JIS C 61280-2-8:2010 光ファイバ通信サブシステム試験方法―Q値測定を用いた低ビット誤り率の決定法 | ページ 3

                                                                                              9
C 61280-2-8 : 2010 (IEC 61280-2-8 : 2003)
図5−可変識別しきい値法のビット誤り率試験装置接続方法
a) 図5に従って,DUTをビット誤り率試験装置に接続する。
b) クロック発生回路の周波数を所望の周波数に設定する。
c) パターン発生器のパターン,データ振幅,クロック振幅,オフセット,極性及び終端を所望の測定条
件に設定する。
d) 誤り検出器のパターン,データ極性及び終端を所定どおりに設定する。
e) 図6に示すように,サンプリング点がアイパターンのほぼ中心になるように,識別しきい値電圧及び
データ入力遅延時間を設定する。これが最初のサンプリング点となる。
図6−識別しきい値の初期設定(アイパターンのほぼ中央)
f) 誤り検出器のゲート機能を有効にして,誤り数によるゲートがかかるように設定する。誤り数の最小
値は10,100又は1 000とする。
g) 誤り検出器の識別しきい値電圧を正の方向に調整し,ビット誤り率の測定値が1×10−10以上になるよ
うにする。このときの識別しきい値電圧(Vb1)及びビット誤り率を記録する。
h) 識別しきい値電圧を増加させ,ビット誤り率が10−5以上になるようにして,識別しきい値電圧(Va1)
及びビット誤り率を記録する。
i) 二つの識別しきい値電圧(Va1及びVb1)の差を記録し,両者の間に十分な数(5以上)の測定点が得
られるようにステップ値(Vstep1)を選択する。識別しきい値電圧Va1から開始し,ステップ値Vstep1で
識別しきい値電圧を減少させる。各ステップにおいて誤り検出器でゲート測定を行う。測定したビッ
ト誤り率及び対応する識別しきい値電圧を記録する。
j) 誤り検出器のゲート測定では,f)で設定した誤り数の最小値に達するまで,データ及び誤りの情報を
蓄積する。誤り数の最小値を大きな値にすると,統計的により正確なビット誤り率を得ることができ

――――― [JIS C 61280-2-8 pdf 11] ―――――

10
C 61280-2-8 : 2010 (IEC 61280-2-8 : 2003)
る。ただし,特に低いビット誤り率の値を測定する場合に測定時間は長くなる。統計的に有意な結果
を得るには,カウントする誤り数を15未満にしないほうがよい。
k) ビット誤り率が10−10以下になるまで測定を続ける。この識別しきい値電圧に対するビット誤り率の
データ群は,“1”レベルに対応する。
l) 識別しきい値電圧を初期のサンプリング点まで戻し,ビット誤り率の測定値が10−10以上になるよう
に識別しきい値電圧を負の方向に調整する。このときの識別しきい値電圧(Vb0)及びビット誤り率を
記録する。
m) 識別しきい値電圧を減少させ,ビット誤り率が10−5以上の値になるようにして,識別しきい値電圧
(Va0)及びビット誤り率を記録する。
n) 二つの識別しきい値電圧(Va0及びVb0)の差を記録し,両者の間に十分な数(5以上)の測定点が得
られるようにステップ値(Vstep0)を選択する。識別しきい値電圧Va0から開始し,ステップ値Vstep0で
識別しきい値電圧を増加させる。各ステップにおいて誤り検出器でゲート測定を行う。測定したビッ
ト誤り率及び対応する識別定しきい値電圧を記録する。
o) ビット誤り率が10−10以下になるまで測定を続ける。この識別しきい値電圧に対するビット誤り率の
データ群は,“0”レベルに対応する。

4.5 計算及び結果の解釈

  得られたデータにガウス分布を仮定したフィッティングをすることによって,“1”と“0”とに対する等
価的な平均値(μ)及び標準偏差(σ)を決定する。その後,式(1)を使ってQ値を計算する。
4.5.1 データ群
4.4に示す試験手順によって,次の形式をもった2組のデータ群(“0”レベル及び“1”レベルに対応)
を得る。
D1, BER1
D2 , BER2
DnBER
, n
ここに, Di : i番目の測定における識別しきい値電圧(i=1, 2..., n)
BERi : i番目の測定におけるビット誤り率(i=1, 2..., n)
n : データの数
注記 “0”レベル及び“1”レベルに対するデータの数が等しい必要はない。
取得した識別しきい値電圧及びビット誤り率の例を,表2に示す。

