JIS C 61191-6:2011 プリント配線板実装―第6部:BGA及びLGAのはんだ接合部のボイド評価基準及び測定方法 | ページ 2

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C 61191-6 : 2011 (IEC 61191-6 : 2010)
表1−ボイドの分類
タイプC タイプD タイプE
はんだボール中のボイド パッケージとはんだボール 電子回路基板とはんだ
との界面のボイド ボールとの界面のボイド
パッケージ側 パッケージ側 パッケージ側
BGAの接合部
電子回路基板側
電子回路基板側 電子回路基板側 電子回路基板側
パッケージ側 パッケージ側 パッケージ側
LGAの接合部
電子回路基板側
電子回路基板側 電子回路基板側
電子回路基板側 電子回路基板側
電子回路基板側

5 測定

5.1 測定装置

  測定装置として,実装済みのBGA又はLGAの垂直上方又は垂直下方からの透視過画像を観測するX線
透視装置を用いる。必要がある場合は,X線CT装置を用いてもよい。
測定装置は,次の性能及び仕様を備えていることが望ましい(測定に用いることができるX線透視装置
の仕様例を,附属書Bに記載する。)。
a) 最大管電圧 120 kV以上
b) 分解能 2 μm
c) 最大幾何倍率 100倍以上
一般に使われているX線透視装置では,面積計算の精度に影響する画像のグレースケール感度は,多種
多様となる。グレースケール感度が低い装置では,球形のボイドの真の外周を検出するには十分な感度が
ないため,はんだ接合部の中のボイドが小さく見える(測定値も小さくなる。)ことがあり,最も小さいボ
イドは,見えなくなることもあることに留意することが望ましい。この規格に用いるX線透視装置は,6
層両面基板で,直径20 μm程度のボイドを検出できる性能を備えていることが望ましい。

5.2 測定環境

  製品規格に規定がない場合には,測定は,あらかじめ測定試料をJIS C 60068-1の5.3[測定及び試験の
ための標準大気条件(標準状態)]に規定する測定及び試験のための標準大気条件(標準状態)1)に適切な
時間保持した後,同条件下で行うことが望ましい。
注1) 標準大気条件 : 温度15 ℃35 ℃,相対湿度25 %75 %,気圧86 kPa106 kPa

5.3 測定の手順

  断面積計算機能を備えたX線透視装置を用いる接合部及びボイドの断面積測定は,次の手順で行うこと
が望ましい(附属書D参照)。測定数が多く,かつ,測定精度が悪くてもよい場合は,その他の手順で行
ってもよい。
a) 測定するはんだ接合部を特定する。多数のはんだ接合部を1画面で同時に観察してもよい。
b) 測定の倍率を決定する。精度のよい測定をするためには,画面に一つのはんだ接合部を撮像すること
が望ましい。例えば,直径500 μmのはんだ接合部を測定する場合は,80倍程度が望ましい。より高

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解像の画像認識システムを使用する場合は,複数のはんだ接合部を一つの画面で撮像してもよい。画
面上のそれぞれのはんだ接合部は,直径で400画素以上あることが望ましい。
c) はんだ接合部を含む被測定物を透過するX線照射強度(例えば,管電圧100 kV)でボイドを検出し,
ボイド部の外形が識別できる画像に,X線照射強度及び画像処理条件を調整する。
d) ボイド部の画像を撮像し,ボイド断面積を算出する(6.1及び6.2参照)。
e) ボイドが複数ある場合には,手順c)及びd)を繰り返す。6.2の規定に従い,小さいボイドの測定は,
省略してもよい。
f) はんだ接合部が識別できるX線照射強度(例えば,管電圧40 kV)ではんだ接合部を検出し,接合部
の外形が識別できる画像にX線照射強度及び画像処理条件を調整する。
g) はんだ接合部の画像を撮像し,はんだ接合部の最大外形の断面積を算出する(6.1参照)。
h) ボイド占有率を算出する(6.1及び6.2参照)。
i) 複数のはんだ接合部を測定する場合は,手順c),d),e),f),g)及びh)を繰り返す。
手順f)で,手順g)の測定値に大きな影響がなければ,手順c)と同様のX線照射強度及び画像処理条件を
適用してもよい。
同一のLSIパッケージの異なる接合部に対して測定を繰り返し行う場合は,あらかじめ設定したX線照
射強度及び画像処理条件を,手順c)及び手順f)に繰り返して適用してもよい。

