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C 61280-2-11 : 2010 (IEC 61280-2-11 : 2006)
5.1 光帯域透過フィルタ
光増幅器からの不要なASEを除去し,WDM信号から必要なチャネルを取り出すために,光帯域透過フ
ィルタ(OBPF)を使用しなければならない。光フィルタの帯域幅は光信号のビットレートより広くする。
平均化Q値の光フィルタの帯域幅依存性について,附属書Aに示す。OBPFの形状は,ITU-T G.959.1の
図B.2による。隣接チャネルのパワー抑圧比,中心周波数ずれなどのパラメータへの依存性については,
附属書Bに示す。
5.2 受信器
通常,受信器は,高速フォトダイオードなどの光/電気変換器(O/E変換器)及び電気増幅機能で構成
する。光インタフェース規定点とO/E変換器との接続は,直接又は光ファイバコードを適切な光コネクタ
を通して行う。
受信器選定の一般的なガイドラインを,a) g)に示す。
a) 適切な許容入力波長範囲をもつ。
b) 非同期アイパターンを形成するための適切な受信感度をもつ。
例えば,−15 dBmの平均光パワーで非ゼロ復帰(NRZ)の光データストリームを測定する場合,オ
シロスコープの目盛が10 mV/divのとき,50 mVの非同期アイパターンを形成するためには,790 V/W
の受光感度が必要となる。
c) 正確に測定可能な十分低い光雑音等価パワーをもつ。
例えば,−15 dBmの平均光パワーでNRZの光データストリームを測定する場合,測定システムの
有効雑音帯域幅が470 MHz,かつ,実効雑音が非同期アイパターン振幅の5 %以下のとき,光雑音等
価パワーは,145 pW以下にしなければならない。
d) 高域遮断(−3 dB)周波数,Bre Hzを規定する。
再現性及び精度を確実にするために,受信器の高域遮断周波数(帯域幅)を規定しなければならな
い。NRZ信号では,受信器の帯域幅は,一般にクロック周波数より狭くなる。入力光がNRZ信号の
場合,−3dB帯域が0.75/T(ここで,Tはデータ信号のビット間隔,単位は秒)の低域通過フィルタ
を使用することが多い。RZ信号では,スペクトル帯域は,同じ信号ビットレートでもNRZより広い。
したがって,受信器の帯域幅は,クロック周波数より広くなる。
e) 低域遮断(−3 dB)周波数を0 Hzに規定する。
次の二つの理由から,直流結合とする。最初に,交流結合を使用した場合,直流成分が除去されて
“マーク”(“1”)及び“スペース”(“0”)の各レベルが変化するため,直流結合でなければ消光比測
定は十分正確に測定できない。2番目に,交流結合を使用した場合,測定信号の低周波スペクトル成
分(受信器の低域遮断周波数より低い成分)が,検出した非同期アイパターンの振幅変調に重要なひ
ずみを引き起こす可能性がある。
f) 測定を妨げないように,過渡応答時のオーバシュート,アンダーシュート及び他の波形異常を小さく
することが望ましい。
受信器の高域遮断周波数(帯域幅)は,主としてシステム過渡応答を決定する。
g) 0 Hzから受信器の帯域幅より高い周波数にかけて,受信器の後段のサンプリングモジュールからの反
射が適切に抑圧されるように,十分高い電気的な反射減衰量をもつ。
大きな多重反射が存在する場合,時間領域測定は非常に不正確となる可能性がある。受信器の後段
に多くの機器を接続する場合,反射減衰量は15 dB以上が望ましい。信号強度は減衰するが,インラ
イン形の電気減衰器を使用することによって,受信器の反射減衰量を改善することができる。波形の
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直流成分が変化して平均化Q値測定に誤差が生じないように,反射減衰量の要求は直流にも適用する。
5.3 クロック発信器
クロック発信器は,サンプリング周波数のクロック信号を発生する。このクロック信号を,非同期サン
プリングのために光信号とは同期させずに,電気パルス発生器及び信号処理回路へ送る。クロック信号の
周波数は,1 MHz1 GHzの範囲となることがある。
5.4 電気パルス発生器
電気パルス発生器は電気パルス列を発生し,サンプリングモジュールへ供給する。電気パルス列の繰返
し周波数は,サンプリング周波数と一致する。
5.5 サンプリングモジュール
サンプリングモジュールでは,電気パルス発生器で発生した電気パルス列を用いて,既定のサンプリン
グ時間幅(=サンプリング窓)及び既定の繰返し周波数で光信号をサンプリングする。サンプリングで得
られた値は,信号処理回路へ送る。
平均化Q値の確度の時間分解能依存性を,附属書Aに示す。
5.6 信号処理回路
信号処理回路では,サンプリングモジュールで得た値とクロック信号とを用いて,強度ヒストグラムを
