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C 61191-6 : 2011 (IEC 61191-6 : 2010)
a) n-Ag-Cu系はんだ接合部のボイド b) n-Zn-(Bi)系はんだ接合部のボイド
図2−ボイドのあるはんだ接合部
7.3 ボイドの評価基準
BGA及びLGAのはんだ接合部の代表的なボイド評価基準は,表A.1,表A.2,表A.3及び表A.4を参考
にすることが望ましい。表A.1及び表A.2の評価基準は,附属書Aに記載の実験結果及びデータの解析結
果に基づき設定した。
この規格に規定する実装構造及び実装材料が評価実験条件と異なる場合,又は設計時の信頼性に十分余
裕のある場合は,その他の評価基準を適用してもよい。
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C 61191-6 : 2011 (IEC 61191-6 : 2010)
附属書A
(参考)
ボイドが疲労寿命に与える影響の実験及び解析の結果
この附属書は,7.3に規定する事項の補足内容を記載する。
これまでの研究報告書では,BGAのはんだ接合部に発生する非常に大きいボイドは,はんだ接合部の信
頼性を低下させるが,極めて小さなボイド(マイクロボイド)は,はんだ接合部の信頼性に大きな影響を
及ぼすことはないと結論付けしているものもある。しかし,中程度のボイド(マクロボイド)に対しては,
ボイドの発生位置とはんだ接合部の疲労破壊モード(疲労亀裂の進展ルート)との相対関係によって信頼
性に影響する。一般に,はんだ接合部の故障モードは変わらないが,中程度以下のボイドの位置は,はん
だ接合部の信頼性に影響を与える不確定な要素である。そのため,小さいボイドがたまたま亀裂経路に発
生することはまれであり,この種のボイドは,信頼性に悪影響を及ぼさない。しかし,中程度以下のボイ
ドが,はんだ接合部中の疲労亀裂の経路付近に発生する可能性がある場合は,はんだ接合部の信頼性を低
下させる。少ない試験試料数によって,この可能性を検証することは難しいため,大量生産品に対して信
頼性を保証する場合は,最悪の場合を想定することが望ましい。そのため,信頼性に対するボイドの疲労
寿命への影響のメカニズムを研究する必要がある。
BGAのはんだ接合部の疲労信頼性に関するマクロボイドの影響を調べるために,一定温度での機械的疲
労試験法を用いた。この試験法は,BGAパッケージの温度サイクル試験において発生するはんだ接合部の
上端(部品側)と下端(電子回路基板側)との熱膨張の不適合によって発生する機械的ストレスの代わり
に,BGAのはんだ接合部に,非常に高い精度で管理できるピエゾ(圧電素子)駆動装置によって,動作す
る特殊な疲労試験装置を用いて,適切なせん断変形を繰り返し加えて,はんだ接合部の疲労寿命を調べる
方法である。はんだ接合部に発生するボイドの位置及び大きさは,試験を実施する前にあらかじめ測定し
ておき,疲労試験中,BGAのはんだ接合部の疲労亀裂は,直接光学顕微鏡で観察した。はんだ接合部の投
影した範囲全体に疲労亀裂が広がったときの繰返し数を,はんだ接合部の疲労寿命と定義した。したがっ
て,同じ条件で実施した疲労試験から得たボイドのないはんだ接合部の疲労寿命と,ボイドのあるはんだ
接合部の疲労寿命とを,比較することによって,BGAのはんだ接合部の信頼性に対するボイドの影響を定
量的に評価することができる。
ボイドがあるBGAはんだ接合部とボイドのないはんだ接合部との疲労寿命の比較を,図A.1及び図A.2
に示す。ここでは,全ての疲労寿命を,ボイドのないBGAのはんだ接合部の疲労寿命で正規化している。
Sn-Ag-Cu合金のはんだ接合部は,疲労亀裂がほとんど部品側の接合端部のはんだ内部に発生し,進展して
いるため,同じ側にボイドが存在している場合は,ボイドの大きさが接合部の疲労寿命に大きく影響する
ことを示している。はんだ接合部でボイドの位置を制御することは大変難しいため,はんだ接合部の疲労
亀裂の進展経路と同じ場所にあるボイドの影響を,Sn-Ag-Cu合金のはんだ接合部の最悪の場合として考慮
することが望ましい。また,Sn-Zn合金のBGAはんだ接合部には,Sn-Zn合金の硬さが,Sn-Ag-Cu合金は
んだ接合部より高いため,はんだと銅電極との界面周辺のマイクロ組成が,Sn-Ag-Cu合金のはんだ接合部
と異なり,疲労亀裂が,はんだと銅電極との界面に接近して発生する。したがって,マイクロボイドが,
この種の界面亀裂の経路と重なることは非常に少ない。ボイドと疲労亀裂の経路との相乗作用は,大きな
ボイドの場合でも発生しない。これは,Sn-Zn合金のはんだ接合部のボイドの影響が,Sn-Ag-Cu合金のは
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C 61191-6 : 2011 (IEC 61191-6 : 2010)
んだ接合部のボイドほど著しくない理由である。
図A.1−Sn-Ag-Cu系BGAはんだ接合部の疲労寿命の比較
図A.2−Sn-Zn系BGAはんだ接合部の疲労寿命の比較
表A.1−ボイド占有率と疲労寿命の低下との関係(BGAはんだ接合部)
単位 %
ボイドがない場合の ボイドがない場合の ボイドがない場合と
ボイドによる疲労寿命低下