5.4 測定値の記録

  個別規格に規定がない場合は,評価対象のはんだ接合部ごとに,次の測定結果を記録することが望まし
い。
a) ボイド占有率(Ov)
b) 線透視画像
必要がある場合は,次の補助的なデータを記録してもよい。
c) それぞれのボイドの断面積(Av1,Av2,Av3,···Avn)
ここで,Avnは,n番目のボイドの断面積を示す。
d) はんだ接合部の最大断面積(Asmax)

5.5 測定の留意事項

5.5.1  ボイド検出のX線照射強度
接合部のボイドを検出及び測定する場合は,はんだ接合部を十分透過するX線照射強度(例えば,管電
圧100 kV)を必要とする。X線照射強度が十分でない場合(例えば,管電圧40 kV)には,X線は,ボイ
ドのあるなしにかかわらず,はんだ接合部でほとんどのX線が減衰してしまうため,接合部全体の影が検
出できるだけで,ボイドは検出できない。
5.5.2 外形形状の検出
ボイド及びはんだ接合部の外形周辺部で,はんだ厚さが少しずつ変化するため,X透過画像は,周辺部
にグレー領域(X線が十分透過した白色から透過しない黒色までのX線透過量に応じて連続的に変化する
領域)をもつ画像として撮像する。正確な寸法測定のためには,グレー領域の最外縁を検出して,最大と
なる外形を測定することが重要となる。
5.5.3 測定寸法の検証
この規格の使用者は,測定値と実際のボイドの大きさとの相関関係を検証する手順を用意することが望
ましい。また,寸法が既知のサンプル又は断面観察による検証が望ましい。

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6 ボイド占有率

6.1 ボイド占有率の算出

  図1は,ボイドを含むはんだ接合部の断面図を示す。3.3で規定するボイド占有率Ovは,はんだ接合部
の最大断面積Asmax及びボイドの断面積Avから,式(1)によって算出する。はんだ接合部の最大断面積Asmax
は,投影したはんだ接合部の最大外形形状から算出する。ボイドの断面積Avも,はんだ接合部の位置にか
かわらず投影されたボイドの最大外形形状から算出する。
v
Ov 100 % (1)
smax
ここに, Ov : ボイド占有率
Asmax : はんだ接合部の最大断面積
Av : ボイドの断面積
例 はんだ接合部の外径が300 μm,ボイドの外径が50 μmで,はんだ接合部及びボイドがほぼ円形の
場合には,ボイドの占有率は,式(1)に数値を入れた式(2)によって算出する。
4π (50) 2
v
Ov 100 100 .0028 100 3% (2)
smax 4π (300) 2
はんだ接合部及びボイド占有率の算出例を,表2に示す。
側面図(断面) 上面図(断面A-A')
a) GAはんだ接合部
図1−ボイド占有率

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側面図(断面) 上面図(断面A-A')
b) GAはんだ接合部
図1−ボイド占有率(続き)
表2−はんだ接合部及びボイド占有率の算出例
単位 %
X線透視画像
(はんだ接合部及び
ボイドの断面)
Av
ボイド占有率Ov Asmax 17 6 3
ボイドと接合部との Dv
Ds 41 25 17
最大直径の比率a)
Dv : ボイド外径
Ds : はんだ接合部の外径
注a) ボイド及びはんだ接合部の断面を円で近似した場合