計算する。次に,強度ヒストグラムから平均化Q値を計算する。信号処理の詳細を,箇条6に示す。
5.7 監視系パラメータ
平均化Q値測定を実現するためには,測定系のパラメータを適切に選択しなければならない。処理の対
象である光信号の帯域幅及びOSNRは,光フィルタ帯域幅で決まる。受信器帯域幅は,O/E変換器及び低
域通過フィルタで決まり,受信器から出力される電気信号の波形及びSNRに影響を与える。ゲーティング
処理の分解能である時間分解能は,電気サンプリングパルスの幅で決まる。時間分解能は非同期サンプリ
ングであるため,サンプリングクロックのジッタには依存しない。サンプリング数は,強度ヒストグラム
を形成するために使用するサンプリング点の数を表す。サンプリング数は,全サンプリング時間又は全測
定時間に影響を与える。全サンプリング時間,サンプリング数及びサンプリング周波数の間には,次の式
の関係がある。
Nsamp
Tsamp
Rsamp
ここに, Tsamp : 全サンプリング時間(s)
Nsamp : サンプリング数
Rsamp : サンプリング周波数(Hz)
これらの監視系パラメータを,表1に示す。
表1−監視系パラメータ
Qave 平均化Q値
Bopt 光フィルタ帯域幅
Bre 受信器帯域幅
Tres 時間分解能
Nsamp サンプリング数
Rsamp サンプリング周波数
Tsamp 全サンプリング時間
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6 手順
6.1 装置接続
図2に示すように,装置を接続する。伝送路からのパワーが不十分で受信器へ十分高い信号レベルを供
給できない場合,光帯域透過フィルタの前にEDFAを配置する。
EDFAを用いた場合,EDFAからのASEによってOSNRが変化する。したがって,EDFAを用いても,
6.2及び箇条7に示した平均化Q値測定によって想定する光信号品質の評価が実現できることを確認しな
ければならない。
6.2 しきい値レベルの定義
最初に,あらかじめ定めた時間内に測定した各強度レベルのサンプリング点を数えることによって,強
度ヒストグラムを形成する。ヒストグラムの水平軸はサンプリング点数であり,垂直軸は強度レベルを表
す。典型的な“マーク”信号及び“スペース”信号において,ヒストグラムは図1のように二つのピーク
をもつ。前者は“スペース”レベルに,後者は“マーク”レベルに相当する。
特定のレベルを上回る振幅のヒストグラムを構成する抽出したポイントの全数は,数値の積分によって
得られる。抽出したポイントの積分した数は,選択する振幅レベルを低下することによって増加する。特
定のレベルで抽出したポイントの数が中間レベルに等しくなるとき,この振幅レベルは中間レベルと呼ば
れる。ここで,中間レベルを上回る抽出したポイント数を,式(2)のように定義する。
NmiddleNtotalRdutyRmark (2)
ここに, Nmiddle : ポイント数の中間レベル
Ntotal : 抽出したポイントの数
Rduty : 光信号のデューティ比(又はデューティ要素 : パルス
幅のタイムスロットに対する比)
Rmark : マーク率(すなわち,強度変調直接検波デジタル送信
信号にマークレベルが現れる確率)
次に,二つのピークをもつヒストグラムにおける,低いレベルのピークポイントに一致する振幅レベル
は,平均値として確定される。マークレベルの平均値は,式(3)によって見積もることができる。
1.ave2( m .0 ave ) (3)
.0ave
ここに, μ1.ave : マークレベルの平均値
μm : 振幅の中間レベル
μ0.ave : スペースレベルの平均値
実際の光伝送システムでは,複数の伝送劣化要因が抽出したパワーレベルの分布を拡大するため,二つ
のピークをもつヒストグラムのマークレベルと一致するピークは,鋭いピークとして明確には示されない。
さらに,マークレベルの分布のピークを確認することは,NRZ信号よりもRZ光信号の方がより困難とな
る。
上記の方法では,拡大したパワー分布の場合でも簡単にマークレベルの平均値を確認することができる。
ヒストグラムで“スペース”と“マーク”とを識別するスペースしきい値及びマークしきい値は,それ
ぞれ式(4)及び式(5)によって求める。
th0 0.ave ( 1.ave ....................................................................... (4)
.0ave )
th1 1.ave ( 1.ave ....................................................................... (5)
.0 ave )
ここに, μth0 : スペースしきい値