60 % 80 % 同等
Sn-Ag-Cu系 <20 <10 <5
ボイド占有率
Sn-Zn-(Bi)系 <30 <25 <20
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C 61191-6 : 2011 (IEC 61191-6 : 2010)
LGAはんだ接合部の疲労寿命に対するマクロボイドの影響は,有限要素解析法を用いて検証し,初期疲
労亀裂からの亀裂の進展及び完全破壊までの疲労破壊プロセスを解析し,BGAの場合の実験及び解析結果
と比べて同様の解析品質を確認した。三つの異なるLGAはんだ接合部で調査し,LGAのはんだ接合部の
信頼性に対するマイクロボイドの影響は,はんだ接合部の形状にはほとんど影響しないで,疲労寿命が,
はんだ接合部に対するボイドに比例して低下している。さらに,図A.3に示す関係の基本的傾向は,はん
だの材料に左右されていないことである。
図A.3−LGAはんだ接合部
表A.2−ボイド占有率と疲労寿命の低下との関係(LGAはんだ接合部)
単位 %
ボイドがない場合 ボイドがない場合 ボイドがない場合
ボイドによる疲労寿命低下
の60 % の80 % と同等
ボイド占有率
<35 <20 <5
[Sn-Ag-Cu系及びSn-Zn-(Bi)系]
信頼性に対するボイド影響の最悪の場合を表A.1及び表A.2に示す。データは,実験及び解析によって
検証した。また,これは全て各々のはんだ接合部の疲労寿命とそのはんだ接合部に発生するボイドとの関
係を実験して調べて得た結果である。したがって,表A.1及び表A.2は,プロセス是正処置指示のための
許容値を表しているのではなく,はんだ接合部の信頼性に対するボイドの影響の最悪の場合の可能性を示
している。その科学的な根拠についての詳細は,参考文献の“Effect of voids on the reliability of BGA/CSP
solder joints”[7]又は,“Effect of Process-induced voids on isothermal fatigue resistance of CSP lead-free solder
joints”[3]を参照。
一方,参考文献“Effect of Voiding on Lead-Free Reliability”[6]には,BGAの信頼性に対するボイドの影響
に関する実験結果が示されているが,全てのはんだ接合部のボイドの平均的影響を示しているため,ボイ
ドの大きさと信頼性に対する影響との関係を理解することは大変難しい。
参考文献“Effect of voids on the reliability of BGA/CSP solder joints”[7]には,実験及び解析の結果によって
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C 61191-6 : 2011 (IEC 61191-6 : 2010)
BGAの信頼性に対するボイドの影響を調べた結果を記載している。また,この報告書では,信頼性に対す
るボイドの大きさの平均的影響の実験データだけを記載し,そのボイド自体によって影響を受けるはんだ
接合部の信頼性がどうなるかを記載していない。しかし,小さなボイドも信頼性に影響することを述べ,
解析によって信頼性と小さなボイドの影響との関係を検証している。
IPC-7095B[8]では,表7-10,表7-11及び表7-12で,是正活動指標の基準を示している。また,同資料
では,ファインピッチBGAのはんだ接合部に生じる最大ボイドを面積比で5 %,直径比で22 %以下に制
限すべきであると明記している。
以上の考察から,測定方法とボイドの大きさの評価基準との両方を標準化することが大変重要であると
結論付けすることができる。
また,表A.3及び表A.4は,プロセス目標に対するボイド評価基準(ボイド占有率低減の指標)を示し
ている。
表A.3−BGAはんだ接合部のボイド評価基準(ボイド占有率低減の指標)
単位 %
はんだ材料 最低限度 推奨 目標
Sn-Ag-Cu系 <20 <10 <5
Sn-Zn-(Bi)系 <30 <25 <20
注記 設計時のはんだ接合部の熱サイクル信頼性に十分余裕のある場合は,ボイドの評価基準を
規定しない。
表A.4−LGAはんだ接合部のボイド評価基準(ボイド占有率低減の指標)
単位 %
はんだ材料 最低限度 推奨 目標
Sn-Ag-Cu系及びSn-Zn-(Bi)系 <35 <20 <5
注記 設計時のはんだ接合部の熱サイクル信頼性に十分余裕のある場合は,ボイドの評価基準を
規定しない。
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JIS C 61191-6:2011の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61191-6:2010(IDT)
JIS C 61191-6:2011の国際規格 ICS 分類一覧
- 31 : エレクトロニクス > 31.180 : プリント回路及びプリント配線板
JIS C 61191-6:2011の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC5603:1993
- プリント回路用語