接点のチャタリングなど)から生じる
ような様々なトランジェント妨害にさらされた場合の電気・電子装置のイミュニティを実証することを意
図する。
――――― [JIS C 61000-4-4 pdf 6] ―――――
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C 61000-4-4 : 2015 (IEC 61000-4-4 : 2012)
5 試験レベル
装置の電源,制御,信号及び接地ポートに適用する電気的ファストトランジェントの推奨試験レベルは,
表1による。
表1−試験レベル
開回路出力試験電圧及びパルスの繰返し周波数
電源ポート・接地ポート(PE) 信号・制御ポート
レベル
ピーク電圧 繰返し周波数 ピーク電圧 繰返し周波数
kV kHz kV kHz
1 0.5 5又は100 0.25 5又は100
2 1 5又は100 0.5 5又は100
3 2 5又は100 1 5又は100
4 4 5又は100 2 5又は100
Xa) 特殊 特殊 特殊 特殊
注記1 従来から繰返し周波数は5 kHzを用いているが,100 kHzの方がより現実に近い。製品規格原案作成委員会
は,特定の製品又は製品のタイプに,いずれの繰返し周波数が適切かを判断することが望ましい。
注記2 ある製品に対して電源ポートと信号ポートとの間に明確な区別がない場合は,製品規格原案作成委員会に
その判断を委ねる。
注a) “X”は,任意のレベルで,ほかのレベルより高い若しくは低い,又は間とすることができる。レベルは,個
別装置の仕様書に明記しなければならない。
レベルの選択については,附属書Bを参照。
6 試験装置
6.1 概要
意図した波形がEUTに伝達されるように,EFT/B発生器,CDN及び試験セットアップを構成するその
他のものの正しい動作は,6.2.3,6.3.2及び6.4.2の校正手順によって確認する。
6.2 EFT/B発生器
6.2.1 一般
EFT/B発生器の簡略化した回路図を図1に示す。回路素子CC,RS,Rm及びCdは,開回路条件及び50 Ω
の抵抗終端において,発生器がファストトランジェントを発生するように選択する。発生器の実効出力イ
ンピーダンスは,50 Ωとする。
――――― [JIS C 61000-4-4 pdf 7] ―――――
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C 61000-4-4 : 2015 (IEC 61000-4-4 : 2012)
U 高電圧源
Rc 充電抵抗
Cc エネルギー蓄積コンデンサ
Rs パルス幅形成抵抗
Rm インピーダンス整合抵抗
Cd 直流阻止コンデンサ
S 高電圧スイッチ
注記 要求する波形の立上がり時間は,高電圧スイッチの特性及び構造上の配置による寄生要素(誘導性及び容量性)
によって形成される。
図1−EFT/B発生器の主要素子を示した簡易回路図
6.2.2 EFT/B発生器の特性
EFT/B発生器の特性は,次による。
− 1 000 Ω終端時は,0.24 kV3.8 kVの範囲の電圧を出力する。
− 50 Ω終端時は,0.125 kV2 kVの範囲の電圧を出力する。
発生器は,短絡の状態でも損傷することなく動作しなければならない。
特性 :
− 極性 : 正及び負
− 出力 : 同軸(特性インピーダンス50 Ω)
− 直流阻止コンデンサ : (10±2) F
− 繰返し周波数 : (表2に示した値)±20 %
− 電源周波数との関連 : 非同期
− バースト時間(図2参照) : 5 kHzの場合 (15±3) s
100 kHzの場合 (0.75±0.15) s
− バースト周期(図2参照) : (300±60) s
− パルス波形
・ 50 Ω終端時 立上がり時間tr (5±1.5) s
パルス幅tw (50±15) s
ピーク電圧 (表2に示す値)±10 %
(50 Ω終端時の波形は,図3参照)
・ 1 000 Ω終端時 立上がり時間tr (5±1.5) s
パルス幅tw 50100
15ns
ピーク電圧 表2に示す値±20 %
(表2の注記1を参照)
――――― [JIS C 61000-4-4 pdf 8] ―――――
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C 61000-4-4 : 2015 (IEC 61000-4-4 : 2012)
図2−EFT/Bの標準波形
図3−50 Ω終端での公称パラメータ tr=5 ns及びtw=50 nsの単一パルスの理想的な波形
図3の理想波形 EFT (t)の計算式は,式(1)による。
――――― [JIS C 61000-4-4 pdf 9] ―――――
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C 61000-4-4 : 2015 (IEC 61000-4-4 : 2012)
nEFT
t
t
v1 1
vEFT (t) kv nEFT
e 2
(pdf 一覧ページ番号 )
kEFT t
1
1
ここに, 1
1
nEFT 2 n EFT
kEFT e 2 1
kvは,開放電圧のピーク値(kv = 1は,正規化電圧を表す。)
v1 = 0.92 τ1 = 3.5 ns τ2 = 51 ns nEFT = 1.8
注記 この式は,JIS Z 9290-1:2014 附属書Bの式(B.1)を基にしている。
6.2.3 EFT/B発生器の特性の校正
EFT/B発生器は,この規格の要求性能を満足していることを証明するために校正しなければならない。
校正は,次の手順で行う。
EFT/B発生器の出力は,50 Ω及び1 000 Ωの同軸終端にそれぞれ接続し,電圧を,オシロスコープで観
測する。オシロスコープの周波数特性の−3 dB帯域幅は,400 MHz以上とする。1 000 Ωの終端インピー
ダンスは,複雑なネットワークになることがある。一つのバーストの中でのバースト時間及びバースト周
期,パルスの立上がり時間,パルス幅及び繰返し率を観測する。終端インピーダンス性能は,次による。
なお,抵抗値は,直流で測定する。
− (50±1) Ω
− (1 000±20) Ω
抵抗の挿入損失の許容差は,次による。
− 100 MHz以下の場合,±1 dB
− 100 MHzを超え400 MHz以下の場合,±3 dB
次の要素を測定する。
− ピーク電圧 表2に示す各々の設定電圧において,50 Ω終端を接続した状態で出力電圧[Vp (50 Ω)]
を測定する。測定電圧の許容範囲は,±10 %とする。
同じ発生器の設定状態,設定電圧において,1 000 Ω終端を接続した状態で出力電圧[Vp (1 000 Ω)]
を測定する。測定電圧の許容範囲は,±20 %とする。
− 全ての設定電圧における立上がり時間
− 全ての設定電圧におけるパルス幅
− いずれか一つの設定電圧における1バースト内のパルスの繰返し周波数
− いずれか一つの設定電圧におけるバースト時間
− いずれか一つの設定電圧におけるバースト周期
――――― [JIS C 61000-4-4 pdf 10] ―――――
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JIS C 61000-4-4:2015の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61000-4-4:2012(IDT)
JIS C 61000-4-4:2015の国際規格 ICS 分類一覧
- 33 : 電気通信工学.オーディオ及びビデオ工学 > 33.100 : 電磁両立性(EMC) > 33.100.20 : イミュニティ
JIS C 61000-4-4:2015の関連規格と引用規格一覧
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