μth1 : マークしきい値
α : しきい値設定係数,0<α<0.5
ここで,マークしきい値より高いレベルのポイントは“マーク”(すなわち“1”)に属し,スペースしき
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い値より低いレベルは“スペース”(すなわち“0”)に属す。
7 計算
マークレベルの分布から次に示す方法によって,平均及び標準偏差(μ1.ave及びσ1.ave)を計算する。スペ
ースレベル分布の平均及び標準偏差(μ0.ave及びσ0.ave)も同様に計算する。
その後,平均化Q値Qaveは式(1)によって計算できる。
計算によって求まる,異なるαにおけるQaveのQ依存性の例を,図3に示す。QはSNRに依存するた
め,図3はQaveのSNRに対する依存性を示す。QaveとQとの線形近似曲線は,最小二乗法を用いて計算し
た。Qaveの値のばらつきは,QaveとQとの相関係数Rを用いて推定できる。
平均化Q値測定法は,光信号品質の相対値及び絶対値のモニタに活用できる。光ネットワークにこの測
定法を適用する前に,QaveとQとの間の関係(図3参照)を測定することによって,Q及びBERの絶対値
を推定できる。その関係について情報がない場合でも,相対的なモニタ(Qの劣化検出)は可能となる。
Boptがビットレートの4倍(Bopt=4×B Hz)であるαに対するRの依存を示す計算例を,図4に示す。
この図からαが0.1から0.5までのどの値であってもRは高い値を維持する。αが小さくなるに従って,平
均及び標準偏差の値を決定するポイントの数が不十分になる。一方,αが大きくなると,アイパターン中
のクロスポイントがマーク及びスペースレベルに含まれるため,平均及び標準偏差の値は変動する。また,
αが0.5に近づくに従って,Qに対するQaveの感度が低下し,線形近似曲線の傾斜は小さくなる。Qave測定
のあいまい(曖昧)さを少なくするためには,Boptがビットレートの4倍(Bopt=4×B Hz)の場合,αは約
0.3に設定するのがよい。αの最適値はBoptに依存する。
αの最適値のOBPF帯域Bopt依存性を,図5に示す。ここでビットレートBを10 Gbit/sに設定した。Bopt
が狭くなると,信号波形の上昇時間(慣用的には“立ち上がり時間”ともいう。)及び下降時間(慣用的に
は“立ち下がり時間”ともいう。)はフィルタリングする前よりも増加し,マーク又はスペースのレベルに
含まれるクロスポイントのサンプル数が増加する。平均値及び標準偏差値の変動を低減するためには,α
を大きな値に設定するのがよい。したがって,αの最適値はBoptが減少するに従って増大する。例えば,
40 GHz及び240 GHzのBoptに対し,αの最適値はそれぞれ約0.3及び約0.2となる。
αが0.1から0.5までの間のどのような値のときにも,Rは0.99を超える高い値を維持するが,可能な限
りQaveの測定のあいまい(曖昧)性を排除するために,αの値は図5を参照して選ぶことが望ましい。
Qaveの上限は附属書Cに示すように,α及び信号の上昇(下降)時間に依存する。この測定法の特徴は,
タイミングの再生を使わず,非同期なアイパターンを評価することとなる。この特徴によって,信号フォ
ーマット,変調フォーマット及びビットレートに依存しない測定が可能となる(附属書D及び附属書E参
照)。波長分散依存性,OSNR依存性及びPMD依存性を,附属書F及び附属書Gに示す。
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C 61280-2-11 : 2010 (IEC 61280-2-11 : 2006)
計算の条件は,次による。
Tr=1/4×Tslot s
Bre=0.75×B Hz
Bopt=4×B Hz
Tres=1/256×Tslot s
Nsamp=16 384 (=214)
図3−異なるαにおけるQaveのQ依存性
計算の条件は,次による。
Tr=1/4×Tslot s
Bre=0.7×B Hz
Bopt=4×B Hz
Tres=1/256×Tslot s
Nsamp=16 384 (=214)
図4−Rのα依存性
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JIS C 61280-2-11:2010の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61280-2-11:2006(IDT)
JIS C 61280-2-11:2010の国際規格 ICS 分類一覧
- 33 : 電気通信工学.オーディオ及びビデオ工学 > 33.180 : 光ファイバ通信 > 33.180.10 : 光ファイバ及び光ケーブル