6.2 複数のボイドに対するボイド占有率

  ボイドが複数ある場合は,全てのボイドの断面積を合計して,はんだ接合部のボイド断面積とし,
式(3)によって算出する。
Av Av1 Av 2 Av3 Avn
Ov 100 100 (3)
Asmax Asmax
ここに, Ov : ボイド占有率
Asmax : はんだ接合部の最大断面積
Av : ボイドの断面積
はんだ接合部の最大断面積の0.25 %以上のボイドだけを合算し,それ未満のボイドは,合算の対象から
除外してもよい。また,複数のボイドがX線透過画像で重なるときは,個々のボイドの断面積を合計する
のではなく,透視画像上に投影した複数のボイドの投影面積を断面積としてもよい。

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7 評価基準

7.1 評価対象はんだ接合部

  個別規格に規定がない場合は,全てのはんだ接合部について評価することが望ましい。ただし,熱的又
は機械的に大きなストレスがかかる位置にあるはんだ接合部のボイドは,熱サイクル負荷におけるBGA
はんだ接合部の寿命に影響を与えている。この中で,パッケージ内で熱サイクル負荷が大きい危険性をも
つようなはんだ接合部があらかじめ特定できる場合は,そのはんだ接合部だけを評価し,その他のはんだ
接合部の評価を省略してもよい。

7.2 ボイドによる疲労寿命の劣化

  許容する疲労寿命に対応する評価基準としてボイド占有率を規定する。ボイドによって劣化した接合部
の疲労寿命を,ボイドのない場合の疲労寿命との比で表す。この評価基準は,破壊モードが変わらない限
り,寿命の長さ,負荷条件,はんだ材料及びはんだ接合部の構造にかかわらずはんだ接合部に適用するこ
とができる。
比較的小さなボイドが及ぼす接合部の信頼性への影響は,ボイド位置及びはんだ接合部の故障モード(亀
裂伸展経路)との相互作用に依存する。はんだ接合部中の疲労亀裂経路付近のボイドだけが,はんだ接合
部の信頼性を低下させる。一般に,はんだ接合部の故障モードは変わらないが,中程度以下のボイドの位
置は,はんだ接続部の信頼性に影響を与える不確定な要素となる。小さいボイドが亀裂経路に発生するこ
とは,まれにある。しかし,そうしたケースが起こる可能性が存在するため,信頼性を保証する上では,
亀裂経路上にボイドが存在するという最悪の場合を考慮する必要がある。亀裂経路は,事前に知ることは
できない上に,X線透視装置の二次元評価では,ボイドの縦方向の位置の検出もできないため,これらボ
イドが,亀裂経路上に存在するという最悪の場合を考慮することが望ましい。
Sn-Ag-Cu系はんだ接合部のボイドが信頼性に影響する状況を,図2 a)に示す。ボイドが,はんだ接合部
の疲労亀裂の伸展経路近くにあるため,亀裂の伸展に伴いはんだ接合部の有効な断面積を減少させて,寿
命を低下させる。Sn-Ag-Cu系はんだ接合部では,通常,疲労亀裂は,はんだ接合部の中を伸展するため,
その経路近くのボイドは,亀裂との相互作用及びはんだ接合部の信頼性低下を引き起こす可能性が高くな
る。ただし,亀裂伸展経路から離れた比較的小さいボイドは,はんだ接合部の信頼性への影響はない。
また,Sn-Zn-(Bi)系はんだ接合部は,図2 b)に示すように疲労亀裂が銅パターンとはんだ材料との界面近
くで亀裂が伸展するため,マクロボイドと重なることは少ない。したがって,大きなボイドであっても,
ボイドと亀裂との相互作用が起こることはなく,BGAのSn-Zn-(Bi)系はんだ接合部は,別の評価基準を規
定する。
注記 具体的な鉛フリーはんだの材料組成は,IEC 61190-1-3による。

――――― [JIS C 61191-6 pdf 10] ―――――

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JIS C 61191-6:2011の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61191-6:2010(IDT)

JIS C 61191-6:2011の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 61191-6:2011の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISC5603:1993
プリント回路用語