――――― [JIS C 61280-2-8 pdf 12] ―――――

                                                                                             11
C 61280-2-8 : 2010 (IEC 61280-2-8 : 2003)
表2−識別しきい値電圧とBERとの関係
“1”レベル “0”レベル
識別しきい値電圧 ビット誤り率 識別しきい値電圧 ビット誤り率
V V
−1.75 5.18×10−5 −4.37 8.76×10−5
−1.80 2.09×10−5 −4.34 1.90×10−5
−1.85 7.33×10−6 −4.31 5.18×10−6
−1.90 2.77×10−6 −4.28 1.06×10−6
−1.95 9.61×10−7 −4.25 2.12×10−7
−2.00 1.96×10−7 −4.22 3.45×10−8
−2.05 6.30×10−8 −4.19 3.52×10−9
−2.10 1.95×10−8 −4.16 2.77×10−10
−2.15 3.45×10−9
−2.20 1.39×10−9
4.5.2 逆誤差関数を使ったビット誤り率の変換
次に,式(4)の近似を使って,各々のビット誤り率の値を式(8)によって変換する。
1
fi log 1 erfc(x ) .1192 .0668 1 xi.0016 2 xi (8)
i
2
ここに, xi : log10(BERi)
この変換によって,次の形式をもつ2組のデータ群(“1”レベル及び“0”レベルに対応)を生成する。
D1 , f1
D2 , f2
Dnf
, n
これらのデータは,ほぼ直線でフィッティングできる。
表2の値を変換すると,表3のデータを得る。
表3−Diとfiとの関係
“1”レベル “0”レベル
Di (V) fi Di (V) fi
−1.75 3.757 8 −4.37 3.636 0
−1.80 3.963 8 −4.34 3.984 7
−1.85 4.195 6 −4.31 4.270 6
−1.90 4.404 3 −4.28 4.605 2
−1.95 4.625 7 −4.25 4.929 3
−2.00 4.944 9 −4.22 5.275 7
−2.05 5.162 9 −4.19 5.682 3
−2.10 5.379 9 −4.16 6.097 5
−2.15 5.685 8
−2.20 5.839 0
4.5.3 線形回帰
線形回帰法を用いて,具体的に各々のデータ群を順番に,次の式に示す直線にフィッティングさせる。

――――― [JIS C 61280-2-8 pdf 13] ―――――

12
C 61280-2-8 : 2010 (IEC 61280-2-8 : 2003)
Y A BX
ここで,Y及びXには,次の関係がある。
1
1
Y erfc BER (ビット誤り率の逆誤差関数)
2
ただし,記号[ ]-1は,BERに関する逆関数を意味する。
X D(しきい値電圧)
“1”レベル及び“0”レベルに対応するデータ群に対し,次の計算を行う[7]。
( X)( Y)
XY
B n
( X)2
X2
n
2
( X)( Y)
XY
n
R2
2
( X) 2 2
( Y) 2
X Y
n n
Y X
A B
n n
ここに, A : フィッティングした直線の切片
B : フィッティングした直線の傾き
n : データ群に属するデータ数
R2 : 決定係数(データが直線にどのくらいよくフィットす
るかを示す指標)
Σ : 1からnまでの和
表3の値から表4の値を得る。
表4−線形回帰で得られる値
“1”レベル “0”レベル
A B R A B R
−4.612 5 −4.763 8 0.998 9 53.989 11.530 7 0.998 4
4.5.4 標準偏差と平均
“1”又は“0”の雑音領域の標準偏差及び平均を,次の式によって求める。
1
B
A
B
ここに, μ1又はμ0 : “1”又は“0”の雑音領域の標準偏差
σ1又はσ0 : “1”又は“0”の雑音領域の平均
表4の例から表5の値を得る。

――――― [JIS C 61280-2-8 pdf 14] ―――――

                                                                                             13
C 61280-2-8 : 2010 (IEC 61280-2-8 : 2003)
表5−平均及び標準偏差
“1”レベル “0”レベル
μ1 σ1 μ0 σ0
−0.968 2 0.209 9 −4.682 2 0.086 724 9
4.5.5 最適識別しきい値
最適Q値Qoptを,次の式によって求める。
1 0
Qopt
1 0
最適識別しきい値を,次の式によって求める。
0 1 1 0
Vth optimal
0 1
表5の例の場合,Qoptは12.52となり,最適識別しきい値は−3.596 Vとなる。
4.5.6 最適識別しきい値におけるビット誤り率
最適しきい値におけるビット誤り率は,次の式によって求める。
Q2
2
e
BER
Qopt 2
4.5.5の例によってQoptの値を12.52とすると,ビット誤り率は1×10−18未満となる。
4.5.7 最適識別しきい値ではない場合のビット誤り率
最適識別しきい値ではない場合のビット誤り率は,次の式によって求める。
2 2
1 D 0D
1 0
1 e 2 e 2
BER(D)
2 1 D 0 D
2 2
1 0
4.5.8 誤差の上限
得られた最適Q値の誤差の上限は,式(A.5)によって求めることができる。
4.5.7の例においては,Q値の誤差の上限は±0.5である。

4.6 測定の記録

  各々の試験において,次に示す情報を記録する。
a) 試験の日付
b) この規格の番号
c) サンプル(すなわち試験した光伝送システム)の識別情報
d) 2組のデータ群(最適しきい値より上のデータ及び下のデータ)
e) 各々のデータ群は,しきい値に対するビット誤り率(10−5から10−10までの範囲にわたるもの)の測
定値を5個以上含める。
f) 最適Q値及び最適識別しきい値
g) 値に対する誤差範囲

――――― [JIS C 61280-2-8 pdf 15] ―――――

次のページ PDF 16

JIS C 61280-2-8:2010の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61280-2-8:2003(IDT)

JIS C 61280-2-8:2010の国際規格 ICS 分類一覧